ああ〜今月で終わってほしくないよぉ、まだまだ見てたいよぉ………もうこうなったら来年1月の『五等分』の2期のところを『かぐや様』3期に変えてくれねぇかなぁ〜(外道)。まぁ放送枠とか局とかの問題あるから無理だけど……
さて、それはそうと試験前、四葉が二乃が〜って話です。
期末試験が来週に迫った金曜日。つまり、土日を挟めば、試験はすぐやってくる日。
昼休み、総介は海斗と一緒に屋上にいた。
「それで、他の子の状況はどうだい?」
「三玖は今回も赤点はとらねぇだろ。基礎はほぼ教えたし、自分で考えて答えを導き出せる問題も増えた。もはや俺が教えるところはほとんどねぇよ。長女さんも必死こいて苦手科目を克服しようとしてる。そこで赤点取るかは、この土日の踏ん張り次第ってとこだな……後は知らねぇ」
「2人だけじゃないか……二乃ちゃんはともかく、残りの2人は見ていないのかい?」
「肉まん娘は上杉が見てるからどうなるかは全く分からん。んでバカリボンは陸上部の助っ人とやらでほとんど見れてねぇ。ありゃ今回赤点回避はダメだな」
「陸上部?……ということは……」
「ああ。あの妄想癖の中でしか生きちゃいねぇ万年ランナーズハイ女が部長やってるところだ。ったく、変なのに捕まりやがって……」
総介は下を向き、はぁ、とため息を一つつく。
「あははっ、それはまた大変だね」
「他人事と思って笑いやがって。殺すぞ?」
「まんま他人事だから、仕方ないじゃないか」
「………まぁいい。とにかくだ。俺は今は三玖と長女さんで手一杯、上杉も肉まん娘に教えて、残った2人はエスケープ。あと、あの女なんだが、さっきアイナからメール来て、今日休んでるみてぇだ。マジで行方くらましやがったぜあのアマ……」
「きっと試験まで誰とも会いたくないんだろうね。
君の話を聞く限り、今の二乃ちゃんは巣に取り残されてしまった雛だ。巣の心地が良すぎて、母鳥がいなくなった後も、他の雛たちと一緒にその場に居座り続ける。
誰かが雛を外へ導こうとすると、真っ先に噛みつこうとするけど、他の雛たちは自分の意思で外に出て行く。
それを見て、残された最後の一羽はどうしようもなく暴れ回り、やがて巣すらも破壊しようとする……」
「………」
「そして雛は、誰にも見られることなく、巣から落ちて、やがて死ぬ……
僕の思い違いだったかな?面白い子だと思ったんだけど……
随分と期待してたんだけどな………
でもまぁ、このまま落ちていく様を見ているのもつまらないからね……
僕もそろそろ手を」
「海斗」
1人喋っていた海斗を、総介の声が遮る。
「大事なモンを忘れてるぜ、テメーは。
そのボロボロになっちまったくたばりそうな雛に、
4羽の同じ卵から産まれた鳥がいることをよ」
「………」
「全員……てわけじゃねぇが、1羽でも、戻って来れば、どうなるかは俺らにも分からねぇよ。
そっから巣を出ようとするのも
それでも迎えに来た鳥を追い返して野垂れ死ぬのも
あの女の自由だ
だが、それで何も感じねぇこたぁねぇと思うぜ、俺はよ」
「………もし、それが出来るとしたら……」
「昨日の夜、『その子』から連絡が来てな。明日にでも動くそうだ。
それに賭けるしかねぇよ」
「………だろうね」
それ以上の会話を、2人はすることなく、屋上をあとにした。
………………………………
その夜、自宅のベッドでくつろいでいた総介のスマホに、風太郎からの電話が来た。
「何の用だ?こんな時間に……」
『………四葉の事なんだが』
そこから風太郎は、本日あった四葉のことについて説明を始めた。
風太郎は五月と一緒に陸上部の練習に乱入、四葉を引き戻すために並走したのだが、風太郎の体力が壊滅的に無いため時間がそんなに経ってもいないのにリタイア。
途中で風太郎から出した問題も、四葉は微妙に間違えており(本人はドヤ顔で答えていたので間違えてることに気づいていない)、もうどうにもならなかった。彼女は『私は平気です』とは言っていたが、
そして先程、家にいる一花の電話を通して、四葉の本音を聞き出した。
『私………部活辞めちゃダメかな……』
四葉には内緒で通話をONにしていた一花は、彼女が去った後に風太郎に確認をとった。
『明日、陸上部に行こうと思うけど、君はどうする』
風太郎の答えは決まっていた。
『行くに決まってる!
