世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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みなさん、新型コロナウイルスにはくれぐれもお気をつけください。人の集まるような場所に長時間留まらず、手洗いうがいを徹底しましょう。


今回の話の最初のシーンは、『銀魂サウンドトラック5』に収録されている『剣の記憶』(ラスボスである『虚』のテーマ曲)をBGMに読んでいただくことを推奨します。


44.修羅

何か大きな音がした

 

 

 

 

 

 

 

そして、その場は地獄と化した

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの日』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこからか聞こえてくる爆発音

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崩れた瓦礫の山

 

 

 

 

 

 

 

視界を奪う土煙

 

 

 

 

 

 

 

血を流して倒れた大人

 

 

 

 

 

 

 

 

何が起きたかも分からずに助けを求める若者

 

 

 

 

 

 

 

 

コンクリートに潰された人『だった何か』

 

 

 

 

 

 

 

その前で泣き叫ぶ子ども

 

 

 

 

 

 

 

地獄だった

 

 

 

 

 

 

 

 

夢だと思った

 

 

 

 

 

 

悪夢だと何度も願った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、現実だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その中で

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は必死に『母』を探していた

 

 

 

 

 

 

 

何度も『おかあさん!』と呼んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『総介!総介!どこにいるの!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母の声が聞こえた

 

 

 

 

 

 

 

しかし土煙で前がほとんど見えない

 

 

 

 

 

 

 

必死で母の声のもとに走った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おかあさん!おかあさん!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして見つけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにいたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

母だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その胸の中心からは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅く染まった銀色の刃が飛び出していた

 

 

 

 

 

 

『そう、すけ………』

 

 

 

 

 

 

 

口の端からから血を垂らす『母』

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

その母の後ろには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小童(こわっぱ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怨むのなら、俺ではなく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何も出来ない己の運命と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の前に来たこの女を怨むことだな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母の後ろにいた『男』はそう言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺は再び母の方を見た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは『母』ではなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………ソースケ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っっっっ!!!!!!!!っはぁ!はぁ、はぁ………」

 

総介は目を開けた途端、反射的に上半身を起こした。暗闇の中であるが、目が慣れてくると、顔や衣服を一切着ていない上半身からは、大量の汗が吹き出している。しかし、今の総介にとってはそんなことはどうでもよかった。

1分ほどで呼吸を整えた彼は、体を自身のベッドから出す。服は下着も一切着ていなかったが、床に落ちていた自身の灰色のスウェットのズボンが目に入り、それを急いで着て、眼鏡もかけずに部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん……?ソースケ……?」

 

 

その出来事に、総介の隣で白い肩をのぞかせて寝ていた少女も、はっきりとしない意識のまま部屋を出て行った彼を目で追うのだった。

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

総介はキッチンの冷蔵庫の中を開けて、ペットボトルに入っていたミネラルウォーターのキャップを回してとり、水を口の中へと持って行った。

ゴクゴクと口の中へと入る水を、次々と喉へと通して飲んでいく。

やがて、口を離した時には、2リットルも入っていた中身は、あっという間に3分の1ほどしか無くなっていた。

 

「………ぷはぁ!っはぁ、はぁ、はぁ………はぁ……」

 

水をたっぷりと飲んで、少し落ち着いた総介は、ペットボトルに蓋をして、冷蔵庫の中へと閉めた。その際、軽く冷蔵庫を殴る。

 

 

 

 

 

 

 

「………くそったれ」

 

 

 

何でだ

 

 

 

 

 

何で

 

 

 

 

 

 

『あの夢』に出てきたのが、母さんじゃなくて

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソースケ?」

 

 

「!!!?」

 

直後に後ろから聞こえてきた声に、総介は一瞬固まってしまうが、恐る恐る振り向く。

 

「だ、大丈夫?どうしたの……?」

 

そこには、総介とは対照的に、上に青いパジャマだけを着た恋人の三玖の姿があった。どうやら、総介が異様な雰囲気のまま部屋の外に出て行ったのを見た彼女が、上のパジャマだけを着て、総介を探しに来たようだ。急いでいたのか、下には何も着ておらず、辛うじて太腿から上の腰回りはパジャマの裾で覆われているものの、ボタンの上部は止められておらず、彼女のもう豊満な乳房の谷間は露わになっているままだ。

 

しかし、今の総介は、そんなものは目に入ってこない。彼は三玖を見てしばらく固まったが、そのまま彼女の元へと歩み、

 

