スーパーロボット大戦MAX (一時更新停止中)   作:クリスヴェクター

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第六話「インターミッション.Ⅱ」

 

 

 

 

 海底深くにある巨大海底都市兼前線基地 “海底城”。

 その中心に聳える基地の中枢 “海底魔城”。

 

 

 ー海底魔城・司令室ー

 

 謁見の間の様に広い部屋には侵攻軍のトップが集まっていた。

 

「申し訳ありません。どこにもエリカ様の姿を見つけることはできませんでした」

 

 バルバスの報告を、最上段の玉座に座るリヒテルは目を伏せ黙して聞いていた。

 

 エリカの失踪。

 戦闘の際、負傷した兵を看護していた自分の妹が忽然と姿を消したのだ。その後必死の捜査むなしく彼女の消息は絶えたままでいた。

 

「バルバス将軍、探し方が悪いのではないか」

「ライザ将軍、それではわしの目はふし穴であると言うのか!」

 

 配下の二人が言い争う様がリヒテルの苛立ちを掻き立て、玉座から立つ。

 

「ええい、やめぃっ! 見つからないものはしかたがない」

「地球人に捕らわれたということも考えられます。ならば、まだご存命の可能性が……」

「黙れッ、バルバス!! ……お前ならどうする? 地球人ごときに囚われの身となって、おめおめと生きながらえると思うか」

「…っ、……バームの誇りを胸に死にまする」

 

 リヒテルの問いにバルバスは重々しく答える。

私情など関係ない。

 バームの掟に従う者が辿るべき道を知っているバルバスやライザに、それに忠誠を誓ったリヒテルは厳格な姿勢で言い放つ。

 

「余の妹も、誇り高いバームの女だ。宇宙最高の種族が、下等な地球人に捕らわれるなど、死に勝る恥辱……!」

「それでは……」

 

 後に来る言葉を覚悟をもってバルバスは問う。

 

「かような羽目におちいらば、エリカは自らの手で死を選ぶに違いない! ……もうよい、余の妹のことは忘れよ」

「はっ……はい」

「…承知致しました」

 

 

 配下の者が去り、一人だけになった司令室に佇むリヒテル。その表情は先程とうって変わり、妹を思う兄の姿があった。

 

「……エリカ……」

 

 ポツリと呟いた言葉は誰にも聞かれる事もなく、ただ静かに虚空へと消え去っていった。。

 

 

 

 

 

 ーダイモビック・カフェテリアー

 

 

 先の戦闘から数時間後。

 

 出撃していたパイロット全員が集まり、戦闘で行使したに体をくつろがせていた。その内の一人アクセルがふと思い出した様に呟く。

 

「今回の敵は嫌に気合いが入っていたな」

 

 その言葉に、壁にもたれていた京四郎が理由を話す。僅かに暗くなった表情に皆の注目がいく。

 

「無理もないさ、バーム星とは戦争になった原因が原因だからな」

「原因? 何があったんだ」

 

 話の先が分からず聞き返したアクセルに、ナナが呆れ顔をそちらに向ける。その反応に首を傾げながら、アクセルは周りを見渡す。

 

「呆れた。あなた、バーム星との交渉決裂を知らないの?」

「バーム星との交渉、決裂? …、…っ!」

 

 じくりと頭が痛みを上げる。

 バーム星、交渉決裂。この二つのキーワードに彼の中で違和感を再び思い起こさせる。眉間を押しながら頭痛を抑えると、違和感は無かった様に消え失せる。後に残ったモヤモヤとしたものに心中溜め息を吐いていると甲児が身を乗り出してこちらを伺っていた。

 

「大丈夫かアクセルさん? 何か思い出したのか?」

「…分からないんだな、これが」

「おいおい、分からんってどういうことだよ」

 

 眉根を捻らせながら京四郎が問うと、それに苦笑しながらアクセルが答える。

 

「どうにも記憶を無くしてしまったんでな」

「ええっ!?」

 

 事実にダイモビック組は驚くが、アクセルはあまり気にするなと手を振り話を変える。彼のポジティブ振りにイルムが素直にその性格を評する。

 

「オタク前向きだな」

「……性分なんでな。で、だ。色々情報を集めたいんだ、詳しく話してくれないか?」

 

 アクセルの提案の下、お互いの情報が飛び交う。そして話は今回の戦闘の一件、その大本となった事件にまで遡ることとなった。

 

