世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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銀魂、アニメ劇場版決定を受けて、私の銀魂熱が暴走特急便になっちゃってます。




もう誰か助けてください!!(笑)


22.男とは、女を手に入れて一人前、女を愛して『漢』となる

 

 

 

 

 

「ソースケ…………

 

 

 

 

 

 

 

好き」

 

 

 

 

 

 

 

彼女の、三玖の口から、放たれた言葉。

総介はそれを、耳で聞き、目で見て、肌で感じ、心に響かせた。

 

 

 

 

 

「………私は、ソースケが好き。

 

 

 

 

 

私に自信をくれた

 

 

 

 

 

私に勇気をくれた

 

 

 

 

 

私に知識をくれた

 

 

 

 

 

 

ソースケが、好き

 

 

 

 

 

 

大好き」

 

 

 

 

 

真っ直ぐ自分を見る三玖の目から、目を逸らさず、三玖の言葉から、耳を塞ぐことなく、総介は彼女の想いを聞いた。

 

 

 

しかし………

 

 

 

(…………どうすればいい………)

 

 

 

分からなかった。今ここで、彼女の想いを受け止めて、それでいいのか。今後にも、すぐにテストはやってくる。そんな重要な局面での三玖からの告白。このまま、自分の想いを打ち明けて、いいのだろうか………

 

 

 

テストもそうだが、問題はまだある。

 

 

 

他の姉妹にどう示しをつけるか。風太郎や姉妹の父親にどう話すか。

 

 

 

そして最も大きいのは、三玖にも、姉妹にも風太郎にも打ち明けていない、いや、打ち明けられない、総介の中の『鬼』の存在………

 

 

 

 

(どうすればいい…………どうすれば………)

 

 

彼は思わず、目線を下げてしまう。

 

「………ソースケ………」

 

三玖が、目線を下げた瞬間に名前を呼ぶ。

 

「………ソースケの思いも、聞かせて欲しい……」

 

 

「………俺は……」

 

 

 

彼は悩んだ。

 

 

 

悩んで……

 

 

 

悩んで……

 

 

 

悩んで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、総介は、あの日のことを思い出した。

それは、遠い昔、総介が大好きだった人との何気ない会話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ総介』

 

『なに、おかあさん?』

 

『総介には好きな人はいないの?』

 

『すきなひと………ん〜………おかあさん!』

 

『ふふ、嬉しいけど、そうじゃなくて、学校で恋をしてる人はいないの?』

 

『こい?いないよ?』

 

『あら、まだ早かったようね』

 

『おかあさん、"こい"ってなに?』

 

『恋はね、いつか、本当に大好きな人が出来た時に思う気持ちなの』

 

『ぼくはおかあさんだいすきだよ?』

 

『ふふ、親子じゃ恋は出来ないわよ?あなたもいつか、本当に大好きな人が出来たら、どんなことがあっても、ちゃんとそばにいて守ってあげないとね』

 

『ふーん………じゃあいまは、ぼくがおかあさんをまもる!ぼく、おかあさんだいすきだから、おかあさんのそばにいて、ぼくがまもる!』

 

『あらあら、頼もしいわね。頼りにしているわ。頑張ってね、総介』

 

『うん!』

 

 

 

 

 

……………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時が経ち、総介と彼の母は最も悲しく、最も残酷な別れ方をしてしまうこととなる。

 

 

 

 

守れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世で一番大好きな人を、守れなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………

 

 

 

母があの時言ってくれた、あの言葉……

 

 

 

『いつか本当に大好きな人が出来たら、どんなことがあっても、ちゃんとそばにいて守ってあげないとね』

 

 

 

 

 

母との思い出を、今になって思い出す。

 

 

 

 

 

 

今ここで、三玖を突き放すことは容易いが、それはただの自己満足に過ぎない。理由をつけて彼女の想いを無下にしたところで、それはただ、自分がそうして彼女を遠くから守った気でいるだけ。そんなくことで後に残るのは、虚しさと後悔のみだ。本当に大切な存在ならば、そばに置いてこそ価値があるのではなかろうか。しかし……

 

 

(俺には……)

 

 

理屈で止められるなら、とっくにそうしている。それでも、彼には三玖を受け止めることが、未だ出来なかった。

 

 

 

もし、母のようにまた失ってしまったら……その恐怖が、まるで鎖のように総介に纏わり付いて離れない。

 

