魔法科高校の五大元素使い(アベレージ・ワン)(仮題)   作:更紗蓮華

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第一話

どうやら俺は、死んだらしい。

最近二次創作でありがちな、テンプレートな出だしで悪いと思うが、どうやらそうらしい。

死因なんかは覚えてない。というか、直前の記憶がなんだか曖昧だ。

うーむ、学校からの帰り道だったのは確かなんだが……

これまたテンプレに、猫を助けようとしてトラックに、とかだとちょっとかっこいいんだが、

生憎、俺にそんな度胸があったとも思えないしなぁ……

……まあ、風邪一つひかなかった男子高校生が死ぬなんて、十中八九事故だろうけど。

自分の死に様なんて知りたくもないし、記憶が飛んでるのは幸いだということにしておこう。

 

さてさて。

誰かが聞いているわけでもないのに、なんでこんなテンプレ過ぎて食傷気味な自分語りなんてしているのかというと、それは現状がまさしくそんな感じのSSっぽい状況だからでして。

 

「で、結局あなた誰なんですか?」

「だから神なんですって、このやりとり何回目?」

 

自分が立っているかどうかも釈然としないような、真っ白い空間で。

俺は、真っ白いおひげの爺ちゃん……ではなく、世のロリコン垂涎の愛らしい幼女……でもなく。

今までの人生で5人は似た人に会ったことがあるような、黒髪黒目で特徴のない青年と相対していたのだった。

 

「3回目ですね。すみません、ちょっと理解が追いつかなくって……

 ……今やっと追い付いてきました」

「まあ、こうして現れると、大抵の人は同じ反応しますからねぇ……」

 

俺が頭をかきつつ弁解すると、神さまはため息混じりにそう言って、苦笑した。

俺は初対面の人、かつ見た目年上っぽいことから敬語を使っているが、なんでか相手もこっちに敬語を使ってくる。

いや、変に威張り散らされても反応に困るけど……

仮にも神さまと名乗る人からこうも普通に接されると、そっちの方が対応に困る。

 

「ええっと、それであなたは神さま、なんですよね。

 どうして俺はこうしてあなたと話すことになったんでしょう?」

「……なんだか変わった質問の仕方だなぁ」

 

色々考えた挙句、やや婉曲的で曖昧な問いかけをした俺に、神さまは気が抜けたように呟いた。

変わってる、というか珍妙な質問であることは自覚している。

が、相手は仮にも(というと失礼だが)神さまだ。

機嫌を損ねて何かされても嫌だし、考えすぎってことはないと思う。

……や、今の神さまは穏やかな雰囲気だけど。心配するに越したことは無くない?

 

小説なんかだとここで『俺になんの用か』と聞いたりするけど、少し自意識過剰な気がする。

だって、実際用が無かったらどうするんだ。

真っ白い場所に居たのが事故、あるいは死後誰でも通る手続きのためだった場合、

相手からすれば『何言ってんだこいつ』でおしまいだぞ?

 

次に考えられるのは『俺はどうしてここにいるのか』。一見これは悪くなさそうだけど、

『自分が呼んだからに決まってる』、あるいは『そんなのこっちが知りたい』と返されると困る。

前者だと『そんなことも解らないのか』と心象を悪くする可能性があるし、

後者だと招かれざる客に苛立ってたところに、追い打ちをかける形になってしまう。

 

聞きたいことをいきなり聞くから角が立つ、もしくは、実は相手も知らなくてお互い困る。

なので、確実に答えてもらえるように、あるいは、聞いてはいけないことに触れないように。

極限まで言葉を濁して、わざと遠回しに曖昧に質問したわけだけど……

 

……うーむ、やっぱちょっと考え過ぎな気がする。いや、言ってることが矛盾してるけど。

しかし性分なんだから仕方がない。保険に保険を重ねないと気が済まない……我ながら臆病だ。

 

「臆病というか、なんというか。今どき珍しいぐらい慎重ですねぇ、あなた。

 まあそれはそれとして。話を元に戻しますと……

 何故あなたがここにいるか、でしたね。それは私があなたに用があったからですよ。

 ……まあ、条件に合うのがあなただったってだけで、別に他の人でも構わなかったんですけど」

 

