そしてこの話の投稿と同時に、作品のタイトルを
『世界でたった一人の花嫁』から
『世界でたった一人の花嫁と
へと変更しました。
長ったらしい名前なので、『
総介は大門寺家からベスパを走らせて、一旦自宅へと帰宅した。そこで自身の持つ日本刀を置き、着ていた服を洗濯機にぶち込んでから軽くシャワーを浴び、着替えを済ませてから徒歩で五つ子の住むマンション『PENTAGON』へと向かった。
(…………眠て〜)
アイナには強がってはいたが、総介はこの3日間での総睡眠時間が5時間にも満たなかった。それも移動中の車内での睡眠のため、熟睡と呼ぶには程遠い状態が3日続いた。その中で圧倒したとはいえ、命のやり取りを5回も繰り返したのだ。彼の眠気も限界を迎えようとしていた。
それでも何故彼が余裕の表情が出来るのか?『刀』に所属してから厳しい訓練の成果とも言えるが、この場合はやはり、最愛の恋人に会わずして、一人夢の世界へ旅立つことは是が非でも出来ないという意地に他ならない。
せめて、三玖と会って、彼女を安心させたい……
今、総介を動かしているのは、この一つの願いのためだった。それまでは、くたばるわけにはいかない。彼は眠たくなる体にムチを打ちながら、決意を新たに三玖のもとへとはを進めていった。
………………………………
歩いて十数分で、総介は『PENTAGON』の敷地の入り口へと到着した。そこに到着すると、向かい側から、見覚えのある姿がこちらへと向かってくる。
それは、癖のあるロングヘアに、頭頂部にはチョン、と立ったアホ毛、目より少し上の髪には、星型の髪飾りが付いている。
彼女の肘には、白いビニール袋がかけられており、袋口からはネギや大根が見える。おそらく、買い物帰りなのだろう。そしてその手には、彼女のアイデンティティとも言えるかもしれない、ホカホカと白い煙をあげる丸い食べ物を口へと持って頬張っている。しかし、こちらに気づいたようで、その食べ物を口へと運ぼうとする手が止まり、驚愕の表情をしてこちらを見つめていた。
「お前はいつ見てもそればっか食べてんのな
肉まん娘」
「………あ、浅倉君!?」
総介がはぁとため息をついて見る先には、驚きの顔のまま固まった中野五月の姿があった。
………………………………
五月と思わぬ合流を果たした総介は、いちいち別れて入るのも面倒だということで、彼女と一緒に部屋に行くことにした。
だが、出会ってから五月の様子がどうもおかしい。なんというか、こちらを怖がって避けようとしてるようにも見える。
(まあそらそうか。あんなこと言っといて、意識しねぇわけねえもんな)
総介がこの部屋を出て行く前に、彼は五月に対してかなり厳しい言葉を浴びせた。総介にとっちゃ独り善がりで周りに頼らなかった彼女に現実を突きつけたに過ぎないが、五月にとっては軽いトラウマほどのレベルになっていた。自分への説教と、義父の『マルオ』に一切臆することなく啖呵を切ったことが、元々怖がりな性格も相まって、五月は総介を恐怖の対象のような見方をしてしまっていた。
しかし、総介からすれば、そんなことはどうでもいい事だし、説教の件については謝る気は一切無いので、ビクビク震える彼女を完全無視し、五月にエントランス内に入れてもらい、ちょうど一階に止まっていたエレベーターへと乗り込む。
「………乗らねーのか?」
「え!あ、はい……乗ります」
どうも挙動不審が過ぎる。しかも、エレベーターに入ったら端っこに身を寄せて縮こまってしまった。めんどくさい………総介は振り向いて、端っこでビクビクする五月へと声をかけた。
「………なぁ」
「ひっ!……な、何でしょうか」
「俺は別にお前をとって食ったりしねぇし、なんかするつもりもねぇからそれやめてくんねーか?こっちまで無駄に気ィ遣っちまうんだが」
「わ、私は美味しくありませんよ!」
