世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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こんな駄文の小説ですが、これからも更新頑張りますので、よろしくお願いします!



オリ話って難しい……そんな一ヶ月間でした。


32. 一対一の恋愛(ノットハーレム)こそ至高だってどっかの誰かが言ってたような言ってなかったような

総介をその場に置いて離れた一花、四葉、そして三玖は、ショッピングモール内に複数存在する休憩用ベンチへと腰をかけた。座った順番で言えば、左から四葉、一花、三玖の順番である。

 

「ごめんね。浅倉君との時間を削ってもらって」

 

真ん中に座った一花が、真っ先に三玖へと謝罪した。一花も何も、2人の仲を邪魔したくて三玖を連れてきた訳ではない。出会ってしまった以上、やはり昨日の話にケリはつけたいし、このままいたのでは、姉妹同士の関係にも影響してくる。4人の妹を持つ長女として、それを見過ごすわけにはいかなかった。少なくとも、今ここにいる3人だけでも、僅かでも話はしておくべきだと考えていた。

 

「………いいよ、大丈夫」

 

三玖も、一花の考えは理解しているつもりだった。昨日は、自分の爆弾発言によって、辛くもその場は切り抜けることが出来たのだが、姉妹には満足に説明出来ずに出てきてしまった。こちらにも非があることは百も承知なのだが、それでも、総介と一時的とはいえ引き離された事実には変わり無く、口では大丈夫と言いながらも、少しふて腐れてしまう。

一花はそんな三玖を見て、からかってみたい気持ちも少しあったのだが、今はそんな場合じゃないことと、この後に総介に告げ口されて、後日にオシオキされることだけは避けたいということで、昨日三玖が出て行った後からの出来事を説明することにした。

 

 

三玖が出て行った後、すぐさま二乃がその場にいない総介に対して怒りを爆発させた。「三玖に一体何を吹き込んだのよ!?」とか「アイツやっぱり体目当てだったんじゃないの!」とか、もう完全に目をギラつかせて癇癪を起こしてしまい、挙げ句の果てには総介の家へと乗り込もうとすり始末。しかし、彼の家はあの時点で姉妹の誰も知らないし、仮に知ろうとして調べても、大門寺家の最高レベルのセキュリティに保護されているため、何一つ情報は出ては来ない。それでも二乃は、どこにいるか分からない総介を見つけ出そうと三玖に続いて家を出て行こうとしたのだが、さすがに止めなきゃと、四葉が彼女を後ろから羽交い締めにして、一花が何とか説得して次女の暴走を治めた。

それでも、二乃を止めたのはその場の応急処置に過ぎず、根本的に総介に対する敵意を無くしたわけではない。それどころか、今回の件で余計総介への恨みを買った形となってしまった。これについては、一刻も早く自体を改善しないといけないと、一花の心中は黄色信号を点滅させていた。

二乃の暴走がようやく収束したところで、立て続けに別のトラブルが発生した。その時に、一切関与していなかった五月が、頭から煙を上げて倒れてしまった。彼女は、三玖の爆弾発言から、一切動かずに、しばらく立ち尽くした後に、そのまま仰向けにバタンと倒れて気絶してしまった。

原因としては、三玖の爆弾発言により、今まで性知識や下ネタに大きな偏見と免疫のあった五月の脳内がそれら一色になってしまいショート、結果、ブツブツと「卑猥、破廉恥、ケダモノ、変態、淫乱」などという危ない言葉を永遠と呟きながら、頭からプシューっと煙を昇らせて気を失ってしまった。それを見た一花、二乃、四葉の三人は、すぐさまベッドへと運んで、顔が真っ赤になった五月の額に冷えたタオルを乗せて看病したのだった。

 

 

「……で、五月ちゃんはもう大丈夫だけど、二乃はまだ浅倉君のことよく思ってない感じかな。どう、四葉?」

 