内心を見透かしたように呟いてから、神さまはそう穏やかな声で話しだした。

最後に小さく付け足した言葉は、まあ想像通り、神さまらしい勝手なものだったが。

別に、その辺りに思うことはない。相手は神さまだし、どうせ俺死んでるんだし。

 

「図太いというかなんというか……まあ、話が通じやすいということで良しとしますか。

 さて、ではなんの用があるのかと言いますと。まあ、大体は察しが付いていると思いますが……

 ――あなたには、物語の世界に転生してもらいたいのですよ」

 

にっこりと。穏やかな笑みを崩さずに、神さまは告げた。

 

……まあ、予想通りか。

その内容が所謂『テンプレ』から外れない物だったことに、俺はやはり、という気持ちと、

まだ自分の理解の及ぶ出来事であったことに、ほんの少しの安堵を込めて、小さく息を吐く。

 

……というか、生前で散々荒唐無稽だと思っていた『テンプレ』が現実になったってのに、

まさかそのことに感謝する日が来るとは思わなかった。

いや、転生できることに対する高揚、顔文字にすると『キタ━(゚∀゚)━!』とかではなく、

馬鹿げてるくせに妙に納得できるという、変な心構えを持たせてくれたことに対して。

 

「……本当に全く動じてませんね。本人の性情のせいも大きいのでしょうが……

 やはり娯楽を通して、転生に関わる一連の流れを『テンプレ』として予め刷り込んでおく、

 という策は、ある程度は有効なようですね。初めに聞いた時はどうかと思いましたが。

 ……まあ、そのせいで余計な弊害もあるのですけどねぇ。主に対象が調子に乗るという点で」

 

ぼそり、と神さまが何やら少し気になることを呟いたが、

俺にはあまり関係がなさそうなのでスルーした。というか、アレって神さまが発端だったのか……

そしてそのせいで、まさしくテンプレ転生者のような態度を取る奴もいる、と。

……やっぱ慎重な対応してよかった。

 

「ええっと、どこまで話しましたっけ? そうそう、転生して欲しい、ってところまでですね。

 私達が死者を別世界で転生させる理由は、言い方は悪いですが、娯楽のためです。

 神さま業って、意外と暇がないんですよ。天界には娯楽も少ないですし。

 私のように生まれつき神であるならば、そういうものだと割り切れるんですけどねぇ、

 たまにいらっしゃる、人間などの他の種族から神の位階まで成り上がった方だと……

 ……どうしても日々のルーチンワークに耐えられないようで」

 

ストレス溜め過ぎて邪神になられても、それはそれで困りますし。

そう言って、神さまは困ったように笑みを浮かべた。なるほど、神さまも大変らしい。

まあ要するに、適当な人間を見繕ってその人生を眺めて暇つぶし、ってところか?

 

「まあ、大体そのようなところかと。

 より正確には、生誕の時点で神によって少し手を加えることによって、

 その後の人生において、他の神からの影響を受けづらくする、という目的があります。

 神というものは、得てして視線だけでもその存在に影響を与えてしまいますからね。

 その点、転生者という形で、見つめていても問題のない人間を作っておけば、

 彼らを眺めているだけでもかなり気が紛れますから」

 

なるほど。俺は一つ小さく頷いた。

というかナチュラルに思考を読まれた気がするが、それも今更な気がするのでスルー安定。

つまり転生させるのは、神さまからの無意識の干渉に対する耐性をつけるためで、

それ以外の……テンプレで言う『チート』なんかはおまけだと?

 

「言ってしまえば。

 解りやすい形で手を加えれば、その分耐性も上がるということもありますけどね。

 そうそう。別に私達は冒険活劇やラブコメだけを求めているわけではありませんので。

 解りやすいドラマが無くても、日常の葛藤や人間らしい心の動きが見られれば、

 それで十分、という神がほとんどです。

 自分が人間だった頃の事を思い出して感情移入したい、という需要がメインですからねぇ」

 

……まあ、納得した。無理に原作介入とか考えないでいいってことだよな。

転生者だから云々も考える必要はない、と……その辺は、他の転生者で間に合ってるだろうし。

他に気になることと言えば……どうしてわざわざ物語の世界に転生するのか、ってぐらいだけど。

これには何か理由があるのか?