 それからナナや京四郎の口から話される会談失敗までのあらまし。なにより、事件の裏で一矢の父、竜崎勇が会談で亡くなっていたことには誰もが驚き、彼に同情した。

 

「一矢さんにしてみれば、父の遺志を継いでバーム星との和平を支持すべきか、戦うべきか選ばなければならないということか・・・」

「そういうことだ。で、当の本人はどこ行ったんだ?」

 

 辺りを見回して一矢の姿はないことに気付いた京四郎にイルムが所在を告げる。

 

「アイツだったら、助けた子に付きっきりで医務室にいるぜ」

「殊勝な心掛けだな」

 

 隼人が感心しているとイルムの表情が変わり、口元に笑みがこぼれる。

 

「いんや。もう1つ付け加えるなら……ありゃ一目惚れしてるぜ、一矢の奴」

 

 イルムの一言に全員が揃ってポカーンとなる。事態を把握したアクセルがニヤニヤし出し、京四郎はやれやれと肩をすくめ、ナナは頬を膨らませ不機嫌になる。それにイルムが茶化し出す。

 

「ん~、妬いてるのかナナちゃん? アイツは意外と面食いだからな。ま、頑張れよ」

「う~、ワン!」

 

 ケラケラ笑いながら退出するイルムをジト目で睨みながらナナがいつもの口癖を漏らす。

 

 

 ―ダイモビック・医務室―

 

 

「記憶喪失・・・!?」

 

 臨時で看護に入っていたミチルから言い渡された言葉に一矢は驚きを隠せなかった。

 彼が此処に来たのは先の戦闘で何故あの場にいたのかという疑問と、彼女自身に興味が沸いたからだ。その矢先、診断の結果が来たのだ。

 

「お医者様の話では、時間をかけてゆっくり治すしかないって。おそらく、戦いに巻きこまれた恐怖が原因らしいって」

 

 その説明に一矢はただ黙って聞き、視線をベッドで横になっている女性に移す。

 

 正直に言えば一矢は彼女に見とれていた。彼女の容姿も美しいが、何よりその雰囲気とも呼べるものに惹かれる、そんな気がしていた。だからか、今自分の鼓動が早くなっているのが嫌でも分かる。

 一矢が見とれていると、その視線に気付き女性が顔を上げる。

 

「・・ごめんなさい・・・私・・・」

 

 ポツリと漏らした彼女の謝罪に、一矢は優しく微笑む。

 

「大丈夫、そのうちだんだん思い出すさ。 そう言えば……君は、なんて名前?」

 

 その問いに女性は目を丸くし、僅かに間を置いてたどたどしく答える。

 

「え? ……エ、エリ…カ」

「エリカ、か……美しい名前だ。ああ、俺…竜崎一矢っていうんだ」

「一矢……、竜崎一矢…」

 

(……お邪魔みたいね)

 

 いつの間にか見つめあっている二人に気付かれない様にミチルはさっさと医務室を後にする。

 

 

 

 ────しかし、この出会いが後の彼らに悲劇を起こす事になるなど、この時誰も知る由はなかった。

 

 

 

 ーダイモビック・データルームー

 

 

 アクセル達と一旦別れた後イルムは、研究ブロックの一つ…ジョナサンのもとに押し掛けていた。

 その顔はいつもの飄々とした面持ちはなく、真剣さを纏っていた。

 

「せっかくの親子水入らず……と言いたい所だが、そう言うわけにも行かなそうだな、イルム」

「どうしても気になる事があったんでな、親父」

 

 言いつつキーボードを操作し、モニターに先の戦闘を映し出す。

 

「うむ! グルンガストは正常に動いてるな。調整に時間を掛けた甲斐があったわい」

「それには感謝するが、問題はそこじゃない……。これだ」

 

 イルムが拡大した映像にはアクセルが操るソウルゲインが映し出されていた。

 それにジョナサンは興味深く機体を観察する。

 

「ほぉー、グルンガストと同じ大きさでありながら、ここまで柔軟に動けるとはなぁ……」

「整備中にちょろっと見させて貰ったが、操作方法は俺や甲児達とは全く違う。近いものなら一矢のダイモスやコロニー群が作った……」

「……モビルトレースシステムか」

「ああ。だが、特機級に開発されたという情報は無い。親父の方はどうだ? 」

「されていたら嫌でもこちらの耳に入っておるが、生憎そういう情報は今のところ無い、としか言えんな」

「やっぱりな。…まぁそれは置いといて、問題は次だ」

 

