世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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『かぐや様は告らせたい』第2期制作決定キターーーーーーーーー!!!!!!!!!
♪───O(≧∇≦)O────♪



ぶっちゃけ五等分の花嫁の2期の1億倍嬉しいです(下衆)
とりあえず、あと2話ほどは2人のイチャイチャを中心にやっていきますので、皆さんブラックコーヒーを忘れずにね☆彡


31. 初デートとかどんな時もトラブルはつきもの

チュンチュンと、小鳥がさえずる音が、外から聞こえてくる。外では晴れ晴れとした雲一つと無い青い空が、朝の街並みを彩り、日の光を浴びる人たちは、思い思いに違う格好をしながら、別々の目的の場所へと向かっていた。

今日は土曜日。朝の部活に向かう学生たちや、土曜日に仕事をする人々、どこかへと遊びに行く若者や子供たち、朝の散歩をする老人など、多種多様な人々が、道を歩いてゆく。

 

 

 

朝日も登ってしばらく経った頃に、彼は、目を覚ました。

 

「……ん」

 

総介は、シングルベッドの肩まで被った掛け布団の中で、いつも眠そうな目をさらに眠そうにさせながらも、頑張って意識を戻そうとする。その過程で、彼はいくつかの違和感を覚えた。

 

まず『自分の肌に直接布団の感触が感じ取れる』こと。

続いては『横に伸びた右手が何かの重さによって動かせない』こと。

最後が『その重さの正体が、横ですやすやと眠る最愛の恋人の頭』だということ。

 

 

これらを順を追って脳内で咀嚼し、総介はこうなった経緯を思い出していった。

 

 

 

 

 

 

(………ああ、俺、昨日……三玖と……)

 

昨晩、総介は三玖と『本当の意味で』結ばれた。そこには打算、計算、建前………何も無かった。全ての邪なものをとっぱらい、2人の穢れのない純粋な愛をぶつけ合い、心と体を通わせた。

それも一度だけでは無い。彼女の体力を気遣い、休みを入れつつ何度も何度も互いに愛し合った。一体何時に眠りについたのかも、はっきりとは覚えていないが、最後に2人とも笑って抱き合ったことだけは鮮明に覚えていた。本当に、初夜とは思えないほど濃密で幸福に包まれた夜を、2人は過ごしたのだ。ここでふと総介は、横で眠る美少女へと顔を向けてみる。

 

 

(………ほんとに、かわいいなぁ……)

 

 

横で眠る一糸纏わぬ少女の寝顔を見ながら、呆れるほどの回数思ったことを反芻する。

左手で彼女の前髪を分けて、顔を晒してみれば、まつ毛の長い閉じた目と、整った顔立ちをした小さな顔、真っ白で布団から覗かせる白い肩、重力に従って、腕の間に挟まっている白く、大きな乳房。全てが総介にとっての癒しであり、彼の心を優しい光で潤していった。

 

できればずっと見ていたいのだが、生憎、そういう訳にもいかないと、彼は重々承知している。右手は三玖の腕枕で塞がっているので、総介は左の手で、枕の上に充電してあるスマホをとり、時間を確認すると、

 

「……9時7分」

 

休みとはいえ、総介は9時以降に起きたことは殆ど無かったのだが、彼がこの時間まで寝ていたということは、結構遅くまで三玖と事に及んでいたのだろう。

満足感と幸福感で満たされ、何もする気になれなかった身体に鞭を打ち、総介は起床することにした。途中、未だ夢の中を彷徨うお姫様を起こさないように、ゆっくりと腕枕をしていた手を抜いて、ベッドを出る。