「う、うん。二乃、まだ浅倉さんが三玖と付き合ってること認めてないみたい。ていうか、昨日のアレで、ますます怒っちゃってるかも……」

 

「……ご、ごめん、色々迷惑かけて……」

 

それら全てを一花と四葉の口から聞いた三玖は、冷や汗を流しながら2人に謝罪した。妹の謝罪を受けた一花が、まるで気にしていないといった感じで返す。

 

「いいっていいって。最初三玖の言ったことにはビックリしたけど、私は浅倉君との仲応援してるし、いずれそういうことにもなるって思ってたから」

 

一花の言うことに四葉も賛同する。

 

「私も。一花と同じで、2人のこと応援してるよ!それに三玖と浅倉さんには幸せになって欲しいから……頑張ってね、三玖!」

 

「……うん、ありがとう」

 

三玖は今までのように、自分に接してくれる2人に、心から感謝する。彼女は心のどこかで、姉妹に会ったら互いによそよそしくなってしまうのではないかと、不安に思っていたのだが、現状では、一花と四葉は何ら変わりはないし、2人の仲を応援してくれているようだ。今後も変わらずに接してくれるだろう。しかし、問題は二乃と五月である。総介に敵意を持っている二乃と、男女関係に潔癖な五月。この2人がどう出るのか分からない。帰った時にどういった反応をするのだろうか……

三玖がこの場にいない2人に一抹の不安を感じていると、一花が訪ねてきた。

 

「三玖、今日帰ってくるの?それとももう一泊?」

 

その問いに少しピクンと反応してしまうものの、元々一花か四葉に連絡してもう一泊することを言うつもりだった三玖は、丁度いいのでこの場でいっておくことにした。

 

「……もう一泊、していく」

 

「……そっか。じゃあ私から伝えとくね」

 

「うん……」

 

一花は二乃や五月のことを心配している三玖を気遣い、自分が伝達しておくと言って安心させた。ここで、四葉も話しかける。

 

「三玖、明日には帰ってくるんだよね?」

 

「うん。多分、お昼ぐらいに帰ると思う」

 

「浅倉さんも一緒?」

 

「うん、家庭教師、明日あるから……」

 

「わかった!じゃあ、上杉さんにもそう言っとくから、安心して!」

 

「ありがとう、四葉……」

 

「にししっ、まかせて!」

 

三玖は2人の気遣いに改めて感謝した。どこまでも優しくしてくれる2人に、頭が上がらなくなってしまう。

 

「じゃあこれくらいにしとかないと、浅倉君が寂しがっちゃうから、三玖を返してあげないとね〜」

 

一花がそう言いながら椅子から立ち上がる。どうやら話は終わったようだ。軽く揶揄われた三玖は顔を赤くしながらも呆れて、四葉と一緒のタイミングで立ち上がった。

 

「もう……じゃあ、私はソースケのとこ行くね」

 

「うん!三玖、いってらっしゃい!」

 

「……ありがとう、一花、四葉」

 

最後に2人に礼を言ってからその場を離れていく三玖を、四葉は手を振りながら見送った。やがて彼女の姿は、休日の人混みに紛れて見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……三玖、変わった、のかな……?」

 

「……分からない。でも前と違うような雰囲気だった気がする……」

 

「それって……やっぱり?……」

 

「いや〜……そうだと思うよ〜……」

 

「……そうだよね〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホント青春ですねぇ〜♪」

 

「お熱いお二人ですねぇ〜♪」

 

 

 

いつもの姉妹とする、いつも通りの会話だったのだが、何処かで違和感を感じ、その正体の目星が大体ついていた2人は、渋い顔をしながらも面白がり、その場から立ち去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、三玖を見送った総介は、デートの途中から後をつけて来ていた明人に気付いており、彼を隠れている場所から呼び出して、近くのベンチに座って話をしていた。人混みが多いので、隣同士で話をしていても、周りの雑音に消されて誰にも聞こえないような声量で話し合う。とはいっても、内容は主に総介の身の回りの話になっていたが……

