世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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過去一番長い話となってしまいました。



10000字はあまり越えたくないのですが………
長くなってしまい申し訳ありません。極力読みやすいようにはしましたので、ご勘弁ください。


24.優しさだけじゃ何も救えない

あれから日にちは流れて、試験当日の朝となった。

総介は中野家のリビングでテーブルに突っ伏していたが、一番に目を覚まし、多少の寝ぼけも入りながらもキョロキョロと辺りを確認する。

 

 

 

テスト前日、風太郎の提案で、最後の後詰めとして、一夜漬けで教えるということで、総介共々また泊まることになった。その際、二乃が色々と文句を垂れながらか反対したが、一花と四葉の説得でなんとか納得してもらった。五月は相変わらず自習をするということで、自室に入ったままだった。まあ彼女の性格からして、ちゃんと勉強はしたのだろう。二乃?もちろん参加せずに自室に入って行きましたとさ。

 

そんなこんなで、総介含む残った5人はリビングで夜遅くまで勉強会を続けたのだが、やはり眠気には勝てず、夜中12時を回ったところで続々と脱落者が出始め、最終的には言い出しっぺの風太郎まで寝落ちしてしまう始末。なので、最後の1人となった総介も、翌日に備えてソファにもたれながら就寝した。

 

 

そして朝になって起きた彼の左側には、布団にくるまってスゥスゥと寝息を立てて眠る恋人がいた。

 

(………寝顔、すんげーかわいい……)←アホです。

 

1分ほど、総介は三玖の寝顔に見とれてしまう。もう十分見た所で、テーブルの上に置いてある自身のスマホを取って時間を見る。

 

「………7時18分……」

 

試験のことも考えたら、早めに学校には着いておきたい。なので、準備に時間のかかる女子連中には、そろそろ起きてもらわねば………

 

「………三玖、起きて〜。朝だよ〜」

 

横でぐっすりと眠る愛しい恋人の肩を揺すって起こす。

 

「ん〜、?………ん〜そーすけ?」

 

「起きて〜。もうすぐ7時半だよ〜」

 

「………んん、おはよー、ソースケ……」

 

「おはよう、三玖。顔洗ってきな。目、覚めるから」

 

「………わかった」

 

まだ半分夢の世界にいる三玖を起こして洗面台へと行かせ、総介は残った3人も起こしにかかる。

 

 

 

 

だが

 

 

 

「おい、起きろやこのガリ勉。テスト当日だ。ちゃっちゃと目ェ覚まして準備しやがれ」

 

ゲシゲシと床に眠る風太郎の胴体を足で蹴る。

 

「んん〜、みんな100点だ〜。夢みたいだ〜zzz」

 

「夢だっつーの。さっさと起きろやボケ」

 

胴体の次は側頭部に蹴りを入れる。

 

「イタ!痛いって!ちょ、やめ!イデッ!」

 

容赦なくガンガン頭に蹴りを入れる総介。三玖との起こし方の違いが月とスッポンどころか、スッポンのウンコぐらい差が出てしまっている。

とまあ、手荒く風太郎を起こしたあと、総介は残った一花と四葉を起こそうと2人へと向かい、

 

そして

 

 

 

 

「「………zzz」」

 

「……スゥ、起きろやバカ姉妹共ーーー!!!」

 

「「ウヒャァアアアアア!!!!?」」

 

仲良く並んでテーブルに突っ伏して寝ている2人の間に入り、耳元に口を近づけて大声で叫んで、その衝撃で両者共に飛び起こした。

ていうかこの男、三玖以外の人間の扱いがホントに酷くないか?

 

 

 

 

 

「………これでよし」

 

「よくないよ!」

「よくないです!」

「よくねぇよ!」

 

と、総介に酷い起こされ方をした3人が一度に吠える。が、総介は呑気にあくびをして聞き流すような図太い神経の持ち主なので、顔色ひとつ変えることは無いのである。諦めましょう。

 

「うし、テメーら。今日が試験本番だ。ちゃっちゃと着替えてちゃっちゃと飯食って学校行くぞ。全員遅刻とかシャレになんねーしよ」

 

「……で、でも二乃と五月がまだ……」

 

そう、まだそれぞれの部屋に、二乃と五月、この2人が寝たままいるのだ。

 

「心配いらねーよ。どうせすぐにry

「うっさいわねぇ、朝から何なのよ一体〜」

……ほらな?」

 

 

あれだけ大声で騒げば、そりゃ部屋にいる2人にも伝わるわけで。総介の咆哮の2次被害を受けて目を覚ました二乃が、ヒョコッと眠たそうな顔を上から出した。これで残りは五月だけに。

 

「………浅倉、五月はどうするんだ?」

 