 

「コレと言った理由は無いのですが……強いて言うなら、それが一番無難だから、でしょうか。

 文化も全く違う異世界にいきなり転生させられるよりは、

 少しは世界観が解る創作の世界に行く方が、気が楽でしょう?

 それに、気持ちに余裕がある方が、心の動きも生き生きとするから、というのもあります。

 ……何より、転生してもらうのはこちらの都合ですから。

 少しでも不満が無いように、現世で需要の高い方法を取るようにしているんですよ」

 

なるほどなぁ……転生なんていうから何事かと思ったけど、つまり持ちつ持たれつ、ってことか。

提案自体はいきなりだったけど、理不尽な所もないし、まあ納得。

創作だと手違いで殺されてそのお詫び、とか、死んだと思ったら俺の娯楽になれー! とか……

……言ってしまえば理不尽なのが多いからな。現実はそんなことが無くって安心した。

 

「納得していただけたようで何よりです。それでは、話を進めますね。

 これも予想が付いていると思いますが、転生する際に、いくつか願いを叶えることができます。

 いわゆるチート、という物ですが、創作などと違い、個数に制限をかけることはしません。

 本当に酷い願いは、それ一つだけでも酷いことになりますからね。

 世界のバランスを崩しかねない願いは、却下することもありますので、お気をつけて。

 ……まあ、よほど酷いものでない限り、大抵は通りますけどねぇ」

 

……ふむ。神さまの言葉に、俺はしばし考え込んだ。

さて、どんな願いを叶えてもらおうか……せっかくだから、チートらしいのがいいよな。

しかし、どんな世界に行くかがわからないと、なんとも言えないんだけど……

 

「ああ、いい忘れてましたけど。

 転生先の物語は、ヒントはあげられますが、世界の名前自体を教えることはできないんです。

 そういう決まりなので……」

 

ふと疑問に思った次の瞬間に、神さまは少し申し訳無さそうな顔をして言った。

まあ、それならしょうがない。決まりなんだから、神さまがそんな顔をすることは無いと思う。

 

「じゃあ、そのヒントってのを教えてもらえたりしますか?」

「ええ、それはもちろん。あなたの転生する世界は……

 ……っとと、文化的には現代に近い、魔法のようなものがある世界ですね」

「現代で、魔法が……?」

 

俺が尋ねると、神さまは虚空から一枚の紙を取り出して、そう答えた。

現代で魔法かぁ。意外と該当する小説多そうだな。

 

でも魔法があるんだったら、それに関わる才能は必須だろ。

それから現代なんだから、たぶん学校があるよな。来世では勉強ができる頭になりたい……

……と、つらつらと考えていた、その時。

 

「魔法の分野では、例外もありますが、概ね努力よりも才能や血統がモノを言うようです。

 特に血統に関する考え方や、名門と呼ばれる家の成り立ちには特徴がありますね。

 優れた魔法使いの血筋は、魔法使いたちの間で大きな権力を持ち、

 才能の劣る魔法使いに対しては、才能のある魔法使いたちから少なくない差別意識があります」

 

続けて齎されたヒントを聞いて、俺の脳裏に電撃が走る思いがした。

 

舞台は現代に近い、が『近い』と言っているので、おそらく若干ずれている。

あるのは魔法の『ようなもの』。つまり、厳密には魔法とはちょっと違うということだ。

それでいて、生まれ持った才能と血統が全て。

努力が報われる事は滅多に無く、名門出身の『魔法使い』が権力を占めている……そんな世界は。

 

(型月、TYPE-MOONの世界に違いない!)