四葉を解放してやるぞ!!』
………………………………
『………というわけなんだ』
「あそ、じゃあがんばってね」
『ああ……って違う違う!!』
そのまま総介が電話を切ろうとしたところを、風太郎は慌てて止めた。
「んだよ、まだなんかあんのかよ」
『だから浅倉、明日お前も来て四葉を「やだよ」なっ!!?』
風太郎の話を食い気味で総介は断った。
「何で俺まで行かなきゃなんねぇんだよ。あのバカリボンが断ればいいだけの話だろ?」
『い、いや、それはそうなんだが……え?代われ?しかし……』
「?」
電話の向こうで何やら少しやりとりがあった後、再び声をかけられる。
『浅倉君、五月です』
「ん、肉まん娘か」
そういえば、上杉の家に泊まってたんだったなと、総介は遠い記憶のように思い出した。
『私からも、お願いします。四葉を助けるのを、協力してもらえないでしょうか』
「だから、それは俺の」
『最後のチャンスなんです!どうしてもお願いします!』
「………なんで四葉にこだわる?」
二乃とは仲違いをしている最中だというのに、四葉のことについては引き戻そうと妙に食い下がってくる。総介は彼女の対応の違いに、少し疑問が湧いた。
『ちょっとすみません、上杉君、私1人にしてくれませんか……はい、ありがとうございます』
「?」
すると、今度はしばらくの沈黙の後、再び五月の声が聞こえてくる。
『すみません、今外に出ました。1人きりになりたかったので』
「上杉に聞かれちゃマズイのかよ。アイツが発案したことだろ?」
『四葉の名誉のためです………では説明します』
そう言って、五月はかつて、四葉にあったことを話し始めた。
簡単に言えば、五つ子が黒薔薇女子に在校していた際、四葉は今の陸上部みたいに、色々な運動部を掛け持ちし「ふ〜ん、大変だね〜」勉学を疎かにしてしまい、追試に落ちて落第寸前まで行ってしまった「ふ〜ん、大変だね〜」原因は、人の役に立つ、人から必要とされることが嬉しくてたまらなかった四葉が、そのまま後ろを省みずに突っ走り続けた結果だった「ふ〜ん、大変だね〜」。四葉が気づいた時には、もう1人では取り返しのつかないような状況に追い込まれていた「ふ〜ん、大変だね〜」。そこで、彼女以外の4人の姉妹は、四葉を1人にはさせまいと、姉妹全員で別の学校への転校を決断「ふ〜ん、大変だね〜」そのことで、自分のために4人が一緒の道についてきてくれたことは、四葉にとって暗い影を落とすことになるのだった………「ふ〜ん、大変だね〜」
『……そして、転校してきたのが今の学校なんです。そこでも四葉は、同じ過ちを繰り返そうとしています……私は、これ以上、四葉に罪の意識を与えたく無いんです』
「ふ〜ん、大変だね〜」
『………さっきから同じ返事しか聞こえてこないのですが……ちゃんと聞いてました?』
「あ〜聞いてた聞いてた。それで、畳の下に隠れていた隣人のブライアンは、実はアメリカ政府から潜り込まれて来たスパイだったんだな?」
『全然聞いてないじゃないですか!!誰ですかブライアンって!?』
電話の向こうでの五月のうるさいツッコミに、総介はいったん耳からスマホを離す。
「っせーなぁ。ちゃんと聞いてたっつーの………しかしな肉まん娘、俺がお前からあのバカリボンの昔話を聞かされたところで、何も関係ありゃしねぇ。それはそれで、これはこれだ。それをいちいちあいつに物申すつもりはねぇし、逆に同情するつもりもねぇ。ここで四葉がそう思ってんのなら、どう行動するかは、あいつ自身で決定するもんだ。違うか?」
『それは……』
「それに今回は、上杉には特に赤点回避ってノルマが課せられてるわけでもねぇしな。無意味に目先の結果を求めてもしゃあねぇが、それでも今お前たちができることは、自分自身の成績を上げること、それだけだ。三玖でさえギリギリだったのに、前の試験で独りよがりで堂々と赤点をとったお前が、他の姉妹に構ってられるほどの余裕があるのか?」