 

「………へぇ、あのお嬢さんに一目惚れですかぃ。こりゃ驚きやした」

 

「……幻滅したか?」

 

「しやせんよ。剛蔵さんも言ってたじゃないですか。『大切な人を護ることこそ侍の本分だ』って。現にあの人も妻子持ちですし、何より俺自身、片桐さんみてーな古りー考えなんざ好きじゃありやせんしね」

 

「それってお前が刀次さん嫌いなだけじゃなくね?」

 

明人は何より、身寄りの無かった孤児の時に、自分を拾い、父親代わりとして育ててくれた剛蔵を心から慕っている。普段はマイペースで奔放な彼も、剛蔵の言うことには耳を傾ける程に絶大な信頼を寄せ、剛蔵自身も、明人を息子のように大切に思っている。反面、副長の片桐刀次にはこの上なく反抗したり、イタズラやイジりなどは日常茶飯事であり、刀次もそんな彼に手を焼いている。もっとも、普段は厳しい刀次が明人をあまり罰しないのは、彼を弟のように思っているからとかそうでないとか……

 

「まぁそれもありますけどね。そう言って何か色々禁止されて、狭い思いすんの嫌なんですよ」

 

さらっと刀次の兄心を切り捨てた明人。総介もそうだが、この男も中々の下衆である。

 

「しかし意外でさァ。俺ァてっきり旦那はアイナとくっ付くもんだと思ってたんでね、驚きやしたよ」

 

「………どうだかなぁ」

 

「そう言いつつも否定しないんすね」

 

「色々世話してくれてたからな。あのまま何も無かったら、自然とそうなるもんかなぁって思っちゃいたが、アイツにゃそんな気はねぇみてーだからな」

 

アイナは数年前、総介が一人で生活してると知るや、彼の家に乗り込み、料理をはじめとした家事の世話を侍女の仕事の傍らでやっていた。しまいには彼に家事のイロハを教え込んでいき、一定のレベルに達するまで厳しく指導していった。なお、これらを総介は一つも頼んでいない。完全に彼女の独断である。

 

「アイツの世話焼きはどうも度が過ぎてる時あるからな。ホント疲れる」

 

「同感でさァ。この前俺んとこにも来ましてね。『そうダラけてないで仕事をしなさい』とか喧嘩売ってきやがって、うるさくてうるさくて仕方ないんで刀投げつけたら、そっからもう斬ったり撃ったりの大喧嘩でね。結構な暇つぶしになりやしたよ」

 

「いやそれ100パーお前が悪いよね?完全に喧嘩売ってんのお前だよね?」

 

「結果、剛蔵さんと片桐さんの二人から大目玉くらいやした。全くどうしたらああも細かいこと気にし過ぎる女になるんですかね〜?」

 

「俺はお前が色々気にしなさ過ぎが問題だと思うがな……にしてもお前ら、相変わらず仲悪りーのな」

 

明人とアイナ。この二人は幼い頃よりすこぶる仲が悪い。元々、マイペース、奔放、サボり魔の明人と、几帳面、世話焼き、職務に忠実なアイナと、性格的な面でも相性の悪さが表れているのだが、一番の原因は、アイナが剛蔵の実子であり、彼が娘を溺愛しているのを面白く思っていないことだろう。

 

「ま、あの女の話は置いといて……旦那、変わりましたね」

 

「………海斗にもよく言われるな、それ」

 

「若様は一番近くで旦那見てて分かりやすいと思いますよ。俺でも分かるんですから、尚更でしょうねィ」

 

「………まぁ、俺自身も変わっちまったって思うからな」

 

 

「………『お袋さん』のこと、まだ引きずってるんですかい?」

 

「……時々考えるが……一応は区切りはつけたさ」

 

「………やっぱ変わりやしたね」

 

「………」

 