二乃が出てきて1分ほど経ったが、まだ五月は姿を現していなかった。しかし、総介にとってはこんなものは想定内である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………おい!今日の朝飯は肉まん100個か!美味そうだが、こんなにあったら食い切れねぇよ!誰か一緒に食べてくんねぇry

「肉まん100個!!?ズルイです!私にも分けてください!!!」

…………」

 

 

やはりというか何というか、肉まん100個というワードを寝ていながら聞き取った五月が高速で起きて部屋から飛び出してきた。

 

 

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

「………………」

 

 

洗面所から戻ってきた三玖を含めた全員が、部屋からものすごい勢いで飛び出てきた五月をかわいそうな人を見る目で見上げていた。しかし、五月はそれに気づかなかったようで、

 

「………あれ、肉まんはどこですか?」

 

 

 

 

 

 

総介が前にも言っていたが、本当にめでたい末っ子である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ色々とありつつも、全員ちゃんと起床し、二乃の作った朝ごはんを食べ、各々準備をして学校へと登校した。

 

 

原作にあるように、ギリギリに起きて遅刻なんてしないし、迷子になった外国人の子どもは、どっかのハーフ侍女(英語ペラペラ)によって無事に母親のもとに届けられた。

 

 

ドッペルゲンガー作戦?………知るかんなもん。

 

 

 

………………………………

 

 

 

原作のイベントすっ飛ばしはいいとして、何事もなく余裕を持って学校に到着した総介、風太郎と五つ子たち。それぞれが自分の教室に向かう前に、風太郎が全員に声をかけた。

 

「みんな、ここまでよく頑張った!あとは自分たちの積み重ねてきたことを本番にぶつけるだけだ。落ち着いて、緊張せずにテストに臨んでくれ。俺が言えるのはそれだけだ」

 

「はい!頑張ります!」

 

「いい点取って、2人を驚かせないとね」

 

「………がんばる」

 

風太郎の言葉に、四葉、一花、そして三玖が、それぞれの意気込みを口にする。この3人は、テストまでの一週間、風太郎と総介が付きっきりで教えてきた者たちだ。少なくとも、前に風太郎によって実施された実力テストの点数よりは、成績は伸びているはずである。

特に三玖は、3人の中でも飛び抜けて知識を身につけている。当初は総介がマンツーマンで勉強をおしえていたが、ここ一週間は、彼は三玖に対してもう心配はいらないと判断して、一花と四葉を重点的に教えていた。三玖は、わからない箇所があれば総介と風太郎に聞き、覚えるまで何度も繰り返していた。無論、一花と四葉も、精力的に勉強に取り組んでいたので、あとは結果を出すのみである。

 

 

「あなたに言われるまでもありません。私は、自分のしてきたことを信じるまでです」

 

3人に遅れて、五月も言葉を発する。彼女は結局、3人の中には入らずに、一人で勉強をした。それがどう結果に現れるのか………

 

「………言っとくけど、あたしはパパに真実をそのまま伝えるから」

 

最後に二乃が口を開く。彼女は最後まで、勉強会に参加するどころか、ほとんど勉強をせずに試験当日を迎える結果となった。

 

「…………」

 

 

「三玖」

 

そう話す二乃を、不安な表情で見つめる三玖。そんな彼女を見た総介が、三玖の肩に手を置いて、声をかけた。

 

「………まずは自分のことに集中すること。話はそれからだよ」

 

「………ソースケ………」

 

彼の言葉に、三玖は少し気が楽になる。

あれから総介は、三玖と話をしたのだが、結局、試験が終わるまでは、恋人としての関係は皆には明かさないことで落ち着いた。それで他の姉妹が試験に集中できなくなるといけないし、何より二乃にバレてしまえば事態がどんな事になるかもわからない。既に互いに想いが通じ合っている分、皆の前での過度な接触はあまりしない方が良いということで、2人はキスはもちろん、手を繋ぐことも、あの日の翌朝以降から避けていた。

 

「……最後に自分を信じれるのは、自分だけだよ」

 

「!」

 

あの日、2人が食堂で初めて話をした日のことを、三玖は思い出していた。

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

『自信なんて後からいくらでもついてくらー

 

でもよ、今の自分を信じられるのは友達でも妹さんでもねー

 

自分自身だろうが』

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

総介と話をして、自信を持とうと考え始めた、あの日の彼の言葉。そう思い始めてから、彼に出会った。今度は、家庭教師と、生徒として。

 

 

 

彼といろんな話をして

 

勉強を教わって

 

初めて人を好きになって

 

お祭りに行って

 

守ってもらって

 

家に泊まってもらって

 

告白して

 

両想いだと知って

 

恋人同士になった

 

 

