夏色の代わり   作:lane

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三話

 その瞳を見た時、夏の暑さが少し涼しくなった気がしたのは、あまりにも青い瞳だったからだろうか。

 

「こんなところで何しているんですっ?」

 

 こてんと首を傾けて今度は問うように聞かれる。

 

 こんな堤防まで来て俺は何しているのだろうか。散歩?どうにも上手い返事ができない。何かをしているわけではないから返す言葉は見つからなかった。

 

「あっカラス」

 

 彼女は空を見上げ呟く。

 

「のど、かわきませんか?買ってきますねっ」

 

 質問はもういいのか、と思ったが、言うなり堤防からパタッと降り、とてとてと自販機に向かう彼女を見る。そうして持ってきたのはぜんざいだった。

 

「はいっこれ」

 

 ぜんざいを差し出される。からかっているのか?この暑い季節にドロドロとした物を買うか?そう思ったがとりあえず受け取っておく。

 

「冷た」

 

 ぜんざいは、驚くほど冷たかった。

 

「おいしいんですよ、これ」

 

 ごくごくっとまるで普通のジュースと同じようにぜんざいを飲み始める。なんなんだろうか、なにがしたいのだろうか。

 

「わたし、夏目みはる。あなたは?」

 

 飲み終えた缶を遊ばせながら名前を聞かれる。よく分からないやつだな、何が目的だ?金か?俺は何も持っていないぞ。俺は少々の面倒くささを感じた。こう言うよく分からないやつはやり過ごすに限る。

 

「山田太郎だ」

 

「俺はもう帰る。」

 

「やまだたろうさん、おともだちっ」

 

 嬉しそうに両手を合わせながら彼女、夏目みはるとやらは俺を急に友達と呼び始めた。人の話を全く聞いていないらしい。

 

「待て、俺はお前の友達じゃない」

 

「第一、会ったばかりだ。流石に無理があるだろ」

 

 俺の言葉に不思議そうな顔をする。

 

「じこしょうかいした」

 

「ふたりともじこしょうかいした。だから、おともだちっ」

 

 柔らかくはにかむ姿を見て面倒なことになった...と感じた。多分、頭があまりよろしくないのだろう。自己紹介したら友達になるなら俺はすでに、クラス全員と友達ってことだ。これ以上絡まれても迷惑なだけだ。何かいい手はないだろうか。手に持ったぜんざいを見て気づく。これを返せば分かるだろう。

 

「ほらよ」

 

 ぜんざいを彼女に渡す。白くて綺麗な手だな。

 

「俺はお前の友達じゃない。」

 

 それだけ告げて俺は来た道を戻る。流石に分かったのか追いかけては来なかった。何だったんだ一体。へんなやつ。最初に感じたのはそれだけだった。

 

 今思えばこの時、この場所が俺と言う存在が色を持ったのだろう。鉛色の空は光が差し込み銀色に輝きはじめた。




短すぎるのかな。感想お待ちしております!!
展開が急だったのでまるっと変えました
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