オレ・ミーツ・『オレ』   作:つきうさぎ

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第二話 ネタバレしていくスタイル

 『似て非なる存在』って言ってみたかったんだー。とあるアーティストが大好きで、感化されてる節があるン。痛々しいって? ほっとけ。中二病・厨二病・高二病、全部患ってンだよ。

 

「私は『身元不明の怪しい奴』ってことになりますが、悪さする気はサラサラありませんし、寧ろがんがん協力しますよ」

「そうは言うが……」

 

 そこで区切られたけど、続くセリフは想像がついてた。それを、あとあと「あの時、こう言いたかったんですよね?」って聞いたら「まさしく、そう言いかけた」って花丸貰った。いえあ。というのも『オレ(期待の星)』の知識やセンスを求めてソードマスターは声を掛けたワケだから、求める知識をオレが持っているのか? っていう。プレイヤーを英雄視しすぎな世界だから、報告がてら、フィールドを見ての推測とか、その辺を聞きたかったんだって。超期待されてる『オレ(期待の星)』。

 お前は誰だムードだけど、排他的じゃないのが嬉しかったね。足引っ張らないくらいには、モンスター図鑑、頭に入ってるから満面の笑みで、大丈夫です、と宣言。総司令(コマンダー)が、へぇ、って言いたげに唇を尖らすのが最高オブ最高で、ちゅーしたかった人生。あ、ごめんな、オレ両刀なんよ。帰るまでにシてみたかったけど、残念、言い出せませんでした。どんなキスするのか、知りたかったなあ……。という欲望は、何人かは知っている。酒の席で、酒の勢いのまま、ぶちまけてしまったんで、ええ。

 ま、それは置いといて。お三方が無言の会話(アイコンタクト)したのちに、総司令(コマンダー)が、こう言ってきた。

 

「君は『棘』を知っているか?」

 

 さすがにそれだけじゃ、なんのことか分からんかったンで「一見、牙のよう」「ボルボロスに刺さり、死に至らしめた」「一ヶ所に複数本、刺さっている」などなど判断材料を言ってもらったり、気を利かせてくれた総司令の孫(チーフ)が実際の物を持って来てくれたりで、このゲームの看板っ子ギガンテさんの棘だと判明。でけぇ。ギガンテさんですかあ、なんて、その棘がどうやって落ちるか思い出して、のほほんと言ってしまった。だって、口でガジガジしてから、爪でかいかいって掻くの可愛いンよ。オレは可愛いと思ってる。

 総司令の孫(チーフ)が、

 

「心当たりがあるのか」

 

 って、謎が解けるの嬉しそうに言った。そんな総司令の孫(チーフ)と逆で、緊張してんのか衝撃なのか、ソードマスターがちょっと怖い声で食らい付いてきた。

 

「ギガンテとは、もしや――」

「ネルギガンテ」

「あ奴が!」

 

 総司令(コマンダー)とソードマスターがわきゃっと盛り上がるのを、総司令の孫(チーフ)はちょっとぽかんと見てて、やっぱり可愛い。何回可愛いって言わせればいいんだ、こいつらは。

 

「チーフ、ネルギガンテってのは、古龍喰らいの古龍で、角笛に良さそうな角がこうにょっきりで、これが身体にも翼にも生えてトゲトゲしてて、壊れても自己再生して、二足立ちからの『ネルギガンテ』!」

「待ちたまえ」

 

 姿をジェスチャー付きで伝えて、CMの某俳優のギガンテさんの真似を真似てたら、総司令(コマンダー)に待ったをかけられた。生態研究所長さえも知らない事を何故知っているのか、大団長だけが遠目に見ただけのモンスターを、と。この知識こそが『オレ(期待の星)』とオレが似て非なる存在の証明なんです、てーね。どやぁしてると、総司令の孫(チーフ)がこう聞いてきた。

 

「……じゃあ、ネルギガンテってモンスターがなんでここにいるのかも、知ってるのか?」

「ウン。――あ、いえ、はい」

 

 どうにも総司令の孫(チーフ)は同年代あたりに思えて、タメ口きいちゃう。この日の夕飯時(ゆうはんどき)に、話しやすい話し方で良いってお許しもらったんで、友達になりましたけどね! ちょっと年下だけどやっぱり年近かった。ハッキリと数えてないからって事で、だいたい二十半ばだってさ。あ、設定資料集、出たんだっけ? 買わねば。