ここまでしてきたことを、無駄にはしたくない。彼に、変わった自分を見せたい。このテストで、自信を持てるような結果を出したい。

 

 

 

 

 

 

 

だから

 

 

 

 

 

 

 

「………ありがとう、ソースケ」

 

 

 

 

 

今はこれだけ。大事なのはこれから。大好きな人からもらった勇気を私は、今できる最高の結果を出して、彼に恩返ししたい。

 

 

「ほら、三玖も一緒に〜!」

 

「え?」

 

ふと、後ろから来た四葉に腕を掴まれた三玖。五つ子全員が円になって集まり、それぞれの親指と小指を結ぶ。

 

 

 

 

 

「………死力を尽くしましょう」

 

 

 

 

「頑張るぞー!」

 

「おー!」

 

 

 

 

 

いよいよその時が、やってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてテストを迎え、最初の教科の社会の残り10分、風太郎はペンを起き、手を組んで、下を向きながら、気が気でない状態だった。

 

そんな彼を見てどこぞのハゲ教師はしたり顔をしているが、既に彼は全部の空欄を埋め、見直しも完璧に終えていた。彼の中で渦巻いていたのは……

 

 

 

 

 

(………みんな、頼むぞ!)

 

 

 

 

五つ子の心配だった。

 

 

 

 

 

というわけで、得意教科ごとに、五つ子の試験の様子を見ていきましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・中野三玖〜社会〜

 

(難しい問題ばっか……でも歴史なら分かる……)

 

社会のハゲ教師が風太郎のために用意した問題のせいで、思わぬ妨害を受けた三玖。しかし、

 

(………あ、ここ、ソースケに教えてもらった所………すぐに思い出せた……)

 

総介と一番一緒に勉強してきたのは伊達ではなかった。今までとは比べものにならない程に、空欄が埋まっていく。

 

(………ソースケ、私、頑張る……ソースケの家に行くために…)

 

決意を新たに、三玖はペンをカリカリと進めていった。

 

 

 

 

・中野四葉〜国語〜

 

(う〜ん………思い出した!)

 

四葉がカッ!と目を開いて思い出したもの、それは……

 

(五択問題は四番目の確率が高いっと)

 

…………ハイ次。

 

 

 

 

 

・中野二乃〜英語〜

 

(討論……討論……わかんないや、次……)

 

問題を飛ばそうとした二乃だったが……

 

『[でばて]と覚えるんだ』

 

(…………勝手に教えてくるんじゃないわよ)

 

たまたま聞こえた風太郎の言葉を思い出してしまった二乃。仕方なく解答欄へと書き込んでいく。その様子を、後ろの席から友人の渡辺アイナが見つめていた。

 

(………二乃、頑張ってくださいね)

 

試験前、念のために互いに頑張ろうと健闘を誓った(と言う名目でテストに集中させる)彼女を見ながら、アイナはズバズバと信じられない速さで空欄を埋めていった。

 

 

 

 

 

・中野一花〜数学〜

 

(終わった〜。こんなもんかな………おやすみー)

 

ある程度空欄を埋めて、一花は机に突っ伏して寝ようとした。

 

(……………式の見直しくらいしてもいいかな)

 

再び起き上がり、試験の用紙を見つめる一花。どうやらしばらくは寝れそうにないみたいだ………

 

 

 

 

 

・中野五月〜理科〜

 

(…………あなたを辞めさせはしません)

 

実を言うと五月は、風太郎と仲違いした日、あの後に独自に義父へと電話をして、真実を知ったのだった。

 

………………

 

『一人でも赤点なら辞めてもらうと先程伝えたんだ』

 

「本当ですか、お父さん?」

 

………………

 

その真実を知りつつも、五月が風太郎と仲違いしたままだったのは、彼女の気難しく頑固な性格のせいだろう。

ちなみに五月は、総介と三玖、二乃もこの件を知っていることを知らない。なので……

 

(らいはちゃんのためにも!念のためです!)

 

完全な独り相撲状態になっていることにも、気づいてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各々が各教科で奮闘し、試験は思った以上にあっという間に過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

え?総介?彼は………

 

 

 

 

 

(…………はい、ジャスタウェイ完成〜)

 

 

 

 

大体答えを書き終えて、問題用紙の裏にジャスタウェイの落書きしてましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

それから日にちが経ち、試験の結果が帰ってきた。全員が全教科受け取ったのを確認した風太郎は、総介に連絡をして、五つ子の中間試験結果の報告会を開くと言った。総介は彼の提案に、

 

「あんま周りに聞かれんのもアレじゃねぇか。どうせなら、五人の家ですればいい」

 

と返し、彼らは五つ子のマンション『PENTAGON』へと集合した。

 

 

 

 

「よぉ、集まってもらって悪いな」

 