『………』
「明日お前らがどうしようが、それはお前らの自由だ。だが、それに俺ァ関わるつもりはねぇ………四葉を戻すも良し。戻らぬも良し。全てはあいつが招いた結果。それだけだ」
総介がそう言い終えると、五月はしばらく黙りこみ、やがてスマホの向こうから彼女の声が聞こえてきた。
『………わかりました。
ですが、最後に、聞かせてください』
「……何だ」
『浅倉君はなんでそんなに…………
そんな簡単に、人を見捨てられるんですか?』
「…………色々経験すりゃあな、
ま、お前ももうちょい大人になりゃわかるさ
じゃあな」
『え?それって一体ry』
まだ五月が喋っているままだったが、総介はそのまま電話を切り、ベッドの上に上半身を大の字に寝転ばせた。
「…………」
しばらく考え込んだ後、彼は再びスマホの画面をタップして、耳に当てた。
「………悪いな海斗、こんな時間に。明日のことなんだが……」
………………………………
翌日。某ホテルにて
「お邪魔します」
「………私にプライバシーは無いのかしら」
そこには、二乃と同じの黒いリボンをツーサイドアップにした三玖が、変装の元にした本人と相対していた。
一昨日、風太郎と総介が二乃のいたホテルを離れた後、総介から事情をきいた三玖が、気になって二乃の泊まっているホテルを訪れたところ、ちょうどホテルから荷物を持って出て行く二乃を目撃し、そのまま尾行したところ、今いるホテルにチェックインするまでの様子を見ていた。ちなみに、そのことを知っているのは三玖だけであり、彼女はそのことを総介に言ってはいるものの、場所までは口にはしていない。
しばらく、三玖は図々しくも二乃の部屋でお茶(緑茶)を飲みながらくつろいでいるが、
「ってなんで自分の部屋みたいにくつろいでんのよ!」
「今更……」
流れのままに動いて、隣で緑茶を飲む三玖に、二乃が盛大にツッコむ。三玖は全く動じる様子もなく、お茶をすする。
「一昨日は上杉、今日は三玖……少しは1人にさせなさいよ」
「ソースケもいる」
「あいつの名前出さないで!名前すらも聞きたくないわ!」
「………」
二乃の総介に対する過剰な反応を見る限り、総介に相当キツいことを言われたのだろう。一昨日、帰ってきた総介が何事もなくあっけらかんと
していたのを見るに、おそらく一方的に正論をかまされて、我慢できなくなった二乃が追い返したと、三玖は予想する……まあ大体は本人から聞いているのだが。
と、ここで三玖が、直接あのことを二乃に聞いてみる。
「大門寺君に会わせてもらえなかったのがそんなに不満?」
「ええ不満よ!あいつ、それぐらいいいでしょって聞いたのに、海斗君は忙しいだの、お前のワガママに付き合う暇なんか無いだの、屁理屈ならべて一向に………
ってなんでアンタがそのこと知ってるのよ!?」
「ソースケから聞いた」
「あいつ……」
何でもかんでも三玖にペチャクチャと……と、二乃は歯軋りをさせてその場にいない三玖の恋人に対して激しい殺意を覚えるが、その直後に、三玖から信じられない言葉が飛び出してきた。
「あと、大門寺君にも会わせてもらった。試験期間の前だけど」
「はぁぁぁ!!!?」
隣に座っていた二乃が、驚きのあまり飛び上がる。
「会ったって!?海斗君に!?」
「他にだれがいるの?」
「なっ!?どうして!どうやって会ったのよ!?」
「ソースケが『自分と付き合っていく上で、絶対関わってくる人だから』って、会わせてもらった」
「!!!………」
額に青筋を走らせる二乃。そりゃそうだ。自分には会わせてくれなかった海斗を、総介は三玖には簡単に会わせたのだ。だがまぁしかし、総介からすれば、海斗と三玖を合わせるのはいろんな意味で抵抗があり、積極的に会わせた訳ではない。