「まだ『刀』を休む前は、本当にギラギラしてたっつーか……まさに『鬼童』って感じでしたからねぇ。まぁあのヘッドホンのお嬢さんと出会ってからってこともありやすけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けど一番変わったのは、旦那があの男(・・・)を……」

 

「明人」

 

総介が今までの会話と違い、語彙を強めて明人の言葉を制止した。

 

ヤロー(・・・)はもう死んだ。いねぇ奴の話なんざする気にもなんねぇし、ヤロー(・・・)の話ともなれば尚更だ」

 

「………すいやせんでした」

 

その一言で、明人は謝って黙り込んだ。総介も、少し昔を思い出したのか、ベンチにの端肘置きに肘をつき、掌に顎を乗せてどこか別の方を向いた。そして、明人が再び口を開く

 

「………旦那、失礼を承知で、聞かせてくだせェ」

 

「………んだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「旦那はいつ、あのヘッドホンしたお嬢さんに、『刀』のこと言うつもりですか?」

 

「………」

 

明人の質問に、総介は言葉が出なくなってしまった。

 

 

「あのお嬢さんと今後も添い遂げてぇなら、いつかは話さなくちゃいけやせんぜ?そこんとこ分かってるんですかィ?」

 

 

「……わーってるよ。ちゃんと言うさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『刀』のことも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がだだの『人斬り』だっつーこともな」

 

 

 

総介も重々承知している。人を護ることは、人を斬る以上に覚悟がいることも。その果てに待っているのは、長く険しい茨の道だと言うことも。

そんなことを嘲笑うかのように、明人は総介へと尋ねた。

 

 

 

 

 

「……もし、ですよ。旦那が原因でヘッドホンのお嬢さんがお袋さんと同じような(・・・・・・・・・・)事に(・・)なっちまうもんなら……

 

 

 

 

 

 

 

 

アンタは、どうするんでィ?」

 

 

 

 

 

 

明人の問いに、少し間を開けて、総介は答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………させねぇさ。もう、絶対に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんな思いすんのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう沢山だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三玖は、そんな目に会わしゃしねぇよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何人斬ろうが、何人潰そうが構やしねぇ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの子を護れるのなら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『鬼』だろうが『化け物』だろうが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何にでもなってやらぁ」

 

 

 

「………そうですかィ………ん?」

 

 

明人が総介の答えを聞き、しばらく黙り込んでいると、前からこちらを向く気配がした。彼が気配のする方を向くと、そこには先ほどまで総介と一緒にいた、右目の隠れるほど長い前髪に、首元に青いヘッドホンをした女子がこちらに向かって歩いてきていた。その女子は、こちらに歩いてきて、数メートル手前で止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソースケ……」

 

 

総介の恋人である三玖が、総介へと近寄っていくが、途中で明人の存在にも気づいたようで、戸惑っているようだ。そんな彼女に、総介が声をかける。

 

 

「三玖、話終わったの?」

 

「う、うん……ええっと……」

 

三玖は総介の問いに返事をしたものの、どうやら明人の方も気になるようで、チラチラと目を向けている。それに総介も気づいて、説明を入れる。

 

「ああコレ、俺の中学の後輩。たまたま(・・・・)会ったもんだから、暇つぶしで話してたんだ」

 

「そ、そうなんだ……」

 

たまたまは嘘だが、中学の後輩は事実であり、総介と海斗とアイナ、明人は同じ中学出身であり、明人は、その中で唯一の後輩となる。と、ここで、明人は立ち上がってこの場を去ろうとする。元々、三玖が帰ってくるまでの時間稼ぎなのは間違いではないのだから、当然の行動である。

 

「じゃあ旦那、俺ァこれで。お嬢さんとのデート、楽しんでくだせェ」

 

「お〜、みんなによろしく伝えといてくれ〜」

 

「分かりやした。あ、孕ましたら一報くだせェ。コーラ一年分ご祝儀用意するんで」

 