それならば、いっそ何も持たなければ良い。そう思えてきた総介にブレーキをかけたのが、もう一つ、別の人物が放った言葉。それは、ごく最近、ある男が言った台詞だった。

 

 

 

 

 

 

 

『失うもんがねぇ強さは、何も護れねぇ弱さと同じだ』

 

 

 

 

それは、どっかの銀髪プー太郎侍の言葉。所詮は漫画の台詞に過ぎないが、今の総介には充分心を響かせた言葉。

 

何かを手にすれば、それを失うかもしれない恐怖が付いてくるのは必定。それから逃げるために、彼女を突き放すのか?ただ自分が怖いから、手元から彼女を放り出すのか?

 

 

 

ひと時の虚しい満足感のために、三玖を拒絶するのか?

 

 

(………違う)

 

 

そんな腰抜け、俺が目指した人はしねぇ。

 

俺が見ていた『あの男』は、重い荷を何度も背負っても、それを守り通してきた。なら、俺は………

 

 

(俺は………もう失くしゃあしねぇ。

 

 

 

 

 

 

今度こそ護ってみせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三玖を、三玖の想いを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんなことがあっても………どんなことをしてでも………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の貫くと決めた『侍』の道だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう迷わねぇよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありがとう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総介は、三玖に両手を伸ばし、自身へと引き寄せた。

 

「そ、ソースケ?」

 

突然抱きしめられた三玖だが、心を許している人の行為なので、自然と自分も彼の胸元へと入っていった。

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………三玖………ありがとう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺も、三玖が好きだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

三玖はその言葉を、彼の言葉を一切聞き逃しはしなかった。

 

 

 

 

 

 

「初めて会った時から、ずっと好きだった。

 

 

あの時からずっと、三玖のことを考えてた。

 

 

三玖と会って話をして、上杉や、三玖の姉や妹に会って

 

 

 

一緒に過ごす中で、色んな三玖を見てきて

 

 

 

もっともっと好きになった

 

 

 

これからも、一緒にいたい

 

 

 

 

ずっととは言わねぇ

 

 

 

一日でも、1秒でも長く

 

 

 

 

三玖と一緒にいたい

 

 

 

 

 

それほどまでに三玖が

 

 

 

 

 

 

 

大好きなんだ」

 

 

 

 

 

 

今言える言葉を、総介は何とか絞り出した。腕の中にいる三玖を抱きしめる力を、少し強くする。

 

 

誰にも、この子を渡したくない………

 

 

心臓の奥深くから、有り余るほどの独占欲が湧いて出てくる。醜い、そう思った。それでも………

 

 

 

 

 

 

エゴと言うなら言うがいい。恋愛なんて所詮はエゴとエゴのぶつけ合いなのだ。欲に忠実でなにが悪い。

 

そう開き直っていると、三玖の体が少し震える。総介は、力を緩めて彼女を解放した。

 

「………三玖?」

 

 

彼女は総介の言葉を全て聞き終えると、瞼に涙を浮かべながら、顔を上げた。

 

 

「………ありがとう、ソースケ

 

 

 

 

 

すごい嬉しい」

 

あまりの嬉しさに、彼女はポロポロと、涙を零し出す。月夜に照らされる彼女の目から落ちる雫は、まるで宝石の如く輝きを放ちながら、頬を伝っていった。

 

 

「………私も、ソースケと、一緒にいたい。

 

 

 

 

いっぱいソースケと勉強したい

 

 

 

ソースケと、色んなところに行きたい

 

 

 

ソースケと、ご飯を一緒に食べたい

 

 

 

 

ソースケ

 

 

 

 

好き

 

 

 

 

大好き」

 

 

 

 

三玖は今度は自分から、総介の胸元に飛び込んだ。彼はそれをしっかりと受け止め、片方の手で彼女を抱きしめ、もう片方の手で頭を撫でる。

 

 

 

「………君は、俺が護る

 

 

 

 

どんなことがあっても、護ってみせる」

 

 

 

「………うん」

 

 

 

 

 

「………ありがとう

 

 

 

 

 

 

こんな俺を好きになってくれて

 

 

 

 

 

こんな俺に好きって言ってくれて

 

 

 

 

 

本当にありがとう」

 

 

 

 