「てかここ『あたしンち』なんだけど?」

 

「アニメのタイトルみてぇに言うな。お前あのアニメに中の人出てなかったろうが」

 

「別に中の人が出てるアニメ言ったんじゃないわよ!ていうか、何で出てる前提で言わなきゃいけないのよ!」

 

二乃のツッコミを、総介がメタボケで返す。この光景も、出会ってからだいぶ板についたようだ。その様子を、風太郎が咳払いをして、話を戻す。

 

「………ゴホン!話を戻すぞ。今日は中間試験の報告をしてもらうために来た。と言うわけで早速だが

 

 

 

 

 

 

 

答案用紙を見せてくれ」

 

 

 

内心緊張しながらも、平静を保って彼女たちへと呼びかけた。

 

「はーい。私は……

 

 

 

「見せたくありません」

 

一花から見せようとしたのだが、それを五月が遮った。

 

「テストの点数なんて、他人に教えるものではありません」

 

「………」

 

「個人情報です!断固拒否します!」

 

「………五月ちゃん?」

 

涙目になりながらも、頑なに結果を見せない五月。つまりは、そういうことなのだろう。

 

 

二乃を除いた全員が、五月を心配そうに見る。ただ総介だけは、気だるげな表情を一切崩さずに、椅子に座りながら彼女に冷たい視線を向けていた。風太郎はその様子を見て、全てを察したようで、腹を決めて彼女へと話しかける。

 

 

「………ふぅ……ありがとな、五月。でも、覚悟はしてる。教えてくれ」

 

その言葉に、五月も折れたのか、ようやく答案用紙を見せる気になったようだ。それに続いて、他の四人も続々と用紙を取り出す。

 

 

 

 

ここで、中間試験の五つ子の結果を見ていこう。

 

 

 

 

 

 

・中野一花

国語……29

数学……55

理科……38

社会……30

英語……37

五計……189

 

「国語が赤点になっちゃったけど、今までこんな点数取ったことないよー。ありがとね、2人とも♪」

 

・中野二乃

国語……15

数学……19

理科……28

社会……14

英語……43

五計……119

 

「国数理社が赤点よ。言っとくけど、手は抜いてないから」

 

・中野三玖

国語……40

数学……41

理科……38

社会……77

英語……31

五計……227

 

「英語が危なかった……でも、ちゃんと全部赤点回避できた。ありがとう、ソースケ。……あと、フータローも」

 

「『あと』ってどういう意味?」

 

・中野四葉

国語……44

数学……20

理科……29

社会……34

英語……23

五計……150

 

「ジャーン!国語と社会が30点以上でした。ほとんど山勘ですが、浅倉さんや上杉さんに教わったとこも、少し覚えてました。こんな点数初めてです!」

 

・中野五月

国語……27

数学……22

理科……56

社会……20

英語……23

五計……148

 

「合格ラインを超えたのは一科目………理科だけでした……」

 

「………そうか」

 

 

 

 

これが、今回の中野家五つ子の中間試験結果である。総介、風太郎から教わった者と、教わらなかった者の差がはっきりと出た形だ。

その中でも三玖は、唯一の全教科赤点回避と見事にノルマを達成した。特に社会は、総介と得意科目が被っていただけあって、頭一つ飛び出て70点台を叩き出すという快挙を成し遂げた。

一花、四葉も、自身のベスト記録を大幅に更新出来たが、一花は1つ、四葉は3つ赤点をとってしまった。とはいえ、十分成績を上げることには成功したのだ。

 

「………まぁ、これが今俺たちが出来ることの全てだな」

 

「………浅倉……」

 

五つ子に初めて会った時には、この5人の成績を上げるのは不可能だと風太郎は思っていた。その中で藁にもすがる思いで連れてきた家庭教師の助っ人。あの時、頼んでおいて本当に良かったと、彼は思った。

 

「………ありがとな、浅倉」

 

「ん?」

 

「お前がいなきゃ、みんなここまで成績が上がることはなかった。本当に、礼を言わせてくれ」

 

「………今回の試験じゃまだ早いが、例えお前一人でも、いずれはここまでいけたはずだ。それを俺は少し早めた………ただ、それだけだ」

 

そう言うと総介は立ち上がって、まずは一花と四葉の二人へ目を向けた。

 

「お前ら、すげーじゃねぇか。あのテストから比べりゃ、月とスッポンのウンコぐれー差が出たんだ。誇っていいぞ」

 

「す、スッポンのウンコ……ですか」

 

「せめてスッポンで止めてよ……」

 

そうげんなりする二人の元へと総介は向かい、両手を二人の頭に乗せる。

 

 

 

 

 

 

 

「………よく頑張ったな。これからも成績落とさねーようにしろよ」

 

