いきなりタイトルが某サイヤ人王子風の台詞という……
んで、始まりは始まりなんですが……いや、第五章書くにあたって原作の7巻と8巻を読んだんですよ……そしたら………
『使えるとこ全然ねぇーーーー!!!!』
見てて『お、ここ使えそうで面白いなぁ』ってとこは正直ほぼ無かったので、ある程度原作沿いにしますが、オリ回を入れつつ学年末試験と旅館の話をパパッとやって第六章に行きたいと思います。
56.ヒロインの可愛さだけでエリート戦士のオレ様をごまかせると思ったかバカめ
年は明けて元日。その夕刻我らが主人公の『浅倉総介』は、恋人の中野三玖と初詣に来て………
なかった。
彼は年明け早々、大門寺本邸を訪れていた。正月にここを訪れる理由は一つ。新年の挨拶のためである。
「おお総介か!よく来たな!今年もよろしくな!」
「明けましておめでとうございます、剛蔵さん、それと愉快な副長さん。今年もよろしくお願いします」
「誰が愉快だ。テメーの態度が不愉快だわ」
総介が大門寺家対外特別防衛局『刀』の一員であることは、この小説を最初から読んでるみんなは知ってますわな?もうこれからは一々説明しないよ。いいね?
そんな彼が、大門寺家の本邸に着き、『刀』の屯所の中でも一番広い和室のふすまを開くと、そこには座卓が列を成して並んで部屋の中に長く置かれており、その上には、豪華絢爛なご馳走が並んでいた。大きな舟盛りに乗った刺身の数々、鍋物やお吸い物、和食を中心としているが、中にはステーキやケーキ、北京ダック等の洋、中華料理なども並んでいた。さながら高級ホテルの宴会の様相だ。既にほとんどの局員が座っている、そんな宴会場のような和室の上座に、『刀』の局長である『渡辺剛蔵』と副長の『片桐刀次』があぐらをかいて座っていた。
彼らに軽く挨拶をした後、見知った局員と軽く挨拶を交わして、総介は自身の席の座布団へと腰を落ち着かせる。そこには
「旦那、明けましておめでとうごぜぇやす」
「総介さん、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
総介の座った正面には、剛蔵の1人娘であり、総介の幼なじみで恋人の三玖の姉妹の二乃の親友という中々めんどくさい肩書きの少女『渡辺アイナ』が、そして彼の左隣には彼らと一つ年下の『御影明人』が座っていた。
「お〜、おめっとさん2人とも。で、海斗がまだきてねぇみてぇだけど、どこよ?」
「そろそろ着くころかと……あ、来られました」
アイナがそう言うと、総介と明人の後ろのふすまが開き、海斗が入ってきた。アイナの横に座った彼の服装は私服であり、それほど堅いものではない。宴会なので、局員の皆それぞれ自由な服装でいる。
「お待たせ。総介、明けましておめでとう」
「おめっとさん……」
2人はそれだけの会話を交わす。総介は海斗、アイナ、明人とは10年来もの付き合いのため、新年に特別何か会話をするというわけではない。何年も一緒にいると、それだけで十分だと思えてしまうからだ。無論、仲が悪いわけではない。
その後、残った何人かが部屋に入って席についたことで、剛蔵がお猪口を持って立ち上がる。
「よし、全員揃ったな………
皆、とりあえずは、新年明けましておめでとう!
去年は本当に『色々』とあったが、ここで話すのは野暮だからよそう。
今こうして挨拶できるのは、お前たちが『刀』の一員であり、1人の『侍』として大門寺に貢献してくれたおかげだ!