「………ソースケ

 

 

 

 

 

 

私も

 

 

 

 

 

 

 

私を好きになってくれて

 

 

 

 

 

 

 

ありがとう

 

 

 

 

 

 

 

 

何度でも言わせて

 

 

 

 

 

 

 

ソースケ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたが好き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大好き」

 

 

 

 

三玖は顔を上げて、総介と目を合わせる。しばらく互いを見合った後、三玖の方から、目を閉じる。

 

 

「………ソースケ」

 

 

彼女が何を待っているか、それは総介にもすぐに伝わった。彼は三玖の前髪を指でかき分け、顔を近づけていく。

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花火大会の日、総介が最後に頬に感じた唇の感触を、彼は自身の唇で感じた。

 

 

 

 

 

「ん……」

 

三玖は少し肩を強張らせてしまったが、それもほんの一瞬で、次の瞬間には、力を抜いて、総介の背中に腕を回した。

 

 

 

 

一瞬にも思える短い時間を、永遠にも思える長い時間を、2人はしばらく堪能した後に、互いに唇を離し、見つめあった。

 

 

 

 

 

 

「………ふふっ」

 

「………ははっ」

 

初めてキスをしたというのに、何故か自然と出来てしまったことに、2人は少し笑ってしまう。

 

 

「………初めて、だよね?」

 

「当たり前だろ?少なくとも物心ついた時からしてないよ」

 

互いに笑いあっていると、三玖があることに気づく。

 

「………そういえば」

 

「ん?」

 

「ソースケがメガネをかけていない顔、初めて見た」

 

「………あ」

 

総介は目元のあたりを触ると、確かにいつもしている黒縁眼鏡がないことに気づいた。どうやら、起きてからずっとかけずにいたようだ。

 

「………あんまり見ないでくれ」

 

「ふふっ、何だか新鮮」

 

思わず目を逸らしたくなるが、総介もここで三玖の首元を見て気づく。

 

「………それを言えば、俺も三玖のヘッドホンしてないとこ見るの、初めてかも」

 

「花火大会の時もしてなかったでしょ?」

 

「でも、あの時は髪おろしてなかったから………普段はヘッドホンで分からないけど、髪、結構長いんだね」

 

右手を三玖の耳元へと伸ばして、彼女の髪を優しく梳く。

 

「………ソースケも、すごく綺麗な目、してる」

 

三玖は今は露わになっている総介の裸眼を、優しい眼差しで見つめる。

 

「いや、よく『死んだ魚の目』って言われるんだけど……」

 

「そんなことない。とても優しくて、強い目をしてて………好き」

 

頬を赤くしながら、総介の瞳を見続ける。三玖の言葉に、彼もまた顔に熱を感じてしまう。と、ここで、彼の瞳を見続けてきた三玖の顔が、徐々に近づいてくる。その目元は、何かに当てられたように、トロンと垂れて、大好きな彼を見つめていた。

 

「み、三玖?」

 

「ソースケ………んっ」

 

互いに瞳を閉じて、あっという間にその距離はゼロになった。今度は三玖の方から、総介の首に腕を回して、唇を重ねてくる。

 

「ん………」

 

「……んふぅ……ん……」

 

先程、ただ触れ合わせただけのキスとは違う、互いの唇を啄むような口づけを、2人は繰り返す。

 

「………ん……はぁ」

 

「…はぁ……ソースケ………もっと」

 

一度顔を離したものの、三玖のその言葉で、総介を縛っていた鎖は、完全に外れてしまった。

 

「っ!!……三玖!」

 

「きゃっ!………んんっ!」

 

彼女をゆっくりとベッドへと押し倒し、体重をかけないように上から覆い被さる。そして驚きの声を上げた三玖の唇に、三度自分の唇を重ねた。

 

「んん……ふぅ…ん……」

 

「ん!……んふぅ……んちゅ……」

 

彼は自分の舌を、口の中から出して、繋がっている三玖の口の中へと送り込む。途中、彼女の歯列がそれを止めたのだが、総介の意図を察した三玖は、多少驚きながらも、すぐに口を開けて、彼の舌を受け入れた。そこからは、完全に総介がキスの主導権を持っていった。

 

「………ん……んん……」

 

「んふぅ……ちゅ……レロ……ちゅる……んん」

 

