書き忘れてましたが、43話で登場した『柳宗尊』のイメージcvは、山◯宏一さんです。『ドラゴンボール超』の破壊神ビルスや、『ルパン三世』の銭形警部(2代目)の中の人です。『銀魂』だと吉田松陽、虚の中の人でもあり、そのまんまイメージしながら書きました。
最初に出てくる今回の新キャラ、賛否どころか、かなり否の方が多いかもしれませんが、構想の初期段階の時点で、出来上がっていたので、それをそのまま書きます!後悔はしていない……
時は遡り数日前
アメリカ合衆国首都『ワシントン』、その某所に存在する会議場で、各国の大臣や首脳などの代表、各界のトップクラスの大富豪や重鎮たち、約700人余りが文字通り一堂に会していた。
そこで行われているのは、表向きでは各国が抱える問題についての対策案等を話し、共有し合う会議という名目であるが、実際は『今後に世界のどこで何を起こし、どの国が解決するか』という、マッチポンプで世界を裏で操る会議が行われていた。
『我が国が軍事支援している彼の紛争だが、今後は対立国にも武器の売買を……』
『東アジア圏での領海問題だが、次はどの船に……』
『数ヶ月前にアフリカ大陸中央部で我々が流行させた疫病だが、徐々に南の方へと感染を広げて……』
まるで『世界』という名のキャンパスに、自分たちの思い通りの絵を描いていっているようだ。しかし、そこには倫理もへったくれも存在しない。
好き勝手に各地で紛争を起こし、同盟国の大国に支援をさせるように誘導して、自国の利益を得る。
貧困の続く国でウイルスを流行させ、都合良くワクチンを少しずつ売りつけて、自国の利益を得る。
弾圧されている少数民族を助け、彼らに武器を売る裏で、政府側への支援も行い、緊張状態を長引かせ、支援の期間を伸ばして、自国の利益を得る。
ここで決定される物事には、人間の命の尊厳などは微塵も無かった。ただただ、慣れたゲームをするように、淡々と多くの人が死ぬことが決まっていることが、簡単に決定されていく。
そのような狂気が集合したような会議が進む中……
『くだらねえ』
ただ1人、異様な雰囲気で鎮座する者がいた。その男は、鬼の如き凶悪な形相をした顔に、退屈そうな表情を浮かべ、筋肉の鎧で覆われた巨大な体を大きく高級な黒い椅子に深く座らせて、両足をテーブルの上へと乗せ、会議中だというのにも関わらず、一番後ろの席でウイスキーの入ったグラスを片手に持っている。
服装も、会議の場でのフォーマルな服装ではなく、黒いTシャツに黒いズボンという場違いもいいとこなラフな格好だ。
彼こそ、世界経済を動かす力を持つ大門寺家五代目総帥にして、大門寺海斗の父親………そしてこの世界、ひいては現地球上での最強の生物……
『
その人である。
「ミスター大門寺、我々の決定に何か不服があるとでも?」
大左衛門の一言に、眉をぴくっと動かせた某国の代表である男性が、彼に尋ねる。
大左衛門はそのまま、ウイスキーを呷り、その重厚感のある声で、会議中の皆に言う。
「テメェらのくだらん決定なんざ興味も湧かねぇ。俺が言いてぇのは、この辛気臭ぇママゴトをしているこの会議場そのものがくだらねぇってこと、それだけだ」
「………何だと?」
「貴様!仮にも世界の運命を決める神聖な会議場を、くだらないだと!?」
「よくもそのような事を!!」
「珍しく会議に参加したと思ったら……日本の筋肉バカにはどうやら高貴な話し合いは似合わないようだな」
「先の日本で起きた『抗争』とやらで勝利して以降、大分調子に乗っているようですなぁ、ミスター」
各々から大左衛門に向けて、罵倒や皮肉が飛び交うが、本人は全く気にせずに、ボトルからウイスキーを注いで、再び呷る。
『静粛に!各々方、静粛に!!』
議長らしき老人が、会議場を静め、そのタイミングで、グラスから口を離した大左衛門が口を開いた。
「……暇つぶし程度にもなるかと思い、テメェらのちっぽけな支配欲で溢れたこんな小せえ箱に来てみたが、結局やってんのはいつも通りの世界の行く末だの、運命だの、建前並べたくだらんボードゲームの戯れじゃねぇか。
ええおい?お前らそれぞれの国のゴミみてぇな軍事力やら科学力とやらで、
世界を動かして、支配欲の悦に浸っているうつけが、700と少し……
はぁ〜……
小せえ連中だなぁ………ノミみてぇだぜ……
どうよ、ガキみてぇにおもちゃで遊んで、自慢げにしている気分は?
