世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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前回散々メタ発言や中の人ネタでふざけたのは、この話からはしばらくシリアスな場面が続きます。そのため、今のうちにふざけるだけふざけとこうと思いまして……ここからはギャグは最低限となりますのでご注意(ご安心)ください。

また、この第二章の終了と同時に、小説のタイトルを変更する予定です。


いよいよ総介達の正体が明るみになってきます。果たして彼らは風太郎と五つ子の味方か、それとも………


いや、味方ですよ(笑)


19.仏の顔だって三度まで

中間試験一週間前

 

ホームルームでのテスト前の先生の長ったるい話をジャンプの隠し読みでほとんど聞いていなかった総介。

 

復習がどうとか、30点未満は赤点だとか、何回もくどい事なんぞ言われんでも分かると、2年生に進級してからは総介にとってこの時間はジャンプの読書タイムと化していた。もっとも、彼にとって今回の試験は、いつもと違うものになっているのだが………

 

 

 

 

(…………)

 

 

 

 

 

ジャンプを読むことに集中しながらも、頭の端では今回のテストとは違うものの原因である五人を思い浮かべつつ机の下に隠しているジャンプを黙々と読んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、総介、海斗、その侍女である渡辺アイナは屋上にいた。誰も来ないことを確認しながら、3人は出入り口から離れた場所で話し合いを始めた。

 

 

「すまないね。急に話があると呼び出して」

 

はじめに海斗が総介に謝った。

 

「構わねぇよ。どうせ呼び出したのは例の件の事後報告だろ?」

 

「はい。先日の花火大会に来ていた男たちのことです」

 

総介の問いにアイナが答える。

 

「やっぱそれか……」

 

 

 

 

花火大会の日、三玖を連れて行こうとして総介に返り討ちにあい、その復讐で仲間を連れてきたにもかかわらず全員もれなくボコボコに倒された連中を総介は思い出していた。

 

「で、あのブタどもはちゃんと出荷(・・)できたのか?」

 

「ああ。あの後に『(かたな)』が回収して、『きちんと』処理させてもらったよ」

 

「証拠品は調べたのか?」

 

「それも解析済み。調べたら、40人以上の人間が被害に遭っていたことが分かった。携帯だけじゃ分からないから、被害者は少なくとも50人は超えると思う」

 

海斗の言葉に総介は顔をしかめて反応する。

 

「はっ、欲望のまま好き勝手やりまくった末路が、大門寺の縄張りで暴れようとして内臓抜き取られて終わりたぁ滑稽じゃねーか。まぁ臭ぇ汁撒き散らかすブタどもでも世の中の役に立てるようにしてやったんだ。むしろ感謝して欲しいもんだな、あの世で」

 

 

「まったくです。もし二乃に手を出そうものなら、この世のあらゆる残酷な拷問を全て使って殺してあげようと思ってたんですが……生憎当日は若様の警護をしていましたので」

 

丁寧な言葉に似合わない、アイナの毒舌が炸裂する。

 

「おお怖。流石は『戦姫(いくさひめ)』。現役バリバリの人間ははやっぱり違うね〜」

 

アイナの物騒な物言いに皮肉を飛ばす総介。

 

「『鬼童(おにわらし)』に言われたくありません。聞けば、今回の男たち全員を素手で重傷を負わせたそうじゃないですか。1年前と全くお変わりないようで、『父』も喜んでいましたよ」

 

「あんな数だけでイキがるブタどもが何匹こようが遅れなんざとるか。ていうか勘弁してくれ。『あの人』に何を言われようが、今の俺は一学生だ。この機会に戻そうとしても、この前も言ったように、俺は後半年は戻らねーよ。そうだよなぁ、『神童(しんどう)』の若様?」

 

 

総介は海斗の方を向きながらニヤついた笑みを浮かべる。海斗はそれに同調して返す。

 