「きゃっ!そ、ソースケ?!」

 

力一杯、抱きしめた。

 

 

 

 

彼女の背中に回されたその手は、ガタガタと大きく震えていた。

 

 

 

「三玖………ごめん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく、このままでいさせてくれ……」

 

「………」

 

三玖は最初こそ、突然の抱擁にびっくりしたものの、自分に回る腕や、包み込んでいる総介の身体が大きく震えていることで、『何か怖い夢を見た』ことを察した彼女は、優しく総介の素肌に手を回す。

 

「………大丈夫だよ、ソースケ……大丈夫」

 

いつも自分が頼って、支えてもらうばかりであったが、今は、自分が総介を支える番だと、三玖は彼への小さな恩返しも兼ねて、背中をペチペチと回した腕で叩いた。

 

「……ごめん」

 

総介は、三玖に慰めてもらうことに少しの情けなさを感じながらも、今までとは違い(・・・・・・・)三玖がそばにいてくれることの大きさ、護るべき人がこの場に存在しているということを実感しながら、2人は夜が明ける前のキッチンで、何分経っても抱きしめ合うのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………またあの夢を見たのかい?」

 

「………」

 

「君が『そんな顔』をするのは、決まって『あの日』の夢を見た時だ」

 

「………うっせぇ」

 

 

週は明けて、平日の朝、登校してきた総介を見るなり、彼の幼なじみであり腐れ縁、そして唯一無二の『相棒』でもある長身の銀髪イケメン『大門寺海斗』は、朝の授業が始まるまでに総介を屋上へと誘い、話をしていた。

彼らは登校時間は比較的早い方であるため、1限目の授業開始まではまだそれなりに時間はあるため、人目から逃れたこの屋上でたまに話をしている。

 

「………」

 

海斗に話しかけられる総介の目は、いつもやる気の無い目が以上に死んでおり、眉間にはシワを寄せ、目の下には薄い隈もできてしまっていた。彼は柵に持たれながらも、海斗の方には目を向けず、前を見続ける。海斗はそんな総介を、本気で心配するような、だが、これ以上は深く干渉するのは危険だともとれる、複雑な表情で見つめるが、やがて口を開く。

 

「……でも、三玖ちゃんと出会ってからは、そんな顔はしなかったのに……何でまた……」

 

「………じゃねぇ」

 

「え?」

 

「………母さんじゃなかった」

 

「………総介?」

 

いつもとは違う、異様な雰囲気が、2人を覆い、海斗にもただならぬ事が起きているかもしれないと、彼の身体がピクッと反応する。そして、目線を下に向けながら、ゆっくりと総介が口を開き始めた。

 

「……あの夢で、途中までは母さんの声だった

 

 

 

 

 

 

だが、そこについて、見上げたら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤロー(・・・)』の前にいたのは、母さんじゃなかった

 

 

 

 

 

 

 

目の前にいたのは………」

 

 

 

 

「……!!!……まさか……」

 

「………」

 

海斗は辿り着いた答えに、珍しく驚愕の顔を浮かべ、総介は無言を貫いた。つまりは、そういうこと(・・・・・・)なのだ。

 

 

 

 

 

『………ソースケ』

 

総介はその日に見た夢が、何度も自身の頭の中で再生されており、満足に睡眠を取れていなかった。再びなれば、もう一度あの夢を見てしまう……

その夢を見はじめてからは、総介は短くて2日、最高で5日は眠れないひを送ることになっていた。

 

 

「………忘れろ」

 

海斗が、いつもとは違う強い口調で、総介へと行ってくる。

 

「忘れるんだ、総介。もう『あの男(・・・)』のことは。彼は1年前に、僕達が葬ったんだ。君も見ただろ、爆炎の中に消えていく『あの男』を?」

 

「………」

 

「あの大規模の爆発なら、全てが灰塵になって何も残らない。万が一生き延びたとしても、もうまともに動くことすら出来ない。それにあの場にあの男が逃れるような場所や通路は…」

 

「海斗」

 

いつになく神妙な面持ちで喋り続ける海斗を、総介が諫めた。

 

「わあってんだよ、んなこたぁ。あれじゃあヤローは生きちゃいねぇさ。どう足掻いたって逃げ出すのは無理だ……脱出用のヘリさえ堕としてやったんだ。あんな詰みな状況、無傷で帰って来れるわけねぇ……」

 

「………」

 