まぁそれも、テメェらのちっせぇオツムなら満足感を得れるだろうよ」
「何を言うか!!!我々は世界の安寧と平和のために、この会議を」
「黙ってな、三下」
「「「「「!!!」」」」」
ある男が、大左衛門に向かって反論しようとするが、大左衛門は殺気を少しばかり解放して、会場にいた全員を一斉に黙らせた。彼は面白くなさそうに溜め息をつき、そして……
「思い通りにいく世界ほど、この世で最もつまらんもんはねぇだろ?」
「!!!」
「何が起こるか分からねぇからこそ、世界は回り続ける。自由を歩み続けるからこそ、世界は動き出すのさ!こんな楽しいこたぁねぇだろうが。そんなことも分からねぇのか、バカどもが!」
「き、貴様!!これ以上の侮辱は国際問題だぞ!!」
「ほう、やるか?何なら、テメェの国のゴミ屑みてぇな軍隊どもと、俺の飼っている
どっちが上か、試してみるか?」
「ご、ゴミ屑だと!!?」
「ミスター大門寺!!これ以上不謹慎な発言はよしたまえ!」
会場中の非難が、大左衛門へと集中する中、議長が大左衛門を止めようとするが、彼はそんなものに縛られる男ではない。
「他の連中もそうだ。おもちゃ同然の武器を振りかざして、威張り散らしているガキの集まりみてぇな名ばかり軍隊を抱えて、世界の運命とかいう妄想に囚われた哀れな敗北者どもよ。
どうせなら、連合軍隊でも編成して、俺たち『大門寺』と戦争でもしてみるか?
そうなってくれれば、俺も願ってもないことだがな………
テメェらアリん子の群れなら……
俺だけでも、半日で全員潰せるがな」
「っっっ!!!!」
「大門寺!!貴様ぁ!!」
「この愚か者の日本人をこの場から追い出しなさい!!二度とこの場に姿を見せないで!!」
「軍司令官に伝達しろ!全兵力を日本に向かわせろとな!」
『せ、静粛に!!皆様、落ち着いて!!静粛に!!』
「だ、大門寺総帥、お願いします!これ以上日本の立場を危うくするのはよしてください!もうやめてください!お願いします!」
「………邪魔だ、テメェ」
日本の代表の男が、泣きそうな声で大左衛門に迫ってくるが、彼は見向きもしなかった。そのまま、大左衛門はポケットに手を入れて立ち上がり、腕を掴んで皆への釈明を求めてきた男を振り払う。すると、日本の代表の男は、大左衛門が軽く振り払っただけで、そのままとんでもない速さで数十メートルふっ飛び、衝突した会議場の分厚いコンクリートの壁を粉砕して、大きな穴を開けた。
「興醒めだ…………帰るぜ、片桐」
「………かしこまりました、総帥」
そんな彼の安否など、毛ほども気にすることなく、横で無言のまま立っていた側近の片桐剣一に声をかけて、自身に対する罵声と悲鳴で埋め尽くされた会議場を後にした。
ちなみに、日本の代表の男は、全身数カ所を骨折、全身を打撲する大怪我を負ったものの、なんとか一命は取り留めたそうな……
「………つまらねぇなぁ」
………………………………
「それで、各国の方々に無礼を働いた挙句、日本の方に重傷を合わせ、つまらないという理由で帰国したと………
面白い冗談ねぇ。
私を舐めてるのかしら?」
「……いやだから、俺は家の威厳を示そうとしてですね……」
「何もしていない公的な人を1人殺そうとしてまで保つ面子があるとでも?おかげで日本には非難の嵐、『大門寺家』には巨額の賠償請求が来てるのよ?あなた自身の強さや、『刀』のという抑止力で報復を受けずに済んでいるものの、その頂点であるあなた1人の馬鹿な真似で、多大な損失を生み、さらには『大門寺』の威厳を示すどころか、轟くのは悪名ばかり……
その責任は、どうしてくれるのかしら?ア・ナ・タ?」
「……フン、金なんざいくらでもくれて……あ、はい、すいませんでした………いや、俺も、満を持しての初登場シーンだったんで……どうせなら最強感ありそうな登場の仕方がいいかな〜っていうか……本当、調子乗ってすいませんでした……」