「その名で呼ばないでほしいな。でも君の言う通り、僕も今はただの学生で、あの家の一後継ぎに過ぎない。ただ、今回の件は本当に総介に感謝しているんだ。殆どがパーティの警護に回っていたから、祭りの方が手薄になってしまった。ありがとう」

 

「私からもお礼をさせてください。総介さん、間接的とはいえ、二乃に及びそうになった危険を退けていただき、本当にありがとうございます」

 

2人からのお礼に、総介は目をそらしながら頭をかく。何か考えているようにも見えるが、すぐに2人へと視線を戻した。

 

「………じゃあ一つ貸しだ。俺の方に何かあったら、そん時は手ェ貸してくれ」

 

「もちろん。協力できる事なら、進んでさせてもらうよ」

 

「分かりました。何か困ったことがあれば相談したください」

 

「そうか?じゃあアイナ、あのバカをどうにか説得してry」

 

「それは出来ません。二乃のことは総介さんがどうにかしてください」

 

「……………」

 

 

 

 

 

未だ勉強をしようとしない二乃の説得の協力をバッサリと切り捨てられた総介。ていうか、なんでも相談してって言ったじゃん君………

 

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで総介。家庭教師の助っ人はうまくいっているのかい?」

 

話は変わり、海斗が何気なく彼の助っ人業について聞いてきた。それに、総介は腕を組んで首を傾げながら苦そうな顔をして答える。

 

「………いや、総合的に見ると上手くいってない」

 

「というと?」

 

「三玖は一番素直に耳を傾けてくれて、メキメキと力をつけている。このままいきゃ来週のテストで赤点取らずに行けるかもな」

 

「いいじゃないですか。彼女は総介さんの事が好きな子なんでしょう?上手く言うことを聞いてくれて、問題ないと思うのですが?」

 

「いや、彼女は問題ないんだ。他の4人がな……」

 

 

 

三玖の場合、総介が贔屓していることもあるが、それは彼女が、積極的に彼から勉強を教わろうとしている姿勢があるからだ。総介が言った覚え方を聞いては試し、上手くいかなければ別の方法を試し、見事にハマったらスラスラと覚えていく。分からない箇所があれば直接聞いたり、彼がいない場合はメールや電話で聞いたりなど、ここ一ヶ月で彼女の勉強嫌いは、どこかへ消えてしまっていた。

 

少し前に、三玖は総介からこんな言葉を言われた。

 

『勉強する理由なんて、別に何でもいいんだよ。成績を上げたいだけじゃなくて、[好きな人に振り向いてほしい]とか、[嫌いな奴に勉強で負けたくない]とか、[クラスの奴らを見返したい]とか、[親から小遣いアップしてもらう]とか、本当にどんな理由でもいいんだ。モチベーションさえ上がれば、嫌なことでも多少は頑張れるもんだよ。勉強ほど結果が重視されるものは無いからね。どんな理由だろうが、どんな勉強法だろうが、結果さえ出せばなんとかなるのが勉強だよ。その過程でどんな勉強をしたとかは、あまり注目されない。高得点取ったもん勝ちなゲームだと思えばいいさ』

 

三玖自身に、この言葉がどう響いたかは、総介がそれを知る術はない。それはいずれ彼女自らが、結果で示してくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

それよりも、問題は三玖を除いた4人である。

 

 

 

「長女さんは、事あるごとに世間話とか恋バナをしてきやがってまるで勉強が進まねぇ。

二乃だかミノだかハツだか知らん奴は、そもそも俺と上杉から勉強すら教わろうとしねぇし、バカリボンは、元々の地盤がグラグラで、中学生の基礎からやり直している状態。

肉まん娘は、気難しい気質のせいか、一個の問題が分かんなかったらずっとそれを考えてやがる。とんでもなく要領が悪い」

 

 

総介から見ればヤバさで言えば上から二乃、四葉、五月、一花である。とは言っても、どんぐりの背比べなので、全員やばいことに変わりは無いのだが……ていうか、そもそも二乃は勉強してないんですけど……