「……けどな、見ちまうもんは見ちまうんだよ……

 

 

 

 

とっくに地獄に送ってやったってのに……

 

 

 

 

 

母さんがされた報いを、浴びせてやったってのに……

 

 

 

 

 

俺の中に何度も出てきては、『あの夢』を見せやがる……

 

 

 

 

 

今も『ヤロー』は、俺の中に居座りやがってらぁ……

 

 

 

 

 

挙げ句の果てには、今度は三玖まで巻き込んでまで……

 

 

 

 

 

 

ったく、今度夢の中で出会ったら100回は殺してーよ、くそったれが」

 

「………」

 

呪詛のように言葉を吐く総介。

 

 

 

「………夢の中で……それでいいのかい?」

 

「………」

 

未だ厳しい表情のままの総介を、海斗が慎重に尋ねた。

 

「確かに君の言う通りだ。『あの男』が生きている可能性は万に一つも無い。それは間違いないだろうね……

 

 

 

 

 

それでも、あの時の君は、どこか不本意な目をしていたように見えた。

 

 

 

 

 

今まで『あの男』追ってきたというのに、あのような結末で終わってしまったんだ。

 

 

 

 

 

『あの男』の首を、直接討つ事が、君の悲願だったんだろ?

 

 

 

 

 

 

総介、君はまだそのことを悔いているんじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

だから、あの夢を見続けるんじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしそれで何度も彼を夢の中で殺しただけで、君は満足出来るのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君のお母さんを目の前で殺した男を、たかだか夢の中で100回殺した程度で、君は……『鬼童(おにわらし)』は、その復讐の歩みを止めることができるのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………よく喋るな、『神童(しんどう)』の若様は」

 

呆れたような口調で海斗の方へと目を向ける総介。その目は、鋭く、刃物のように海斗を睨む。

海斗にとっても、総介にはもうあの夢を見て欲しくなかった。総介の母が死んだ原因に、これ以上振り回されてほしくはなかった。

彼の悲しみを、失意を、崩壊を、復讐を……ずっと彼の隣で見続けできたのだ。海斗にとっても、『あの男』は忌むべき存在であることに間違いはなかった。

 

しかし総介は、未だ『あの男』の亡霊に囚われている……海斗にはそれが……『中野三玖』という大切な存在が出来て尚、彼の苦しみが消えていないことに、我慢ならなかった。

と、総介が海斗を睨んだまま、話を続けた。

 

「歩みも何も、『ヤロー』はもう死んだ。その時点で俺の復讐はそこで終わっちまった……もう止まっちまったんだよ……」

 

「………だが、今の君は」

 

「ああ、三玖はもちろん、その姉妹連中と、ついでに上杉もいる。どんなことがあってでも護らなきゃなんねーさ………第二、第三の『ヤロー』みてーな奴らが現れた時はな」

 

「そうだ。今の君はただの復讐鬼なんかじゃない。君が憧れた男のように、大切な人を護るために力を使う『侍』なんだ」

 

「……剛蔵さんみてーなこと言ってんなお前」

 

「自覚はある」

 

総介と海斗にとって、剛蔵は上司であり、2人が『刀』の一員としての……『侍』としての心構えを持つに大きな影響を受けた人物の1人だ。日頃はただの娘のアイナに対する半ストーキング行為でボコボコにされている子煩悩(?)な親父だが、いざとなれば自身の武士然とした威風堂々な雰囲気を全面に出し、何者も彼に止められぬほどの力と影響力を持つ漢だ。2人はもちろん、副長の刀次をはじめとした『刀』の局員、果てにはサボりがちな明人や、普段は煙たがっているアイナでさえ、彼のその姿には尊敬の意を表している。

 

「……『侍』か……」

 

総介は脳裏に、ある男を思い浮かべた。それは、総介が人生で最も影響を受けた漫画の主人公。

銀髪の天然パーマ、死んだ魚のような目、家賃滞納は常日頃で金にがめつく女癖もそれほど良くは無いダメ人間。

しかし、いざとなれば自身の武士道のために、獅子奮迅の活躍を見せる、『洞爺湖』と柄に書かれた木刀を携えた『侍』……

 

 

 

彼自身も、大切なものを護ろうとして、全てを失ってしまった過去を持つ。それも自分の手で、その大切な人に手をかけることになった。

 

(……アンタなら、どうしたんだろうな……)

 