ベッドの横の床には、昨日脱ぎ捨てた2人のパジャマや下着、汗やら何やらを拭いたタオルが散乱していた。更にベッドのすぐそばには、昨日2人が愛を求め合った回数分使用した『ソレ』と、くしゃくしゃのティッシュの入ったゴミ箱が置いてある。流石にそのまんまはまずいと、総介は自身の服を着た後に、ゴミ箱を離れた位置へと持っていき、三玖のパジャマも拾い、畳んでいく。その最中、彼女の下着を手に取ることに一瞬戸惑いと躊躇いを見せたが、昨晩の事を思い返すと今更だと割り切り、パジャマと同じく折りたたみ、下着を見えないようにして床に座布団を敷いて、そこに折り畳まれた衣服を置いた。そして、枕元に置かれていた黒縁眼鏡をかけて、部屋を出ていく前に最愛の人の頬に唇を落としてから、総介は洗面台で顔を洗い、朝食を作りにキッチンへと向かった。

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

「…………うし、完成と♪」

 

あれから数十分経ち、総介は2人分の朝食を作り終えた。

昨日のあまりの味噌汁と、ベーコンと目玉焼きを焼いて、キャベツとニンジンを千切りにして和えて、皿に盛り付けて上にプチトマトを乗せる。これで立派な朝ごはんの完成である。

 

『朝ごはんは毎朝摂ってください。一日の健康は朝食から始まりますからね』

 

昔、そうアイナから言われてたとはいえ、いつもは朝ごはんなぞかったるいと思っていた総介だったが、未だベッドの中で眠る恋人のためならと、今朝はノリノリで朝食作りに励んでいた。そして、昨日と同じテーブルへと料理を置いてから、総介は夢の中にいると思われるお姫様をお越しに、自室へと向かった。

 

 

 

 

ドアをゆっくり開けて、総介はベッドのすぐそばまで行き、ベッドに腰をかけながら彼女の寝顔を拝見する。

 

(……やべ、起こしたくねぇ)

 

起きた直後に見たのと同じ、スゥスゥと寝息をたてて安らかに眠る三玖を見ながら、彼女の頭を撫でて、再びこの寝顔を見ていたい衝動に駆られてしまう。

 

 

(本当に、かわいいなぁもう……)

 

 

湧き上がる愛欲が抑えられなくなってしまう。普段、こんなに誰かを想う事など無かった総介が、こうもデレデレになってしまうのは、彼が三玖に特別な何かを見出し、それに夢中になってしまったからだろう。

 

(……この子だけ(・・・・・)が持ってるモノ、か……)

 

 

 

 

三玖には他に、4人の姉妹がいる。それも歳が同じで、顔立ちがそっくりの『五つ子』の姉妹。髪型や服装には皆それぞれ個性はあるのだが、変装をすれば、彼女たちは見分けがつかないほどにそっくりな容姿を作ることができるのだ。総介も以前、三玖に変装した3人を見て、見た目は完全に模しているなと、内心驚いたほどだった。しかし彼は、本物の三玖を一発で見つけることができた。それは何故か……

 

(……アイツらは、どう取り繕ってもこの子にはなれねぇよ……)

 

いくら見た目を真似できたところで、総介は愛する人を見失いはしない。三玖にしか無い魅力に彼は本能的に気付いていたからだ。いくら同じ姿をしたとしても、総介にとってそれは紛い物であり、代用品ですら無い。それは、彼から見える三玖と、他の4人との決定的な差であった。仮に三玖以外の全員から告白されたとしても、総介には三玖以外の選択肢はそもそも存在しないため、速攻で断るだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……もしも、だ。三玖がいなくっちまったら……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしこの子を失うようなことになってしまったら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母の時のように(・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……させねぇさ、そんなことは)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この子は、この子だけは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たとえ自分が死ぬことになったとしても

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

護ってみせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう二度と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんな思いはしねぇ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

してたまるか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この子は

 

 

 

 

 

 

 

三玖は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が護る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんな事をしてでも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心の中で、そう改めて決意した総介は、一度肩の力を抜いてから、ベッドで眠るお姫様をお越しにかかった。

 

「三玖〜起きて〜、朝ですよ〜」

 

彼女の白くて柔らかい肩に触れてゆっくりとゆすりながら、優しく声をかける。体を揺すられた三玖も、「んん〜」と呻きながら、目元に皺を寄せてから、ゆっくりと目を開ける。

 

「ん〜………?……そーすけ?」

 