 次に映した一面は飛行中のソウルゲインだった。更にソウルゲインにのみ音声を集中させる。それにジョナサンが眉を寄せてイルムに顔を向ける。

 

「この駆動音…まさか」

「親父の予想通りだと思うが……、恐らくコイツには“テスラ・ドライブ”が搭載されている」

「馬鹿な、アレはまだ試作段階で実用化に至ってない代物だぞ」

「だから親父に聞きたかったんだ。最近研究所内で問題とか起きたりしてねえか?」

「まずあり得ん。うちのプロテクトの固さはお前も知っているだろ? 参加メンバーにも不審な奴は一人もいないと断言出来る」

「なら益々怪しくなって来たな、こりゃあ……」

「この件に関しては一度連絡を入れておく。フィリオ君やロバートくんのことだ。抜かりはないはずたが……」

 

 謎が謎を呼び、二人は頭を悩ませる。

 そしてもう一度画面に映るソウルゲインを目を向ける。

 

「ソウルゲイン……。そしてそのパイロット、アクセル・アルマー……か」

 

 

 

 

 

 ー百鬼帝国・要塞島ー

 

 

 科学要塞研究所襲撃に失敗し帰還した者達の空気は酷く険悪だった。主にキャンベル星人の二人によってだが。

 

「……まさかグレートマジンガーとビューナスAが、向こうの戦いを放棄して戻ってくるとは!」

「けっ、兄貴の考えが甘かったんじゃねえか」

 

 ワルキメデスが作戦の失敗に歯噛みする傍ら、ダンゲルがぼそりと呟く。

 

「なんだと! お前の戦い方が情けないのが悪いのだっ」

「自分の失敗をわしのせいにする気か!」

 

 売り言葉に買い言葉。仕舞いには互いに責任を擦り付け合う、滑稽極まりないやり取りを他の陣営組は呆れた思いで静観していた。

 

「うるさい連中ですな」

「捨ておけ。これでしばらくは大きな顔はできまい。……科学要塞研究所を襲った本命は、別のところにあるのだからな」

「そうでございますな」

 

 ヒドラーの言葉に合わせて、面々の前に影からすーっと、白骨鬼が現れ頭を垂れる。その手には一つのアタッシュケースを携えていた。

 

「ブライ様、ヒドラー様…例のものをお持ちいたしました」

「おお! 科学要塞研究所への侵入に成功したのだな!?」

「よくやったぞ、白骨鬼」

「それでヒドラー元帥……お約束の方は…」

「守ってやる。白骨鬼、娘と会うことを許可してやろう」

 

 その言葉に今まで厳格な面持ちをしていた白骨鬼の表情が緩み、歓喜で一杯になる。

 

「ははっ、有り難き幸せ!」

 

 

 場所を移した地下帝国の二人は先程、百鬼帝国を通じて送られたケースを持ち宛てれた研究所に来ていた

 

 開けられたケースの中には数枚の薄型タブレットが嵌め込まれていた。それを専用の機器に接続し、読み取ったデータをモニターに映し出す。

 

 その内容に暗黒大将軍は深い笑みを浮かべ、地獄大元師は興味深けにしかしどこか忌々しく見ていた。

 

「ほほう、それか・・・例の設計図というのは」

「兜剣造め、量産化を考えていたとは・・・」

「逆に我らがこれを使って、人間どもを皆殺しにしてくれるわ」

「フフ・・・科学者だった頃の血がうずくわ。完全に解析してくれるぞ、兜よ・・・クククク」

 

 地獄大元師……かつて甲児と激闘を繰り広げていた機械獣群の大元、Dr.ヘルは映し出された内容に口角を吊り上げ邪悪な笑みを湛えた。

 

 モニターにはパーツ事に細部を記載した設計図が複数映し出され、それぞれページの最初にローマ字で完成名が綴られていた。

 

 

 

 

 

 ───Great MAZINGER ver.production model と。

 

 

 

 

 




これにて一旦アクセル編は終了します。
作中の海底魔城は完全に作者の想像で書いたものなので詳しい方がいらっしゃいましたら参考程度にお願いします!

次回からラミア編です!
ではでは、クリス=ヴェクターでした。

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