ソードアート・オンライン 〜瑠璃色の痕跡〜   作:☆さくらもち♪

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第11話【終結】

第七十五層ボスフロア。

剣戟が続き、骸骨の狩り手がプレイヤー達を襲う。

百足のように長い躰に、骸骨の頭。

そして《攻略組》のタンク役をいとも簡単に消し飛ばす極悪な鎌。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「キリト君大丈夫!?」

 

「……正直きっつい。スイッチ!」

 

《二刀流》というキリトだけが持つエクストラスキル。

ただ単純に両手に片手剣を持てるというだけで防御性能や攻撃性能が格段に上がっている。

それでもなお、キリトのHPはイエローゾーンに入ることがあるほど。

 

「ユウキ!大丈夫ー?」

 

「うん。何とか」

 

何事もない。

そんな風に振る舞うも、ユウキはレッドゾーンに入る時があり、親友であるアスナは気が休まる時がない。

急に突如としてユウキ達の前から姿を消したルカ。

彼の存在はあまりにも大きかった。

彼ほどの戦力の代わりになる人物はいない。

それゆえに苦戦を強いられていた。

そしてユウキの心身もルカの失踪後から悲鳴を上げていてもおかしくないほどに疲労が溜まっていた。

 

 

 

《ザ・スカル・リーパー》は第七十五層にて座するボス。

HPは4本と多く、両前足の鎌の攻撃を直接くらえば例えキリト達でもひとたまりもない。

タンクという重装甲、高防御である存在が1発で消える。

それは《攻略組》の士気を大きく下げ、そして恐怖や不安を抱かせた。

だが、それも終わりを告げる。

キリトの《ジ・イクリプス》。

アスナの《スター・スプラッシュ》。

ユウキの《マザーズ・ロザリオ》。

最上級スキルの威力をもって、漸く。

攻略時間は2時間以上。

苦戦を強いられながらも、戦いの意志は潰えず。

骸骨の狩り手であるスカルリーパーは、その命を散らした。

 

《Congratulation!!》

 

フロア中心部に表示される英文。

そして開かれた第七十六層の扉と、消えた第七十五層の迷宮区へ戻る扉。

その両方が出現した事で漸くプレイヤー達は討伐したと実感した。

 

「勝った……」

 

「ええ……やっと……」

 

全員が疲労困憊で地面に座り込む。

武器が手から離れようが、ボスフロアに雑魚は寄っては来ない。

その安心感だけは確実だった。

 

「……さすがだな……」

 

キリトは疲れながら、周りを見た時。

目に入るのは、立ち続ける《血盟騎士団》団長のヒースクリフ。

 

「……?」

 

だがキリトはそこでふと疑問に感じていた。

何故ヒースクリフのHPはグリーンを保てていたのだろうかと。

いくら交代を他のタンク役としていたとはいえ、ヒースクリフ自身が持つエクストラスキル《神聖剣》でもイエローに入るレベルの猛攻だったとキリトは感じていた。

その違和感は以前、ヒースクリフとデュエルをした際にも感じていた。

キリトの反射速度はユウキの次に素早い。

彼自身もユウキが《二刀流》を持っていたとしてもおかしくないと思えるほどの反射神経。

だが、それはユウキの手ではなくキリトへと渡った。

そんなキリトですら反応が出来なかった。

いや、()()()()

人間が反応出来るスピードを超えていると思えるほどの僅かな行動。

 

(変だな……)

 

突如消えたルカ。

イエローに入らなかったヒースクリフ。

デュエルの時の異常なスピード。

 

「詰めが甘い。そう言われたことはないですか」

 

心地好い、高めの声。

それは迷宮区へ戻る扉から聞こえていた。

 

「違和感はありました。さすがに遅くなりすぎた、と思ってはいますが」

 

姿は分からない。

だが、子供ぐらいの身長。

一瞬ルカの姿が思い起こされるも、声の高さはこんなものではなかった。

 

「もっと早く気づくべきでしたが……僕の落ち度でしょう」

 

肩を竦めたのか、やれやれと。

反省はしている様にも見える。

そしてボスフロアへと入ってきた謎の人物に《攻略組》は警戒を上げる。

 