「………えへへ、はい!頑張ります!」

 

「……なんかこういうの、照れるね」

 

二人の頭を優しく撫でる総介。だったのだが……

 

「………でもな」

 

「「?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せめて30点以上ちゃんととれやぁぁあ!!!」

 

その叫びと同時に、総介は一花と四葉の髪をワシャワシャとかき乱し始めた。

 

「ギャァア!浅倉さん!髪が、髪がボサボサになっちゃいますぅう!」

 

「せっかく朝セットしたのに〜〜〜!」

 

「知るかぁぁあああああ!!」

 

しばらく彼のワシャワシャ攻撃は続いた。 まあこれも、総介なりの労いなのだろう。こんな労い方はされたくないけどね!てか総介、笑いながらしてるし………

 

「ったく……」

 

ワシャワシャ攻撃を終えて、パンパンと手を払いながら総介が呟く。

 

「うぅ、髪がボッサボッサですぅ」

 

「直さないと……はぁ」

 

鏡を見て髪を整える二人を尻目に、総介はつぎの人物へと目を向けた。

 

「………ソースケ……」

 

目を向けられた三玖は、少し悲しそうな表情をしていた。言いたいことは分かる。しかし今は、彼女の健闘を称えるべきだと、総介は彼女に手のひらを向けて呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三玖…………おいで」

 

 

「!!………うん!」

 

控えめに手を広げる彼の呼びかけに、三玖は素直に応じて、彼女は総介の胸元に飛びついた。それを優しく受け止めて、肩と髪に手を回す。

 

「………よく頑張ったね。すごいよ」

 

「………ソースケが、私に勇気をくれたから……初めて総介と話したあの言葉、ずっと思ってたから……」

 

総介は、三玖の頭を優しく撫でながら、彼女と食堂で初めてちゃんと話合ったことを思い出す。半分心の中で黒歴史になる事も覚悟していたのだが、どうやら彼女の心に響いてくれてたみたいだ。

 

「………それでも、頑張ったのは、三玖自身だよ。三玖が頑張ろうと思わなかったら、赤点回避は出来なかった…………ありがとう」

 

「………頑張れたのは、ソースケのおかげ。ソースケがいたから、いろんなことを覚えることができた。………ありがとう、ソースケ」

 

「………三玖……」

 

互いに礼を言いながら、三玖と総介は抱き合ったまま微笑みながら見つめ合う。しかし、三玖の方はどうしても先のことが気になるようで、再び悲しい表情へと戻ってしまう。

「………でも……ソースケは、もう……」

 

「………」

 

全員の赤点回避は、結局叶わなかった。よって義父に雇われている風太郎は、ノルマ未達成ということで、クビとなる。そうなれば、自然と彼の助っ人である総介も、道連れとなってしまうのだ。しかし、総介は、

 

「………心配いらねぇよ」

 

「え?」

 

「………上杉をクビにはさせやしねぇ。

 

 

 

 

君らは精一杯頑張ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから先は、俺の仕事だ」

 

総介の言う言葉に、三玖は疑問を隠せない。

 

「………?それって、どういうry

 

 

 

 

 

 

「ちょっと待って待って!!ストップストップストォォォォッッップ!!!!!」

 

二人きりの世界の中、叫びにも近いおおきな声で二乃が話を止めた。

 

「三玖!!アンタ何ソイツに毎回抱きついてんのよ!しかもこの上なくイチャイチャして、まるで彼女と彼氏じゃないの!

 

アンタも、三玖から離れなさいよ!」

 

どうやらイチャイチャしてたのが癇に障ったらしい。てか『まるで』とか言ってるけど、ほんとに彼氏彼女だからね。

 

「うるせえな。デケェ声出すんじゃねぇよゼシカ」

 

「誰がドラクエVIIIの巨乳令嬢よ!メラゾーマ唱えるわよ!」

 

「………二乃、これは……」

 

「………いい、三玖。俺から言う」

 

三玖が説明しようとしたところで、総介が彼女を止めた。そして彼の口から、全てが語られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つーわけで紹介するわ。1週間前から恋人として交際してる、中野三玖です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………え?」

 

 

 

 

「「「「「えええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!」」」」」

 

 

総介と三玖以外の全員が絶叫にも近い雄叫びをあげて驚いた。そんな中総介はというと……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………はい、報告終わり。次はと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待てぇぇぇぇぇええええええええ!!!!!!!」」」」

 

総介が何の表情も変えずに次の人の寸評へ行こうとしたら、めっちゃ止められた。そりゃもう急ブレーキ横から踏まれたような感じで止められた。

 

