sign of mirage   作:YESマン症候群

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皆さん、お久しぶりです
筆者はまだ蒸発はしてないのでご安心を
では、本編どうぞ!








第36話 準備②

〜ダイヤside〜

 

ある平日の夕食後、ダイヤの自室にて。

 

ダイヤ「まさか私があれをすることになるとは...」

 

任せていただいた以上、私が皆さんの足を引っ張る訳にはいきません。

 

そのために、全体での練習とは別で合わせ練習をしたいですわね。

 

1人で練習もできなくはないですが、やはり相手がいた方が現実味があって練習になるでしょう。

 

あとは誰に頼むかですね…

 

鞠莉さん?果南さん?それともAqoursの1、2年生の皆さん...?

 

いえ、ここはいっその事、真司さんに頼んでみましょう。

 

真司さんなら適任なはずです。

 

そうと決まれば、早速真司さんに連絡しなくては。

 

文章を考えて、後は送信するだけ。

 

ですが、ここにきて本当に頼んで良いのかという考えが頭をよぎりました。

 

ダイヤ「いえ、待ってください。本当に真司さんに頼んで良いものでしょうか...。真司さんのことなので、恐らく引き受けてくださるとは思いますが、"どうして俺に頼んだの?"なんて聞かれてしまえば答えようがないですし...。男性に頼みたかったと言えば、"3年生に頼めば良くない?"って思われてしまうでしょうし....。そもそも、3年生の男性にお願いするくらいなら果南さんや鞠莉さんにお願いしますし...」

 

ルビィ「お姉ちゃん!」

 

ダイヤ「はっ...な、なんですの、急に!」

 

意識の外からルビィに話しかけられたものですから驚いてしまいました。

 

危うく、スマートフォンを落とすところでしたが、何とかキャッチできました。

 

ルビィ「お姉ちゃんを何度も呼んだんだけど、返事がなかったから入っちゃった。」

 

ダイヤ「そうでしたか、それはすみません。それで、用は何ですの?」

 

ルビィ「用っていうか、ただ、寝る前におやすみって言おうと思っただけで...。それで、返事がなかったから...」

 

ダイヤ「私としたことが、ルビィの声に気が付かないなんて...。以後気をつけますわ。」

 

ルビィ「ううん、気にしないで!おやすみ、お姉ちゃん!」

 

ダイヤ「おやすみなさい、ルビィ」

 

私がルビィにそう言うと、ルビィは自分の部屋に戻っていきました。

 

ルビィに悪い事をしてしまいました。

 

スマートフォンは素晴らしい機器ですが、熱中のし過ぎは良くないですわね。

 

さて、先程の文章を消して、私も寝なければ。

 

そう思い、スマートフォンの画面を見た時、私は愕然としました。

 

何と、真司さん宛に先程の文章が送信されていたのです。

 

しかも、そのメッセージの左側には"既読"の文字が。

 

ダイヤ「さすがに既読が早すぎますわ!」

 

おっと、思わず声が出てしまいました。

 

それほどに真司さんの既読の速さに驚きました。

 

そしてすぐに返信が返ってきました。

 

 

黒澤ダイヤ『こんばんは。夜分遅くに失礼します。突然ですが今日の放課後3階の空き教室に来てくださいますか?手伝ってほしいことがあるのです。もし、クラスの準備があるならそちらを優先してくださって構いません』 既読

 

真司『もちろんいいよー。明日は忙しくないだろうから手伝うよ』

 

真司さんから、了承の返事を得てしまいました。

 

今更引くに引けない状況、もう手伝っていただく他ないですわ。

 

さっきのままだと踏ん切りが付かずにずっと迷っていただろうことを考えると、むしろ勝手に押してしまった方が良かったかもしれません。

 

というわけで、こちらからも返信しましょう。

 

 

黒澤ダイヤ『ありがとうございます。助かります。』

 