「だから食わねぇっつーの俺を何だと思ってんだよ……」
「……お、鬼みたいな人です」
「………」
"ある意味"正解である。
「はぁ……」
彼女の挙動っぷりに呆れて物も言えなくなる。気まずい空気が、エレベーター内へと立ち込めてしまう。と、五月が口を震わせながら言葉を発した。
「………ごめんなさい」
「ん?」
突然の謝罪に、総介は後ろの端にいる五月に振り向いた。彼女が下を向き、未だ震えながら総介へと体を向けている。
「……試験のとき……あんな事言いながら、何のお役にも立てず………足を引っ張ってしまって……ごめんなさい……」
「何で俺に謝るんだ?」
「え?」
意を決して、勇気を振り絞った五月の謝罪に、総介は即座に疑問を呈した。五月が、顔を上げて目を見開く。
「別に俺は怒ってないし、俺はお前のテストの結果に対してはああなって当たり前だと思ってるし。つか、俺はお前のことなんかどうでもいいし」
「ど、どうでもいい……」
その言葉に、五月は心を打ちひしがれてしまう。怖がりながらも精一杯の謝罪を、一切表情を変えることなく冷たく突っぱねられた。こんなにも頑張って謝ったのに……
五月の中で、総介に対し軽く怒りが湧き上がる。
「………じ、じゃ何で、何であんな事を私に言ったんですか!?」
「アレをお前の為を思って言った事だと思ってんのか?つくづくめでてー女だなテメーは」
「……え?」
「長女さんとバカリボンは、どんな思いかは知らねーが、成績を上げたいって思ったから、上杉と俺と一緒に勉強してたんだ。三玖も、まぁあの子は俺を好きでいてくれたからってこともあるけど、それなりにしんどい思いして、試験まで頑張った。そして上杉は、一枚岩じゃない姉妹に振り回されながらも、俺に助けを求めてまでお前たちに勉強を教え続けたし、お前を最後まで信じていた。
どんな思惑はあれど、それぞれが赤点を取らねーために、必死こいてやってきたんだ。
それをお前は、自分が嫌だからって上杉を拒絶した挙句、ロクな点数も取れなかった」
「………」
五月は黙り込み、再び下を向いてしまった。総介のチクチクと突きつけてくる事実に、何も言い返すことが出来なくなってしまった。その様子を見た総介も、エレベーターの出口へと顔を戻す。
「………もちろん上杉にも落ち度はある。言い方はきつい奴だが、野郎は最後までお前を信用してた。それを裏切ったのは他ならねーお前だ。
ここまで言えば、お前が本当に謝る相手も、今ならわかるよな?」
「………はい」
小さい声だったが、確かに五月はそう呟いた。総介は彼女に背を向けたまま語りかける。
「………なら、ちゃんと謝ってやれ。その後に、この先どうするのか、ちゃんとあのガリ勉に伝えろ。
俺らがお前に勉強教えんのは、それからだ」
「………わかりました」
五月が返事をしたと同時に、エレベーターが30階へと到着した。五月を先に降ろし、総介も後に続く。そして2人は、家の入口に立ち止まったところで、総介がふと思った。
(なんか、すげ〜久しぶりな気がする)
たった3日、ここから離れていただけだというのに、もう2、3ヶ月ここに来ていないような懐かしい感覚に襲われる。そんな懐かしさに浸るのも束の間、五月は鍵を開けてドアを開けた。
「………どうぞ」
「……お邪魔します」
五月に促されて、少し緊張気味にドアを通過する総介。ドアをくぐり、靴を脱いで廊下を歩く。そして彼女の後に総介は、ここ1ヶ月で既に見慣れたリビングへと入っていった。すると、1人ソファに座っている人物を発見する。
オレンジ色のボブカットに、頭に緑色のリボンをした女の子がいた。
ていうか四葉だった。
「あ、五月〜、おかえ………り……」
四葉がこちらを振り向き、総介を見つけた途端に、彼女が止まってしまった。
「よ、相変わらず馬鹿面下げてんな、バカリボン四葉」