彼女と長く共に時を過ごす以上、海斗の存在は避けられない問題なのは確かだったので、いやいや彼に会わせるしかなかったのだ。あらゆる女子をも虜にする海斗を三玖に紹介するのは総介からしても苦渋の選択だったが、結果的に、三玖は海斗には全く靡かことは無かった。
「あいつ……どこまで私を馬鹿にするのよ……」
「……会ったのは一度だけど、二乃が惚れそうな人だなって思った」
「そりゃそうでしょ!海斗はあんたの彼氏なんかと違って、とっても優しくて、背も高くて、ちょーカッコいいんだから!」
「確かに大門寺君は背も高くて、優しくて、カッコいい人だけど……
それでも、私はソースケがいい」
「はぁ!?海斗君に会ってもあんなやつを選ぶ気なの?正気?」
「なんとでも」
「………」
二乃の総介を貶める言葉にも、三玖は反応を示さなかった。本来なら、いくら三玖でも、恋人をムッとして言い返すのだが、今日はどこか素っ気ない。二乃は三玖の無反応に、少し拍子抜けする。
「……何よ、言い返さないの?」
「……自由だから」
「は?」
「私たちは姉妹だけど、誰かを好きになるのは、私たちそれぞれの自由。二乃が大門寺君を好きでも、私がソースケを好きでも、それは私たちの自由だから……別に誰かに言われても、変えるつもりはない」
「………アイツに言われたの?」
「……林間学校のとき、ソースケが言ってた。『私には私の、一花には一花の、四葉には四葉の、五月には五月の……そして二乃には二乃の[特別]がある』って。それを無理に一緒にして『平等』にする必要なんてないって。私が思いつめてる時に、ソースケは優しく言ってくれた。どうせみんな違う道を行くなら、『自由』にした方がいいって」
「………」
頬を赤くしながら話す三玖。そして、最後の言葉を聞いた二乃は総介の言ったことに覚えがあった。
『いずれ来るかもしれねぇが、お前らもそれぞれ別の男と結婚すんだ。まあそれはどうかわかんねぇが、少なくとも、就職なりなんなりで、お前らはバラバラになる時は来る。そん時が来たらお前はどうするんだ?』
………いつか、みんなバラバラに違う道を……
二乃にその言葉が、重くのしかかる。目の前にいる三玖は、それを受け入れるどころか、自分からそうなって自由を謳歌している。それに比べて、自分はどうだ。
そんな現実を受け入れられず、駄々をこねて風太郎と総介を拒絶し続け、総介と三玖の交際を一向に受け入れられず、突っかかっては返り討ちに遭い、ついにはにはこうして姉妹から逃げ出す始末だ。そしてそんな自分を、2人は全く歯牙にもかけていない。
「前から思ってたけど……アイツ、本当に私たちと同じ高校生なの?」
「うん、ソースケって大人っぽい。落ち着いてて、困ったときはいろいろとアドバイスしてくれて、悩んだりしてる時は一緒にいてくれる。そこが凄くいい」
総介の凄惨な過去や、『刀』にいることを知らない2人からすれば、彼は明らかに年上にしか見えない。一花のからかいにも動じず、二乃が噛み付いてこようとも適当にあしらい、四葉の奇天烈な言動にも特に驚くことなく対処し、五月が試験で赤点をとったときは一切容赦せずに折檻した。流石に三玖の
と、ここで二乃が三玖に話しかけた。
「………ねぇ三玖」
「何?」
「あんた………アイツと寝たの?」
「……?何言ってるの?」
「だから……アイツと、『そういうこと』、したの?」
「………」
2人の顔が徐々に赤くなっていく。三玖が総介の家に泊まりに行った日、彼女はとんでもない爆弾発言をして家を出て行った。その後は、何事も無かったかのように振る舞ってはいるが、年頃の女子ゆえ、気になるものは気になるのだ。そうだと知っていても、やはり本人の口から聞かないと納得はできない……
「………うん、した」
「………そう」