それから数日後、大左衛門は帰国して、大門寺家本邸に帰宅したところ、待っていたのは、妻である
大門寺天城。彼女は大左衛門の妻であり、そして海斗の実母でもある。その証拠に、最大の特徴である、星のような輝きを放つ銀髪、齢38にも関わらず、20代前半と見紛うほどの若さ、そしてお淑やかで、気品に満ちた美貌。桜の花のデザインが散りばめられた、赤い着物を身に纏い、扇子を煽る様子は、まさしく『大和撫子』の権化である。
が、今の彼女は、公の場で無礼を働いた大左衛門に対する怒りで満ち満ちており、彼が帰宅するや否や、自身の前にその場に正座をさせて見下しながらグチグチと折檻を始めた。
「全く……『大門寺』総帥としての誇りや姿勢を、海斗に受け継がせていかねばならないというのに……悪名や業まであの子に渡す気だというの、あなたは?」
「……心配すんな、天城よ」
「?………」
そう言うと、大左衛門は立ち上がった。
「アレも俺の血を引いた『大門寺』の端くれだ。そんなみみっちい事をいちいち気にするようなタマじゃねぇ………
それにアレには、俺にも、お前にも無い才が眠っている。
いずれはこの家を、とんでもねぇもんにデカくすんだろうよ……
まぁ、どうしようがアイツの『自由』だがな」
大左衛門は、何よりも『自由』を謳う。世界でも指折りの名家の頂点であるにも関わらず、最強の存在として世界という檻に縛られず、自由気ままに振る舞うその姿勢に、彼の生き様が溢れ出ている。それこそが、『大門寺大左衛門』という存在……『大門寺だいざry
「何勝手に立ち上がっているのかしら?」
「え?」
「言い訳はいいわ。まだ話の途中なのよ?とりあえず、もう一度座りなさい」
「……いやだから、海斗はいずれ俺以上の」
「座りなさい……いいわね?」
「……すいませんでした」
訂正…最強はこの奥さんでした……かかあ天下とはこのこと……
再び律儀に正座をし直し、ヘコヘコと頭を下げて謝る筋肉という鋼の鎧に覆われた巨漢の男という、なんともシュールな絵面である。
まさしく、地上最強(笑)の男………
その後も、数時間にわたり天城の説教は続くのだった………
………………………………
さて、バトル漫画的な展開が終わり、本日は月曜日……
つまり、期末試験当日なのである。
あれからの2日間、姉妹は風太郎と総介の指導のもと、試験への追い込みを行った。二乃も、海斗からの激励をもらい、今までの態度がウソみたいに、勉強に勤しんだ……家庭教師2人への態度は変わらなかったが。
と、そんな時、風太郎が姉妹へそれぞれ、細い紙を丸めたものを渡した。
それは………
「カンニングペーパーだ!」
まさかのカンペだったそれに姉妹は絶句する。
「あ……あなたはそんなことしないと思ったのに」
「そんなことして点数とっても意味ないですよぉ」
「だったらもっと勉強するんだな!こんなもの使わなくてもいいように、最後の2日間でみっちり叩き込む!覚悟しろ!!」
風太郎がそう強く言い切り、紙を姉妹へと渡す。すると、一花が
「これ……浅倉君はいいの?」
と、総介の方をチラッと見たが、彼のリアクションはというと……
「おもしれぇじゃねぇか。要はバレなきゃいいんだよバレなきゃ」
「まさかの肯定派!!?」
「……まぁ、大体は想像してました」
と、それぞれにげど……総介に対するリアクションをとるが……
「……私も持ってなきゃいけないの?」
「い、一応……お守りみたいに持つだけでも」
「ま、三玖の場合は、使う必要は無いと思うけどね」
「そう……」
というわけで、姉妹はそれぞれにもらった紙を渡されたのだった。
そういう経緯があり、学校では、10分前のチャイムが鳴る。
キーンコーンカーンコーン
「10分前だ」
「じゃあみんな、健闘を祈るわ」
「あれ、上杉さんがいないよ?」
「らいはちゃんに電話ですって」
「こんな時に?」