 

「一期団、というか、ギルドが四十年くらいかけて知りたがってた事、私が言っても宜しいんですか?」

「解明するならば」

「ああ、重きを置く場所が違うのネ。手柄じゃなくて解明か。了解です。ネルギガンテは、古龍を喰べたい子ですね」

何故(なにゆえ)古龍を喰らうのだ」

「大自然の自浄作用を担ってるらしいですよ。それと、たぶん、古龍は長く生きてきて栄養満点ですから、美味しいんでしょうね。味ってか、力とか。ゾラ君級のデカい古龍は、半端ないくらいの養分になるんで。昔、古龍の誰かがこの新大陸になったように。なんでゾラ君なのかは、たぶん、ご老体だから狙いやすかったんじゃないでしょかね」

 

 遠慮なくどんどんネタバレしていくと、驚きすぎて、祖父孫(じじまご)、表情一緒。心の中に仕舞えずにマジで吹き出しちゃったのは、しょうがないっしょ。ソードマスターは兜でわからん。

 

「んふはははっ! 三期団がいるところの地下、巨大古龍の骨ばっかッスよ。『瘴気(しょうき)の谷』って言うんですけどね。まあ、古龍以外にも最近のモンスターの死骸なんかもあって、彼らの血肉が養分になって『陸珊瑚(おかさんご)の台地』とか『古代樹の森』が育ってるわけですよ。アステラの人達は、古龍の上で暮らしているわけですよ」

 

 眉間を指で揉む総司令(コマンダー)、キャパオーバーだったらしい。とりま、にぱっと笑っといたら溜め息吐かれた。

 

「これを本来なら、皆さんが数ヵ月後とかの近い未来に、自力で辿り着く答えです。私は、別の世界から皆さんのことを見てたし、この先も見たンで、今もう知ってるんです」

 

 表現の仕方はすごく悪いんだけど、爆弾発言投下って、気持ちいいよな。間違えるなよ、悲しくさせたりじゃなくて、楽しいとかこうした単純な驚かせとかの意味合いだからな。ぼそっとソードマスターが、酒を煽りたいって言ったの聞こえたぞ。素面(しらふ)で聞いてくださいってば。

 

「別の世界……」

「もしかしたら、あと二つ、別の世界からお客さん来ますよ。はた迷惑な外来種が。それぞれオマケつきで」

「……」

「やっだあ、コマンダー、米神まで押さえちゃってえ。まだまだ『衝撃の答え』あるんですよ?」

「手の空いてる編纂者を呼んできてくれるか……」

「分かったよ、じいちゃん」

 

 この言い方ねえー、総司令の孫(チーフ)中の人(担当声優)のせいで「分かったよ、ニィチャン」になって、オレぁ大変だったんだよお! 可愛いのなんの! あっちのキャラもチーフも可愛いくてー! 思わずしゃがんで撃沈。あーもー、帰るまでずっと可愛さに萌え死んでいましたよ。

 

「やはり具合が悪いのか?」

「貴方のお孫さんが可愛すぎて、心臓が痛いだけです」

「うん……?」

「おじいちゃんっ子の優しい子じゃないですか。『じいちゃんは走れないから、俺が守ってやんなきゃな』ですよ?! はあああ……尊い……。抱いてほしー……。コマンダー、足、故障してるんですよね」

「――昔に」

 

 ハンター業は過酷だよね、マジで。介護生活にならなくて良かったですね、って言ったら、ニッて微笑まれた。いやぁ、胸キュンのオンパレードで、つれぇわ。幸せな辛さだわ。そんで、編纂者を連れて総司令の孫(チーフ)が帰ってきた。

 

「あ! ノリのいい四期団!」

「えっ?」

「あ、すみません、つい」

 

 半裸で流通エリアの手伝いしてる、ノリのいい四期団くんで、知ってる顔だった。「今なら編纂者のとして名を残せるぜ」とよいしょされて来ちゃった奴。ストーリーの後半になってくると「もう大事(おおごと)を持ってくるのはカンベンしてくれ、編纂が大変だ」とよく嘆いていて、話しかけては「がんばれー」って応援してたぜ。