黒澤ダイヤ『この話と関係はないですが、真司さんの返信が速すぎるのに驚きました』

 

真司『確かに他の人よりは速いかもしれない。よく友達に、お前の返信速すぎって言われる』

 

黒澤ダイヤ『"速い"の度合いを超えてますわ!』

 

真司『四六時中スマホ触ってるような人間だから通知が来たらすぐ分かるんだよねー

めんどくさい時とかあんまり関わりたくない人には時間を置いて返すけど 』

 

黒澤ダイヤ『ということは、返信が遅いほど真司さんに嫌われているということですか』

 

真司『まあ、返信が遅くなったら察してってことで』

 

黒澤ダイヤ『それでは察した時点でもう手遅れでは...』

 

真司『そうかもね。でも、よっぽどの事がない限りそうはならないから』

 

黒澤ダイヤ『そもそも真司さんに嫌われるというのは相当な...』

 

 

私達はいつの間にか、ただの雑談をしていました。

 

本当に何気ない会話が何分も何時間も続きました。

 

どこにでもありそうな、ちょっとしたやり取りが楽しくて、嬉しくて。

 

しかし、そんな時間も束の間、ふと時計を見ると時刻は23時を回っていました。

 

こんなにも長時間続けていたのかと、自分でも驚きです。

 

続けたいのは山々ですが、さすがにそろそろ寝なくては明日に支障が出てしまいまうでしょう。

 

名残惜しいですが、終わりにします。

 

黒澤ダイヤ『もうこんな時間ですし、そろそろ寝ましょうか』

 

真司『ほんとだ、もう11時か。ごめんね、こんな時間まで付き合わせちゃって』

 

黒澤ダイヤ『いえ、いいのです。私は楽しかったので』

 

真司『俺も楽しかったよ。じゃあ、また明日!おやすみ』

 

黒澤ダイヤ『おやすみなさい』

 

 

最後に私から返信をして、スマートフォンの電源を切りました。

 

それにしても、私の送信ミスによって真司さんとの練習が決まってしまうとは...

 

今になって少しばかり緊張してきました。

 

だって、真司さんと2人きりですのよ?

 

真司さんに察されないと良いのですが...

 

いえ、でも気づいてくださった方が...

 

でも、それはそれで恥ずかしいというか...

 

ああーー!

 

静かな部屋で1人、枕に顔を埋め、布団の上で足をバタバタさせるダイヤだった。

 

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翌日の放課後

 

 

 

真司「透、ごめんけど今日の準備早めに抜けてもいい?」

 

透「まだ準備期間に余裕があるから全然いいけど、どうかしたのか?」

 

真司「実はこの後ダイヤに頼まれごとされてて3階の空き教室に行かないといけないんだよ

 

透「なんだそんなことなら早く言えよ。何なら今から行ってくれてもいいぞ?さっきも言ったが、準備期間はまだまだ余裕あるしな。」

 

透は俺の肩を叩きながらそう言った。

 

真司「でも、さすがに皆に悪いよ...」

 

透「大丈夫だって。何なら今クラスの奴に聞いてやろうか?」

 

それをわざわざ聞かれれば、またダイヤのことで質問攻めにあうのは容易に想像できる。

 

透はそれを分かってて言ってるんだろう。

 

仕方ないから、ここは透の厚意に甘えることにした。

 

真司「ごめん、ありがとう。代わりに今度居残りでやるよ」

 

透「別にそんなのいらねぇよ!ほら、さっさと行ってこい!」

 

透の了承を貰って、俺は空き教室に向かった。

 

ダイヤが言ってた手伝ってほしいことってなんだろう。

 

ただ手伝ってもらうだけなら鞠莉とか果南に頼みそうなものだけど。

 

その2人に頼めないってことは力仕事とか?