「浅倉!三玖と恋人同士って!?……ええ!?」

「ていうか、二人ともいつの間に付き合ってたの!?」

「浅倉さん!やっぱり三玖の事が好きだったんですね!おめでとうございます!」

「ふざけんじゃないわよ!!何勝手に妄想言ってんのよ!!いい加減にしなさいよ!!」

 

一度に全員が総介に迫りながら喋ってくるで、彼は彼女たちを止めて、一人ずつ処理していく。

 

「………いっぺんに喋んなやテメーら……まぁいい。まず上杉。そういうこった。この前テメーが闇のオーラ抱えながらボロクソ言ってた恋愛関係って奴だ」

「や、闇のオーラ……」

 

「んで長女さん。アンタが上杉と俺を泊めた日に、互いに告白して付き合うことになった」

「やっぱり……あの夜、三玖が変なことしてドアの前に立ってたのって、そういうことだったんだ〜」

「………い、言わないで……」

 

「次に四葉。ありがとさん」

「どういたしまして!浅倉さん、三玖!幸せになって下さい!」

「四葉………ありがとう」

 

「んで最後に、俺は妄想とかしてねぇ。三玖と付き合ってんのは、現実だってんだ」

「ちゃんと私から告白して、それにソースケが応えてくれた」

「………認めないわよ、あたしは」

 

二乃はとってはあくまで、総介と風太郎は姉妹の中に入ってくる害虫でしかない。さらに、その内の一人が三玖と交際していると言っているのだ。たったひと月で、姉妹のうちの1人に彼氏が出来た。それも、自分の一番嫌いな男。認めてはならない。このままではコイツのせいで、いずれ姉妹がバラバラになってしまう。彼女はそう感じていた。

 

「………認めてたまるか。アンタなんかに……三玖が……」

 

顔を下に向けて怒りを堪える二乃だったが、総介は無表情のままでこう言った。

 

「お前が認めようが認めまいが、そんなのは関係ねーんだよ。要は俺の気持ちに、三玖が応えてくれた。それだけだ」

 

正論だった。総介の気持ちを三玖が受け止めた。三玖も、総介に気持ちをぶつけた。これで互いは結ばれたのだ。二乃がいくら吠えようとも、二人の、三玖の想いが変わる事は、万に一つも無いだろう。

 

「………ッ!」

 

遅かった。やっとこれで、邪魔な連中は消えると思ったのに、それよりも前に、二人は結ばれていた。完全に自分の空回りとなってしまった。

しかし、いずれ彼女たちは、それぞれ別の道を歩むことになるのだ。二乃のまだ仲の良い五人のままでいたいという思いも、他の姉妹には十分理解できる。しかし、根本を見れば、彼女たちはひとりひとり別の人間である。体も違うし、心も違う。誰かが好きな人を皆が同じく好きになることなんてないし、それぞれも別々の想いを抱くだろう。遅かれ早かれ、いずれその時はやって来るのだ。

 

「………二乃……」

 

悔しさ、寂しさ、怒り、悲しみ……そんな複雑な表情が重なって見える二乃を、三玖を始めとした姉妹たちが見つめている。しかし、彼女は意を決して、顔を上げて、彼と風太郎を指差しながら反撃へと出た。

 

「………でも、もう終わりよ。このテストで、アンタたち二人は、家庭教師クビなんだから!」

 

「………」

 

「え?クビ?どういうことですか、浅倉さん?」

 

「………何だか事情があるみたいだね。教えてくれないかな?」

 

四葉が意味不明だという表情をする。一花も、事情を察したようで、四葉と同じく総介に疑問を投げかけた。

 

「………実はだな」

 

「いや、浅倉。これは俺に言わせてくれ」

 

「………上杉」

 

説明しようとした総介を風太郎が制止した。しかし、

 

「………いや、その前に、話を変えよう。もう一人、色々言いたい奴がいる」

 

「え?」

 

事情の説明をしようとした風太郎を、次は総介が制止した。さらに、別の話があると、彼はこの件はいったん後に回すことにし、もう一人のその『言いたい奴』に視線を向けた。

 

 

 

「………」

 

そこには、総介と三玖の交際に驚きながらも、それ以降は黙ったままの五月がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………どうだ。『足手まといになるつもりは無い』って言っときながら、一番の足手まといになった気分は?」

 

冷たく、棘のある総介の言葉が、五月の心を抉り始める。

 

「あ、浅倉。五月も頑張ったんだ。それを……」

 

「黙ってな、上杉」

 

風太郎が彼を鎮めようとするが、冷たく突っぱねられる。どうやら本気らしいと感じた風太郎は、総介を止めようにも、止められないと思い、今はただ静観するしかなかった。

 

「………」

 

五月は黙ったまま、下を向いている。

 