 

「………大変ですね。少し同情します」

 

「するなら何かくれ。あのバカ4人には俺も上杉にも苦労してんだ」

 

「………今度、二乃に少し言っておきますね」

 

さすがにマズイと思ったのか、アイナは二乃に軽く注意することにした。と、ここで海斗が口を開く。

 

「けれど、その三玖ちゃんの成績を上げれば、彼女が他の姉妹にも教えることもできるんじゃないのかい?」

 

「ああ。だから三玖を重点的に教えてる。無理に全員少しずつ成績を上げるより、誰か1人の成績を一気に上げて、その子に他の姉妹にも勉強を教えた方が負担は減るし、効率もいいからな」

 

総介は何も依怙贔屓で三玖にばかり勉強を教えていたわけではなく、こう言った長期的な戦略を立てているのである。

 

 

 

 

 

 

いや、決して2人でイチャイチャしたいわけじゃ無いよ。本当だよ………

 

 

 

しかし、そんな総介の戦略をぶち壊しにする出来事が起ころうとは、彼はこの時知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

prrrrr♪

 

 

prrrrr♪

 

 

 

 

3人で話をしていると突然、総介のスマホが鳴った。電話だ。

 

 

「悪い、電話だ」

 

「構わないよ」

 

「問題ありません」

 

2人の許しを得てスマホを見ると、画面には『上杉風太郎』と、家庭教師の助っ人を頼んできた張本人の名前が表示されていた。

 

(上杉?何の用なんだよ?)

 

彼から電話なんて珍しいこともあるもんだと思い、総介は通話ボタンをタップして、耳に当たる。

 

 

「もしもし、上杉か?」

 

『浅倉!よかった。今、大丈夫か?』

 

電話に出た途端、慌てたような声で総介に話しかける風太郎。それを聞いて総介は彼を落ち着かせる。

 

「何があったかは知らんが落ち着け、ほれ、ヒ、ヒ、フー」

 

『ヒ、ヒ、フー、ヒ、ヒ、フー………て、俺は出産間近の妊婦じゃねー!!』

 

典型的なノリツッコミが返ってきたところで、総介は話を元に戻す。

 

「んで、何があった?お前が電話よこすなんてよっぽどのことなんだろうな?」

 

『無視かよ……まぁいいや。それどころじゃ無いんだ!実はさっき………』

 

 

そう言って風太郎の説明は始まった。

 

先ほど、五月からスマホを渡され、それに出たら、なんと相手は雇い主であり、五つ子の『父親』だったこと。さらにその『父親』から、一週間後の中間試験で5人のうち1人でも赤点を取ったら、家庭教師をクビになってしまうことを一方的に知らされたこと。それらを総介に話した。総介は眉間にシワをよせながら、電話相手の風太郎に返す。

 

 

「バカじゃねーのか、その雇い主?」

 

今もって、その『父親』は、上杉が一人で家庭教師をしていると思っている筈だ。それに、五人の成績も知っていることだろう。それを、雇っておきながらいきなり五人の赤点回避が出来なければクビだときた。正気の沙汰では無い。あまりにも無茶苦茶だ。

 

「卒業させるのがバイトの内容じゃねーのかよ」

 

『そ、それが、[この程度の条件を達成出来なければ娘たちを任せられない]って、ここでハードルを設けるってことも言われて、一方的に切られた………』

 

「頭イかれてやがるな。ならテメーでやってみろっつーんだ全く」

 

この程度?一人ならまだしも、五人も受け持って、さらに勉強嫌いの五つ子。それらを未だ全員机に向かわせることすら出来ていないのに、この程度とは、どうやら雇い主は、娘たちの事情を全く理解していないらしい。

 

『………浅倉、実はもう一つ言うことがあって……』

 

「あ?今度はなんだよ?」

 

この期に及んでまだ言うことがあると。風太郎の口調からして、いい知らせでは無いのだろう。総介はそれをあまり聞きたくなかった。

 