雲が浮かび、流れていく空を見上げながら、総介は思いにふけった。

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

「……予鈴だね」

 

学校中に響いたチャイムを聴き、海斗が呟いた。どうやらこれまでのようである。

 

「……戻るか」

 

「そうだね……

 

 

 

 

 

 

あ、そうだ」

 

2人が屋上の出入り口に戻ろうとすると、海斗が何かを思い出したかのように立ち止まる。

 

「総介、一つ聞いていいかい?」

 

「……んだよ?」

 

気晴らしもあまり出来ずに、イライラを募らせる総介が振り向いた時、海斗がこんなことを彼に尋ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕にいつ三玖ちゃんを紹介してくれるのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時は流れて放課後……とある2人の人物が階段を登っていた。

 

 

「ごめんね、三玖。時間をとらせてしまって」

 

「ううん、今日は予定無かったし、ソースケが連絡してくれて嬉しかったから」

 

「……そう」

 

階段を横に並びながら、総介と三玖のカップルは屋上を目指していた。三玖の方は、珍しく学校で恋人に会えて嬉しそうなのに対し、総介は何故か、あまりそういった表情はしていなかった。

先日の夢の件もあるのだが、彼がこうも微妙な表情をしているのは、朝、海斗に言われた一言から始まった。

あの後、教室に戻り、昼休みも合わせて『三玖をいつ海斗に会わせるか』という話を話をしたのだが、三玖の予定が今日空いていたこと、それに早い方が良いということで、放課後に会わせることに決まったのだ。

それで、総介が何で微妙な、ていうか三玖を海斗に会わせたくないっていう顔をしているかというと、理由はシンプルイズベストである。

 

 

 

 

 

『海斗を一目見た者は、よっぽどの事がない限り彼に一目惚れするから』である!!

 

 

 

 

そらぁ、身長191cmのモデル体系で、銀髪の超絶イケメンが目の前に現れたら、女の反応としては、彼と結ばれたい、てか、この人の子を産みたいってなるだろう。

加えて、勉学はほとんど行わずに風太郎に次ぐ学年2位の成績、プロアスリート並みの運動神経、実家は世界経済を動かせるほどの超大金持ち、それらを一切鼻にかけない穏やかで、優しい性格(裏表ナシ)………コイツこそ本物のリア充である。

総介は過去に何度も、海斗を一目見た後に付き合っていたカップルが別れて、女の方が海斗に乗り換えようとアプローチする場面を幾度となく見てきた。まぁ彼は全部断ってきたのだが……

とにかく、海斗に自分の恋人を会わせるということは、彼女を失う確率が限りなく高いというとんでもないリスクが伴うのだ。総介はそのせいで、先ほどから機嫌が悪かったのである。

 

それに、今ここで三玖に会わせるのは、他のリスクもついてくる。

それは、二乃、そしてアイナの2人の友人の関係である。

2人は出会ってからというものの、クラスメイトということもあり、二乃は姉妹の次に、アイナは主人である海斗の次に一緒の時間が多かった。もはやそれは『親友』の領域に入っているといっても差し支え無いだろう。

しかし、先日、アイナは二乃から海斗の話を聞き、冷や汗が止まらなかった。他に一緒につるんでいる2人は林間学校で海斗に会った話を聞いて「あ、それって大門寺君!?ちょーイケメンの!?」「すごいじゃん二乃!」とポジティブなリアクションをしたのだが、アイナにとっては、海斗と二乃が出会ったことは完全に想定外だった。それは、綱渡り以外の何者でも無かった。

アイナが海斗と主従関係にあることを学校内で知っているのは、総介と海斗、そして学校の理事長のみである。その理事長も、大門寺からかた〜く『口止め』をされているので、間違えてそのことをバラしてしまったら、自身の内臓がいろんな人に移植されてしまう目に合うので、死んでも誰にも言わないだろう。

しかし、二乃が海斗と出会い、そこで歪みが生じた。二乃は自分が、海斗と繋がっていることを知らない。

そして二乃にとって、人生で1番嫌いで、目の敵にする人物が、海斗、そして自分と幼なじみであるなんて……口が裂けても言えるわけがない。アイナは二乃と共に時間を過ごす中で、彼女のことを親友として大切に思うようになっていた。もし、そんな状況でアイナ自身が海斗、そして総介との関わりがバレてしまったら……

 

 

ここで、二乃から見たそれぞれの関係を整理していきましょう!