「別に俺から教わったら、赤点回避できるとまでは言やしねぇさ。現に長女さんと四葉も、俺たちと一緒に勉強していても、赤点回避はできなかったんだ」

 

その言葉を聞いて、一花と四葉は申し訳ない表情になってしまうが、総介は彼女たちを責める気はさらさらなかった。

 

「………けどな、それでも、あの二人はお前よりは良い点数は取れた。あの最初に見たテストでドベだった四葉が、今やお前より合計点数が勝るぐれーに成績が上がったんだ。」

 

総介の言葉に、四葉は嬉しくも、ちょっと複雑な気持ちも混じった表情になってしまう。

 

 

「………た、たまたまです」

 

「そうよ!今回は山勘が当たったって四葉も言ってたじゃない!」

 

五月がささやかな抵抗を試みて、二乃もそれに便乗する。しかし、総介は二乃の方には一切目を向けることはなく、五月だけを見据えていた。

 

「俺や上杉が気にくわねーんなら、好きに言っときゃいい。いくら吠えようとも結果は変わんねー。

 

 

でもな、『偶然』とか、『たまたま』とか、そんなもんで、コイツらの努力を片付けんのは頂けねーな」

 

頭をかきながら、総介は気だるげで、アンニュイな雰囲気を一切崩さない。黒縁眼鏡の奥にある目も、死んだ魚のような目と例えられるにふさわしいやる気の無い表情であるのに、彼の言葉だけが、一様に棘を帯びて五月へと刺さっていった。

 

「この3人は恥もプライドもかなぐり捨ててまで、上杉と俺と一緒に必死で勉強してきたんだ。わからんとこがあったら誰かに聞いて、間違えたら何度もチャレンジして………小さな失敗を積み重ねてでも、みんなで修正し合って、コイツらはこれだけ点数を伸ばせたんだ。俺たちが教えたってのは、成績の上がった要因の一割にすぎねー。それぞれが必死で頑張った九割が、コイツらの背中を押して、これだけの結果を出せたんだ。

 

 

 

 

 

それを『たまたま』なんてもんで片付けてんじゃねーよコノヤロー」

 

総介の声が、一段と低くなる。その凄みに、強気で反論してきた二乃までも、口を開かないほどの重い空間が部屋に立ち込めていた。

 

「………」

 

五月は目に涙を溜めて、ソファに腰掛けてスカートに置いていた手を、スカートごと皺くちゃになるまで握りしめる。

 

「ならテメーはどうなんだ?『一人でも勉強はできる』とか言っといて、このザマか?上杉にくだらねープライド振りかざしてまで貫いた結果が、これか?」

 

「………」

 

とうとう五月の目から、涙が溢れ落ち始めた。それを見た他の皆は動揺を隠せず、五月を心配するが、総介は一ミリとも表情を変えず、氷の棘で出来た言葉を容赦なく叩き込む。

 

「自分の今の位置を知っときながら、チンケなプライド守るために、誰にも頼る事なく一人でやって、結果自滅した。

 

 

 

 

そういうのを『独り善がり』ってんだよ」

 

「………ソースケ」

 

溢れ続ける末っ子の涙に、我慢できなくなったのか、三玖が彼のパーカーの裾を握りしめ、止めた。

 

「………もうやめて。五月も、十分わかったはずだから……」

 

彼女の言葉に、ソースケは………

 

 

 

 

 

「………これだけは覚えとけ。一人で勉強なんざ、そんなの、誰でも出来るんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でもな、今のテメーじゃ、『一人で成績を上げることは、いくらやっても出来ない』………」

 

頃合いと見て、最後に彼女へ向けた言葉を突き刺してから、視線を外した。それを合図と見たのか、三玖と四葉が、五月へと近づいて、慰め始めた。

五月はしきりに、二人に向けて泣きながら「ごめんなさい」と、試験で足を引っ張ったことを謝り続けたが、二人がそれを咎めることは一切なかった。

総介は肩の力を緩めて、目元を指で抑える。そんな彼に、風太郎が声をかけた。

 

「………浅倉、いくらなんでもあれば言い過ぎじゃ」

 

「テメーは優しすぎるんだよ」

 

食い気味で風太郎へと言葉を返す。

 

「え?」

 

「優しさだけで、全部が救われると思うんじゃねーぞ、上杉。そんなもんをしても、数字上の『結果』は変わりゃしねーんだ。今ここでアイツを慰めて、それでアイツは自分のオイタを反省すんのか?次に向けて進めんのか?」

 

「………それは」

 

「そう思ってんのなら、考えを改めろ。寄り添うばかりじゃなく、時には見捨てろ。それも一つの道だ。社会じゃ当たり前に起きていることだ。情が移った事が原因で、全員の足を引っ張ったら、それこそ取り返しのつかねーことになるぞ」

 

