大会の翌日、真霧の姿は島田流戦車道本家にあった。
「…どこもかしこも新聞は俺が死んだと書いてますね。…生きてるのに」
千代を前に真霧は新聞を千代に返しながらそう言った。
「仕方ないよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんは一応、行方不明扱いなんだよ?」
そこで真霧の横に座っていた愛里寿が口を開いた。
「…確かに愛里寿の言う通りね。ところで真霧?」
「どうしたの?」
「貴方、転入先の高校はどうするの?」
千代は話題を切り替え、そう聞いてきた。
「学園艦、鈴創学園にします」
真霧は愛里寿の頭を撫でながらそう言った。
「鈴創学園…確か三重県の学園艦だったかしら?」
「ええ、そこのギルバート・デュランダル議長…じゃなかった。ギルバート・デュランダル理事長と知り合いで話しは通してあります」
真霧はそう返した。
「…そういえば…お兄ちゃんって顔見られたらいけないんじゃないの?」
愛里寿は唐突にその点を突いてきた。
「ああ、そこは…これだ」
「…仮面?」
真霧は仮面を取り出し、顔に被せてみせた。そう、ラウ・ル・クルーゼのかめんである。
「そ、なんとかなるさ」
「なんとかなる…のかな?」
愛里寿は結構不安そうであった。
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一週間後、鈴創学園。理事長室
真霧はこの日、鈴創学園の理事長室に来ていた。
「島田真霧…ラウ・ル・クルーゼ、転入着任した」
デュランダルを前にそう言って敬礼をした。
「ああ、真霧君。よろしく頼むよ」
「なぁ、ギルバート。何で俺の制服は”これ“なんだ?」
真霧は自身の着ている制服の裾を持ちながらそう言った。
「何故…といっても真霧君が”その“制服を着るに値する成果を編入試験で出していたからだろう?まぁ、私が君を押していたのもあるがね」
「ふつう編入生にいきなり渡すかね…」
真霧はそう呟いた。真霧が着ている制服は白地を基調として黒と金が袖先、肩につけられている。
「別に僕は赤服程度でいいんだけど?」
それから真霧はデュランダルにそう言った。
「決まったから諦めてくれ」
一蹴りしやがった…
この学園では通常の緑を基調とした緑服、一部の成績優秀者の赤を基調とした赤服、そして生徒会、各委員会の長そして各部の部長は黒を基調とした制服を分けている。ちなみに真霧の制服は白服と呼ばれ、これを着ている人物は理事長に認められた者だけとなっている。そのため真霧が来る前の三年間、までは存在していなかった。
「ま、これからよろしくな。ギルバート」
「ああ、こちらこそだ。真霧…いや、ラウ」