屋上の一件から一週間が経ち、ライブ当日となった。
その間、千歌達は宣伝のチラシ配りや衣装作り、ライブの練習などで忙しそうであった。
これは噂話だが、このライブはスクールアイドル部の成立の可否をかけているらしい。
会場の体育館を満員にできれば成立、できなければ承認無しだそうだ。
この条件を出したのが理事長だと言うのだから、始めたばかりの3人に酷な条件をつけたものだと思う人も少なからずいるようだ。
ライブの開催は金曜日の夕方。
主に校内の生徒を狙ったものだろう。
この学校の生徒数は約700人。
全員が来ればおおよそ満員になるが、恐らく全員来ることは無い。
色んなところで宣伝をした効果が今日現れるといいが...
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その日の授業が終わり、30分近く経ったが今日は普段よりも教室に生徒が残っている。
どうやらライブ参加者が多いようだ。
あちらこちらからライブの話が聞こえてくる。
「真司、お前もライブ行くのか?」
「俺も行くよ。「お前も」ってことは透も行くの?」
「もちろん!あれだけ頑張ってるの見たら見に行くしかないだろ?」
改めてこのクラスの高海千歌の存在の大きさに気づく。
「なあ、ちょっと早いけど体育館行かねぇか?人が多い時に中入るのめんどいし」
確かに満員の中入るのは大変そうだ。
ちょうどいいから透と一緒に行くことにする。
「分かった。じゃあ行くか」
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会場内は真っ暗でライブの雰囲気が出ており、少しテンションが上がる。
既に来ていた生徒達の話し声で、会場は多少ざわついていた。
開演までまだ時間があるので暇つぶしに透に気になったことを聞いてみた。
「そういえば、透ってライブとか興味あったの?そういうのに全く興味ないのかと思ってた。」
「まあ、学校でライブとか珍しいからってのもあるな。そういう真司はなんで来たんだ?」
「俺はこの前桜内さんに誘われたんだ。折角の誘いを無下にできないし、行ってみよっかなって」
「桜内ってスクールアイドルに入部した人だろ?お前入部を断ったのに、その部と何かと縁があるんだな。今もこうしてライブに参加してる訳だしな」
話しているうちに間もなく開演の時間となった。
会場には生徒だけでなく大人の人もかなりいる。
どうやら校内だけでなく校外にも宣伝をしていたようで、それが有効だったことは会場を見ればわかる。
そしてついに彼女達のライブが幕を開ける。
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黄色、水色、ピンク色の衣装を纏った3人が舞台に現れる。
彼女たちは気づいた。
自分達に課された条件を達成できたことに。
「皆さん、今日は来てくれてありがとうございます!
私達は浦の星学院スクールアイドル」
「「「Aqoursです!」」」
「それでは聞いてください」
「「「ダイスキだったらダイジョウブ!」」」
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