スーパーロボット大戦MAX (一時更新停止中) 作:クリスヴェクター
ではでは本編開始ッッ
第七話「アンダーカバー・上」
──時はアクセルが研究所に回収された頃にまで遡る。
宇宙。
静寂と暗闇に包まれた空間。そこに突如として幾筋ものの光の線が走る。その線を掻い潜る様に青い線が走り、線の発信源に襲い掛かる。
──数秒後、四つの爆発が虚空を染め上げる。
残骸が辺りに散らばる中、一機のロボットが静止していた。
青と白を基調とし、両肩にそれぞれ計6つのユニットを搭載した人型機動兵器─“アシュセイヴァー” 。その手に携えたビームソードを腰のラックに戻し、辺りを見渡す様に首を動かす。
「戦闘終了……」
そのコクピットで緑髪の女性、ラミア・ラヴレスは髪をかきあげ終わりを告げる。張り詰めた空気が緩む中、彼女の顔にほんの僅かに不機嫌さが垣間見える。
「計算外だったな……。まさか接触する前に別の軍に見つかるとは……」
片手で機体のチェックをしつつ、現在地を確認する。が、その結果に思わず溜め息をつく。
「大分流されてしまったか……」
自分の失策を反省し、しかし即座に思考を切り替え、データを解析、修正…更新し直す。
「急いで…
『Beep!Beep! Beep!Beep!』
─ッ」
操縦桿を握り直した途端、けたたましく警報が鳴り響きラミアは思考を周囲に張り巡らす。アシュセイヴァーの高性能レーダーが遠方から複数の反応が接近していることを知らせた。
「数は二…いや後続含むて七、……戦闘は避けざるを得ないな。──ステルスモード起動」
アシュセイヴァーの機体を丸々包むように球型のフィールドが展開され周囲の景色と同化し出す。近場に丁度良い隕石群を見つけ、ラミアは一旦そこで息を潜めることにした。
第七話「アンダーカバー・上」
二機──宇宙用
Mk-Ⅱのパイロット、カミーユ・ビダンは後方を警戒しつつ、レイズナーに通信を入れる。
「エイジ、一旦あの隕石群まで後退するぞ」
「分かりました、カミーユさん」
レイズナーのパイロット、エイジ・アスカも同意しブースターを吹かして隕石群に突入する。
隕石が大量に散らばるなか中、エイジが先行しブースターと機体の各所に設けられたバーニアーを巧みに操作してこれを回避し、カミーユもフライングアーマーをサーフボードの用に操り回避していく。
カミーユもエイジも互いに実践経験が豊富なためにここまでの操縦が出来るのだ。そして、彼らは一つの隕石に陣取る。
──それは奇しくもラミアが身を隠している隕石であった……。
◆
「………………」
二機がここに張り付いたのは予想外だったが、ラミアはこれを好機と見て情報を密かに取る。
アシュセイヴァーは戦闘だけでなく情報戦にも特化しているため、この様な場面では大きなアドバンテージになる。
(一つは連邦のMS…ガンダムMk-Ⅱか、しかしもう一機は何だ?)