まだ寝ぼけているのか、目を擦りながら、こちらを焦点の合っていない瞳で見ようとしてくる。その仕草さえも、総介にとってはかわいいものであり、つい笑みがこぼれてしまう。

 

「うん、そうだよ。総介だよ。よく見てごらん」

 

柔らかく、穏やかに三玖に話しかけ、彼女を夢の世界から現実へと戻るのを後押しする。

三玖は、その声にだんだんと目を覚まして、目の前にいる人物が世界で一番大好きな恋人の姿と認識すると、心の奥底から喜びが湧き出てきた。朝起きて、一番最初に目にするのが、恋人の姿だということは、以前もあった。しかし、今この状況は2人きりだということを理解すると、三玖の中での喜びは、湧き出る泉の如く止まらなくなってくる。それを抑えるためにも、彼女は体を起こして、すぐそばにある総介の体へと手を伸ばす。

 

「……そーすけ」

 

「み、三玖、それは……」

 

三玖の格好を見て、それはさすがにと思ったが、彼女がそう求めているならと、恋人としての甘さを選んでしまった総介は、手を伸ばしてくる三玖に答えて、自身の上半身を彼女へと預けた。

彼女は、総介の首へと手を回して、抱きつく。朝一番の寝起きに、恋人の温もりを感じれるのはこんなにも幸せな事なんだと、心と体に染み渡ってゆく幸福感に満たされながら、愛しの彼へと声をかけた。

 

「おはよう、ソースケ」

 

「……おはよう、三玖」

 

総介も、三玖の肩を優しく掴んで、体を離して向かい合わせる。三玖は、ソースケの目を見つめて、目を閉じながら近づけた。

それに応えるように、総介も目を閉じて、向かってくる彼女の顔を迎え、唇を重ねる。

 

「ん……」

 

「んん……」

 

昨晩、幾度となく交わしたキスだというのに、まるでお互い初めてするかのように、ただ重ねてるだけの口づけを、10秒ほど行い、2人は顔を離した。

と、さすがに言わなきゃダメだなぁと、総介は顔を赤くしながらも、優しく微笑む三玖と目を合わせながら口を開いた。

 

「三玖、俺が言うのもなんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

服着ないと、風邪ひくよ?」

 

 

 

 

「え………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!!!!!!」

 

 

 

 

総介の言葉を聞いてから、三玖は固まってしまい、チラッと下を見てから、顔を、もっと言えば体全体を真っ赤っかに変色させた。

 

三玖は体を起こしてから、ここまで衣類を一切纏っていない状態で、総介に抱きついて、キスをしたことに気がついた。更には、何故自分が裸なのかも、徐々に思い出してきた。

 

昨日何度も、総介と抱き合い、総介とキスをし、総介と何度も……

 

 

 

 

 

「〜〜〜〜っっ!!!!!」

 

 

 

 

三玖は悲鳴を上げることも忘れて、落としてしまった布団を拾い上げてからその中へと潜り込んでしまった。

布団の中でモゾモゾと悶えている恋人を見た総介は、あまりのおかしさに声を出して笑ってしまった。すると、その笑い声を聞いたのか、布団の穴から、顔を真っ赤っかにした三玖の顔だけが、ピョコッと姿を見せて、ほっぺたをプクーっと膨らませながら総介を睨みつけてきた。かわいい。

 

 

「………むぅ〜」

 

「はははっ!ごめん、ごめんよ三玖。朝ごはんできてるから、着替えてリビングにおいで。一緒に食べよう。ね?」

 

「………」

 

三玖はコクンと、出した顔だけでうなずいてから、総介が座布団ごと差し出した折り畳まれた自分のパジャマを手を出して取り、布団に隠れながら着始める。総介も、三玖の姿が見えなくなるのを見ると、「リビングで待ってるからね〜」と伝えてから、部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

「……ソースケのバカ」

 

「悪かったって。三玖がその、ええと……かわいすぎてさ、つい夢中になっちゃったんだよ」

 