「ヒースクリフ。いや……茅場先生と言った方がよろしいですか?」

 

告げられた情報は。

SAOを最悪のゲームへと陥れた張本人の名。

それが血盟騎士団の団長ヒースクリフ。

疑いなどないと確信を持った上で告げられた。

 

「……ふむ。まだ考えていた段階では浅めに出していたのだが」

 

「浅めどころか、バレバレになると思いますね。生憎と僕は遅かったのですが」

 

「団長……?」

 

聞いていたアスナは嘘だと信じたかった。

自分を誘ってくれた恩人のような相手。

それが最悪の人間だなんて、と。

 

「私は、茅場晶彦。ソードアート・オンラインを作り上げたゲームマスターだ。彼の言ったことは、間違っていない」

 

否定ではなく、肯定。

酷い夢を見せられているような現実。

この場にいる全員が嘘だと信じたかった。

だが本人がネタばらしを。

嘘だとは思えなかったそれは。

 

「よ、よくも……俺らの……忠誠をおおおお!!!!!」

 

血盟騎士団の団員の一人がヒースクリフへと突撃をした。

愚直な一直線。

しかしその剣は届く前に、地に落ちた。

ヒースクリフと相対する謎の人物。

2人以外にヒースクリフがゲームマスターでの権限で《麻痺》状態にした。

耐性スキルをつけていようが一切の行動を許されない状態異常。

プレイヤーとゲームマスターの差が、現実を見せるように伝えられた。

 

「あまり長くない躰です。僕が死ねば、再び現れた勇者が貴方を倒しに行くでしょう」

 

「……いつか、君と交えたいと考えていた」

 

「ご謙遜を」

 

ヒースクリフの表情は変わらない。

無表情だ。

しかし声の抑揚は抑えきれない高揚を抱いていた。

 

「ですが、挑まれた戦いには全力でお答えしましょう」

 

ぶかぶかで、姿が見えない特殊な効果がかけられたローブから抜かれた武器。

妖しく煌めく二振りの刀。

 

「それが……君のエクストラスキルか」

 

「まだ誰にも見せたことはないでしょう。この場が初めてであり、この場で見納めです」

 

「デュエルなどという決闘は無しだ」

 

「……己が捌き、どこまで耐える」

 

「叶うのであれば、永い時を願おう」

 

彼が取り出したコイン。

真上にトスをし、コインは宙を翔ぶ。

沈黙が木霊し、お互いの動きを一遍も逃さない。

そして、コインが地に落ち、金属の音が鳴り響いた瞬間。

 

「……《無明剣》」

 

鞘無しでの一瞬で行われた抜刀の構え。

抜かれた刀身のスピードはシステムアシストを使ったヒースクリフですら反応が間に合わなかった。

 

「なっ……」

 

あまりの人間離れした速度に狼狽えるも、力任せに左手の剣で切り払う。

その時、剣の先端が彼のローブに引っかかった。

元々姿隠しの効果が付与されているだけのローブ。

耐久など無いに等しい。

切り破れたローブは消え、その姿が露わになる。

 

「え……?」

 

ぽつりと。

ユウキが呆けたように呟いた。

何故ここにいるの、と心の中で思ってしまった。

 

「ルカ……くん?」

 

真っ白な銀世界を閉じ込めたような、美しい白銀の髪。

何色にも見える虹色の瞳。

幼い風貌は、ユウキが見慣れていた姿。

 

「バレましたか。それとも……これが目的ですか?」

 

「勿論だとも。誰しもが君の姿を知りたいと願うだろう」

 

「そのために致命傷になってでもですか」

 

ルカが持つエクストラスキル《幻想剣》。

持ち主のイメージ力がなければ使いこなせない。

しかし使いこなせれば。

幻は現に影響する。

《無明剣》という抜刀技は、スキルとして登録されていない。

しかし、技名を紡げばそれがスキルとして動く。

オリジナルソードスキルが唯一手に出来る夢のようなスキル。

それが、《幻想剣》というスキルだった。

 

「っ……」

 

