ガツガツ。
「本当に申し訳ない。君がいなかったら彼は死んでいたかもしれない」
「いやいや、そんに言うほどじゃないんだよ」
もぐもぐ。
「お腹が空くことの悲しみはよーく知ってるからね。つい我慢できなくなっちゃったんだよ」
「本当に、ありがとう」
むしゃむしゃ。
「それにしても、とても気持ちいい食べっぷりなんだよ」
「お昼抜いてたらしいからな……」
「
「飲み込んでから喋ってくださいよ先輩!」
ごくん。
「いや、いや、すげえうめえ!」
「喜んでくれてまおうは嬉しいんだよ」
「いやー……。これは天上の食い物ですよ。本当に、ありがとうございます」
「うむ。今後はそうならないように気をつけるんだよ?」
「肝に命じます」
「……しかし、良かったのか?」
「何がなんだよ?」
先輩は未だ口をつけていない皿の料理を見て。
「その……正直に言って、私たちは一文無しなんだ。君は先程無償で良いなんて言ったが、親御さんは……」
「まおうに親なんていないんだよ」
「……っ。失礼な事を聞いた」
「まおうは気にしてないんだよ」
あっ、そうそれ。
「その
「……?質問の意図がよくわからないんだよ。まおうは魔王なんだよ」
「いやだからその『まおう』って……ん?」
微妙なイントネーションの違い。
まおうちゃん(仮)はその場ですっくと立ち上がると、壁にかけてあったマントを体に身につけ。
「自己紹介が遅れたんだよ。まおうは魔王。魔族の王なんだよ」
「…………」
「…………」
「…………」
「ん?どうしたのだよ?」
人は、本当に驚くと声が出ないらしい。
いや、え?冗談……だよな?
「冗談なんかじゃないんだよ」
「俺心読まれること多くねぇ!?」
「いや、しかし、この溢れ出る魔力……」
「たしかに普通の民よりは多いけど、まおうの魔力は魔王の中じゃ一番容量が低いんだよ?」
「これの、その先があるのか……!?」
「ハイハイハイ!魔王ならなんか魔王っぽいとこ見してください!」
「……まおうは温厚派だから魔王っぽいことなんて今の名乗りしかないんだよ」
「ええぇー……!!」
まおうは困ったように微笑むと、頰を掻いて。
「質問は以上かい?」
と問うた。
先輩が頷くと、まおうは項垂れている俺の頭に手を置いていった。
「じゃあ今度はこっちが質問する番。三人はこの世界の者じゃないよね?」
今度は空気が凍りついた。
「お金も持ってない、衣服の材質が勇者が持っていたものと似ている、加えて……まおうのセンサーに、引っかかったんだよ。異世界からの来訪者を見つけるセンサーにね」
……どうしたものだろうか。
魔王ってことは勇者は点滴だろうし、勇者と同じように異世界からの来訪者となれば、警戒もするだろう。
何のために食事を与えた?胃袋を満たして執着心を作るため?
ということはあのチンピラもまおうの手先とか……。
そんな警戒が見えていたのか、まおうは小さな手をぱたぱたと降って否定した。
「まおうを警戒しているね?警戒は無用なんだよ。別にとって食うわけでもないし」
「いやしかし……だったら何でセンサーなんて」
「異世界の人間には秘密が沢山なんだよ。だから、その、テクノロジーっていうのかな……文化をお勉強したくて。これでもまおうは一国の主だからね、発展はさせてあげたいのさ」
「なるほど……」
なんだ、魔王っていっても良いやつじゃないか。
警戒を説いたのを感じたのか、まおうはにこりと笑って。
「それじゃあ案内するんだよ。私の魔王城に」
俺たちを手招きした。