三玖の口から舌を絡めとり、自分の舌と繋ぎ合う。互いの唾液が混ざり合う感覚が、2人の脳の中枢を、愛欲と快楽で埋め尽くし、他の考えの一切を排除した。

三玖も、総介を離すまいと、手をもう一度体に回して、密着させる。柔らかく、弾力のある胸部が総介に押し付けられ、更に欲望の炎に油が注がれ、一層激しく燃え上がる。

 

「ちゅ……れりゅ…ちゅ、ちゅ……んんふっ」

 

「はぁ……んんちゅりゅ……ちゅう……んん」

 

顔の傾きを変えながら、二人の口内では激しく舌が絡み合い、互いの唾液を啜る音すらきこえてくる。おおよそ10分間、総介と三玖は全てを忘れ、激しい口づけに夢中になった。

 

 

「ちゅる……はぁ、はぁ、はぁ」

 

「んちゅ……はぁ、はぁ、ソー、スケぇ」

 

頃合いと見て、総介は唇を三玖から離す。その口からは、月夜に照らされキラキラと輝く唾液の糸が、三玖の口へと伸びて、二人を繋いでいた。それもすぐに切れて、三玖の口の中へと落ちてゆく。彼女はそれを、躊躇することなく飲み込んだ。そして、三玖が手で拭った口から、総介を更に夢中にさせようとする言葉が飛び出した。

 

 

 

 

 

「ソースケ………いいよ?」

 

 

「!!」

 

 

『いいよ』………その言葉が何を意味するのか、総介は知っている。彼も思春期真っ只中の高校生。そういう本や、画像や動画をスマホで見たことはある。今の三玖の一言が、まさに『それ』をしていいと、言っているのだ。

ちなみに総介は、30歳になると魔法使いへと昇格できる権利を、今現在有している。このままいけば、その権利は失われるであろう。

 

できればこのまま、そんな権利、この場で捨て去ってしまいたい。この子を、たくさん愛したい。抱きしめたい。無茶苦茶にしたい。

そんな総介の欲望を助長するかのように、三玖は仰向けに寝たまま、パジャマのボタンをひとつずつ外していった。彼女の抜群のスタイルを象徴する豊満な胸が、少しずつ露わになってゆく。彼女の白い肌に、総介は目を離せなくなる。心臓の鼓動が、早まり、血液が下半身へと移ってゆく。彼女の手が、へそあたりのボタンへと差し掛かった、その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…………ダメだ!)

 

総介は、ボタンを外そうとする三玖の手を掴み、止めた。

 

「ソースケ?」

 

どうしたの?という表情で、総介を見上げる三玖。

 

「………ダメだよ、三玖」

 

「え?……」

 

「これ以上は、できない……」

 

その言葉を発すると、三玖の表情が、段々と変わっていった。目を潤ませて、今にも泣きそうな表情で総介に問うてくる。

 

「と、どうして……」

 

彼女も、総介に全てを捧げる覚悟で、あの一言を言ったはずだ。総介自身も、その覚悟を受け止めたいという思いは勿論ある。しかしだ。

 

「三玖……できれば俺もこのまま、三玖とそうなりたい。

 

 

三玖が欲しい。

 

 

でも、今はダメだよ」

 

ゆっくりと、優しく、傷つけないように言葉を使う。 しかし、三玖は悲しみの表情を変えようとはしない。

 

「………どうして?私、ソースケになら何をされてもいいよ?

 

 

私のはじめて、ソースケにあげたいの

 

だから」

 

「だからこそだよ」

 

彼女の言葉を、総介は遮るように、口を開いた。

 

「今この状況じゃ、リスクが高すぎる」

 

「………リスク?」

 

 

「今ここは、五つ子の家で、三玖の部屋だ。隣の部屋には二乃と四葉、上杉が寝ているし、その更に隣には、一花と五月もいる。万が一、音や声が聞こえて仕舞えば、怪しんで部屋に来るし、例え防音だとしても、三玖の姿がいない一花が探しに来たら、それこそ詰みだ。テストも直前なのに二人で『おたのしみ』してましたなんてバレてしまったら、それこそお終いだ。信頼なんてもの、一気に崩れていっちゃうし、三玖も他の姉妹に示す顔できないでしょ?」

 

「………」

 