ラミアは送られてくる情報に思案しているとレーダーに新たに接近する機体を感知し、そちらに意識を戻す。
◆
カミーユ達から一定距離離れた場に黒と紫のSPT“グライムカイゼル”と、護衛の一般兵用SPT“ブレイバー”が停止する。エイジの下にグライムカイゼルから通信が入って来る。
『そこまで、エイジ』
「っ、ゲイル先輩!」
聞き慣れた声にエイジの表情が曇り、発した声が僅かに震える。その通信相手、アーマス・ゲイルは厳格な表情のまま言葉を続ける。
『エイジ、艦隊への密航ならともかく、SPTを強奪し反逆した罪は重い。だが、今ならまだ私の権限でとりなすことができる。エイジ、反逆者の義弟を持つ兄のことを考えたことがあるのか。……まだ間に合う。投降しろ』
「許してください先輩、僕は……」
『エイジ… お前の祖国はグラドスだ。お前はグラドス人として育ったはずだ。俺もお前をグラドス人としか見ていない… それを何を血迷って地球人の味方をする?』
ゲイルの中で過去の、平穏な時の自分たちの姿が過ぎさっていく。士官学校時代、兄弟のように共に育った自分とエイジ。そして、エイジの姉ジュリアとの出会い。あの時、誰もが幸せでグラドスの日常を過ごしてきていた。
だからこそ、ゲイルは解せなかった。
『そこまでお前を育てたのはグラドスだぞ! グラドスの陽の光、大地、空気がお前を育て上げたのだ…!』
ゲイルの言葉一つ一つがエイジの心を抉る。
確かに自分はグラドスで育った。だが、幼少の頃より父に聞かされていた未だ見ぬ青の星を、心で思い描いた第二の故郷を戦場としたくなかった。故にエイジは確固たる意思を持って言葉を返す。
「それでもっ……、僕の血の半分は地球人の血です! 父さんは地球人です!!」
『っ!』
『…中尉の厚意を無駄にするかっ、この裏切り者め!』
業を煮やした副官のカルラが撃ったレーザーに二機は咄嗟に左右に散開し、流れ弾は隕石に直撃して辺りに微小の破片を撒き散らす。
──それが不味かった。
「っ!」
ラミアは咄嗟にアシュセイヴァーを後退させたが爆発とそれで生じた大量の破片がフィールドに干渉し、ノイズを混じらせながらアシュセイヴァーの姿が浮かび上がる。
『何っ!?』
「いつの間に!?」
エイジやゲイルから見れば何もない空間に突如として現れたのだ。たまらず双方は距離を空ける。
それはラミアにとっても予想外の事態であった。しかし姿が露呈してしまった以上今の作戦を立て直すのは不可能。即座に次のプランに移ろうとしたアシュセイヴァーに通信が入る。目の前の機体…ガンダムMk-Ⅱからだ。
「そこの機体聞こえるか!?」
「!」
通信回線に飛び込んできた声にラミアは思案する。既に計画は大幅に崩れている。ならば敢えてあちらの流れに合わせるのも策だと結論を下し、ラミアは周波数を合わせる。
「……聞こえている」
「女性? いや、それよりも君は連邦軍の所属か?」
「軍ではないが、そちらの敵ではない」
「ならば少しの間でいい、アーガマが来るまでの間援護してほしい」
「( アーガマ? ということはロンド・ベル隊の関係者か。……ならば好都合だ )良いだろう、これより援護に入る」
「すまない…。 (たった一機でこんな宙域にいるのは不自然だ。それに所属不明…。何者なんだ…彼女は?) 」
アシュセイヴァーがエイジの側についたのをゲイルはやはりかといった様子で僚機に注意を促す。
『こちらが優位であるが、油断はならん。念のため、後続に連絡を回せ』
『中尉! 我々だけで十分です!』
『そのような慢心が、失態を招く事になる。……それに……』
『それに?』
『この宙域に散らばる物がなんだかわからんのか?』
ゲイルの言葉に周囲を見回したカルラ含む配下の部下が口々に驚きを露にする。周りには破片となっているが、そこかしこに乗機のブレイバーと同じパーツが漂っていたのだ。
『え……? こ、これは友軍機の残骸?!』
『もしや連絡の途絶えた第4偵察部隊か?』
『第4偵察部隊は識別コード不明の機体を追っていた。……ということは、おそらくあの新型にやられたということだろう』
『まさか!? いくら偵察用装備とはいえ、たった1機に!?』
『そうでなければ説明がつかん。……話は後だ。各機、仕掛けるぞ』
『り、了解』