 

・アイナ……転向初日から打ち解けて、友人、後に親友となる。

・海斗………初恋の人物。結びの伝説の瞬間に手を繋いでいた運命の人(二乃目線)

・総介………妹の三玖を姉妹から奪い、自分を悉く馬鹿にしてくる人生で最低最悪の人間。割とマジで消えて欲しい(二乃目線)

 

※そしてこの3人は、柳宗尊が開いている道場で出会ってからの幼なじみで、そこらへんの輩どもが決して崩せはしない固い絆で結ばれている。

 

 

………人間関係ってほんっと怖いわ〜、ホラーだわ〜。

 

 

 

こんな感じで、複雑に複雑を掛け合わせたような複雑な人間関係が出来上がってしまったのだ。

総介は三玖を海斗に会わせるという連絡を一応アイナにもしたのだが、速攻で『二乃と私のことは絶対に言わないで下さい』というのが来た。アイナなともかく、二乃のことを言わないのは無理があるかもしれない。だってその爆弾は、海斗が持っているのだから……

 

 

「ソースケ?……ソースケ?」

 

「……ん、どうしたの、三玖?」

 

「大丈夫?何か考えてた?」

 

三玖が自分を呼ぶ声が聞こえ、そちらを向くと、彼女が心配そうに見つめていた。

 

「大丈夫だよ。これからのこと考えてて、嫌だな〜って思ってただけ」

 

「これからのこと?」

 

「うん、今日三玖を呼んだのは、会わせたい奴がいてね」

 

「会わせたい……?」

 

「うん、俺の小さい頃からの腐れ縁なんだ……今後俺と一緒にいる上で、絶対会うことになるから、今のうちにって思ってね」

 

「……そうなんだ」

 

そう、三玖が総介と恋人として、そしてこの先ずっと彼のそばにいるのであれば、海斗の存在は必ず出てくる。だからこそ、早めに彼に会ってもらっておいた方が、総介にとっても都合がいいのだ。

しかし、そうは言っても嫌なものは嫌だ。だって海斗イケメンだもん!

 

しかし、嫌な気分な時に目的地に向かっていると、光の如く早く到着してしまう。とうとう2人は、屋上へと繋がる扉の前に来てしまった。

恐る恐る総介が、扉を開ける。そして、扉を開けて正面、遠くの屋上の柵にもたれながら、文庫本を開いて目を通している人物がいた。

 

星のように輝く銀髪に、整った美貌を持つ長身の少年、いや青年。大学生、果ては大人に見える落ち着いた雰囲気。カッターシャツに灰色のベストを見事に着こなしている。その人物が、こちらに気づくと、本を畳んでポケットへとしまった。

 

「連れてきたようだね」

 

「うっせぇ。テメーが言ったんだろうが」

 

2人はかの人物へと、一歩ずつ近づいていく。三玖は、その人物に近づくにつれ、彼が総介よりも背が高い人物だということに驚いた。

そして2人が一定の距離で立ち止まる。

 

「その子が?」

 

「ああ、三玖本人だ」

 

海斗と総介が三玖へと目線を移すと、彼女は肩をピクンと揺らしながらも、海斗に向かって話しかけた。

 

「……な、中野三玖です。ソースケとは恋人同士で……付き合ってます」

 

何故か敬語だ。海斗が年上にでも見えたのだろうか?

 

「はじめまして、中野三玖さん。僕は『大門寺海斗』。総介とは幼い頃から一緒にいる『幼なじみ』なんだ」

 

「そ、そうなんです……か?」

 

未だぎこちない話し方に、総介は少し笑ってしまう。海斗は三玖を見ながら、優しく話しかけた。

 

「ははっ、いいよタメ口で。同じ学年なんだから、遠慮しないで欲しいな」

 

「お、同じ学年なの?」

 

驚いた。三玖からどう見ても海斗は、年上のような感覚があったのだ。身長もそうだが、余裕のある雰囲気に、三玖は海斗に大学生や、若い社会人の印象を抱いてしまった。

総介もたいがい大人な感じはしていたが、それでも、目の前の銀髪の青年はそれ以上に大人なオーラを持っている。

 

「それにしても、総介にはもったいないほど素敵な子だね。雰囲気でわかるよ」

 

「え?」

 

「見た目は佇まいは落ち着いているけど、どこか芯のあるような、そんな感じかな?総介が君に惚れるのも、すごくわかるよ」

 

「そ、そんな……そんなことない……」

 