「きっと今じゃいけないのでしょう。自身の携帯は充電切れなのに………
私のものを借りていったほどですから」
………………………………
………………………
………………
電話を切ったあと、風太郎は屋上の柵にもたれかかる。
「……………一花、二乃、三玖、四葉、五月
お前らが五人揃えば無敵だ
頑張れ
そして浅倉………
あいつらを頼んだぞ」
………………………………
そして、期末試験はあっという間に終わり、採点期間へと入った放課後、総介は帰り道、自身のスマホが鳴った。
「?三玖か?」
とりあえず、ポケットからスマホを取り出して、画面を見る。すると、画面には『非通知』の文字が浮かび上がっていた。
「…………」
誰からだと思いながら、総介は通話ボタンを押して、耳にあてる。
「………もしもし?」
『……浅倉君か?』
「!………アンタか
中野センセー」
電話の向こうから聞こえてきた声に、彼は聞き覚えがあった。ていうかありまくった。相手は、五つ子の義父である『マルオ』だった。
『すまないね、急に電話をして』
「………誰から聞いた?」
『渡辺さんが教えてくれたよ』
「……はぁ、剛蔵さんェ……」
どうやら、総介の所属する『刀』の局長であり、アイナの父『渡辺剛蔵』から、彼の連絡先を教えてもらったようだ。しかも本人に無断で。
それはそれとして……
「………んで、アンタが剛蔵さんに聞いてまで俺に連絡をしてきたんだ……世間話をしに来たわけじゃねぇだろう?」
『……そうだな、早速本題に入ろう。先程なのだが……』
『マルオ』は、今朝あったことを総介に話し始めた
………………………………
「今日をもって、家庭教師を退任します」
風太郎が五月のスマホを借りて、電話をした先は、妹のらいはではなく、『マルオ』だった。自身は彼の連絡先を知らないので、五月に嘘をつき、彼女のスマホを貸してもらい、『マルオ』に連絡を入れたのだ。
最初は近況報告だったが、風太郎は本題と言わんばかりに、自身の家庭教師退任の話を始めた。
『…………』
「あいつらは頑張りました。この土日なんてほとんど机の上にいたと思います。
しかし、何人かの赤点は避けられないでしょう……苦し紛れの策を案じましたが、あんな物に頼らない奴らだってことはよく知ってます」
苦し紛れの策とは、先日渡したカンペのことである。
『今回はノルマを設けてなかったと記憶してるが』
「本来は回避できるペースだったんです……それをこんな結果にしてしまったのは、自分の力不足に他なりません……
ただ勉強教えるだけじゃだめだったんだ
あいつらの気持ちも考えてやれる家庭教師の方がいい
だから
「浅倉総介を、あいつらの新しい家庭教師にしてください」
風太郎は新しい家庭教師として、総介を指名した。
彼が来たからというものの、今までの環境がガラリと変わった。
三玖は彼への好意から、積極的に勉強を教わり、一花や四葉もそれに追随した。彼の人に教える指導力は本物であり、実際に一番近くで教わっていた三玖は、中間試験で赤点回避に成功、一花もあと一歩のところまで成績を上げ、赤点回避できなかった四葉も今までの最高点数を更新した。
対して、自分は二乃にノルマの件がバレ、五月とは仲違いをする始末。完全に総介の足を引っ張ってしまう結果となった。それだけではなく、総介は恋人の三玖の成績をさらに高めて、他の姉妹にまで教えさせる勉強の効率化も行い、姉妹の底上げも行った。
そして。自分と総介の違い……それは姉妹それぞれに対する『姿勢』であった。
彼は三玖には基本甘くしつつも、油断してしまった彼女には厳しく諭したり、五月や四葉にも、自身のしでかしたことをきちんと反省させ、先日ようやく勉強に参加し始めた二乃に対しても……
『だからここはこうすんだっつーの』
『ここまでになる公式がわかんないのよ!』
『お前が今まで勉強してなかったのが悪りーんだろうが!』