総介の失礼な挨拶にも全く反応せず、四葉は固まったままだ。すると、急に立ち上がり、猛ダッシュで階段を駆け上がっていく。
「み、三玖!!三玖ーーーーーー!!!!!」
三玖を呼ぶ叫び声を上げながら、彼女は三玖の部屋のドアを開けた。その叫び声を聞いたのか、真ん中より右のドアが二つ開き、それぞれの部屋の主が出てきた。
「……凄い叫び声だったけど一体………あっ!!」
「うっさいわね〜。なんなのよ四葉?……!!!」
薄ピンク色のショートヘア、一花が総介の方を向き、四葉が三玖の名前を叫んだ理由を察したのか、驚きの表情ながらも、口に手を当てて、名前を呼ぶのを必死に堪え、こちらに向けて手を振る。その姉を見たピンク色のロングヘアに、横に黒いリボンを二つつけた二乃が、彼女の視線の先を見ると、こちらも驚きの表情を浮かべた。
「おっす。帰ってきたぜ、長女さん。それと……
誰だっけ?」
「アタシで落とさないと気が済まないのかアンタは!!!?」
無表情でボケる総介に、強烈なツッコミを入れる二乃。どうやらこの2人の関係も健在のようだ。と、ここで、四葉が前髪で顔が隠れたヘッドホンの少女、三玖の手を引っ張って引きずり出し、2人の姉に目もくれずに通り過ぎて階段を降りる。
「早く早く!!」
「ち、ちょっと四葉、一体な…………!!!!」
階段を降りたところで、『それ』に気づいた。
三玖の時が、止まった。
「………」
総介も、彼女にどういう表情をすればいいのか、わからなくなってしまう。しかし、決して目を逸らしはしない。その目は、何者にも視線を移すこと無く、ただ1人、最愛の恋人を見つめていた。
「………」
「………ス…ケ」
三玖の口が、先程から何かを呟くように小さく動いている。彼女の目が、だんだんと水分を含み、瞳が揺れ始め、
そして
「ソースケ!!!!!」
彼女はずっと会いたかった恋人に、迷わず走って行き、抱きついた。総介も、三玖を一切拒絶すること無く、胸元に飛び込んでくる彼女を優しく受け止め、背中に手を回して抱擁する。 もう何年も会ってなかったかのように、総介は三玖を大切に抱きしめた。
「………ソースケ!……ソースケぇ!」
あまりに突然訪れた再会に、三玖は思考が総介にしか向かなくなってしまう。何を言えばいいかも分からず、ひたすら彼の名前を呼び続ける。その目からは、涙が濁流のように溢れ出てくる。
「………三玖、本当に心配をかけたね」
他の姉妹とは全く違う、優しく温もりを帯びた口調で、三玖へと話しかける。彼が言葉を発すると、三玖は総介の胸に埋めていた顔を上げて、首を横に振る。
「……ソースケなら、帰ってくるって、信じてた……でも……でも……」
三玖の目元からは、涙がとめどなく流れ続けている。いかに彼女が総介を想っていたのかということを、彼はその涙で痛いほど感じた。右手を三玖の顔持っていき、涙で濡れた頬を拭う。
「不安だったよね。こんなに泣いちゃうぐらい、君に心配かけちゃったね。
でも帰ってきたよ、三玖。
俺はここにいる」
総介は三玖の背中を左手でポンポンと叩き、右手で頭を撫でながら優しく微笑む。三玖も、彼の言葉を聞き、総介が拭ってくれた頬が、再び目から流れる雫で濡れ始める。しかし、彼女の顔は、恋人と再会できた嬉しさからくる喜びに満ち溢れた表情で、彼を見つめ、帰ってきてくれた総介に言葉を送った。
「………おかえり、ソースケ」
「ただいま、三玖」
総介が返事を返すと、2人は再び立ったまま抱きしめ合う。その様子を見ていた4人は、それぞれに反応を見せていた。
「何だか、テレビとかで見るドラマより感動しちゃうね」
「………フン」
「うう〜三玖〜浅倉ざん〜。良かったでずう〜」
「こ、これが、恋人というものですか……」
それぞれにリアクションを取りながらも、2人を邪魔するようなことは一切しなかった。2人を歯がゆく思っていた二乃も、今は苦々しく感じながらもこの場に横槍を入れるのは野暮だと思い、静観を決めた。