三玖は、総介の説明に、何一つ返すことが出来なかった。ド正論だった。仮にバレでもしたら、起こったことの無い事例だけに、他の姉妹が何をするのかは三玖自身でも分からない。特に二乃は、激昂するのか、呆れ果てるのか、いずれにしてもポジティブな反応ではないだろう。何より、総介が説明をしている時に姉妹の名前をふざけた呼び方を一切しないことからも、彼の真剣さが三玖には充分伝わってきた。そして総介は、更に補足を入れる。

 

「もしその条件をクリアできたとしても………俺、『持ってない』」

 

「………?」

 

何を持っていないのか、と、疑問に思った三玖だったが、総介は『それ』をジェスチャーで説明した。するとたちまち、三玖の顔が真っ赤になっていく。

 

「………ね。流石に無しじゃ出来ないし、それをしなかった場合のリスクが、さっきの家族バレなんかよりよっぽど高いよ」

 

万が一、このまま欲望に忠実に、三玖を愛せば、それは途轍もない幸福感に包まれるだろう。だが、その先に待っているのは、とても辛い道のりだ。こんな時にオイタをしでかしてしまった後の結末を彼は想像しただけでゾッとしてしまう。

 

総介は三玖を起こして、パジャマのボタンを締めさせて、最初のように、ベッドの端に並んで座る。

 

「………三玖のことは大好きだよ。でも、今ここでするには、今後のことを考えたらリスクだらけなんだ。高校生で、ましてやテスト前でそんなことが発覚したら、三玖の姉妹は勿論、君たちのお義父さんも、黙っちゃいない。ヘタしたら何をするか分からないしね」

 

総介が義父の名前を出した途端、三玖の顔が一気に青ざめる。彼女も、色々と理解したらしい。どうやら効果は抜群だったようだ。

 

「………わかった」

 

「………ありがとう、三玖」

 

理解してくれたお礼に、総介は三玖の髪へと軽くキスをする。こんなキザなことをするのは彼も慣れてなくて、結局後になって勢いに任せてしまった恥ずかしさで悶絶してしまうのだが……

 

「………でも」

 

三玖が何か残念そうに、言葉をこぼした。

 

「?」

 

「………やっぱり、ソースケに……あげたかったな」

 

「………」

 

やめろ、やめてくれ。そんな寂しい顔されたら、また復活しちまうじゃねーか………

 

総介は何か無いか、何か無いかと考えて、速攻で答えを導き出した。

 

「………三玖、じゃあこうしない?」

 

「え?」

 

「もし来週のテストで、三玖が赤点を回避できたら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の家に来て欲しい」

 

総介が、三玖の目を見つめながら言う。

 

「そ、ソースケの家に?」

 

「うん。俺ん家、今ほとんど一人暮らしの状態だし、使える部屋も余ってるから、出来れば、泊まりに来て欲しい………

 

 

 

 

そこで、三玖が望んだこと、全部してあげるし

 

 

 

 

俺も、その……そうなりたいから……」

 

後半は、流石の総介も言ってる内容が色々とぶっ飛んでることを理解したようで、顔を赤くしながら三玖へと説明した。

 

「………ど、どうかな?」

 

赤くなった顔を彼女から少しをそらして、総介は三玖へと尋ねるた。すると、三玖が、ゆっくりと口を開く。

 

「………本当に」

 

「え?」

 

「本当に、赤点じゃなかったら、ソースケの家に、行っていいの?」

 

そう行った彼女の顔は、ウルウルと上目遣いで見つめるという、男子の心臓をブチ抜くトンデモ破壊兵器の表情をしていた。コレ、マジで反則です。

 

「………も、もちろん!なんならもう一緒に住んで、じゃねーや!土日とかで泊まって、どっかにデートとか行こう!」

 

「デート………」

 

危うく欲望が噴き出してしまった総介だが、三玖はデートというワードに気を取られているおかげで、気づいてはいないようだ。助かった……

 

「………わかった。じゃあ、赤点とらなかったら、ソースケの家に泊めてね」

 

「……ああ。約束だ」

 

「うん、約束」

 

その言葉の後、三玖は目を閉じて、口を総介の元へと突き出す。何をして欲しいか、彼にはすぐわかった。断る理由も無いので、彼は三玖の肩を優しく掴んで、く顔を近づけていった。

 

「………ん」

 

「ん……」

 

最初と同じような、触れ合わせるだけの優しい約束のキス。

 

「………ありがとう、ソースケ」

 

「どういたしまして………テスト、頑張ろうね、三玖」

 

「うん……」

 

そう言葉を交わして、三玖は一花の部屋へと帰ろうとする。総介は部屋の出口まで見送るために立ち上がり、ほんの短い距離だが、二人で歩き、三玖がドアを開く前に、最後に振り向いてきた。

 

「………ソースケ」

 

再び目を閉じる。え、また?