分かってはいた。あの日から、三玖の雰囲気が変わっていたのだ。二乃の姉妹の中で高い女子力は、それを見逃さなかった。三玖が総介の家から帰ってきた時から、いつもと変わらないような感じはするものの、所々で溢れ出る色気や、総介と話をするときの感じが違っていた。ほんのわずかではあるが、二乃にはそれが『そういうこと』だと確信させるには十分だった。
近頃、二乃が三玖にきつく当たるのも、そこから来ていたりしていた。自分が一番嫌いな男が、姉妹と体の関係を気づいた事実、それをずっと受け入れたく無かった。
そして改めて、それを知った。
「………はぁ〜」
二乃は盛大にため息をつく。もう元には戻れない。あの頃のように、同じ姿の姉妹みんなで一緒にいることはできない。母が死んで、今の義父に引き取られてから、それぞれの容姿は変わりはじめ、それぞれの好みにも差が出てきた。事実、今飲んでいるものは、二乃が紅茶、三玖が緑茶。そうして、五つ子に差がで始めた頃、妹の1人がいつの間にか恋人を作り、その彼に初めてを捧げた。
『変わらねぇ日常が永遠に続くと思ったか?』
あの日から、総介の言葉が延々と頭の中に巡っていた。いずれ、そうなる。それを受け入れて前に進むか、今のように現実から逃げ続けるか……
「……はぁ〜、もういいわ」
「?」
「なんかアホらしくなってきた。何で私があんなヤツごときに悩まなくちゃいけないのよ」
「………二乃」
「………いつまでも子どもじゃ、いられない……どうしようもない時は、受け入れるしかない、か……」
そうブツブツと呟きながら、二乃は立ち上がり、鞄の中をまさぐる。その中からなにかを取り出し、再び三玖の元へと戻る。彼女が手に持った物を見て、三玖は血の気が引いていく。
二乃の手には、それはそれは切れ味が良さそうなハサミが握られていた。
そして………
「三玖、アンタが、アンタから、変わっていったんだから……
アンタも、覚悟しなさい」
「……………」
………………………………
「マジありえないから」
「は、はい……ごめんなさい……」
その後、試験前にも関わらず、合宿を行おうとしている陸上部に流されて出発しようとする四葉を止めるため、最後の手段として、四葉を戻そうと、隠れて様子を窺っていた風太郎、五月、一花の3人だったが、突如三玖からの救援要請の電話により一花が離脱、仕方なく2人で追いかけることにした。途中、五月を四葉に変装させ、本人と入れ替える作戦を思いつき、実行に移した。四葉をこちらに引きつけることには成功したが、四葉に変装した五月は、陸上部部長の江場に髪の長さを指摘されて、バレそうになったところをもう1人の姉妹が現れ、今度はそっくり四葉に変装していたため、気づかれることは無かったが、その四葉モドキは江場に「試験前に合宿とかマジありえない」と凄み、それに気圧された江場はその場にへたり込んでしまった。
一方、遠くから見ていた風太郎。隣にいた四葉は「ドッペルゲンガーだー!!」と騒いでいたが、風太郎は一花が戻ってきたのを知り、姉妹で一番変装が得意だと聞いてた三玖がやったのだと思ったのだが、一花の後ろから三玖がヌッと出てきたのを見て、ちんぷんかんぷんになってしまう。
「?????」
彼が混乱していると、五月ともう四葉モドキがこちらにやってきた。
「五……四……一……三……まさか」
今この場にいる場で、四葉に変装している人物は、消していくと1人しかいなかった。
「私がホテルに着いた時、ハサミを持って三玖が立ち尽くしてたの。
詳しくはわからないけど、きっと、
何か気持ちの変化があったんだろうね
二乃」
そこには、スーパーロングだった長い髪を、四葉と同じくらいの長さまで切った二乃が、自身のリボンをツーサイドアップにつけていた。そんな彼女を、一花が少しからかう。
「そんなにさっぱりいくなんてもしかして失恋ですかー?」
「うっさい」
適当にあしらった二乃が、四葉の方を向き、彼女に声をかける。
「四葉」
「!」