朝食中、未だ顔が赤くなったままの三玖が、顔を膨らませて総介に対して恨み言を言う。

 

「許さない、切腹」

 

「いや重すぎるよ!俺そんなに重罪!?」

 

そう切り捨てて、三玖は先程から膨らましたほっぺたをそのままにプイッと横を向いてしまう。

そんな仕草でさえ、可愛くてしゃあないと思ってしまう総介はもう病気である。とはいえ、このままプリプリと怒られたままでは埒があかないので、どうにか機嫌を取り戻してくれる方法は無いかと、総介は考えていた。すると、三玖の方から口を開いた。

 

 

「………もういっぱく」

 

「え?」

 

 

 

 

 

「………もう一泊、させてくれたら………許してあげる……」

 

「………」

 

横を向きながらも、手をモジモジとさせて顔を赤くして総介をチラッチラッと見ながら、彼女はそう言った。

そんな衝撃的な事をしれっと言っちゃったので、総介もポカンと間が出来てしまうほど絶句するが、すぐに我にも戻って首をブルブルと振った。

 

「も、もう一泊って……いいの、本当に?」

 

総介としても、三玖がもう一日止まってくれるのはウェルカム案件であるが、泊まるということは、つまりは、昨晩のリプレイが待っているわけで……

 

「……うん。まだ……ソースケと、離れたく……ないから……」

 

そんな事を恥ずかしげに言ってのける三玖を見て総介は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(かわえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

奇跡的相性(マリアーーーーージュ)!!!!!

 

 

 

 

 

(アニメ化2期制作決定おめでとうございまぁぁぁぁす!!!!)

 

 

 

訳の分からないことを心の中でほざきながら、自身の恋人の果てしない可愛さを再確認させられる。マジで爆発してくれ。

 

「………ダメ?」

 

首を傾げながら、上目遣いで尋ねてくる三玖はもはや人間兵器である。この子がいれば、世界の戦争は一瞬で終わる気もしてきた。だって可愛すぎるんだもん。

 

「……お、俺はいいけど、姉妹には言ってあるの?」

 

「……夕方までには連絡する」

 

「着替えとかは?一旦帰る?」

 

「ちゃんと2泊分持ってきた」

 

「………」

 

この事を見越してなのかは分からないが、三玖は初めからもう一泊する気満々で来たようだ。恐ろしい子!そしてかわいい。

総介はそんな彼女に対して、笑いながら両手を挙げる。

 

「……分かった。参ったよ、降参。もう一泊していいよ」

 

「!……ほ、本当?」

 

「本当も本当。そもそもそうしたら許してくれるって言ったの、三玖だし………俺も、三玖がまだいてくれて……嬉しいから……」

 

後半に連れて、総介も顔を赤くしながら自分の思いを告げた。三玖は総介の言葉に、更に顔を真っ赤にさせて、俯いてしまう。

 

「………ありがとう、ソースケ」

 

「……飯、冷めちゃうから、食おうか」

 

「うん……」

 

こうして、ちょっとしたトラブルがありながらも、持ち前のイチャイチャっぷりを存分に発揮して乗り切り、2人は朝食を済ませるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

お前らイチャイチャしやがって、マトモに飯も食えんのかホンマ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を済ました総介と三玖は、私服に着替えて(もちろん部屋別で)、出掛ける準備をしていた。2人は一泊を総介の家で過ごした翌日に、近くのショッピングモールへとデートをする約束をしていた。林間学校も近いので、そのための備品も色々と買っておこうという事で、今回のデートプランとしてまとまった。

 

「忘れ物とか大丈夫?」

 

「うん、大丈夫」

 

「じゃあ行こうか」

 

「うん………あ、ソースケ」

 

「?どったの?」

 

玄関で靴を履いた総介を、三玖が後ろから呼び止める。その声に総介が振り向いたのを確認すると、三玖は恥ずかしがりながらも、ゆっくりと目を閉じた。その様子に、総介は三玖が何を望んでいるのか、すぐに理解して、彼女へと顔を近づけていき、右手で優しく髪を撫でながら、唇を重ねた。重ねるだけで、2人の顔はすぐに離れていく。