『わかってるわよ!いいからここはどの公式を使えばいいのよ?』
『だからここはだな……』
軽い口喧嘩を交えながらも、精力的に勉強を教えた………二乃への愚痴を吐きながらだが。
彼がいなければ、今頃どうなっていたのか、風太郎はわからない……しかし、一つだけ、わかることは、
『総介がいなければ、全員が赤点回避出来なかったかもしれない』ということだった。
彼はただ勉強を教えるだけではなく、それ以外の部分でも数多く自分を助けてくれた。そんな彼を、助っ人のままにしておくのは勿体なささすぎる。彼がメインで、家庭教師をするべきだと、風太郎はこの1週間で結論を出したのだ。
『……浅倉君には相談したのかい?』
「これから相談するつもりです」
嘘である。このことを総介に言っても、彼は二つ返事で納得はしないだろうからと、総介には何も告げずに申し訳ないが、風太郎はこのまま何も言わずにフェードアウトするつもりだ。
彼がそれを知る頃には、自分がもう皆の前からいなくなった頃だろう。
『……分かった。君を引き留める理由はこちらにはない。君には苦労をかけたね。今月の給料は後ほど渡そう』
「ええ、助かります」
『では、失礼するよ』
「………あの」
風太郎は疑問を持った。淡々としすぎている『マルオ』の対応に……
『……?』
「あいつらのこと、心配じゃないんですか?俺や浅倉だけじゃない、父親にしかできないこともあるはずです」
『……いや、私も忙しい身でね、それに他人にかていのことをどうこう言われたくはない』
「最近、家に帰ったりとかは……?」
『………』
「知ってますか?二乃と五月が喧嘩して家を出ていったことを」
『初耳だね、もう解決したのかい?』
「はい……」
『それならいい、教えてくれてありがとう、では』
「………それだけですか?」
『………』
「なぜ喧嘩したのか気になりませんか?あいつらが何を考え、何に悩んでいるか知ろうとしないんですか?」
『………』
「………って、すみません、雇い主に生意気言って………あ
もう辞めるんだった」
そう言うと風太郎は、少し息を吸い込んだ後、電話の向こうの『マルオ』に向かって大きな声で……
「少しは父親らしいことしろよ!!馬鹿野郎が!!!」
そう叫んだ後に、風太郎は電話を切った。
………………………………
『……そこで、通話は切れた』
「………」
『……どうやら、彼からは何も聞いてなかったみたいだね』
「ああ、初耳だ……だが、あいつが何か焦ってんのは、薄々感じていた」
『それが、家庭教師としてのことだったと?』
「んなもん、本人に聞いてみなぁわかんねぇよ」
『マルオ』と電話をしながら、総介は歩いて近くの公園のベンチへ座り込んだ。公園には、散歩中の親子や、老人が何人かいて、それぞれにくつろいでいる。
『……一応聞くが、家庭教師の件は』
「やるわけねぇだろ。俺だけで5人同時に世話しろなんざ、勘弁しろってんだ」
いくら恋人の三玖がいるとはいえ、それとこれとは別の話だ。残りの赤点姉妹たちがついてくるのは、完全に罰ゲームでしかない。一部の男子からすれば、ハーレムだの天国だのパラダイスだのいわれるだろうが、あいにく、その中に既に恋人がいるので、そのようなものには毛ほどの興味も湧かない。ていうか、美少女が5人『いるだけ』って、完全に生殺し状態であるので、あまり羨ましいとも思えない……おっと脱線した、失礼。
『そうか……』
「……少しは父親らしいことをしろ……上杉も野暮なこと言ったもんだな」
『……君は聞いてこないのかい?』
「あんたらの家庭の事情なんざに興味はねぇ。基本身内でのゴタゴタには、俺は手も口も出しゃしねーし、何かあったら三玖が相談してくるだろうからな。それまでは遠くから見てるだけだ」
『……冷たいのだな』
「色々と経験すりゃ、こうもなる」
『………』