今年もお前たちの侍の魂を、大門寺繁栄のため……ひいては
今日は新年、俺らにとっちゃ数少ない無礼講だ。階級など関係なく楽しもう。
それとアイナちゃん、今日は無礼講なんだから、後でお父さんと久々にお風呂にぶへっ!!……も、物を顔面に投げちゃダメだって……
と、とにかく、かんぱーい!!!」
「「「「どんな乾杯だーーー!!!?」」」」
途中でアイナから空の徳利が投げつけられ、それが剛蔵の顔面にヒット。鼻血を出しながらの乾杯に、局員のほとんどが突っ込みながらも乾杯をして、新年の宴会が始まった。
………………………………
「にしても総介、せっかくの新年なのに、三玖ちゃんと一緒にいなくてよかったのかい?」
「クリスマスはずっと一緒にいたし、正月はメールで軽く挨拶して、各々自由に過ごそうって決めてっからな。三玖にも家のことがあるから、そんないっつも一緒にいれるわけねぇし、今は少し間を置いて会うぐれぇがちょうどいいってな」
「この前お会いしましたが……本当に、夫婦のようなお二人ですね。総介さんが恋人を作るっていうのも、改めて、変な気持ちです」
「女もそうだが旦那、結構抱いてんでしょ?ガキは作らねぇんですかい?」
「……あのな、俺らまだ学生だろうが。抱くのはともかく、学生同士でガキ作るってどんなラブコメだコノヤロー」
「なんでぇ、てっきり毎日二穴中◯ししてるのかと」
「はい自主規制!!!あとちゃんと付けるもん付けてますぅ!!どっかの伊藤誠とは違うんですぅ!!」
宴会が始まってから、総介は豪華な料理に舌鼓を打ちながら、海斗、アイナ、明人と会話をしていた。他の者たちも、各々楽しみながら、総介の色恋話が気になるようで……
「なんだよ総介、女作ったのか?」
「くぅ〜、若いって羨ましいねぇ!」
「おいおい、大丈夫かよ?俺らの仕事分かってんのか?」
「同盟相手の娘だってよ、問題ねぇだろ」
「あ〜も〜うぜ〜。同じ説明何回もさせんじゃね〜っつってんのによ〜」
そう自分のもとに寄ってきて絡んでくる局員にうざったく思いながらも、彼はどこかで安らぎを感じながら、コップに入れたコーラを飲んだ。
なんやかんやで、自分はここが一番落ち着く。無論、三玖といる時もそうだが、あの時とは違う安堵が彼の中に生まれる。長年同じ時を過ごし、時には死線を乗り越えてきた同志。自身の苦悩を打ち明けられる同僚や、それらを誰よりも理解してくれた幼馴染と上司。
「………得難い連中だぜコノヤロー」
明るい騒ぎの中で、総介は改めてそれを実感するのだった。
と、ここで気になることが………
「ところでよ、剛蔵さんは『全員』っつってたけどよ………『
『刀』には、特別高い戦闘力を持つ者達には『異名』が与えられており、それらは『異名持ち』、真名を『懐刀』と呼ぶ。
総介はそのうちの一人であり、『鬼童』の異名を持つ。文字稼ぎのついでに海斗は『神童』、アイナは『戦姫』、明人は『夜叉』、剛蔵は『金剛』、刀次は『銀狼』という異名がある。そして刀次の兄の片桐剣一も、『懐刀』の一員であるが……
「剣一さんは父さんの側近だからね。3日前に一緒に北米に行ったよ」
「北米だぁ?何でまた?」
「なんでも、全長4メートル級のグリズリーが数体、突然冬眠から醒めて現れたらしく、かなりの被害が出ているんだ。そのことを知った父さんが………
『いい暇つぶしじゃねぇか。ちょっくら行ってくる』
と言って……」
「…………」
「…………」
「………で、その後は?」
「今朝剣一さんから連絡が来て………
『先程、3体目の首を手刀で断ち切ったところです。残りの2体と楽しそうに遊んでおられます』
だってさ」
「何そのリアル範馬勇次郎?」
「総帥、出る小説間違ってませんかい?」
「……あの方は、本当に何年経っても理解できません」
総介、明人、アイナの3人が海斗の父であり、大門寺家現総帥の『大門寺大左衛門』の話を聞いてドン引きする。
元来、自由を標榜する人物だが、その実は現地球上での最強生物であり、この上ない戦闘狂の大左衛門。この世に妻の天城以外に叶う者がいないほどのチート級の強さを持つ彼のことだ。大型のグリズリー数体を屠ることなど、おもちゃをめちゃくちゃに壊す子供の如く蹂躙するだろう。本当に、何でこんなラブコメ小説に出てるんだろうね?