「………」

 

風太郎は何も言い返せなかった。今現在、彼の置かれている状況が、五月と酷似していたからだ。

風太郎も五月も、結果を出せずに、非情にも切り捨てられてしまう存在だ。前者は家庭教師の雇い主から。後者は総介から。

ノルマを課され、それを達成出来なかったら、クビ。今現在の社会では、当たり前に起きている出来事だ。言ってしまえば、学校のテストや通知表などはまんまその縮図である。

目標へと向かうグループの中で、誰かが足を引っ張る存在となろうものなら、トカゲの尻尾の如く、容赦なくバッサリと切り捨てる。これも世間では一般的に起きている。

理不尽だが、これらは社会では当たり前の現実なのである。

 

「………じゃあ、二乃はどうなんだよ?アイツも全く勉強しなかったじゃねーか」

 

風太郎も反論に出るが、総介は冷静に、答えを返す。

 

「アイツの場合は別だ。俺たちをクビにするのが目的ならば、勉強をする必要は無い。アイツはアイツで、自分の目標を持って、それを達成したまでだ。それを俺らがとやかく言えるもんじゃねーんだ」

 

「………そんな……」

 

風太郎は改めて思い知った。二乃もどこかで、きっと力になってくれるはずだと思っていた。しかし、最後まで彼女は、自分と総介の敵だった。二乃にとっては、風太郎と総介は不要な存在。それが変わることは、一度たりとも無かった。それを敵である風太郎や総介が、どう糾弾出来ようか……

 

「………」

 

彼は痛感した。自分の考えの甘さを。二乃、五月。この二人に対して、認識が甘すぎたのだ。信じるばかりで、結局は何も見ようとしていなかった。

 

 

 

 

 

 

『優しさだけじゃ、何も救えない』

 

 

 

「………ッ!」

 

今はただ、この言葉を反芻して、後悔することしか、出来なかった。

 

「………ねぇ二人とも」

 

そんな中で、一花が声をかけてきた。

 

「一花……」

 

「………さっきから、『クビ』って言ってるけど、一体なんの話なのかな?」

 

「………」

 

風太郎は、一花にそう問われたところで、総介を見た。総介も、もう言っていいだろうと思い、風太郎を見て軽く頷いた。

 

「………わかった。全部話す」

 

そう言うと風太郎は、この場にいる全員に聞こえるように、説明を始めた。

 

 

 

 

「………試験の1週間前に、お前たちの父親から、連絡があったんだ。『五人のうち誰か一人でも赤点をとれば、家庭教師を辞めてもらう』って」

 

「………え?」

 

「そんな!」

 

それを初耳で聞いた一花と四葉が、驚愕の表情を見せる。対して、二乃、三玖、五月の三人は、そのことを知っているので、黙ったままだった。

 

「………じゃあ、浅倉君も?」

 

一花は次に総介へと尋ねる。

 

「………俺は上杉に頼まれてやってきた助っ人だからな。しかも、あんたらの父親は、俺の存在を知らねー。上杉がクビなら、俺も芋づる式で道連れだ」

 

「………そう、だよね」

 

一花は事実を聞いて、不服の表情を浮かべながらも理解した。

 

「そんな!嫌です!」

 

四葉の方は、まだ納得できてない様子だ。

 

「せっかく上杉さんや浅倉さんに会えて、勉強もたくさん教わって、点数も上がったのに……これで終わりなんて、そんなの……あんまりです……」

 

「……四葉……」

 

普段は姉妹一元気な四葉も、この事実を聞いて悲しみの表情を浮かべる。心なしか、頭のリボンもクタクタに垂れ下がったようにも見える。

一番明るい四葉がそうなってしまったからか、部屋には暗い雰囲気が全体を包んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

prrrrr♪

 

それに追い打ちをかけるように、電話の着信音が鳴る。

 

「………父です」

 

「「「「「!!!!!」」」」」

 

ようやく泣き止んだ五月が、電話を取り出して通話相手を告げる。あたり一帯が、緊張で満たされる。

 

(………来やがったか)

 

そんな中でも総介だけは、いつもの表情を崩さないまま、五月のスマホに目を向けていた。そして彼は、風太郎へと視線を移す。

 

 

 

 

 

 

 

(…………上杉、テメーをクビにはさせやしねぇよ。

 

 

 

 

 

デカイ借りもあるしな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に、最終手段のうちの一つを使うときがやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果たして、総介がクビを回避する手段とは一体何なのか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼らは、本当にクビを回避することが出来るのか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今ここに、総介と義父『マルオ』の直接対決が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




総介の正体まで、あと2話…………かもしれない。



今回もこんな駄文、しかも長文を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

次回はいよいよ総介と五つ子の義父の直接対決です!
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