 

考えれば考えるほど、符号があってくる気がした。

 

まず、型月世界で用いられているのは『魔術』。

魔法も無くはないが、一部にしか使えない特別なものなので、一般的な『魔法』とは違うだろう。

 

それから、TYPE-MOON作品の舞台は、1900年代~2030年頃までの、現代に酷似した世界。

なにぶん派生作品が多いため、年代にばらつきがあるが、概ね現代だと言っていいだろう。

 

なにより、型月の魔術師は血統が全てだ。

より正確には、長く続いた一族の歴史により、蓄積された魔術回路がモノを言う。

旧家であるほど魔術師としての能力も、時計塔での地位も高まり、

歴史が浅い者――たとえば、Fate/Zeroのウェイバー・ベルベット――は軽視され、

どんなに努力しても、それが報われることは滅多にない。

 

(完っ璧だ……!)

 

頭のなかで全てのピースが組み上がっていくような感覚に、俺は珍しく高揚するのを感じた。

 

そうだと解れば、話は早い。型月世界における、魔術の才能と言えば……

 

五大元素使い(アベレージ・ワン)としての才能と、

 遠坂凛も上回る量と、蒼崎橙子にも並ぶ良質な魔術回路でお願いします!」

「えっ……え、本当にそれにするんですか? それだけだと色々問題が、」

「あ、そうですね。両親共に魔術師で、第一子であることも付け加えないと」

 

少し焦ったように問いかけた神さまに、俺はふと気付いてそう付け足した。

危ない危ない。一般人でそんなスペック持っちゃったら、普通に他の魔術師に狙われるし。

 

「いや、そういうことではなくて……そもそも、あなたが考えた通りの世界だとも限りませんし」

「……あー…………」

 

調子に乗っていた所に冷水を浴びせかけられたような気分になった。

予想が外れている、という可能性を示されて、持ち前の臆病な気質が首をもたげる。

 

もしかして俺の知らない世界で、そんな条件に当てはまるものがあるかもしれないし。

そうだよな……あまり安易に型月世界だと思い込むのは、外れてた時に大惨事だ。

 

しかし……と、俺は思う。

型月の、特に遠坂凛が使うガンドや宝石魔術、俺かなり好きなんだよなぁ……

 

おそらく他の転生者がUBWや王の財宝を望む中では、変わっているのかもしれないが、

俺は無限の剣製よりもガンドが好きだ。ゲート・オブ・バビロンよりも宝石魔術が好きだ。

たぶん、キャラとして遠坂凛が大好きだから、というのがかなり大きいのだろうが、

あまり仰々しく物語的な能力より、彼女の使う解りやすい魔術の方が好ましい。

なによりカッコイイ。彼女はもはやヒロインとかそういう枠を超越していると思う。

 

うーん、しかし、どうしよう。やっぱりどんな世界観でも対応できるようにするか。

それとも……一生で一度、最初で最後の『無謀』に出るか……

 

「……それなら、世界観に合うように調整して、それっぽいことができるようにしてください。

 それから追加で完全記憶能力とそれなりの頭脳、解析系の魔眼をお願いします。

 あと、鍛えればちゃんとそれなりになる程度の身体能力と、見苦しくない程度の容姿も」

 

そして、少し考えた結果。

結局俺は、それらが使える可能性を残したまま、さらに保険をかけることにした。

転生先で苦労するかもしれない、という懸念よりも、

憧れの魔術を使うことができるチャンスを捨てたくはない、という感情の方が勝った結果だ。

 

もしその世界で魔法が生まれつき、なんとなく感覚で使えるものだった場合、

かつ、型月の魔術を使うと違いがすぐにバレてしまうような世界観だった場合、

もし俺がその世界の魔法を習得できなかった時のことを考えて、

場合によっては型月の魔術でその世界の魔法をそれっぽく真似る必要があるかもしれない。

 

そのための解析の魔眼と、記憶能力だ。

その世界の魔法の常識を残らず覚えておけば、うっかり矛盾をやらかすこともなくなるだろうし、

魔法の性質や構造を解析できれば、真似することもきっと容易い。

それから、その世界の魔法をヒントに魔術を発展させられないかな、というのもある。

 

俺の今の頭の出来だと、おそらく解っていてもミスすることが出てくると思ったのと、

容姿や身体能力は、あるだけ無駄にはならないだろう、という保険だ。

……ちょっと思い切ったことはしてみたが、それでもやっぱり、心配癖は抜けない。

 