「俺はあんたのことはどうこう言うつもりはねぇ。あんたが姉妹にあの家で生活させてるだけでも、充分と言っていいだろうし、そっからはあんたの最善だと思うことをやりゃあいいさ」
『………それを聞いて、少し心が和らいだよ』
「……んで、どうするよ?俺は5人も相手に家庭教師やらねーぞ?」
『……もしそれで、君が彼女たちのもとを離れたのならば、同盟の話は』
「安心しな。それとこれとは話は別だ。同盟を正式に結んでる以上、『大門寺』はアンタら家族の緊急時の護衛はさせてもらう、あと、個人的に三玖と、その姉妹だからって理由でもな」
『すまない………』
「あと、俺は三玖から離りゃしねーよ」
『………そうだったな』
「怖ぇ口調で言ってんじゃねーっつーの」
電話の向こうで『マルオ』が同盟の件で安心した様子を察して、一呼吸おいて総介が話を続ける。
「……中野センセーよ、この件、しばらく保留にしちゃくれねーか?」
『……何か策があるとでも?』
「いや、ねーよ。姉妹たちが………上杉の事を聞いて、どういった結論を出すのか、しばらく外から見てみてぇ。五人がそれを出したところで、俺が上杉と直接話す」
『………つまり、いいとこ取りをさせろと?』
「そゆこと♡」
『………分かった。次の家庭教師の日に、彼女たちのところには江端を向かわせよう』
「そうしてくれ」
『………浅倉君』
「?」
『………娘たちを、頼む』
「………どっちの意味でだ?」
『………』
「………そうさな、一学生として答えりゃ、それはあいつらの結論次第だな……それと……
『鬼童』として答えるなら俺は、何があろうとも三玖を護るつもりでいるし、他の四人ももちろんそうだ。なにがあろうともそれは変わらねぇよコノヤロー」
『そうか………ありがとう』
「じゃあな、中野センセー」
電話を切り、総介はそのまま正面を見た。小さな子どもが、追いかけっこをしている。そんな光景を見てから、彼はベンチにもたれかかり、午後の空を見上げた。
「…………馬鹿野郎が」
そう空に向かって呟いた総介の表情は、どこかいつもよりやる気がなく、そしてどこか、悲しそうだった。
そして後日、期末試験の結果が返ってきた。
次回、第四章最終回………
『鬼と、人と』
オリキャラ紹介(今回長いです)
・
45歳
身長198cm
体重125kg
イメージcv.大◯明夫(『メタルギア』シリーズのソリッド・スネーク、 『ONE PIECE』の黒ひげ・マーシャル・D・ティーチの中の人)
大門寺家五代目総帥であり、海斗の父。現地球上においての最強生物。
本作のチートキャラ枠。見た目、強さのモデルは『グラップラー刃牙』の地上最強の生物『範馬勇次郎』。ついでに『魁!男塾』の江田島平八も少々。
割合で言えば『範馬勇次郎』+『江田島平八』+恐妻家。
『自由』を標榜する豪傑であり、『刀』の局長である渡辺剛蔵、道場の師範である柳宗尊とは幼なじみ。
彼も昔は『刀』の異名持ちであり、当時から現在までの異名は『
・
38歳
身長170cm
体重55kg
イメージcv.能◯麻美子(『地獄少女』の閻魔あい、『君に届け』の黒沼爽子の中の人)
大左衛門の妻であり、海斗の母。
40手前にはとても見えない若さと、全世界の男性を魅了しかねないほどの美貌の持ち主。
腰まで伸びるストレートの銀髪の姫カットで、常に星のような輝きを放っている。本邸にいる際は常に派手な着物を着て、よく扇子を持っている。
よくある母親ポジションのキャラらしく、普段はとても慈愛に満ちた女性だが、怒ると大左衛門より怖い。
ついに出てきました、海斗の両親……おかげで後半が非常に薄くなっちゃった……でも後悔はしていない!
そして次回、第四章最終回です!
今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!
本当に、すんませんでしたぁ!!!!(土下座)…でも後悔はしていない!!