「私は言われたの通りやったけどこれでいいの?こんな手段を取らなくても、本音で話し合えば彼女達もわかってくれるわ」
「…………」
「あんたも変わりなさい
辛いけど、いいこともきっとあるわ」
そう言う二乃の顔は、どこか憑きものがとれたかのような表情をしていた。
「………うん、行ってくる」
「付いてこうか?」
一花がそう聞くが、四葉は断った。
「ありがとう……でも、一人で大丈夫だよ」
そう言って、四葉は陸上部の元へと歩いていった。
………………………………
その後、一花と三玖の計らいで、風太郎を連れて、二乃と五月は二人きりになる。
「二乃……先日は」
「待って、謝らないで」
五月が謝ろうとしたのを、二乃が止める。そして、
「あんたは間違ってない。悪いのは私。ごめん。
あんたが間違ってるとすれば……力加減だけだわ。凄く痛かった」
「二乃ぉ〜」
今にも泣きそうな五月。と、彼女は思い出したように、ポケットの中からある物を取り出す。
「そ、そうです。お詫びも兼ねてこれを渡そうと思ってたんです」
そう言いながら、五月は二乃にそれを見せた。
「この前二乃が見たがってた映画の前売り券です。今度一緒に行きましょう」
「!」
それは、『恋のサマーバケーション』という、なんともアレなタイトルの映画の前売り券だった。
それを見た二乃は、小さくつぶやいた。
「……全く、なんなのよ
思い通りにいかないんだから」
二乃が後ろに回したてには五月が見たがっていた映画『生命の起源〜知られざる神秘〜』という、これまたアレな映画の前売り券が握られていた。
………………………………
ここは、風太郎達がいた場所から、それほど遠くないビルの屋上。
「……どうやら、あっちの問題は解決したみたいだね」
「……どうだかな」
風太郎と姉妹たちを、遠くで見つめる影が2つ。ていうか、大体の予想通り、総介と海斗である。
「昨日いきなり電話が来たかと思えば、これを見せるためだったとはね、びっくりしたよ」
「どう転ぶかはあいつら次第だったがな。とりあえず、あのアホ二人はどうにかなりそうだが……」
「………四葉ちゃんかい?」
「……あいつがもし、あれでもダメなら、もう無理だな……」
「流石にそれはないと思うけど………」
「どうだか………そんじゃ、あいつら帰るみたいだし、俺も行くわ。上杉の代わりに、アホどもに制裁しなきゃいけねーしな」
「………総介」
屋上から去ろうとした総介を、海斗が呼び止める。
「………」
「
「………いいのかよ、それじゃアイナは」
「一応納得はしてくれたよ。アイナのことは今のところ全く知られていない。僕と総介だけの関係なら、問題ないだろうし、二乃ちゃんにあそこまで知られていたら、いつまでも秘密にはできない。だったら今のうちにあの子達に会っておいた方がいい。
そして何より、僕自身、そろそろ表舞台に出てみたいからね」
「………お前を呼ぶのはあの女の態度次第だ。そん時は縁が無かったと思ってくれ」
「……分かった。楽しみに待ってるよ」
「…………」
総介はそのまま、屋上の扉を開けて中へと入っていった。一人残された海斗は、マンションへと戻る風太郎と、中野姉妹を見ながら、一人静かに喋りだす。
「……さて、この一寸先にある闇の奥、待っているのは、天国か地獄か………
どちらに転んだとしても、面白くなってきたね……
あまり僕を落胆させないでくれよ
君といると、中々暇を潰せて面白そうだからね
期待しているよ
二乃ちゃん」
『上杉派』か『白銀派』かと聞かれたら、『石上派』と答えます。しかし白銀のハーサカにアプローチされてもかぐや一筋なのところも捨てがたいな……
『かぐや様』って無駄にハーレムにせずに、それぞれにカップリングが出来てるのがほんともう好き。
今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!
ご感想、好評価お待ちしてます!