敵が突撃を掛けてくる。目視で確認する限り並みのMSより確実に早い。エイジはゲイル機が自分に狙いを付けているのが分かっているので彼を引き付ける役を買って出る。その為に敵を分断する必要がある為、ラミアが一策を講じる。
「行けっ、ファイアダガー!」
アシュセイヴァーの胸部装甲が開き、内蔵された誘導ミサイルがばら蒔かれ、小型ミサイルが隕石群に直撃し大量の火球が生まれる。
ゲイルは瞬時に回避し、これに四機も続いて行く。がその内の一機が間に合わず巻き込まれ爆発する。
その隙に距離を離す三機。掻い潜った機体は構わずラミア達に一気に肉薄する。MS以上の機動性を持つ、SPTならではの戦法で徐々に追い詰めていく。
しかし、簡単に倒せれるほどラミアたちは甘くはない。
対SPT戦を熟知しているエイジはレイズナーの性能をフルに使いゲイル機と相対する。僚機がゲイル機の援護に入ろうとするのをラミアとカミーユがこれを阻止し、敵の注意を引き付ける。
内一機がカミーユの誘導に引っ掛かる。
背後から追尾してくる敵機の攻撃を左右に機体を振りながら避け、更に距離を縮めようと接近した瞬間カミーユはフライングアーマーを蹴る。虚を突かれた敵にMk-Ⅱは右半身を軸に振り返り、左回し蹴りを叩き込む。直撃を食らい胸部装甲が吹き飛び回転するブレイバーに即座に手持ちのビームライフルを撃ち込む。
「まず一機!」
カミーユに撃破された味方機に気を取られている隙を尽き、もう一機の上方から強襲をかけるラミア。
ブレイバーのパイロットが慌てて回避行動に入ろうとした時にはアシュセイヴァーのガンレイピアが火を噴く。マシンガンのように大量のビームがブレイバーに襲い掛かり数秒で蜂の巣にさせられ爆散する。
「続いて二機目」
『くっ、小癪なッ!』
敵の苛立ちが通信越しでも手に取るように分かり、それが機体の動作にまで現れる。ラミアはカミーユにエイジの下に行くよう指示を出しカルラ機と相対する。
「ならば、倒してみるんだな」
『 ッッ、嘗めるなっ!!』
レーザードライフルを連射しながら突撃してくる敵機にビームソードを抜き放ち、ラミアは迎え撃つ。
エイジとゲイル機の戦闘は互いに互角の勝負を繰り広げていた。高速で迫って来る隕石群の中、互いのライフルのレーザーが交差し、ブースターの青い航跡が絡み合い宇宙を彩る。
『腕を上げたな、エイジ!』
「ゲイル先輩こそ…!」
エイジは隕石を楯に一気に距離を詰め勝負に出る。
レイズナーの左拳のハンドガードが展開し、スパークが瞬く。ゲイル機も同じくハンドガードを展開した右拳をぶつける。互いの拳の間でスパークが干渉し、放電が周囲に撒き散らされる。腕の駆動は唸りを上げ、押し切ろうと激しく振動しエイジとゲイルは互いに食い縛り操縦桿を押し込む。
僅かな拮抗の瞬間を狙いエイジはカイゼルの脚部を狙い撃とうとするが、これをゲイルはライフルを手放し空いた左手でレイズナーの左腕を掴み、その場で一本背負いを掛ける。
「くうぅっ!!」
吹き飛ばされたエイジは各部のバーニアで振動する機体を水平に戻す。
即座にゲイル機の機影を追おうと前に目を向けた瞬間、眼前にカイゼルが現れ僅かに反応が遅れる。
その隙にがら空きになった懐を容赦なくカイゼルの横蹴りが叩き込まれる。
「うあぁっ!!」
『だが……まだ甘い! 《Beep!Beep!》むっ…?』
咄嗟に機体を振る事で遠方からの狙撃を回避し、レイズナーから離脱する。距離を置いたのと同じくレイズナーの前にMk-Ⅱが陣取る。
「大丈夫か、エイジ?」
「っ……大丈夫です」
カミーユが安否を気遣っているとラミアのアシュセイヴァーが合流する。同様にゲイル機の横に片腕を無くしたカルラ機が並ぶ。
数ではこちらが優位、技量としては互角。このまま持久戦に入れば勝機が見える。
だが現実は非情か。
アシュセイヴァーのレーダーが新たな反応を捉えた事を知らせる。
識別信号は…グラドス軍。
「! …増援、六時の方向っ」
ラミアの通信にカミーユとエイジが振り返ると後方を包囲するようにブレイバーの大群が迫ってきていた。幾筋ものレーザーが此方に襲い掛かって来る。
「時間を掛けすぎたか!」
「くっ……」
数の暴力に押され、圧倒的不利に追い込まれる。ラミアには幾分か余裕はあるが、カミーユたちはそうではない。火星から此処まで来るのに節約していた弾薬とエネルギーが底をつきかけていたのだ。
「……ここまでか?」
(……これでは計画に支障が出てしまいかねない…やるか?)