突然褒められたことに、三玖頬を赤くさせながら下を向いてしまう。

 

「いや、すごく素敵だよ。かわいい子よりも、綺麗な大和撫子という言葉がこんなに当てはまる子がいるのも、早々いないよ。着物や浴衣が、すごく綺麗で似合いそうだね。総介に一度晴れ着姿をみせてごらん。君に夢中になるよきっと?」

 

「そ、それは……あうぅ」

 

三玖はとうとう、顔を真っ赤にさせて、両手で顔を覆ってしまった。かわいい。

彼女は今までこうも、総介以外、それも初対面の人物から褒められたことが、人生で一度も無かったのだ。そんな経験したことがない褒め倒しに、三玖はとても戸惑ってしまうが、決して嫌というわけではない。

嫌味の一つもない、心からの褒め言葉。そんな海斗の声や、言い方が、三玖の心を確実に、的確に打ち抜いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なに」

 

 

 

「へ?」

 

 

 

 

 

それ故に、海斗は1番怒らせてはならない人物をプッツンさせてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに人の女目の前で口説いとんのじゃこるるるぁぁあああ!!!!」

 

 

 

 

 

総介は海斗の後ろに回り、腰に手を回して、思いっきり『ジャーマンスープレックス』をかました。

ものの見事に決まり、海斗は頭から屋上の地面へと叩きつけられる。

 

「そ、ソースケ!?」

 

三玖が手を顔から退けると、そこには、見事に『ジャーマンスープレックス』を決めた総介と、決められた海斗が倒れていた。2人を心配する三玖だが、当の本人達は全く問題ないわけで……

 

「いたた……痛いじゃないか、総介」

 

「テメーがナチュラルに三玖口説いたのがわりーんだろうが、このクソリア充イケメン野郎が」

 

「褒めただけじゃないか。とても素敵な子だって」

 

「テメーの素敵な子だは女子からすれば『好きです結婚してください』って錯覚するほどの口説き文句だっつってんだろ!お前今までそれで何人の女落としたと思ってんだ!」

 

「そうは言っても、君にとっては三玖ちゃんを貶されるのは許せないだろう。それに、彼女を貶す部分なんて無いし、仮にあったとしても僕はそうはしたくないよ」

 

「だからって褒め倒せとも言ってねーぞ!いや、三玖は褒めるとこしかねーのはわかるよ!かわいいし、浴衣姿実際綺麗だったし、めっちゃ献身的だし、この上なく俺のこと好きでいてくれるし、今の世の中人間的にこれほどまでに良い子いねーよ!でもそれお前が言っちゃダメなの!色々とおしまいになるの!ただでさえ俺より主人公属性してるお前が出しゃばるとこの小説色々と終わっちまうの!」

 

「それは作者に色々と都合をつけてもらうとするよ。良い感じに三玖ちゃんとのパートを挟んでもらってだね……」

 

「テメー何作者まで口説こうとしてんだ!ってか、作者一応『男』なんだぞ!いいのか!?このままいけばBLタグついちまうぞ!それでもいいのかテメーは!?『や○ないか』になっちまうぞ!?『真夏の夜の嫁魂』になっちまうぞーー!!」

 

「………何勝手にタイトルをガチ◯モ系にしてるんだ。そんなタイトルは僕も断じてごめんだよ」

 

こうして、もはや何で言い争っていたのか分からないほど、総介と海斗は続けて何かを言い合っていたが、それを見ていた三玖はというと……

 

 

(………ソースケ、楽しそう……)

 

普段、自分や他の姉妹、風太郎とは全く違う彼を見て、少し驚いていた。

キレてこそいるが、そこには海斗に対する遠慮は一切無かった。ズバズバと言いたいことを言うのはいつもと変わらない。しかし、表情はまるで違う。まるで我が家に帰って兄弟と戯れているようだ。

 

(……私は、ソースケのことを何も知らない……)

 

総介と想い合い、恋人同士となり、共に時間を過ごし、家に泊まったり、『初めて』を彼に捧げても尚、自分は総介のことを全く知らなかった。それは、彼が意図して三玖に教えていなかっただけなのだが、それでも、三玖は少し海斗が羨ましく思えた。

 

(………いつか、私も……)

 

今じゃなくても、この先一緒に過ごす中で、海斗のように、総介が本当に遠慮せずに、接してくれる存在になりたい。恋人として大切に想ってくれるのもとても嬉しいが、それでも、今の総介の海斗に対する遠慮の無い雰囲気は、三玖からすれば羨ましい限りのものだった。