しかし強大な力は時に身体へダメージを。

《幻想剣》という力を手に入れた代償として、行使をする度に()()()()()()()()()()()()()()

現にルカの身体は行使によって、視界がぼやけていた。

 

「私が耐えれて、あと一度だろう。次で決めようではないか」

 

「いいでしょう」

 

ヒースクリフは表情を引き締め、盾剣を構え直す。

攻撃の姿勢ではなく、完全的な防御の構え。

反撃を狙うのではなく、受けきるために。

 

「《幻影描写》」

 

か細い声で紡がれた言葉は、具現化する。

ルカが知る限りの刀剣が青白く出現し、実態を持つ。

中にはキリトやアスナ、ユウキの持つ武器もあった。

 

「あなたの夢想は、形を変えて続いていくでしょう」

 

「そうだろうか」

 

「ええ。必ず」

 

その時の表情はどこか、嬉しそうな。

喜びに満ちたものだった。

 

「秘剣」

 

最期の詰め将棋を。

ルカは両手に持った刀を上に投げ飛ばし、目を閉じる。

常に最高の自分を。

そして、誰も到達出来なかった剣技を。

 

ルカの目の前に投げた二振が落ちてきた瞬間。

世界の空間が一時的に斬れた。

 

「《燕返し》」

 

六角の形で()()()振られた妖刀は、持ち主に従うように滑らかと動く。

寸分の狂いもない、ヒースクリフの目の前に繰り出されたのは、逃げ場のない回避不可の斬撃。

不可視でありながらも、その込められた殺気は尋常ではなく。

 

「私の負けだ」

 

「はい。僕の勝ちです」

 

逃げることなく、受けきったヒースクリフ。

真正面から、受け止めた斬撃。

盾が壊れ、剣が壊れ、鎧が壊れ。

そして、自分自身のHPも消えた。

ヒースクリフの前には《You are dead》と赤く表示されたアナウンス。

そのままヒースクリフは青白く光り、破片へと霧散していく。

 

 

 

 

 

ーーーーーゲームはクリアされました。

 

 

ーーーーーゲームはクリアされました。

 

 

ーーーーーゲームはクリアされました。。

 

 

ーーーーーゲームは………………

 

 

 

 

 

ヒースクリフを倒したルカ。

しかし、突如目の前が明滅する。

ルカがヒースクリフへトドメをさした剣技は、あまりにも負担が大き過ぎた。

脳の酷使により脳が耐えられなくなっていた。

 

「ぁ…………」

 

ふらっとよろめき、そのまま地に倒れた。

ヒースクリフが死んだことによりゲームマスター権限で付与された麻痺は消えていた。

すぐさまユウキがルカの元に行こうとする前にルカが倒れてしまった。

 

「ルカ!?ルカっ!」

 

ユウキが揺さぶるも、反応はなかった。

SAOから帰還するプログラムが働き始め、ボスフロアにいた団員なども白く光り輝き、続々と帰還していった。

 

「ねぇっ!ルカってばぁ!!!」

 

ルカの身体も同じく光り始める。

しかしその光り方にキリトが違和感を持った。

先程の帰還の光り方と違った。

 

「ルカ!死ぬな!」

 

死亡エフェクトの様にも青白く光るルカのアバター。

ユウキ、アスナ、キリトも帰還エフェクトが出始めていた。

 

「やだ!やだやだやだやだ!!!」

 

ユウキの辛い声が響くも、帰還が実行された。

その瞬間に、破片状のものが舞散った。

 

「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

泣きじゃくる悲鳴は、あまりにも酷い夢を見せられているようだった。

 

 

 

 




これにてSAOのアインクラッド編を終わりたいと思います。
フェアリィ・ダンス編の方になるのですが、進行上主人公であるルカが直接関係させるか不明です。
させたとしてもルカの無双で終わってしまいますので、もし希望があれば取り入れるかもしれないです。

ひとまず、かなり投稿期間が空いてしまいましたが、見て頂きありがとうございます。
これからの投稿に関しましてはいつも通り不定期更新とし、オリジナル小説なども触れてみたい感じです。
投稿した際にはもしご興味があれば見ていただけると幸いです。
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