「で、剣一さんとついでに総帥のことは分かったが、他は……」
「あ、それと母さんは今フランスに行ってるよ」
「フランスぅ?あの人もどんだけ海外行くんだよ……」
「ははっ、今回は『脳筋バカのクマ退治なんかにいちいち付き合ってられない』ってことで、父さんとは反対方向に飛んでいっちゃった。パリやリヨン、マルセイユやモナコにも行って、ゆっくり観光するって」
「………てことは、『彼女』も一緒か?」
「母さんの側近だからね。ちゃっかり一緒に楽しんできたりして」
「そんなタマかよ、あの人に限って………で、残りの2人は……」
「…………」
「…………」
「………まぁ、『あの2人』だから、来ないのは大分予想出来てたけどね……」
「元が色々とイカれてる連中だからな。宴会なんてもんに来たら来たで色々カオス過ぎる……特に『あの人』が来たら、この辺一帯の建物がヨルダンあたりまで吹っ飛んじまうから、できりゃあどっか関係ねぇところで暴れてて欲しいもんだ」
「同感です」
「俺ァ来たら来たで面白ぇんですけどね」
「明人、流石にやめてくれないか。僕も『あの人』は……」
先に述べた人物の他にも、『懐刀』は残り3人いる。1人は海斗の母で、大左衛門の妻である天城の側近の人物なのだが、残りの2人……特に片方の人物は、アイナはもちろん、海斗さえ敬遠するほどだった。それが誰なのかは、また今度話すとしよう。
と、
〜〜〜♪
「?」
総介のスマホから音が鳴った。ラインのようだ。そのままポケットから取り出し、差出人を確認する。
(………四葉?)
差出人は、三玖の五つ子の姉妹の1人『中野四葉』からだった。意外な人物からの連絡に、総介は疑問を覚えながら中身を確認する。
『浅倉さん、あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!m(_ _)m
今日みんなで初詣に行ってきたのですが、どうですか、着物姿のこの三玖。かわいいでしょう?(((o(*゚▽゚*)o)))♡』
その文の直後に、一つの画像が送られてくる。それは、四葉が神社に行く前に撮影した、着物姿の三玖の写真だった。
恥ずかしいのか、顔を赤くさせて目線を逸らしながら、手を控えめに広げて振袖を見せている。
左側頭部には桜の花の髪飾りをつけて、着物は彼女のイメージカラーである青色と白の三角模様、所々には赤や桃色の花が咲いている。そして首元には、先日総介がプレゼントした新しいヘッドホンがかけられていた。
そんな姿を見た総介はというと………
(おかわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ!!!!!!!!)
(よし、結婚しよう)
総介は三玖のあまりの可愛さに頭の中がサンダーボルトしてしまった。効果は相手モンスターを全て破壊する。が、すぐさま彼は、四葉に返信した。
『可愛すぎる。三玖に結婚しようと伝えといてくれ』
そう送ると、早速既読がついて、
『ライン上で、しかも人伝でプロポーズ!????Σ(゚д゚lll)』
『絵文字うざい』
『ガーン(T-T)』
『だからうざい』
『そ、そんなことよりも、他にも私たち全員の着物姿もあるんですよ!送りますね』
『いらん』
すぽっ一花の画像
すぽっ二乃の画像
すぽっ四葉の画像
すぽっ五月の画像
『送る前に拒否された!?Σ(・□・;)』
『特に2番目が一番いらん、送信取り消せ』
『二乃が戦力外通告うけちゃいました!他球団からのオファーをお待ちしてます!』
『海斗の球団あたりに引き取ってもらえ』
そう、他の4人の振袖姿も送られてきたのだが、そんなものは総介からすればどうでもいいので、三玖の画像だけ保存した。が、まあついでなので二乃の画像は海斗に見せることにした。
「誰とラインしてるんだい?」
「四葉だ。ありがてぇことに、三玖の振り袖姿を送ってきてくれた」
総介はそのまま3人に、三玖の画像を見せる」
「三玖さんは和服がとてもお似合いの方なのですね。とても綺麗です」
「だろ?マジで可愛すぎて失神するところだったわ」
「ところでこのお嬢さん、何でいつも首にヘッドホンしてるんですかい?なんかの呪いで外れないんですかい?」