 

「つーわけだ。ってことで、『今のジャンプは[鬼滅の刃]が最も重要な生命線』ってことだ。分かったかコノヤロー」

 

「そうだね。あの作品はもはや社会現象になりつつあるからね」

 

何をどうすればそういった結論になるのかは全く意味不明だが、現時点で『鬼滅の刃』の勢いが凄いのは、作者も認知しているところなので問題はない。やっぱりどんなバトル漫画も、刀でチャンバラがいちばんだよね!……え?ドラゴンボール?NARUTO?ヤジロベーやサスケェがいるだろうがこのバカチンが!

 

「おっと、話が逸れたね。ごめんね、置いてけぼりにして」

 

「う、ううん、大丈夫……」

 

どうやら、三玖の海斗への敬語は取れたようだ。

 

 

 

 

「それにしても、本当に五つ子なんだね。二乃ちゃんとすごく似てるよ」

 

「えっ!?」

 

「おいコラ」

 

三玖は突然海斗の口から『二乃』の名前が出てきたことに、驚きを隠せなかった。そして総介も、彼女の名前が出てきたことに、危機感を覚える。

 

(あの女の名前出してんじゃねーよ。アイナから聞いてなかったのかテメー)

 

(心配しなくても、重々承知してるさ。うまくやるよ)

 

アイコンタクトで会話をしながら、2人は驚いた様子の三玖へと目を戻した。

 

「二乃こと、知ってるの?」

 

「うん、林間学校でたまたま会ってね。少し話をしたんだ」

 

「そ、そうなんだ」

 

三玖は、二乃が林間学校が終わってしばらく、この上なく上機嫌だったことを思い出した。その答えが、今目の前にいる海斗なのだと理解するのに、彼女の嗜好を知る三玖からすればそう時間はかからなかった。

海斗は、結びの伝説の瞬間の後、戻ってくる生徒達の気配に気づき、そのまま二乃から離れるようにその場を去った。二乃も、突然の別れと、連絡先を交換してなかったことにショックを受けたが、海斗の『君が本気で願うなら、僕はまた君の前に来るよ』というどこの王子様の言葉だリア充爆発しろ!みたいな言葉を受けて胸キュン!そのまま彼の言葉に従って部屋へと戻るのだった。

 

「二乃が何か迷惑なこと、しなかった?」

 

「とんでもない。充実した時間を過ごさせてもらったさ。……でも、三玖ちゃん、君が僕と会ったことは、二乃ちゃんには内緒にしてね」

 

「え?」

 

「僕と総介が幼なじみってこと、二乃ちゃんは知らないんだ。それを知ったらきっと二乃ちゃんは、総介や君に何か言うかもしれないから。特に、総介のことは三玖ちゃんを奪ったって酷く嫌っているようだからね。それで事態がややこしい事になるのは、お互いに利がなくなるからね」

 

「う、うん……分かった」

 

「ありがとう、助かるよ」

 

そう言ってなんとか三玖を口止めする事に成功した直後、三玖が何かに反応し、ポケットからスマホを取り出し、「ごめんね」と言ってから耳に当てる。電話のようだ。

 

「もしもし……うん、今ソースケと一緒……うん……別に、大丈夫……デートじゃ無いから……わかった……ソースケに聞くね……うん……じゃあまた」

 

しばらく話をしてから、三玖は通話を切り、スマホをポケットへとしまった。

 

「ごめんね。四葉が『五月と一緒にパフェ食べに行こう!』って。ソースケも来るかどうか聞いてって言ってた」

 

「四葉が……いや、俺はいいよ。行ってきな」

 

「いいの?」

 

「うん、俺だけじゃなくて、姉妹での日常も大事にしなくちゃね。それに、俺は海斗と少し話したいことあるから」

 

「……わかった、じゃあ行くね」

 

三玖はそう言うと、海斗の方に向かって顔を移す。

 

「大門寺君も、これからよろしく……お願いします」

 

「敬語じゃなくていいのに……よろしくね、三玖ちゃん」

 

ペコリと一礼して、三玖はそのまま屋上を去ろうとするが、最後に総介の方へと振り返る。

 

 

「………ソースケ」

 

「ん、どうし………!」

 

三玖はそのまま彼に近づき、花火大会の別れ際のように、総介の頬へとキスをした。一瞬だったので、頬に口付けした瞬間に離して、彼と目を合わせる。

 