「……欲張りなのか、慎重なのか……まあ、両方でしょうね。

 用心深いのは良い事ですし、他の転生者に比べれば、その強欲さも可愛いものですが。

 ですがまあ、いいでしょう。そのぐらいなら、おそらく問題はないでしょうし」

 

俺の希望を聞いて、神さまはようやっと了承の意を表した。

そのことに、俺はほっと息を吐き出す。

たぶん大丈夫だとは思ったが、これで過剰だとか言われたらどうしようかと思った。

 

「そんなに心配しなくても、大抵のことは上手く行きますよ。

 生まれだって、行き過ぎた不自由はないよう、こちらで調節しますし……

 ……それほど用心をしておいて、裕福な家庭に生まれることを望まないのは、不思議ですけど」

 

ほんの少しの呆れを滲ませて、神さまはそう言った。

言われてから気付いたが、確かにその方が確実に楽だろう。

というか、宝石魔術を使いたいのなら、お金はものすごくかかるだろうし。

しかし、わざわざ頼まなかった理由は……

 

俺は少し考えてから、口を開いた。

 

「リスクを極力減らしたいだけで、楽をしたいわけじゃないですから」

 

さらに詳しく説明しろと言われると困るが、一言で言うとそれに尽きる。

俺の端的な表現に、神さまは納得したように頷いた。

 

「……それが、あなたらしさ、ってことですか」

 

ぽつり、と小さく呟く。

曖昧なやりとりだったが、要するに、今ので俺の人となりを理解した、ということらしい。

 

さて、これでもう彼とはお別れなのだろうか。

俺が静かに様子を伺っていると、神さまは片手をこちらに向け、

どこか慈悲深さを感じさせる微笑みを浮かべて言った。

 

「ご武運を」

 

その姿には、平凡な容姿ながら確かに神さまだと解る風格があり、

思わず息を呑んだ次の瞬間に、どこかに吸い込まれるように俺を意識を失った。

 

 

 

 

……そして、残された神は。

 

「なんだか、今どき珍しい人でしたねぇ……特別なところがあったわけではないのですが」

 

手のひらで紙切れ一枚を弄びながら、さっきまで青年が立っていた場所を見つめていた。

それから、ふと手を止めて、そこに書かれた世界名を読み取る。

 

『魔法科高校の劣等生』

 

「まさか、あんな勘違いをされるとは……私のヒントが悪かったのでしょうね。

 あの状況で、真っ先に自分に馴染みのある世界観を思い浮かべるのは当然ですが……

 ……しかし、少々困りましたねぇ」

 

神は、ふと当惑したように呟いた。

その脳裏には、青年が勘違いした世界観と、実際に向かった世界観が浮かんでいる。

どちらも、最近の創作物には珍しいほど、細部まで設定が作りこまれていて……

 

「……どうやって、能力をすりあわせればいいんでしょう?

 魔法の設定が全く違いすぎて……もはやどこから手を付ければいいのやら。

 転生先の世界に完全に合わせると……彼の希望を叶えられなくなってしまいますし」

 

はて、どうしたものか。と、神は考え込み始めた。

『魔法科高校の劣等生』の世界は、タイトルに魔法とはあるが、世界観的にはむしろSFに近い。

原理はともかく、魔法の構造はほぼ完全に解明されていて、出来ないこともはっきりしている。

そして、彼の望む『魔術』は、どちらかと言うと出来ない側に分類されていて。

 

「いっそ、異能の一種ということにしておきますかねぇ……そうでもないと、実現不可能です。

 しかしそうなると、彼の能力が公になった時、少々問題が起きそうですが……

 ……まあ、その辺りは本人がどうにかするでしょう」

 

結局、世界にとっての異端となってでも、青年の要望を叶えることを優先することにした神は、

ふと何かに気付いたように、くすり、と笑いを漏らした。

 

「これでは、彼のやり方とは真逆ですね。このことを知ったら、どう思うのやら」

 

そうして、ひと通りつぶやき終えてから、神は虚空に溶けるように姿を消した。

 

 

 







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