スペインからの帰国子女   作:かるな

5 / 14
大海原中戦決着!


第五話

 僕のパスから10番がゴールを決め、押し込まれ気味だった試合の流れを変えることが出来た。

 

 流れが変わったことで動きのテンポも変化し、大海原中の音村さんはリズムをもう一度捉えることに集中しているみたいだ。

 

 

「今のうちに追加点が欲しいね」

 

「神矢、気持ちは分かるけど、まだ監督からの積極的な攻めの指示は無いわ。今は連携を取ることに集中しなさい。なんせ、アンタのパスにまだ皆慣れてないんだから」

 

 

 銀条さんが右手首に付けたイレブンバンドを見ながら、少し歯がゆそうな顔をする。

 

 どうやら、彼女も音村さんがこっちのリズムに対応する前に追加点が欲しいらしい。

 

 しかし連携を重視することも頷ける。公式戦ではないし、今は監督の指示に従った方がいいかもしれない。

 

 

 「分かった。繋がらなくても、今はパスを出すことに専念するよ」

 

 「アタシも皆にアンタの事は伝えとく。気負いせずに頑張りなさい」

 

 

 銀条さんに背中を叩かれて気合を入れられる。その後すぐに自分のポジションに着いた。

 

 

 ピーー!

 

 

 笛の音と共に試合が再開される。大海原中はFW2人を中心にドリブルで攻め込んでくる。ボールをカットしに前線からプレスや必殺技でボールを取りに行くけど、音村さんが指示を出してそれらを綺麗にかわしていく。

 

 

「リードしててもディフェンスの方法はそこまで変わらないから、今までのリズムで対応できるんだ・・・」

 

 

 僕はすぐにフォローに入ろうとしたけど、僕の行く手には音村さんが立ちはだかった。

 

 

「君を行かせるわけにはいかないな」

 

 

 大海原中は細かいパスを回して攻め込んでくる。前半を見ていて思ったけど、どうやら海洋学園は、オフェンスをするときは連携で、ディフェンスは個人技で行っている。

 

 そのせいで、相手がパス回しで攻めてきたときに上手く対応できない。

 

 今も相手にシュートを打たせないようにするだけで精一杯のように見えた。

 

 

「新人がディフェンスに参加しないと怒られそうなんで、行かせてもらいます!」

 

 

 音村さんにフェイントをかけて抜き去った・・・・・・はずだった。

 

 

「先程からずっと君の動きを見させてもらった。確かに君の変則的な動きはやっかいだ。だけど、君が無意識に持っているリズムさえ分かれば、動きを合わせるのはたやすいさ」

 

「っ・・・!」

 

 

 難しいことは分からないけど、いくらかフェイントやチェンジオブペースを仕掛けてみて分かった。

 

 理由は分からないけど、どうやら音村さんは僕の動きが分かっているようだった。

 

 僕が音村さんのマークを外せずに苦しんでいる間にとうとう押し込まれてしまい、一点を返された。

 

 

「そんな・・・」

 

「ふっ、いいリズムだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピーー!

 

再び笛の音で試合が再開される。

 

 

「くっ・・・!」

 

 

ボールを受けて直ぐに、また音村さんが僕のマークに付く。

 

 

「これで終わりにさせてもらおう」

 

 

フェイントをかけて抜こうとするけど、振り切ったと思った時には目の前に音村さんが立っている。

 

パスを出そうにも皆完璧にマークされてしまっている。ここで絶対にボールを取るという強い執念を感じる。

 

 

「(やるしかない・・・か。)音村さん、僕もそろそろ終わりにしたいと思ってました」

 

「君のリズムは完璧に把握している。僕を抜くことは不可能だよ」

 

 

僕はフェイントをかけることをやめてゆっくりと音村さんから少しだけ距離を取る。一瞬動きを止めた音村さんだけど、釣られてすかさず距離を詰めてきた。

 

 

「ふっ!」

 

 

そこにタイミングを合わせるように僕は速度を上げた。でも音村さんは分かっていたようで、切り返して僕の進行方向へ身体を入れようとしてくる。

 

けど、僕の動きはこれで終わりではない。

 

 

「何っ!?」

 

 

僕は音村さんが動き始めた瞬間に動きを止め、先程よりも加速して音村さんを抜き去った。

 

 

「くっ、何て速さだ・・・!」

 

「銀条さん!」

 

 

そのままサイドを駆け上がっていた銀条さんへパスを出す。音村さんを抜くために後ろに下がったときに、銀条さんとアイコンタクトを取っていた。

 

 

「なんでアタシのときだけこんなに走らせんのよっ・・・神矢!後で覚えてなさい!!」

 

 

銀条さんが何か言っていたけど聞こえなかったことにしよう。僕はパスを出した直後もそのまま走り続け、中央からそのまま相手のゴールの左前まで走る。

 

丁度左サイドにいたFWが僕と入れ違うように位置を入れ替わった。

 

 

「銀条さん、パス!」

 

「うおおぉ・・・ちゃぶだいがえし!」

 

 

パスに追いついた直後の銀条さんにパスを求めると、相手のGKが早い段階で必殺技を出してきた。

 

地面を円盤状にめくって壁を作っている。僕は今ゴールに対して斜めだが近い位置にいる。相手の判断は正しいと思う。けど・・・

 

 

「スルーしただとっ・・・!」

 

 

センタリングをダイレクトでボレーの体制を取っていた僕だが、ボールは僕の傍を素通りした。

 

 

「いっけぇ!」

 

 

そしてボールの行先には、先程僕とすれ違ったFWが・・・

 

 

「くらえっ!アンカーショット!!」

 

 

FWの足に集められたエネルギーが、錨状になってボールを後押しする。

 

そしてそのままゴールへと突き刺さった。

 

 

 

 

ピッ・・・ピッ・・・ピピーー!!!

 

 

 

トータルで2-1、僕の日本でのサッカーデビューは勝利で幕を閉じた。




すこし急ぎ目に書いたので、誤字やおかしな表現があったかもしれません・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。