ソードアート・オンライン 〜瑠璃色の痕跡〜   作:☆さくらもち♪

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第5話

夜闇の中、ルカは宿屋に入り指定された部屋へと向かっていた。

夕焼けの空はすっかり暗闇に包まれて、夜空が広がっていた。

 

「ん、と」

 

念の為に扉を3回ノックすると、中から声が聞こえた。

 

「どうぞ」

 

入ると少女2人がベッドの上に座っており、お風呂上がりなのか身体が火照っているようで多少染まっていた。

 

「ちゃんと、戻ってきたでしょう」

 

「うん!」

 

「では寝るので失礼しますね」

 

例えルカの見た目が幼い少年の背に見えても、精神的には大人びている。

よろしくない状況になる可能性を考えてルカは少女達の部屋を出ようとすると腕を掴まれる。

不意打ちのためにそのまま手を引かれていく。

 

「ちょっ、ユウキ!?」

 

「ルカ、外で寝そうだもん」

 

「はぁ……」

 

ユウキの言うことはもっともで、ルカはまともに宿屋を使わない。

外で寝るのは良いことではないがルカからすれば気にしないで終わってしまう。

 

「ユウキさん。あなたは女性で、僕は男性です。あまりにも無防備ではないですか」

 

ルカの今の状況はユウキに手を引かれてベッドに倒れている。

ユウキが位置を変えているのでルカは下でユウキが上の状況。

危機感が無さすぎると呆れ返っていた。

 

「僕から貴女に触れば即牢獄行きにされます。どいてはもらえませんか」

 

「やだ」

 

「外で寝ようと死にはしませんよ」

 

「だめ」

 

取り付く島もないな、と思いながらどうやって引き剥がそうと考えていると、アスナは諦めたらしい。

要は自分自身が何も手を出さなければ問題ないと結論に至り、ユウキと寝ることにした。

 

「はぁ……せめて同室なのですからアスナさんに許可は得てください」

 

「アスナ、いい?」

 

「……ルカ君は大丈夫なの?」

 

「大丈夫ですし、出すつもりもないので。外で寝ようと思っていたのですけれどね」

 

手を離すようにユウキに促すと、渋々ながらも名残惜しそうに離した。

 

「お風呂借りますよ」

 

隣の部屋にはお風呂がついている宿なので、ルカはついでながら入りに行った。

現実世界と違い、ボタン一つで装備が全て外されるので楽といえば楽だった。

ずっとローブで隠されていた白銀の髪が解放される。

現実世界の体をコピーしてアバターに映しているので、実際もルカの髪は白銀。

女性も羨むだろう美しさはありつつも、どこか幼さが残る顔。

光をかざせば煌めく腰まで届きそうな白銀の髪。

宝石を埋め込んだように角度で色が変わるように見える虹色の瞳。

 

「変わらない」

 

自分自身の身体なのに、嘲笑う。

ルカとて好きでこんな身体になったわけではないと分かっている。

それでも、普通の男の子のように生まれたかった。

 

「入ろ」

 

すぐにシャワーを出すと髪と身体を洗った。

ある程度磨けば多少は綺麗に見えるとルカも考えているので、雑には洗わない。

そのおかげでもちもちな色白の肌にサラサラな髪が手に入っている。

シャワーを済ませるとすぐに身体を吹いて髪も水分を取る。

 

「乾かせる、かな」

 

身体が柔らかいと自負しているルカでもさすがに背中に手が伸ばしきれない。

単純に身長が短いと手も相応に短い。

 

「ユウキさんかアスナさんに聞いてみよう」

 

断られたら適当にしようと思い、服を着て扉を開ける。

アスナは部屋に居ないようでユウキがベッドで寛いでいた。

 

「ユウキさん」

 

「なにー?」

 

「髪乾かしてもらえますか」

 

「いいよー」

 

ユウキがルカの方へ顔を向けると呆けたように固まった。

紛れもなくルカは見た目だけで言えば美少女。

それにルカは一切自覚をしていないが、そもそもあまり自分の容姿を好いていない。

 

「ルカ……だよね?」

 

「はい」

 

「綺麗、だね」

 

「そう……ですか?あまり気にしたことないので」

 

ぼふんと、ベッドに座るとユウキに背中を見せる形で身体を向ける。

手渡れたドライヤーでユウキも乾かしながら、ルカの髪の触り心地を楽しむ。

 

「さらさら……それにいい匂い」

 

匂いは無いが、ユウキからすれば何かしらあるのだろうとルカは気にしなかった。

 

「どお?熱くない?」

 

「はい」

 

「ずっと触っていたいなぁ……」

 

うっとりしながら髪の毛を乾かし終える。

それと同時にルカも立ち上がって髪を触り始めた。

 

「おぉ……さすが女の子です。綺麗に乾いてます」

 

「えへへ」

 

乾いていることを確認すると、ローブをまた着用する。

フードだけ外しているので銀髪がふんわりとしている。

 

「そういえば」

 

「ん?」

 

「ユウキさんはどうして僕に構うのですか?」

 

それはルカが再びユウキと出会ってから疑問に思っていたこと。

初めて出会った時はルカの容姿が今とはかけ離れているため、合致されることはまずないだろうと考えていた。

 

「なんでだろね。ボクもわかんない」

 

「気まぐれとかなら止めてください」

 

「ううん。気まぐれなんかじゃない。だけど……」

 

「……まぁ、少なからず僕も貴女に興味はありますから。構いません」

 

「へっ?」

 

「興味がなかったら素直に僕は拒絶してます」

 

ルカはユウキのベッドに潜って横になる。

端っこの方に身体を寄せているので寝てしまうのだろう。

 

「ルカ、寝ちゃうの?」

 

ユウキの問いかけには微かに聞こえる寝息。

部屋を出たきり戻ってこないアスナが心配になったが、メッセージで寝ることを伝えるとユウキもベッドに潜った。

先に寝たルカを起こさないようにしながら、恐る恐る抱いてみる。

 

「わぁ……」

 

男の子なのにも関わらず、柔らかい身体。

離したくない気持ちが生まれ、ユウキはそのままルカを抱きしめて寝付いた。

 

「全く……」

 

欲求に素直だなと思いながら、寝たふりをしていたルカはお腹に回された手を少し緩めて、ユウキに顔を向ける。

ユウキは完全に寝ており、幸せそうな表情で寝ていた。

 

「一目惚れ、なのかな」

 

初めて興味を抱いた女の子。

まだ自分自身の感情をはっきりと自覚するにはもう少し時間が必要なようだった。

 

 

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