やがて、2人は十分抱き合ったと見るや、ゆっくりと体を離し合う。それでも、三玖は寂しそうだったのだが。
と、総介は一花に目を向けて、話しかける。
「長女さん、上杉にここに来るように連絡してくれねーか。もうじきアンタらの親父さんから、連絡が入ることになってんだ」
「え、そうなの!?」
総介の言葉に、5人全員が震えてしまう。が、総介は話を続けようとした。
「大丈夫だ。親父さんが話があるのは上杉にだけだ。
それが終わったら少し俺と話をする予定………だか………ら……」
話をしている途中で、総介はゆっくり前へと倒れていった。うつ伏せで倒れる彼に最後に聞こえてきたのは
「ソースケ!?しっかりして、ソースケ!!」
世界で最も愛する人の自分を呼ぶ声を聞き、彼は意識を手放した。
………………………………
「………見たことある天井だ」
総介はゆっくりと目を覚ます。彼は意識を戻し、体を起こすと、すぐさま周りを確認する。彼が目を覚ました場所は、以前に一回、寝たことのある部屋だった。彼はここを、強烈に覚えている。何せここで、愛する人と結ばれたのだから……
「………三玖の部屋か……」
総介が周りを確認すると、次は意識を絶つ前の事を思い出す。一花に上杉に来るように伝えている途中で、彼は気を失ってしまったのだ。
「………限界だったか」
どうやら疲労と眠気がピークに達したらしい。今まで集中して意識を保っていたが、三玖と出会えて安心したのか、一気に集中の糸が途切れてしまった。流石に三日三晩あんなことしてたら、普通途中で限界を迎えてしまう。
そして彼は次に、時間を確認する。
「………7時半………」
日時を確認すると、翌日の7時32分だった。窓の外が明るいのを見る限り、どうやら朝らしい。ここに着いたのが19時なので、丸半日寝ていたことになる。と、ガチャっとドアが開き、中に人が入ってきた。
「………そ、ソースケ!?」
「………三玖」
そこには、カッターシャツの上から青いカーディガンを着て学生スカートとストッキングを履く三玖の姿があった。しかし、彼女のアイデンティティとも言えるヘッドホンは首元にはつけていない。机の上にそれがあるのを見る限り、それを取りに来たのだろう。
「良かった、目を覚まして。体、大丈夫?」
「うん、大丈夫……」
三玖はベッドの端に座り、総介のそばに寄り添う。彼も、優しく笑いながら元気である事を示して、三玖に心配をかけないようにする。そして彼女に、優しく声をかける。
「三玖、あれから何があったのか、教えてくれる?」
彼は意識を失ってから、何が起こったのかを知らない。本来なら、風太郎を呼んで、そこで『マルオ』の連絡を待つ予定だったのだが、それができずに翌日を迎えてしまった。今後のこともあるため、今すぐに情報を得る必要があった。
「………うん、わかった。話すね」
三玖は総介が気絶した後のことを、順を追って丁寧に彼に伝えていった。
………………………………
総介が意識を失い、心配して駆け寄ったが、ただ寝てるというだけか分かったので、皆一安心する。そして、四葉を中心に彼を三玖の部屋へと運んで寝かせてから、一花は風太郎へと連絡を入れて、彼が到着した。その直後に、五月が風太郎へと謝罪をし、風太郎も、以前総介に言われていた通り、面と向かって謝罪を返し、2人は和解した。その10分ほど後に、五月のスマホに義父『マルオ』から電話が入った。
「………はい、五月です」
『五月くん、僕だ。上杉君はいるかい?』
「………はい、変わりますね」
「ああ、頼む」
五月は風太郎へとスマホを渡す。念の為に、後で総介に伝えるように三玖の提案でスピーカーモードにする。
「………変わりました」
『……浅倉君はいるか?』
「………今は、眠っています」
『寝ている?』