「死に晒せボケナス」

 

「そのセリフ、片桐さんに言ってくだせェ」

 

「あの人には『一生独身人生送ってろカタブツ』とでも言っとけ」

 

「ヘイ。それじゃ俺はこれで」

 

「おー、お疲れ〜」

 

「お疲れした〜」

 

 

 

そんなぶっ飛んだやりとりを行った後、明人はベンチにから離れてどことなく去っていった。その場を離れる瞬間、明人は三玖と一瞬目があったが、特に会話をすることなく目を離して、その場を後にした。

 

 

 

明人が去って、ようやく二人きりになった2人。最初に総介が三玖へと話しかけた。

 

「ごめんね。待たせちゃって」

 

「ううん、大丈夫………変な人だったね」

 

「そう?」

 

「うん、話し方とか、総介の呼び方とか……」

 

どうやら明人の江戸っ子口調や総介への呼び方が気になったらしい。そりゃそうだ。どこの世界に先輩を『旦那』と呼ぶ後輩がいるのか。それは稀である。しかし、総介は別のことでも気になった。

明人は海斗とはベクトルは違うものの、中々のイケメンである。青っぽい黒髪のサラサラヘアに、クリッとした目が特徴の、さながら『弟系イケメン』と呼ぶにふさわしいだろう。街中を歩けば、大抵の女は振り向いて明人の話をするものだ。現に、2人が話をしている最中も、通行人の女たちが明人を見て心をときめかせていた。アイドルじゃない?とか、すごくかわいい、とか噂をしながらも、明人は全くそんな声を気にする素振りを見せなかったが……

そんな10人中9人がその見た目にときめく彼を見て、三玖は最初に言ったのが『変な人』である。総介は自分の恋人ながら、三玖も独特なセンスの持ち主だなとふと思ってしまう。だがそれがいい

 

「まぁ昔からああだから、あまり気にしたことは無いかな俺は。いつもあんな感じだし、久々に会っても全然変わってなかったから……」

 

「昔から、なんだ……」

 

「うん………それよりも、俺すんげぇ腹減った。そろそろフードコート空いてるころだし、お昼食べに行こう」

 

「うん。そうだね。私もお腹すいた」

 

ようやく本来のデートに戻れた2人は、分かれる前のように手をつなぎながら、フードコートへと向かって行き、デートを再開した。

 

 

 

 

 

 

その後も、ご飯を食べたり(総介おごり)、ペットショップで犬猫を見たり、ゲームセンターで遊んだりと、初めてのデートを充分に楽しんだ2人は、夕方になってようやくショッピングモールを後にした。

帰路の途中でも、2人の手はガッチリと繋がれたまま、離れようとしなかった。帰りの途中、三玖は総介へと声をかける。

 

「ソースケ」

 

「ん?」

 

「今日はありがとう」

 

「……三玖」

 

「ソースケと、ちゃんと2人で出かけて、色々買い物したり、遊んだりして、すごく楽しかった」

 

三玖が、総介の顔を見上げながら礼を言う。夕日に照らされているせいかどうかわからないが、顔が赤くなっているように見える。しばらくの間があり、総介も口を開く。

 

 

 

「………礼を言うのは俺の方だよ」

 

「え?」

 

 

「三玖とデートするのが、こんなに楽しいなんて思わなかった。もし他の女と出かけても、絶対にこんなに楽しいって考えないし、買い物して良かったなんて思いもしないよ……ありがとう、本当に」

 

総介も、三玖を見ながら彼女に礼を言う。途中、イレギュラーもあったが、それを除けば非常に充実した初デートだった。多分、暫くは忘れはしないだろう。

三玖は総介から礼を言われると、夕日に染まった赤い顔から自然と笑顔が溢れ、手を繋いでいない左手を伸ばして、ゆっくりと総介の背中へと手を回す。頭が、身長差のある総介の胸にすっぽりと収まり、彼の胸に耳を当て、ドクン、ドクンと、彼の大きな心音を聞きながら、彼への想いを込めて、一言言葉を発した。