口づけは数秒で終わってしまったが、三玖は満足そうにはにかみながら、目を開ける。

 

「……ありがとう、ソースケ」

 

「どういたしまして………行こうか」

 

「うん」

 

顔を赤くした2人は、玄関から出てすぐに、手を繋いで指を絡め合う。総介の左手と、三玖の右手がガッチリと繋がり、目的の場所へと歩いていく。

これまで、2人で本屋などへ行ったことはあったものの、それはまだ家庭教師と生徒という関係の上であり、何処かに境界線はあった。しかし、恋人となった今、2人の間を隔てる物などありはしない。そんなまどろっこしいものは粗大ゴミにして捨てたと言わんばかりに、総介と三玖の肩は触れ合うほどに近づいて歩きながら、初めてのデートの場所へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総介爆発しろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マジで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目的の場所であるショッピングモールまでは、そう時間はかからない。そこまで片時も手を離さずに歩いた総介と三玖は、休日の人で賑わう店内へと入っていった。

店内はカップル、家族連れ、若者、老人など、様々な人たちで賑わっており、休日の憩いの場と化していた。その中を2人は、手を繋ぎ合いながら歩いてゆく。総介はそれを全く気にせず、いつものように気怠げな表情を眼鏡の奥に漂わせながら歩いていたのだが、一方の三玖は、初めて恋人と手を繋いで買い物をするということで、顔を赤くさせながら若干俯き加減で歩を進めていた。

元々、控えめで目立つことがあまりない三玖は、周りからの2人を見る目線にたじろいでしまった。それは決して冷やかしの目線だけではなく、初々しい2人を見る目線は、憧憬や羨望、果てには嫉妬と言った様々なものが混じった視線が、2人へと向いていた。三玖はそれに気付いて、顔を赤くして頭を下げてしまったが、直後に総介が、三玖の耳元まで口を持っていって囁く。

 

「大丈夫だよ。周りなんて気にしないで。俺がいるから」

 

「う、うん……」

 

優しく囁く恋人の声に、何とか平静を取り戻す三玖。総介にとっては、周りの視線なぞ知ったこっちゃないので、いちいち気にせずに、三玖のフォローを最優先して買い物コースを歩いていった。そんな様子を見て、三玖も、彼のこういった時の頼もしさもあると知って、一層総介へと惹かれていき、繋いだ手を握る力を強めていくのであった。

 

 

 

 

 

〜そんなこんなあって〜

 

 

 

 

 

 

「まぁ、こんぐらいかな?三玖はどう?なんか他に買う物ある?」

 

「ううん、大体は揃えれたから……大丈夫」

 

買い物を始めて2時間強ほど。その間、総介と三玖は、ショッピングモールの中を見て回り、時には本屋で三玖が武将の本を見て目をキラキラさせたり、時にはペアでで挑むミニゲームに参加したり、時には総介がトイレから戻ると三玖がいないと思ったら後ろから目を隠されて「だ、だ〜れだ?」といった三玖のイタズラもあったりと、まさに『リア充爆発しろ年間大賞』を受賞できるようなデートを満喫しながら、2人は目当ての物の買い物を進めていき、ようやくひと段落した。ここで、総介がスマホを見て時間を確認する。

 

「13時40分か……そろそろフードコートも開くから、ご飯にしようか?」

 

「うん、そうする」

 

2人は時間を見て、昼食をとることにした。ちょうどお昼も過ぎた頃なので、それほど混んではいないだろうと推測して、総介がスマホをポケットにしまったタイミングを見て、再び手を繋いで歩き出した。総介の手には、買い物袋が握られており、三玖が買ったものは、ミク自身のリュックの中にはいっていた。

 

 

 

そんな2人がフードコートへ向かおうとすると、後ろから聞き覚えのある声に呼び止められた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「み、三玖に、浅倉君?」

 

「浅倉さん!?それに三玖も……」

 