 

でも、果南なら力仕事を余裕でこなしそうだけどな。

 

あ、こんなことを言ったら果南対して失礼か。

 

そんな事を考えているうちに階段前に到着した。

 

その階段を上って、すぐのところに例の空き教室はある。

 

3階に向かう階段前でその方向を向くと...

 

果南「分かってればよろしい!」

 

真司「うわぁっ!って果南...と鞠莉か」

 

気がつくと、正面には果南と鞠莉がいた。

 

鞠莉「全く、真司ったら、まるで化け物が現れたみたいに驚くんだから」

 

真司「そりゃ突然話しかけられたら驚くよ」

 

果南「仕方ないでしょ。少し離れたところから呼んでも返事ないし、いざ近づいてみたら!私の力仕事がどうとか言ってたし。失礼しちゃうなー」

 

真司「え、聞こえちゃってた?ごめん。」

 

鞠莉「前も思ったんだけど、真司って普段から独り言多いタイプなの?」

 

真司「ん?なんで?」

 

鞠莉「だって初めて理事長室で会った時も、無責任とか理事長だとは思えないだとか言ってたじゃない。マリー傷ついたんだからね?」

 

あの時は何とも思ってなかったけど、今考えてみれば確かに鞠莉を傷つけてしまっていたことに気づく。

 

真司「あの時はごめんっ」

 

鞠莉「冗談よ冗談!マリーは全然気にしてないから!」

 

冗談かいっ!

 

若干申し訳なくなったこっちがバカみたいじゃないか。

 

真司「てか、よくもまあ半年前のことを覚えてるね」

 

鞠莉「真司は編入生で、特別な手続きしたでしょ?それに、あの時真司とおしゃべりしたから半年前でも覚えてたのかもね」

 

真司「当の本人はおしゃべり感覚だったの!?こっちは手続きできなくて焦ってたのに。」

 

鞠莉「まあまあ、いいじゃない。もう済んだ話だし!」

 

果南「...さっきから話してるのって何の話?」

 

鞠莉「ごめんごめん、その時果南はいなかったわね。半年前に1学期の始業式があったでしょ?その日、私とダイヤが理事長室にいる時にいろいろあってね」

 

果南「鞠莉とダイヤはそこで真司君と初めて会ったわけね。私が真司君と初めて出会ったのは、急に2年生3人に部室に呼ばれた時だったな」

 

真司「あー、3年生が入部した時ね....」

 

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思い出話に花を咲かせる3人。

 

時間が過ぎるのも忘れて話し込んだ。

 

すると突然、果南が何かに気づき、付近の教室の中をチラッと覗く。

 

果南「鞠莉、もうこんな時間。準備に行かないと!真司君も何か用事があったんじゃないの?」

 

果南から言われて、本来の目的を思い出す。

 

彼女を待たせる訳にはいかない。

 

真司「あ、こうしてられないんだった。俺も行かなきゃ!」

 

果南「引き止めちゃってごめんね。またねー」

 

2人は足早にその場を去っていった。

 

俺もこうしちゃいられない。

 

急いで空き教室に向かった。

 

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真司「ごめん、遅くなった!」

 

ダイヤ「いえ、私も先程来たばかりですのでお気になさらず。それより、今日は来て頂いてありがとうございます」

 

真司「いやいや、そんなお礼なんて。」

 

ダイヤ「わざわざ私のために時間をさいてくださるのですから、お礼は当然ですわ。それで、例のお願いなのですが...」

 

何故かダイヤの言葉はそこで止まった。

 

俺はてっきり荷物運びとかを想像していたんだけど、この部屋にはダンボール箱とか文化祭準備に使うような道具とかは見当たらない。

 

倉庫とかから荷物を運び出すのかな?

 

ダイヤが右手に持っている紙は資材リストだろうか?