 

 

 

 

「……大好き、ソースケ。ずっと、ずっと……」

 

 

三玖がそう言った時点で、総介も繋いでいた右手を離し、両手を背中へと回す。三玖も、離れた右手を総介の背中へと回して抱きしめ合う。そして、頭の上から出てくる彼の言葉を、聞き逃しはしない。

 

 

「三玖、俺も大好きだよ。また、一緒に出かけようね」

 

「うん……」

 

三玖は総介の胸に当てていた耳を外し、彼を見上げ、目が合う。自然と互いに目を瞑り、顔を近づけていき、やがて西に沈んでいく夕日は、2人の黒いシルエットが重なって全く見えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ママー!あの2人チューしてるー!」

 

「コラコラ、あまり見ちゃダメよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここが天下の公道で、周りの皆に見られていることを完全に忘れてしまっている2人だった。

 

 

「………カエリマショカ、ミクサンヤ?」

 

「う、うん……あぅぅ」

 

大勢の人々にラブラブな姿を晒してしまった2人は、ハグを解いてそそくさと総介の家へと帰るのだった。

マジ爆発してしまえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの日も、三玖は総介の家に泊まったのだが………ナニがあったのか、そりゃあ、ねぇ……

 

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クッソイチャイチャラブラブ(一部子供には見せられない表現あり)な展開ですよっと……その辺はいずれ出る大人バージョンの番外編で確認してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、一言だけ言わせてくれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総介死んでしまえリア充ヤロォォォォオオオオオオオオ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大門寺家対外特別防衛局『刀』屯所

 

 

「そうか。総介に会ったのか」

 

「はい。デート中でしたが、旦那も元気そうでしたよ。剛蔵さんによろしくと」

 

「ガッハッハ!そりゃ何よりだ!アイツも男になったもんだなぁ!!」

 

「あの野郎、女にうつつ抜かしやがって……海斗の護衛としての自覚あんのか?」

 

「そんなんだから結婚出来ねーんだよカタブツの片桐コノヤロー……って旦那が言ってやした」

 

「それお前の気持ちも入ってるよな?総介だけの気持ちじゃねーよな?」

 

「やだなー片桐さん、旦那がそう伝えとけって言ってたんですよ〜。まぁ俺も、旦那の気持ちは98パーわかりますけどね〜」

 

「ほとんどお前の気持ちじゃねぇかぁぁぁぁああ!!!」

 

「に〜げろ〜」

 

「待ちやがれぇぇぇえ!!!!」

 

「……全く、明人はいつもいつも……」

 

「いいじゃねぇかアイナちゃん。それがアイツのいいとこでもあるんだ」

 

「お父様は明人を買い被り過ぎです。もう少しあの子にも厳しくしなきゃいけません」

 

「そりゃそうだがなぁ……-あ、そうだアイナちゃん!今度の林間学校なんだが……」

 

「なんでしょうか?」

 

「俺も一緒に行っていいかな?」

 

「………一応お聞きしますが、その理由は何でしょうか?」

 

「いや〜林間学校のアイナちゃんをカメラに収めたくてなー!スキーをする姿や、友達とご飯を食べる姿、部屋で寝る姿や、お風呂に入ってる姿をこの最新式の一眼レフキャメ〜ラで……」

 

「骨ひとつ残さずに滅びてください」バキャッ!バチコーン!!!

 

「ギャァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

大門寺家対外特別防衛局『刀』では今日もこんなことが起きているのだった……

 




正直、この31話と32話は蛇足だったなと反省しています。しかし朝チュンは絶対書きたかったので後悔はしていません。
次回からやっと原作への流れへと戻ります。ようやく林間学校編へ突っ走ってく予定です。

今回もこんな駄文を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

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