「………またね、ソースケ」

 

「………またね、三玖」

 

そう言って、頬を赤くしながら、いつものように別れの挨拶を交わして、三玖はタタタと屋上を小走りで去っていった。

 

 

 

 

「………見せつけてくれるじゃないか」

 

「………うっせぇ」

 

「果たしてどっちがリア充なんだか……」

 

「………」

 

海斗のからかいに、何も言い返せない総介。とりあえず、爆発しろ。

 

「でも、君の心配してたことは起こらなかったね」

 

「……ああ、普通に驚いた」

 

海斗に三玖を会わせた時、最初こそ彼の口説きに過剰に反応したが、当の三玖は、海斗に対して終始あっけらかんとしていた。それはこれまで彼に会った女子とは全く違う反応だったのだ。

 

「僕ごときじゃ、君への想いは断ち切れないってことかな?」

 

「それお前が言うセリフか?」

 

「はは、そうだね……それにしても、彼女『たち』は本当に面白いね」

 

「……彼女『たち』ねぇ」

 

「だってそうだろう?同じ五つ子の内の2人で、ああも違うんだ。まるで『彼女たちそれぞれがそうなることを望んでいる』かのようにね」

 

「…………」

 

海斗は、まだ二乃と三玖にしか会ってはいないが、それでも、総介と同じく、五つ子たちの『何か』に気づいていた。

 

 

最も、総介にとってはそれは『どうでもいい事』である。しかし、海斗には……

 

「面白いね。俄然興味が湧いたよ」

 

「………」

 

海斗のワクワクする子供のように楽しんでいたその目を見た総介は、彼がどうして二乃を気にかけるのか、それも長年の付き合いで大体理解していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、『今回』はテメーのお眼鏡にかなうのか、あの女は?」

 

「どうだろう?……でも、結構楽しめそうだからね、期待はしているよ」

 

「お前があの女を退屈な日常を埋めるオモチャにしようが俺ぁどうでもいいさ……でもな、海斗」

 

「ん?何だい?」

 

「もしテメーのせいで三玖が何かあったら……そん時は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いくらテメーでも殺すからな

 

 

一瞬だが、総介は『鬼童』の顔を海斗へと見せた。海斗はその姿に表情を全く変えず、答えた。

 

 

 

「………わかってるよ」

 

そう返したのを皮切りに、総介は元のやる気の無い表情へと戻る。

 

「そういえば、柳先生に会いに行ったって聞いたよ。どうだった?」

 

「ああ、元気だったぞ。俺らやアイナや明人のことも気にしてた」

 

「僕もしばらく顔を出してないからね。久々に道場に行こうかな」

 

「そうしてやれ。先生も喜ぶ」

 

「ふふ、そうするよ」

 

「んじゃ、俺はアイナんとこ行ってくらー。あいつも色々と焦ってるらしいからな」

 

「すまないね。本来なら僕が説明しなきゃいけないのに」

 

「主人が従者に気ぃ遣うのは、ハードワークしてる時だけだ。人間関係であまり立場を無茶苦茶にすんな。こーゆーのは第三者がなんとかすんのが効率的なんだよ」

 

「ありがとう、助かるよ」

 

「んじゃ、テメーもほどほどに帰れよ〜」

 

「ああ、そうするよ」

 

そう言って、総介は海斗に背中を向けながら手を振り、屋上を後にした。残された海斗は、総介が閉めていった扉に向かって、たった1人呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総介……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君の三玖ちゃんへの想いは本物だろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、君は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこまでお母さんと三玖ちゃんを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう『あの男』はいないんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あんな過去』に、いつまで縛られているんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それとも、君はまだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かを感じるのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの男』がまだ生きていると……

 

 

 

 

 

 

 




サブタイトルは今年活動を再開されたロックバンド『DOES』さんの『修羅』から拝借いたしました。
銀魂のエンディングテーマにもなっている曲です。『あの日』という過去を思う総介が、この曲の『銀魂』のアニメーションとリンクしたので、使わせていただきました。
個人的にはアニメが始まったばかり頃、ギャグばかりだった銀魂が、この曲で一気にシリアスになって銀魂の印象がガラリと変わった思い出の曲でもあります。てか、普通にカッコいいっす。

今回もこんな駄文を最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます!
さあ、来月はついに『かぐや様』2期スタートだぜベイベ!

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