「はい、どうやら、ここに来て突然倒れたみたいで……」
『……そうか』
『マルオ』は総介と対峙した時、3日間寝ずに『マルオ』にちょっかいを出そうとしていた組織を潰したと聞いていたので、直ぐに合点がいった。
「すみません、すぐに起こしてきます」
『いや、構わない、そのままにしておきなさい』
『マルオ』にしても、出来れば総介と話をするのは避けたかった。大門寺という超巨大勢力、さらには『刀』という世界最強の特殊部隊が彼のバックにいる分、これ以上の腹の探り合いは、自身の胃がもたないからだ。下手をすれば、自分の病院に通院する羽目になってしまう。
「は、はい……」
そして『マルオ』は、風太郎に対して最も大切な話に入った。
『それと上杉君、家庭教師の件だが……
浅倉君に感謝するんだな』
「………え?」
風太郎と、五つ子は全員あっけにとられてしまう。
『君にはしばらく娘たちの家庭教師でいてもらう。助っ人を呼ぶなり、誰かに助けを求めるなり、好きにしたまえ』
『マルオ』はどこか投げやりにそう言った。その言葉を聞いて、6人は全員驚愕の表情を浮かべた。風太郎は、電話の向こうにいる『マルオ』に礼を言った。
「あ、ありがとうございます!」
『礼なら彼に言いたまえ。3日間寝ずに僕の前に現れては説得を続けたんだ。僕もいい加減仕事にならないんでね。目障りだったので嫌々了承するしかなかった』
嘘です。実際はマジで人一人殺せそうな総介の殺気に当てられて、冷静に考え直させられました。その結論がコレですはい。
『ただし、くれぐれも娘たちの不利益になる事はしないように、そうなったら、僕も本当に君には幻滅することになる』
「わ、わかりました」
『うむ。それと…………三玖くんはいるか?』
「!!!」
『マルオ』が三玖を呼んだという事は、間違いなく総介との恋人関係のことだろう。三玖は義父の言葉を聞いて不安な表情になってしまう。
「………はい、います」
嘘はつけないので、風太郎はただ返事をするしかなかった。風太郎は三玖へとスマホを渡す。皆、固唾を飲みながら、『マルオ』の言葉を待つ。
「………お父さん。三玖です」
『ああ、三玖くん………彼との件だが
好きにしなさい』
「………え?」
三玖の顔が、鳩が豆鉄砲を食ったような顔になる。
『何でも、男女の交際に親が介入するのはナンセンスだそうだ。だから僕からは何も言うつもりはない』
つまりは、『マルオ』は自分たちの関係を認めてくれたということだ。この言葉に一番驚いたのは、三玖と二乃だった。
「パ、パパ!?本当にいいの!」
『二乃くんかい?ああ、構わない。彼にあんなにも熱く三玖くんへの愛を語られたのでは、僕はもう何も言えないからね』
「っっ!!!」
一部本当です。実際は三玖のためなら一国ぐらい喜んで潰すと本気の目で言われて、マジでやりそうじゃんコイツ……ってビビっちゃいました☆。熱くは語ってはいませんハイ。
今の『マルオ』の話に、二乃は衝撃的な顔をしてしまい、三玖は顔を真っ赤にしてしまう。
『それと、彼にこう伝えておいてくれ
"君の言っていることに、賛同する"とね』
『マルオ』が総介へと言葉を送った。その内容に、再び6人が驚きの表情となる。それも束の間、『マルオ』は最後の言葉を続けた。
『………言いたい事は以上だ。また何かあったら連絡する』
その言葉を最後に、電話は切れた。
………………………………
「………そうか」
三玖から話を聞いた総介は、『マルオ』が自分へと送った言葉の意味を理解した。
"君の言っていることに、賛同する"
つまりは、『大門寺と同盟を結ぶ』という意の暗号文だろう。念の為、総介は後で剛蔵に確認を取っておくことにした。
「……ソースケ」
「ん?」
三玖が、総介に体を寄せ、話しかけてくる。
「………ありがとう。私たちのために、頑張ってくれて」
「………」
