西住姉妹の弟―西住流の島田―   作:如月 霊

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第七話 練習試合-壱

練習試合当日、真霧と偲は聖グロの隊長と副隊長に挨拶をしに聖グロの待機場所に来ていた。

 

「どうも、ダージリンさん」

 

聖グロの隊長、ダージリンを見つけるとそう話しかけた。

 

「あなた方は…」

 

「私は鈴創学園戦車隊隊長をしています。ラウ・ル・クルーゼ大尉です。こっちが副隊長の伊川偲少尉です」

 

「あら、鈴創の隊長さん達ですか。どのようなご用で?」

 

ダージリンはなぜやって来たのかを聞いてきた。

 

「いえ、ただ戦車隊を最近創立した我が校と練習試合をしてくださるダージリンさんに挨拶をと思いましてね」

 

「そうでしたか。今日はお互い頑張りましょうクルーゼ大尉」

 

「はい。では、私共はこれで、失礼します」

 

そうして真霧と偲は一礼して自分の待機場所に戻っていった。

 

 

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試合が始まってすぐに真霧は戦車の無線機を使い周囲の戦車に通信を繋ぎ、その無線機を手にとる。

 

「諸君!我々鈴創学園戦車隊はまだまだ未熟だ!相手の聖グロリアーナよりも知られてもいない!!」

 

「今回の試合は何だ!!我らの負け試合かァ!?」

 

真霧は各戦車の隊員達に向けて叫ぶ。

 

「「「「「「我々の初勝利の為の舞台です!!」」」」」」

 

するとすぐに無線機から返事が聞こえてきた。

 

「なら勝ってやるぞ!!敵はサーチアンドデストロイだ!!」

 

そうして真霧は無線機機を台の上に置いた。すると無線機からまたもや隊員達の意気揚々とした返事が返ってきた。

 

「「「「「「ウラー!!」」」」」

 

(うちってソ連寄りだけどさ…)

 

真霧は無線機から聞こえてきたロシア語の返事に少し戸惑った。しかし、乗車の戦車が森の中につくとそれを振り払い、作戦の指揮を始めた。

 

「これより作戦を開始する。早野隊は宮田隊を引き連れてp4地点からp6地点に、中村隊はp1からp9地点に高速移動し、敵を錯乱させてくれ」

 

『了解!』

 

『了解しました!』

 

中村と早野が反応した。それから真霧は偲に無線を繋いだ。

 

「伊川少尉、我々も動くぞ。r5地点まで前進する」

 

『はい、隊長』

 

それを聞いてから真霧は偲の戦車を引き連れ目標地点に向かい始め、森から出て市街地に入ってすぐに戦車に衝撃が走った。戦車の至近に敵弾が着弾したのだ。

 

「被害はッ!」

 

「至近に着弾しただけで走行、戦闘に問題ありません!!」

 

『隊長!こちら中村隊!敵マチルダを一両撃破しましたが敵弾が輪帯に命中し走行不能!砲塔はなんとk…なっ!敵かッ!う…』

 

『こちら早野隊!中村がやられました!早野隊はマチルダを二両撃破しました。しかし、離脱の際に追従していた宮田隊の戦車がもう一両の戦車に撃破されt…あれは敵車!撃ちk…』

 

そうして中村と早野からの通信が途絶え、そして味方戦車撃破の知らせが届いた。

 


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