 

でも、荷物運びにしてはダイヤと俺の2人だけというのは違和感がある。

 

こんな風に頭の中で自問自答をしていると、ダイヤが再び口を開いた。

 

ダイヤ「えっと、その、お願いというのはですね...」

 

どうも、歯切れの悪いダイヤの言葉。

 

もしかしたら、ここに来て頼みづらくなったのかもしれない。

 

別に雑用だろうと何だろうと気にせず頼んでくれたらいいのに。

 

真司「何でも頼んでくれていいよ?俺にできることならね」

 

ダイヤ「...そうですわね。真司さんは優しい方ですものね。では、真司さん、改めてお願いがあるのですが」

 

真司「うん」

 

ダイヤ「劇の台本の読み合わせを一緒にしていただけませんか?」

 

真司「えっ?そんなこと?」

 

ダイヤ「そうですよね、やはり面倒ですよね。いえ、いいのです、1人でもできなくはないのですから...」

 

ダイヤは普段よりも少し早口で答える。

 

そして間髪入れず俺も。

 

真司「いやいや、ちょっと待って。俺はその読み合わせ手伝うよ?」

 

ダイヤ「でも、こんなこと(・・・・・)...」

 

真司「ごめん、勘違いさせちゃった。手伝ってほしいっていうのが、荷物運びだと勝手に思ってて、肩透かしを食らったというか...。でも、嫌々やるわけじゃないよ?どんな劇なのか台本を見てみたいってのもあるしね。だからさ、手伝わせてよ」

 

そう伝えると、ダイヤの表情が、ぱあっと明るくなった。

 

ダイヤ「本当ですか?ありがとうございます!」

 

真司「どういたしまして。でも、何でダイヤが劇をやることになったの?生徒会の人は実行委員の人と運営の仕事があるんでしょ?それに、劇って有志で集まってやるんじゃなかったっけ?」

 

ダイヤ「ええ、真司さんの言う通りですが、やってはいけないという決まりはありません。まあ、初めは運営の仕事に専念するつもりだったのですが...」

 

真司「誰かに頼まれたの?」

 

ダイヤ「頼まれるのとはちょっと違うのですが、クラスの皆さんが私が適任だと言って聞かなくてですね...。そこに鞠莉さんが余計に焚き付けるものですから、断りきれなくなってしまいまして、この有様です」

 

真司「前から思ってたけど、あの人って何かこう...トラブルメーカーというかムードメーカーというか何というか...」

 

ダイヤ「全く、鞠莉さんの適当さには困ったものですわ。かといって、1度任されたことを放任するような無責任なことは致しません。もちろん本気でやりますわ」

 

真司「責任感が強いあたり、ダイヤらしいね。それで、劇は何をやるの?」

 

ダイヤ「今回私達がやるのはこれです」

 

ダイヤは真司に台本を手渡す。

 

その表紙には書いてあったのは...

 

真司「"ロミオとジュリエット"か」

 

ダイヤ「ええ」

 

文化祭の劇といえばこれって感じ。

 

題名としては有名だけど、詳しい内容まではわからないな。

 

ある2つの貴族が互いに争ってる中、両家の息子と娘である、ロミオとジュリエットが恋に落ちて...くらいしか知らない。

 

真司「ちなみに、ダイヤは何の役やるの?...って言っても、登場人物はロミオとジュリエットしか知らないけどね」

 

ダイヤ「実は、ジュリエット役を任されまして...」

 

真司「へー、ジュリエットかー。...って、ジュリエット!?ヒロイン役じゃん!」

 

ダイヤ「そうなのです」

 

真司「てことは、俺が練習で手伝うのはロミオ役ってことか」

 

ダイヤ「はい、その通りです」

 

真司「これはまた大役を任されたものだねぇ」

 

ダイヤ「はい」

 

真司「で、今日は今から練習する?」

 

ダイヤ「では、少しだけよろしいですか?」

 

真司「もちろん!とことん付き合うよ」

 

その日は軽く読み合わせをして終わった。

 

演技の上手い下手は別として、意外と演劇って楽しそうなんだなって思った。

 

 

 

 

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