2人が振り向くと、そこには私服姿の三玖にそっくりな顔立ちをした2人が立っていた。

1人はアシンメトリーの薄いピンクのショートヘアに、右耳にはピアス、もう1人はオレンジのボブカットの髪に、緑色のウサギのリボンをした女子。2人とも、総介と三玖を見つけて驚きを隠せないでいた。そして、それは三玖も同じ訳で……

 

 

「い、一花、四葉………」

 

2人を見て、三玖は気まずくなってしまった。何せ昨日、不本意な形で家を飛び出してきたのだ。今、総介と手を繋いでデートしているというタイミングでの鉢合わせ。一応一花と四葉は、2人の仲を応援してくれているとはいえ、気まずい空気が姉妹の間で流れる。そんな空気を、総介は知ったことかと断ち切って口を開いた。

 

 

「よぉ、長女さんに四葉、奇遇じゃねぇか。アンタらも買い物か?」

 

総介の挨拶に、思わず四葉が反応してしまった。

 

「そ、そうなんですよ!一花と一緒に買い物に来てたんです!」

 

「そっか……アレ?そういや今日家庭教師の日だよな?上杉はどうしたよ?」

 

「ああ、上杉さんは、家の用事があるようで、明日に振替にするって朝連絡が来たんですよ」

 

何気なく会話をしているが、この時でも総介は、三玖と手を繋いだままである。ていうか、2人は手を離したく無いのか、繋いだ手を離さずにクルリと振り向いて話をしていた。そんな様子を見た一花は、少し考え事をして、総介へと声をかけた。

 

 

「浅倉君、ちょっといいかな?」

 

「ん?何だ?」

 

総介の目線が、一花へと向けられると、彼女はそのまま話を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

「三玖を少し、貸して貰える?」

 

「!?」

 

「い、一花?」

 

「………」

 

一花の言葉に、三玖がビクンと反応し、四葉も一花の頼みに少し驚く。一方の総介は、一切表情を変えずに、一花を見ていた。

 

 

「貸してって……状況的には俺が借りてる方なんだが?」

 

「まぁそうだけどね。でも、浅倉君は三玖の彼氏だから、一応許可は取らなきゃな〜って」

 

「まぁ、そうか……でもな〜」

 

ちょうどお昼時なので、ご飯でもと思っていた矢先の事だ。長く時間はかけられない。

 

「大丈夫だって。ほんの少し話をするだけだから。終わったらすぐに浅倉君に返すから」

 

ね?と、両手を合わせて頼み込む一花を見て、総介は少し考える。少しだけなら、ということもあるが、総介は『別の事』も考えて、やがて答えを出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかった。但し、30分だけだぞ」

 

「ホント?ありがとうね、浅倉君」

 

 

「そ、ソースケ……」

 

総介の出した答えに、三玖は愕然としてしまうが、総介は買い物袋を置いて、三玖の頭を撫でながら、優しく声をかける。

 

「その様子だと、昨日のこと、まだちゃんと話してないみたいだね。この2人になら、いいんじゃない?」

 

「そ、それは……」

 

三玖は目を右往左往させながら、戸惑いを露わにしてしまう。図星のようだった。

 

「俺はこの近くで待ってるからさ、色々話してきなよ。全部までとは言わないけど、ある程度までなら大丈夫だから。ね?」

 

「………分かった」

 

総介がこう言うのは、三玖には自分のことで姉妹との仲をないがしろにして欲しくないという理由から来ている。

海斗に頼んで『マルオ』や、姉妹の経歴を調べさせた時に、彼女たち姉妹の境遇を知った。

肉親と言える人間は、蒸発した実父を除けば、今や5人の姉妹しか残されていない。その5人は、今まで助け合って、支え合って生きてきた。その絆は、他の何にも例え難く、硬いものだ。そんな中で、姉妹の1人の三玖が総介と出会い、恋人となった。姉妹の中では唯一にして初の彼氏持ちとなったのだ。これから、彼女はその恋人と過ごす時間が増えるだろう。現に、昨日一泊し、今晩も泊まる予定となっている。恋人が出来たら、姉妹と過ごす時間が減るのもまぁ当然だとも言える。

