その瞳を見た時、夏の暑さが少し涼しくなった気がしたのは、あまりにも青い瞳だったからだろうか。
「こんなところで何しているんですっ?」
こてんと首を傾けて今度は問うように聞かれる。
こんな堤防まで来て俺は何しているのだろうか。散歩?どうにも上手い返事ができない。何かをしているわけではないから返す言葉は見つからなかった。
「あっカラス」
彼女は空を見上げ呟く。
「のど、かわきませんか?買ってきますねっ」
質問はもういいのか、と思ったが、言うなり堤防からパタッと降り、とてとてと自販機に向かう彼女を見る。そうして持ってきたのはぜんざいだった。
「はいっこれ」
ぜんざいを差し出される。からかっているのか?この暑い季節にドロドロとした物を買うか?そう思ったがとりあえず受け取っておく。
「冷た」
ぜんざいは、驚くほど冷たかった。
「おいしいんですよ、これ」
ごくごくっとまるで普通のジュースと同じようにぜんざいを飲み始める。なんなんだろうか、なにがしたいのだろうか。
「わたし、夏目みはる。あなたは?」
飲み終えた缶を遊ばせながら名前を聞かれる。よく分からないやつだな、何が目的だ?金か?俺は何も持っていないぞ。俺は少々の面倒くささを感じた。こう言うよく分からないやつはやり過ごすに限る。
「山田太郎だ」
「俺はもう帰る。」
「やまだたろうさん、おともだちっ」
嬉しそうに両手を合わせながら彼女、夏目みはるとやらは俺を急に友達と呼び始めた。人の話を全く聞いていないらしい。
「待て、俺はお前の友達じゃない」
「第一、会ったばかりだ。流石に無理があるだろ」
俺の言葉に不思議そうな顔をする。
「じこしょうかいした」
「ふたりともじこしょうかいした。だから、おともだちっ」
柔らかくはにかむ姿を見て面倒なことになった...と感じた。多分、頭があまりよろしくないのだろう。自己紹介したら友達になるなら俺はすでに、クラス全員と友達ってことだ。これ以上絡まれても迷惑なだけだ。何かいい手はないだろうか。手に持ったぜんざいを見て気づく。これを返せば分かるだろう。
「ほらよ」
ぜんざいを彼女に渡す。白くて綺麗な手だな。
「俺はお前の友達じゃない。」
それだけ告げて俺は来た道を戻る。流石に分かったのか追いかけては来なかった。何だったんだ一体。へんなやつ。最初に感じたのはそれだけだった。
今思えばこの時、この場所が俺と言う存在が色を持ったのだろう。鉛色の空は光が差し込み銀色に輝きはじめた。
短すぎるのかな。感想お待ちしております!!
展開が急だったのでまるっと変えました