劣勢な状況の中、ラミアの思考は二つの選択肢で渦巻いていた。状況打破の為に奥の手を使うべきか、それとも彼らを盾にして離脱するか。しかしどちらも相応のリスクが伴う。
早々に見切りを着けようとしたその時、敵方に変化が起きる。
『…! 各機散開ッ』
突然包囲していたグラドス軍が距離を離した事に一瞬虚を着かれたのも束の間──三閃。大出力のビームが空を焼き払う。
呆気にとられる中カミーユが逸速く反応する。
「来てくれたかっ!」
◆
アーガマ級強襲巡洋艦1番艦─“アーガマ”。
グリプス戦役を生き抜いた白亜の戦艦がラミアたちがいる宙域に急行していた。
「……何とか間に合ったようだな。撃ち方止めっ! サエグサ、進路そのまま。トーレス、発進準備用意! 」
「了解。全MS、PT発進用意! 繰り返す、全MS、PT発進用意! 」
アーガマの艦長ブライト・ノアの号令の下、ブリッジクルーが動きだし、格納庫では作業する整備員で活気に包まれていた。その中の一機。グレーとパープルでカラーリングされたMSの中で男性は待っていた。
『カイ・キタムラ、ゲシュペンスト出るぞ』
『トーラス、ルクレツィア・ノイン発進します』
年長風の男性と若い女性の声が通信越しに耳に入り、僚機のゲシュペンストMk-Ⅱとトーラスがアーガマから飛び立ち戦闘宙域に先行する。
男性は全天周囲モニターから確認し静かに操縦桿を握る。システムは良好を示すグリーンランプが灯り、脚部を固定した台座が格納庫からスライドしカタパルトへと接続されモニターが漆黒の宇宙に染まる。
「……
デッキの脇にあるランプが赤から緑に変わり、デッキクルーからGOサインが出る。
「アムロ、G-3ガンダム 出るぞ!」
G-3ガンダム…通称ファーストガンダムのカメラアイが力強く輝き、姿勢を屈める。
途端前面からGが掛かりカタパルトがレールの上を勢い良く走りだし、彼らを虚空へと解き放つ。
敵軍から“白い悪魔”、味方からは“白き流星”と呼ばれた生ける伝説─アムロ・レイとガンダムが戦場に舞い降りたのだ。
今回からレイズナー組参戦です!
他にも色々と変更してますので、その説明をここでします。
・アムロの乗機をG-3ガンダムに変更
→今作ではアムロの乗機であるガンダム…RX78-2をカスタマイズしたのが上記のRX78-3としています。(小説版ではGMの改修機となっている)またコクピットはコアブロックを破棄し、アレックスなどに搭載された全天周囲モニターに置き換えました。後スペックは…α仕様ってことで。
・カミーユの初期から参戦
→カミーユの参戦は原作をプレイ中に思い付いたことで本来はもう少し後に参戦ですが、別に初っぱなから出しても行けるんじゃないか? ということで今回の形になりました。何故エイジといるかは次回お待ちを。フライングアーマーは個人的に。
ラミアの設定回もまた作ろうと思ってます。
ではでは、皆様少し早いですが良いお年を!
以上クリス=ヴェクターでした!
感想・批評お待ちしております。