しかし、だからといって他の姉妹との仲を悪化させて欲しくはない。いずれは他の4人も、思い思いの人生を歩んでいくのだし、三玖はその先がけと言う認識程度で留めて欲しい。今のうちに彼女たちには気付いて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姉妹はそれぞれ、5つの別々の道を辿ることを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんな道を辿ろうと、姉妹の絆は不変であることを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総介はそれを切に願いながら、三玖と繋いでいた手を離した。彼は本当は離したくは無かったが一花と四葉、2人なら話は出来るだろうと信頼して、彼女を2人の元へ送り出そうと決めた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、総介がそうした理由は、もう一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先ほどから後ろを尾けてきてる存在(・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

「………」

 

総介は3人を見ながらも、後ろから感じる気配がまだあることを確認する。

 

「じゃあ、三玖ちょっと借りるね」

 

「浅倉さん!すぐに帰ってきますんで、待っててくださいね!」

 

2人の声に総介は一旦警戒を解いて反応する。

 

「お〜。30分以内に返さなかったらお前ら明日の授業の宿題3倍な〜」

 

「さ、3倍!?」

 

「ちゃんと返すよ、も〜」

 

そう言って前を歩く2人の少し後ろにいた三玖も、総介の方へと振り返り、控えめに手を振る。総介も、離れていく恋人を惜しみながらも、また直ぐに会えると開き直って、彼女へと手を振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

3人の姿が見えなくなると、総介は頭をかきながら後ろへと振り向いて、姿の見えない正体へと声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

「隠れてねぇで出てきたらどうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

邪魔者は追っ払ったぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明人(あきと)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありゃりゃ、バレてやしたか。さすが浅倉の旦那だ」

 

 

 

 

 

 

総介が声をかけると、物陰から姿を現したのは、青っぽい黒髪に、イヤホンをして音楽を聴きながら、プクーッと風船ガムを膨らませているクリッとした目をした美少年『御影明人(みかげあきと)』だった。

彼は総介が所属している大門寺家の対外特別防衛局『(かたな)』のメンバーである。その中でも、特に戦闘能力が高いものにしか与えられない『異名』を持っており、明人の場合は『夜叉(やしゃ)』、総介は『鬼童(おにわらし)』の異名を持つ。

ちなみに、三玖をはじめとした中野姉妹や、上杉風太郎は、この事を一切知らない。

 

 

「そりゃあんだけ感じたことある気配が近くにあんだ。否が応でも気付くわ」

 

「そりゃすんませんでした旦那」

 

抑揚のない口調で、あっけらかんと話す明人。彼は元来マイペースな性格で、他人の心情は気にしない質である。

 

「んで、何で俺らの後尾けてきてたんだよ?海斗にでも言われたのか?」

 

「いや、オフの日に買いもんに来てたら、旦那とあそこのお嬢さんを見かけたんで、面白そうなんでついて行ったんでさァ」

 

「お前な……」

 

まったく、と、再び頭をかく総介。この男の突拍子のない言動には、『刀』に所属していた時から困っていたものだ。まぁ、それらは全部副長に丸投げして、自分も悪ノリしていた訳なんだが。

 

「……まぁいい。せっかくだ。少しだけだが、話でもすっか?」

 

総介の提案に、明人は表情を変えずに返した。

 

「そりゃいいですね。俺も旦那に色々聴きたいことがあるんでさァ。どっか座れる場所にでもいきやしょうか」

 

「ああ、そうしてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

こうして、三玖は一花、四葉と、総介は明人と話し合いをすることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(もっとソースケとデートしたかった……)

 

 

(もっと三玖とイチャイチャしたかったな〜)

 

 

「次の話終わったらいくらでもお嬢さんとイチャイチャできますぜ旦那」

 

 

「モノローグ読むんじゃねーよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は三玖と一花、四葉、総介と明人の話し合いをお送りします。そのあと、再びイチャイチャが戻ってくるぅ!


今回も、こんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。


こんにち殺法返し!!
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