『じ、実は………』

 

 

 

 

 

 

〜風太郎、説明中〜

 

 

〜説明終了〜

 

 

 

 

「……………ブチ殺すぞテメー」

 

『ほ、本当に悪かった!つい焦って感情的になっちまったんだ!』

 

 

事情を簡単に説明するとこうだ。電話が切れた後、風太郎は焦るあまり五月と口論になってしまい、挙句互いに『お前にだけは教えない』『あなたにだけは絶対に教わらない』と完全な仲違いをしてしまったのだ。最悪のタイミングにも程がある。さすがの総介も、今回の風太郎の対応にはブチ切れ寸前であった。

 

「焦る前に冷静に状況判断しやがれ。テメーがすることは肉まん娘と口喧嘩することか?え?」

 

『い、いや、それは………』

 

「無駄に高えプライド押し付け合って何の意味があんだ?結局両者痛み分けKOに終わってんじゃねぇかコノヤロー。テメーもあの女も、ちったあ割り切った人間関係ってのを学べねーのかクソガキどもが」

 

同い年に向かってクソガキ発言をしてしまうほど、今の総介は苛立っていた。雇い主の件もあると言うのに、風太郎のプライドの高さが原因で、事態は悪化の一途を絶賛爆走中である。普段なら総介の物言いに反論する風太郎だったが、先日の総介が見せた底の知れない恐さを知っているが故に、何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

『す、すみません……』

 

「…………もういい。切り替えて対策練るぞ」

 

総介の方も、これ以上の怒りはただの自己満足にしかならないと判断して、次のステップへと進むことを決めた。

 

『い、いいのか?』

 

「今やることはテメーにグチグチ文句を言うことじゃねぇ。事態の改善させる方法を一つでも多く考えることだ。後退してしまった分を一歩でも多く取り戻す事が最優先だ。違うか?」

 

『ち、違わない』

 

「ならテメーも切り替えろ。いちいち引きずってんじゃねー。あとで土下座でもしとけ」

 

『土下座!?五月にか!?』

 

「たりめーだろうが。金が欲しーんだろ?だったらそんぐらいして当然だ。稼ぎたくても稼げないスラムの連中からすれば、お前は幸せ者の部類だ。ちったあ下でも見て自分がいかに恵まれた境遇か考えろ」

 

世の中には働きたくても働けない人などゴマンと存在する。戸籍もなく、スラムで暮らす人々。身体に障害を持ち、思うように働けない人々。親から捨てられ、着の身着のままで暮らして行かなくてはならない子供たち。そんな過酷な運命を背負っている人たちと比べれば、五体満足で生活し、学校に通い、バイトをしている総介や風太郎は幸せ者なのだ。

 

『わ、わかりました………』

 

「ならよし。んじゃあ早速対策に入るが、こればっかりは協力者がいる」

 

『き、協力者?』

 

総介の言葉に、ビビりながらも相槌を打つ風太郎。

 

「そうだ。外部からの協力もあるが、今回はそれは使わない。身近な協力者に相談する」

 

『い、一体誰なんだよ?』

 

「今現在、あの五つ子の中で一番協力的で、秘密を守ってくれそうなのは誰だ?」

 

『…………』

 

総介の問いに、風太郎はしばらく考えて答えを出した。

 

 

一花……交換条件とかいうめんどくさいものを提示されそう。

 

四葉……バカだから、すぐに口に出してしまいそう

 

五月……喧嘩中

 

二乃……論外

 

 

 

 

となったら………

 

 

 

 

 

『…………三玖か?』

 

「そうだ。三玖に事情を説明して、協力してもらう。それが今の俺たちが出来ることの中で最善の方法だ」

 

総介に好意を持ち、積極的に勉強も教わっている三玖ならば、事情を知れば協力してくれるし、他の姉妹にも上手く秘密にしてくれるだろう。特に二乃には絶対に知られるわけにはいかない。しかし、風太郎には一つの懸念があった。