 そんな彼に、さっきのことをメモさせる作業に入りました。途中途中めっちゃ言いたげにしながらだけど、全部メモってくれた。モンハン文字で全く読めなかったけどな。オレからしたら、ガジャブーの文字と大差ないくらい形象文字みたいに見えた。で、総司令(コマンダー)から、ギガンテさんを描けるかと無茶ぶりされたん。まあ、イラスト描くのも趣味のひとつですが、初描きで一発描きは相当なプレッシャーよ。鉛筆なくて、中世みたいにインクと羽ペンっすよ。ハードル高かった。めっさ頑張ってパッケージを思い出しながら描いた。

 

「だあ! もお! ギガンテさん、トゲありすぎて飽きるわ! 終わりでいい?!」

「我らは、姿を見とらんでな。お主がそれで全貌だと言うのならば、良かろう」

「トゲ足りないけど、全体としては大体これです」

「よし。此処に情報を書き足していこう。君の知ってる弱点や行動を言ってくれ」

「はあい、コマンダー!」

 

 ぶりっ子みたいな言い方で敬礼してると、総司令の孫(チーフ)に笑われた。たぶん、テンション高くて可笑しかったんだろうな。弱点部位が角というか頭と尻尾、有効属性の雷、それと、有効かは忘れたけど麻痺はしやすかった記憶があるから、それも伝えた。現実(こっち)に帰ってモンハンにログインしてハンターノート確認したら、弱点部位は頭と前足で、嘘を教えちゃってちょっと申し訳ない……。まあでも、尻尾切って部位破壊すれば弱体化が狙えるし、と言い訳させてくれ。

 

「トゲが壊れて再生すると、黒くなってめっちゃ硬くなって、飛び上がりの即死攻撃してくるんで、注意ですね」

「具体的には?」

「こう、羽ばたいて、ちょっと後ろに下がって、急降下しながら前足でズガーンッと地面を抉る感じです」

 

 さっきみたいに某俳優のごとく本気でジェスチャーすると、笑われずに真面目に分析されて、ちょっと恥ずかしいのと嬉しいのと、なんかむずかゆかったねえ。頭突き棘飛ばしも、翼突進も伝えた。耳栓も、もちろん言った。ただ、ここで、総司令の孫(チーフ)の発言で、ゲーム内のようでゲームと違う部分が発覚。オレが、

 

「吼えるときは頭をちょっと下げるから、うまくコローンッて転がってフレーム回避すれば、耳栓は要らないかもね」

 

 って言ったあとだ。

 

「転がってる間も煩いだろ」

「フレーム回避の無敵時間で――」

「無敵、時間? とくに重荷になるわけじゃないから、耳栓推奨だとハンターたちに通達しておこう」

「え、だって、装飾品つける個数、制限あるじゃない。耳栓、レベル三で――」

「祭りでもないのに、装飾品付けてどうする?」

「スキル……」

「なんだ? それは」

「『弱点特効』とか『キノコ大好き』とか」

「好きな食材を主張しなくてもいいぞ」

「やだ! 話が噛み合わない! 嘘やん、スキルが無いん? 『挑戦者』とか『広域』とか色々あるじゃん!」

 

 四人とも渋い表情で、スキルって概念が無かった。頭、こんがらがったよねえー。みんな、技量のみだってさ。色々可笑しかった。だって、女子なんて、ハンマーとか持ってるわりに筋肉ついてないし。ウィッチャーコラボでゲラルトさんが「ハンターは魔法と無縁と聞く」って言ってたけど、『スキル』とか『背負った武器』とか、魔法と言わねばなんと言う?

 

「そうか、オレと奴が『似て非なる存在』なら、システムも『似て非なる存在』か、アイノウ、アイノウ。……『属性』はありますか?」

「あるぞ」

「そうか。んー、まあ、斬撃と打撃でも乗り切れるけど、属性攻撃できれば、怯みやすいはずだからね。しかし、そうなると、笛はあるんですかね、狩猟笛」

「あるぞ」

「音色でなにか効果を付与する使い方で?」

「人によっては励まされるだろうが、モンスターの嫌いな音を出して、動きを鈍らせるな」

「なにそのノイアス。『風圧完全無効』とか『熱ダメージ無効』とかの音色はどこいった」

 

 音を聴いただけでそうなるなんて夢に溢れてる、って生温かく見られてしもうた。有り難い笛さんの効力が……なんてこった。

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