 

そう思ったのだが、彼女が求めてくるのが余りにも嬉しいため、総介は速攻でキスを返した。

二人がたったままで口づけをするには、身長差がかなりあるため(総介183cmと三玖推定159cm)、三玖が背伸びをして、総介が前に屈んで彼女の背中に手を回して支えながらキスをする形となる。

 

おやすみのキスを終えて、二人はしばし見つめあった後、三玖から口を開いた。

 

「………これから、よろしくね」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 

それは、二人の想いが、ようやく結ばれたと実感できる言葉。

 

 

「………おやすみ、ソースケ」

 

「………おやすみ、三玖」

 

いつも別れる時は「またね」なのだが、今日だけは違った。互いに寝る場所が近いからなのだろうか。それとも、恋人となって初めての別れの挨拶だからなのか……

 

総介は回していた手を離して、三玖は振り向いてドアを開け、部屋から出て行く。その際、二人はドアが閉まるまで、手を振り続けた。

 

 

 

扉が完全に閉まった後、総介はその場に暫く立ち尽くし、そしてゆっくりとベッドへと移動して、寝転がった。

 

 

 

 

 

 

 

「……………夢じゃねーよな?」

 

 

そう錯覚してしまうほどに、幸せな時間だった。もし、これが夢だったら………

 

 

 

いや、考えたくない。

 

 

「………寝たくねーよ」

 

 

 

もし寝てしまって、夢だったら、という子供みたいな想像をしてしまうのだが、そんな時に限って、眠気は襲ってくるものだ。

 

 

「………三玖……」

 

意識が落ちる直前に思い浮かべたのは、今の意識の中で、恋人となった最愛の人の笑顔。

 

 

 

 

これだけは、この笑顔だけは、夢にしたく無い。

 

 

 

 

 

 

 

頼む

 

 

 

 

 

現実であってくれ

 

 

 

 

 

もし夢だったとしても

 

 

 

 

 

 

永遠に覚めないでくれ

 

 

 

 

 

 

 

ラブコメの神様とやら

 

 

 

 

 

 

 

頼む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

300円払うから

 

 

 

 

 

 

そんなことを最後に考えた総介は、ゆっくりと、幸福に包まれた思いのまま、眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

この話を通して、総介に言いたいことはひとつだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総介爆発しろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おめでとう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方………

 

 

一花の部屋に戻った三玖はというと……

 

ギィ、バタン

 

「…………」

 

「………〜〜〜〜〜!!!!!」

 

(ソースケと、ソースケと恋人に!!!)

 

「っっっ〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 

嬉しさのあまり叫びたいけど、大声を上げるわけにはいかないので、腕をブンブンさせてジタバタする。かわいい。

 

(ゆ、夢じゃ無いよね……本当に、現実だよね!)

 

こっちもこっちで、夢では無いかと疑ってしまう三玖であった。試しに自分で頬をつねってみる。

 

「……イタタっ」

 

夢では味わえない確かな痛みが返ってきた。これが夢ならば、三玖は戦国武将に斬られる夢を何度も見ているので、斬られた痛みで精神崩壊しているはずである。

 

「………っっっ〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

改めて現実だと実感した彼女は、再び腕をブンブン動かして、一花を起こさないように声を立てずに喜びを表現するのであった。ほんとかわいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん、みく〜、なにやってんの〜?」

 

「っ!!!!?」

 

 

 

起きちゃいました。

 

 

でも適当にごまかしたけどね………

 




というわけで、2人は結ばれ、晴れて恋人同士となりました。
このタイミングで2人が結ばれるのは、作品の創作の初期段階から決まってたことだったのは小話とさせていただきます。
てか、ラブシーン書くの難しスギィ!

これからも結ばれた2人を温かく見守っていただけると幸いです。
そして総介、お前はリア充となったのだ。よって爆発しろ。


今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!
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