西住姉妹の弟―西住流の島田―   作:如月 霊

24 / 26
第二十二話 黒森峰戦、開戦

「ふぅー…」

 

真霧はチトの車内に入ると小さく、一つ息をつく。そして直ぐにスピーカーから声がした。

 

『黒森峰学園対鈴創学園による決勝戦を開始します!』

 

開幕の合図だ。

それが鳴り終わると真霧は首元の無線機に手を当て、開幕まで黙っていた口を開いた。

 

「…諸君、相手は黒森峰の西住まほだ。気を抜くな!これより、作戦コードe-45を開始せよ!」

 

そう言い、直ぐに喋るのを止める。すると無線から各戦車、各隊員からの熱意の声が聴こえてきた。

 

『『『『ダー!!』』』』

 

「どちらが勝つか…勝負だ。…まほ姉さん…」

 

チトのエンジンが唸りを上げてチヘが走り出す。真霧の呟きはチトのエンジン音に書き消された。そして、真霧はチトのキュポラの窓から後ろを見る。そこにはチトを先頭に宮田のM4中戦車が連なって輪帯をきゅらきゅらと言わせ、走っている。しばらくして集合住宅街の通りをポイントに向けて通っているとドン!ドン!と急に砲声がなった。一発が前方至近に着弾し、土煙を上げる。そしてチトが体勢を崩し、スピンした。その直ぐ後に後ろから爆発音がし、無線から悲痛な声が聴こえてきた。

 

『宮田隊、敵弾着弾!!行動不能!!』

 

そう、後ろについていた宮田隊からの無線だった。窓から宮田隊を見る。するとそこには着弾して片側の輪帯が切れ、エンジンを貫いたのかエンジンから火が上がって白旗を掲げているシャーマンがあった。そして直ぐに砲弾が飛んできた敵を見る。そこには3輌のティーガーⅠが迫ってきていた。

 

「グッ…!クソッ!」

 

「ジグザグに回避しつつ全速力であいつらに突っ込め!主砲発射用意!」

 

真霧はそう、命令をする。この無茶にきちんと従う辺りクルーゼ隊の士気と練度は高い。

 

「撃てェ!!」

 

すれ違い中に一発、敵の横腹に撃ち込む。すると命中した車輌はゆっくり止まりシュポ!と白旗を掲げる。初弾が当たったのを確認する間もなく砲塔を回し、後ろの当たっていないと思われるティーガーⅠに照準を合わせる。

 

「次弾装填!…撃てェ!」

 

「はいっ!」

 

合図と共に砲手がトリガーを引く。

 

「アパートを利用して相手を巻け!敵の増援の警戒も怠るなよ!」

 

無線に手をかけ、被害を伝達する。

 

「こちらクルーゼだ。敵の奇襲を受け宮田隊のM4が撃破されたが私の車輌に被害はなし。また、離脱時に敵、ティガーI戦車二輌を撃破した」

 

「敵の進行が予想より速い。注意せよ」

 

それから住宅街と言うことを利用し、残りのティーガーⅠを敵の増援を警戒しつつ巻く。




作戦コードe-◇☆は事前の作戦で作戦コードkは緊急時です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。