 

『で、でもそれじゃ、三玖に余計なプレッシャーになってしまうんじゃ』

 

「誰のせいでこうなったと思ってんだ?俺らにそんな余裕残されてると思ってんのか?」

 

『あ、浅倉はいいのかよ!?三玖がもし重圧を感じてしまったら』

 

「それは俺が三玖に上手く話をつけておく。そんなことより、お前は現状を改善することを考えろ。あと一週間で赤点回避させるのと、肉まん娘との和解。両方やらなきゃいけねーんだぞ」

 

『うっ!……わ、わかった』

 

総介は一呼吸置いて、最後に風太郎へと言葉を送った。

 

 

 

 

 

 

 

「いいか上杉。お前がやると言った以上、俺もそれについて行く。途中下車するなら、俺も降りなきゃいけねー。言っちまえば、赤点回避出来なきゃ俺もお前と道連れだ」

 

『………お、おう』

 

「どうする?今降りるか?」

 

『お、降りるわけないだろ!俺も生活かかってるんだ!諦めてたまるか!!』

 

意外にも即答で返ってきた。しばらく考えるかと思ったが、風太郎のプライドの高さがいい方向に働いたようだ。

 

「そうか。なら俺も助っ人としてテメーについて行く」

 

『………済まない』

 

「最初にも言ったが、俺も入れてあの5人が赤点回避出来る確率は5%も無いぞ。それでもやるのか?」

 

総介が最初に風太郎、五つ子と会った日に言われたことを、風太郎は思い出す。そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……可能性がゼロじゃないなら、諦めたくない』

 

 

 

 

腹は決まった。

 

 

 

 

 

 

 

「………わかった。お前はなるべく早く肉まん娘と和解しろ。俺は三玖に事の事情を話す」

 

『あ、ああ。ありがとう。…………ところで浅倉』

 

 

「んだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………やっぱお前同級生じゃ無いんじゃry』

 

 

「今度会ったら一発ブン殴る。はい確定」

 

『あ、ちょまっ!じょうだry』

 

 

風太郎の言葉も無視して、総介は電話を切った。そして、その一部始終を聞いてた海斗とアイナへと顔を向けた。

 

「すまん、さっき言ってた貸しの事なんだが、早速返しちゃくれねぇか?」

 

「それはいいんだけど、何をすればいいんだい?」

 

「事情を知らなければ私達も動くことが出来ませんので、説明していただけないでしょうか?」

 

2人がそう言うのも無理はないと、総介は事情を説明した。

 

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

 

 

「…………なるほど、話は分かった。それで、僕たちにして欲しい事は何だい?」

 

「五つ子の父親のことを調べて欲しい。中野って医者らしいんだが、どこの病院か、それと性格、交友、身辺、娘との関係、余すことなくだ」

 

「それは出来るけど、それだけでいいのかい?」

 

「いや、もう一つある。こっちは時間がかかるかもしれんが………」

 

 

総介は2人に、もう一つの調べて欲しい内容を説明し始めた。すると、聞いていた2人の表情が一気に険しくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………以上だ。出来るか?」

 

「…………少なくとも明日までには揃えられないな。最低でも3日はかかると思う」

 

「出来ればテストが終わるまで調べて欲しい」

 

3人は一気に真剣な表情となって話し合う。と、ここでアイナが会話に入る。

 

 

「………しかし、本当によろしいんですか?それはとても」

 

「あくまでこれは最終手段、最悪の場合の一発逆転の切り札ってわけだ。それにそうなったとしても、後は俺1人で片をつける」

 

「そんな!!危険すぎます!」

 

アイナが珍しく声を荒げる。

 

「いくら『鬼童(おにわらし)』と言えど、あまりに無謀です!せめて私だけでもお供をさせてください!」

 

「駄目だ。お前はこの件には首を突っ込むな」

 

総介はお供を提案したアイナを冷たく突き放す。

 

