「オレ――あ、私が認識している世界とこちらが認識している世界、ズレがありますが、続けて、ギガンテさんとゾラ君誘導作戦について話し合いましょう」
ゾラ君誘導作戦は何回目なのか聞いたところ、初めてだとのこと。
「初回かあー。大砲の撃ち方わかんなくて、右往左往しただけで終わったっけな。――できれば初回から二回目の場所で、海にお帰り願いたいわ、ゾラ君。物資もハンターの命も惜しいし。現状の実行場所は、谷のところですか?」
「そうだ」
「えーと、……ん?」
フクロウみたいに頭を逆さ気味にして机に広げられてる地図を見ようとしてたら
「失礼します。ゾラ君、
「向こう側か」
「そうッス。地図で言うと、この『
「『
「そう――っ、で、す」
地名を言って方角を話したら
「今回だけは、大体。――地脈なんていう起爆剤ンとこ通ったら、ゾラ君は大爆発して新大陸無くなっちゃうんで、進行方向且つ海に面している且つ地脈の入り口っていう条件が揃う洞窟で、決行がベスト」
「その前に、どうにか進路を変えたいんだが」
「確かにそうしたいのは山々なんですが、残念ながら他の場所では、火力不足です」
とは言えど、あの場所の正確な位置は知らないから、ゾラ君が
ちょろっと未来軸を書いちゃったけど、現時間軸に話を戻しまして――。
位置情報に続けて、作戦の方も、ばんばんネタバレしてった。苦労は少ないに越したこと無いし。攻略を一から全部伝えたはいいけど、喋り続けて舌が回らず、噛みまくったのは愛嬌だ。言い慣れてない単語とか、しょうがないっしょ。最大火力の『撃龍槍』をオレが知ってて爺組は驚いてたっけ。あれがないとな。『狙撃手』スキルがあればねえ。大砲と撃龍槍の威力上がったのに……。残念。それと、
「ネルギガンテ……」
もちろんギガンテさんの茶々が入ることもネタバレしましたよ。ソードマスターが、宿敵来たりワクテカみたいな嬉しさ滲んでる感じに呟いた。さっき説明して、大団長の見間違いではなかった、すぐ傍に来てる、奴は実在する、って分かったからな。
「さっきのスキルの件で、私の知る世界と全くおんなじというわけではないと判明したので、断言することが出来なくなりましたが、それでも、ゾラ君食べに来るに一票」
「腕がなる」
「ふはは、生の『見切り斬り』見れるの、楽しみですよ。中々タイミングよく発動させられないンスよねー」
「お主も太刀を扱う者か」
「あっ、や、私自身はなんも動けません。そこの工房行きの階段を駆け上がったら、そこでバテるくらいしか体力ないっす。もしかしたら工房まで昇りきれないかもしれません。まあ、で、とにかくギガンテさんにさっさとご退場してもらえれば、その後が楽なんで」
「相分かった」
「解った」
ソードマスターに次いで
「目の色が違う」
って自信満々に言った。
「わかった、って作戦についてじゃないんかいっ!」
「あの五期団は、光蟲みたいな眼だ」
その例えが個人的にツボッて、SNS風の書き方すると「こwうwちゅwうww」って感じで突っ込んでしまった。金眼で作ったの若干忘れてたわ。虹彩の色素が薄いの、大好き。
「オレは、黒だもんなあ」
「そうなのか?」
「あっ、いやん! コマンダー、覗きこんじゃいやです、ちょ、話をね、戻しましょう! おさらいすると、排気口三つ壊す班、ギガンテさん班、大砲ウィズ翼竜払い班の三部隊で作戦遂行! それで――」
そうなのか? って簡単に覗きこんでくるんだもんよ、
作戦をおさらいしたところで、必要な武器と物資のリストアップすることになって、ノリのいい四期団くんが、今まで書記してた紙とは別の紙に書いていく。空気になってるけど、ずっと書記しててくれてんだよ。会話が止まったついでに、心当たりある羽の羽ペンなんで、聞いてみた。
「その羽ペン、もしやプケプケちゃんの羽では?」
「ああ、そうだよ」
「プケプケちゃーん!」
「親しそう」
「可愛いじゃないですか。あの子、自分が格上だと感じたときは目が爛々としてて、格下だと感じたときは目蓋が半開きで「ボクは石でーす、ボクに気が付かないでー」的に縮こまるンスよ? 虫かごちゃんのお友達だし、あのツーショットはやばかった」
ウィッチャーコラボの完全クリアムービーは、破壊的な可愛さだった! 叫ばずにはいられなかったよ! 元々オレはキャッチアンドリリース派だから、殺した個体は少ないが、尚更『捕獲思考』になったぜ。ニヨニヨしてると、
「プケプケにそんな特徴があったとは。学者先生に報告だ。虫かごというのは?」
「テトルーの部族のひとつです」
「まだ部族が居ると?」
「はい。『古代樹』には『虫かご』ちゃん、『大蟻塚』には『まもり』ちゃん、『
「……。獣人族の学者にも、あとで会っておいてくれ。――君は、古代樹についてどの程度知っている?」
漠然とした質問で何から話そうか迷った結果、大型の誰がいるかを一番目に話した。次が、小型。で、環境生物。環境生物の話題で、脱走癖があったあのお嬢様と話せ、と指示を貰った。そんなところで、ノリのいい四期団くんが、とうとう悲鳴上げた。『
「理解がおっつかない。さっきの調査で、そんなに分かったのか?」
だってさ。
「彼は、あの五期団とは別の人だ。詳しくは、五期団が帰ってきたときに、全体招集をかけ、説明する」
「――……、分かりました」
作戦に必要な物資のリストと、ハンターの動きの確認をしてると、「ただいま戻りました!」って、元気な女子のよく通る声が響いた。地図やら作戦資料やらから顔を上げれば、黄色を基調とした服装に、特徴的なゴーグルをでこにセットしたファッションの女子。そう、何故か不人気の我らが受付嬢! つまり、その右隣にいるのが『オレ』! そして『オレ』の右隣にいるのが『キットくん』!
「戻ったか。まずは、報告を聞こう」
キットくん、キャラクリだと『貴之』以上に似なかったんだけど、なんの補正か本当にキットくんの顔つきだったんよ……! あの子が虹の橋に逝ってから片手以上の年数が経ったけど、最期の瞬間に立ち合ったのもあって、また元気なキットくんが見れて、もう、もう――! だからね、
「以上です」
「ご苦労」
「あの、総司令」
「なんだ」
「そちらの
って、話題がオレになって焦った。なんせ号泣中だからな! 話が振られたオレを振り返って見た
でも、彼らが帰ってきたら、アステラのみんなに知らせるって流れだから、顔を洗わせてもらってひとまず落ち着かせて、
ここで、問題発生。なんと! オレと『
はれ、どうしようか、と悩んでると、誰かと誰かが、
「亜種、は?」
「なんでだよ」
「リオレウスやリオレイヤもさ、色の違う個体を亜種と呼ぶからさ」
と提案してくれてて、聞こえたオレは即座に、
「天才か」
なんて、オタク仲間へのリアクションをかましてしまった。というわけで、オレはアステラにいる間『亜種』というあだ名で過ごした。
包み隠さず自己紹介が済んだところで、
「タイミングが全てだ。これを逃せば、新大陸は無くなるそうだ。心してかかれ。二期団の装備、四期団の支援、そして、五期団の狩りの技術。それらが集結している今、我々はできる! ゾラ・マグダラオスを海へ還す!」