きっと三玖の認識している『頑張る』と、実際の『頑張り』は全く違う。自分はこの3日で、ただ剣を振るい、『鬼童』として暴れまわった。その最後に、『マルオ』に殴り込みをかけた。ただの暴君そのものだが、今更戻るつもりはないし、三玖たちに危険が迫っていたのも確かだ。後悔も何も、今はこれで良かったのだと正当化するしかない。
この子だけは、三玖だけは、自身の生涯を賭して護り通すしかないと。
「………三玖」
「?どうし……きゃっ!」
総介は目の前にいる恋人が、堪らなく愛おしくなり、腕を引っ張り抱き寄せ、ベッドへと寝転がった。
今三玖は、総介に抱きしめられながら自分のベッドに寝転がる体制となっている。
「そ、ソースケ?」
顔が真っ赤になってしまうが、さりげなく彼女も総介なら背中へと手を回す。
「………ずっと、会いたかった」
「………ソースケ………私も」
横になりながら2人は、互いの温もりを感じあった。やがて、2人は互いに見つめ合い、顔を近づけていく。
あの日の朝以来の、触れ合うだけの口づけを、2人は交わす。
「………ソースケ、大好き」
三玖は口を離して、喜びの涙を浮かべながら、彼への想いを口にした。総介はそれを聞いて、自身の中で、最も彼女に言うにふさわしい言葉を送った。
「………三玖
愛してる」
「!!!!」
その言葉を聞き、三玖は顔をさらに真っ赤にし、涙を流し始める。それは決して、悲しみの涙ではない。むしろ、自身の体の中にある喜びが、涙になって溢れ出したもの……
ああ……
こんなにも、幸せなことがあるんだ………誰かに愛してもらうことが、こんなにもあったかくて、嬉しいことなんだ。
なら、私も、この幸せを分けてあげたい。
世界で一番愛する人に
「………ソースケ
私も、愛してる」
2人は、偽りの無い本当の愛を伝え合い、再び唇を重ね合わせた。
永遠にも、一瞬にも思える2人きりの時間が、三玖の部屋の中に流れていった。
「いや〜、青春ですなぁ〜」
「………ギギギ、おどりゃ浅倉総介」
「三玖、本当に良かったね。浅倉さん、三玖を幸せにしてあげてくださいね!」
「あわわわわ……あ、あれが、キス……は、破廉恥ですぅ!」
「………」
「………あぅぅ」
キスの途中、ドアの向こうから聞こえる声で、総介は白目になり、三玖は頭から煙を出すほどユデダコになってしまったのだった。
因みに
中間試験結果
・浅倉総介
国語……83
数学……56
理科……59
社会……91
英語……70
五計……359
・上杉風太郎
原作通り
「俺の扱いいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
「オール100点なんていちいち表記すんの面倒だろうが。てか死ね」
「死ね!?」
こんな感じでした。
………………………………
これは
その生涯にわたって
一人の少女を愛し続けた
かつて『鬼』と呼ばれた男の
『
世界でたった一人の花嫁と
第二章《完》
第三章『結びの伝説?んなことよりそこの醤油とってくんない?』に続く
これにて、第二章は終了です。
ここまでこんな駄文を28話も読んでくださった皆様、本当にありがとうございます!
第三章も頑張っていきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
・お知らせ
9月の投稿はここまでとなります。続きは10月中旬からを予定しております。
それまでに今一度、第1話から読んでいただき、全体のご感想やご意見をいただけると幸いに思います。作品やキャラクターへの質問も受け付けておりますので、ドシドシお送りください。
※根拠なき誹謗中傷、他の感想への批判は受け付けておりませんので悪しからず
それでは、最後はこの言葉で締めさせていただきます。
ここまでこの小説を読んでいただき、ありがとうきびウンコォォォォ!!!