「何故ですか!?私も事態を知っています!関係無い立場ではありません!」

 

「関係あるとか無いとかじゃねぇ。これは俺1人でやらなきゃ意味がねぇんだ」

 

「……!?それはどういう」

 

「アイナ」

 

食い下がるアイナを、海斗が静止した。

 

「総介に任せよう。これは彼と上杉君、それに五つ子の子たちの問題だ。僕たちは見守るしか無いよ」

 

「若様…………」

 

その言葉に、アイナはようやく黙った。彼女とて、総介とは幼き頃からの友人の1人。心配するのも無理はない。なぜならその最終手段は、文字通り命を賭けた戦い(・・・・・・・)となるかもしれないからだ。

 

 

 

 

 

「総介、僕は君を信じて、君から頼まれたことを大門寺で調べささせる。それがこの前の借りを返すことになるからね。でも、そこから先は、君1人でやってもらう事になる。それでいいね?」

 

「ああ、それで構わねぇ。情報さえくれれば、あとは俺で何とかする」

 

 

 

 

 

 

「…………わかった。でも最後に一つだけ、言わせてくれ」

 

 

海斗は一呼吸置いて、総介を見つめながら言葉を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ぬなよ、相棒」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉に、総介は笑いながら返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………俺は死なねぇよ、相棒」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

海斗とアイナが去っていった屋上に、総介は1人残っていた。あの後、アイナからも『気をつけてくださいね』と言葉をもらったが、『なめんじゃねーよ』と軽口で返した。先ほどの彼らとの会話を思い返しながら、総介はスマホをタップして電話をかける。

 

 

 

 

かけた先は、彼が人生で初めて恋をした相手であり、今回のキーパーソンともなり得る相手である。

 

 

 

prrrrr

 

 

prrrrrガチャ

 

 

 

電話をかけてから、たった2コールで繋がった。

 

『もしもし、ソースケ?』

 

「三玖、突然電話をかけて、ごめんね。今大丈夫?」

 

『ううん、謝らなくても大丈夫だよ。どうしたの?』

 

三玖の方からしても、初恋の男子からの電話に心踊っているのか、声のトーンがひとつ高くなっている。しかし、それは今の総介には、心苦しいものであった。

 

「今1人?」

 

『ううん、一花と四葉も一緒にいる。何で?』

 

「実は、2人きりで話がしたいんだ。今後の家庭教師のことについて、三玖と話がしたい。夜、マンション前でもいいから、聞いてくれないかな?」

 

『今後の………家庭教師のこと?』

 

「うん………もしかして、アイツら横にいる?」

 

総介はまさかと思った。もしこれを一花か四葉に聞かれてたらマズイことであるからだ。

 

『大丈夫、いない。お店の外に出て喋ってるから、2人には聞こえない』

 

「そう………もしかして、食事中だった?」

 

『うん……駅前で抹茶パフェ、食べてた』

 

「………ごめんね、食べてる最中に」

 

『もう食べ終わってるから、大丈夫。それで、この後話、私は構わないよ』

 

「本当?ありがとう」

 

『それじゃあもうすぐ帰るから、マンションの下で待ってて欲しい』

 

「分かった。今すぐ向かうね」

 

『うん………またね、ソースケ』

 

「またね、三玖」

 

いつもの2人の別れの挨拶をしてから、通話を切る総介。

 

 

「…………言うしかねぇよな……」

 

 

彼も心を決めて、三玖に全てを打ち明けるために、カバンを肩にかけて、五つ子のマンションへと向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

そして、この先に待ち受ける総介と三玖の運命は、ここから急展開を迎えることとなる。果たして、2人が辿る道とは……そして風太郎と総介は、無事に五つ子の赤点を回避させることか出来るのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回に続く………

 

 




プライベートが忙しかったため、だいぶ更新が空いてしまい申し訳ありませんでした。

皆さんも総介達が何者なのか、是非考えてみて下さい。


今回も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
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