「色々あんだよ」
「へぇ、三玖ちゃんかわいいね」
「んでこれ、不愉快だが、ひっじょ〜に不愉快だが、他のやつらのも送ってきやがった」
総介は下にスクロールして、他の4人の画像を見せ、二乃の画像をアップすると、明人がすぐさま反応した。
「うわ、この女ビッチ感満載じゃないですかい。イケメンの男取っ替え引っ替えしてそうで、結局は男どもの性欲処理に使われてそうな顔でさぁ。さっきのお嬢さんとは大違いだ」
「例えがわけわからんが、正解だ明人。お前とは気が合いそうだ」
「……やめてくれませんか?私の大事な友人を悪くいうのは」
アイナが冷めた怒りの目で、総介と明人を睨む。が、2人は、そんなこと気にせずに海斗が画像を見る。
「へぇ、いいじゃないか。二乃ちゃんも似合ってるよ」
「やめろ、あの女が調子乗る姿がますます思い浮かぶ」
「若様のこと好きそうですもんね〜この女。顔見ただけで面食いなのが一目瞭然でさァ」
「じ、事実ですが……やめてください」
その後、他の3人の画像も順に見せていったが、海斗とアイナからはほとんど一緒の反応が返ってきたのに対し、明人はそれぞれに感想を述べた。
一花……「なんかやたらと露出高い服きて誘ってきそうな感じしますね〜。こういう主導権握りたそうな女ってのは、逆に男の方がガツガツいったら戸惑うタイプですよきっと」
四葉……「男の前で平気で着替えとかしそうですね〜。あと、この女すんげぇガキみたいなパンツ履いてそうで頭悪そうな見た目してまさァ」
五月……「芸の無いポンコツ」
毒まみれの感想だった。ていうか五月ェ……これには流石の総介もフォローに入る。
「おいおい、芸ならあるぞ。こいつは姉妹の中で随一のフードファイターだ。口に入ればなんでも食べる」
「フォローするところそこですか!?」
「なるほど、通りで燃費悪そうな雰囲気出してるはずだ」
「いや見た目で分からないでしょ!?そういう問題ですか!?」
2人の会話にアイナが突っ込んでいき、海斗がその様子を笑って見ている時だった。
「悪いが、邪魔するぜ」
「!」
「……なんすか、刀次さん?」
刀次が、4人のもとに現れ、そのまま総介の隣に腰を下ろすし、煙草に火をつける。
「総介、いいご身分じゃねぇか。『刀』の一員ともあろう者が、学生生活を謳歌している。大層結構なことだ」
「立場上、俺は4月までは休養の身なんでね。そりゃ『普通の』高校生として楽しむでしょうよ。あと、煙草煙たい」
「まぁいいじゃねぇか。無礼講といこうや……フーっ……総介、剛蔵さんはああ言っていたがな………
俺は、お前がその娘を護れるとは思っちゃいねぇぞ」
「………」
「お前が女を作ったからといって、腑抜けたとは思わねぇ。だがな、お前は『鬼』と呼ばれるほどの非情な男だった。そんなお前が、ころっと女に惚れて、テメーのものにしたからといって、その後はどうすんだ?」
「………」
「いずれ『刀』のことも話さなきゃいけねぇ時もくるだろう。そん時にお前が今までしてきた業も、その娘には全部伝えることになる。その娘がお前の全てを知ってでも、そのままお前のもとにいると思うか?」
刀次の話に、アイナが割って入ろうとしたが、海斗がそれを静止した。その場に、しばらく沈黙が流れる。
「………刀次さん」
「………何だ?」
総介がゆっくりと口を開く。
「タバコ臭い、あと煙たい。消してくんない?」
「…………」
無礼講とは言ったが、さすがに横で副流煙を撒き散らす刀次に我慢出来なかった総介は、タバコの火を消すことを命じ、刀次も渋々灰皿にタバコを押しつけて消した。そのタイミングで、総介も再び口を開く。
「わあってんすよ、んなこたぁ。いちいち口臭くして言わなくても」
「口うるさくな」
「それで三玖が受け入れようが受け入れまいが俺はあの子を護ってくと誓った。
後者がどれだけしんどいかなんてのは百も承知だ。
それでも、あの子には、生きて欲しいんだ。
もうやなんだよ
何も出来ずに立ちぼうけんのは
もうやなんだよ
母さんみてぇに失うのは」
「………」
「あんたがどう思おうが、俺は俺のようにやらせてもらう。三玖やその家族を護ると決めた以上、それを邪魔する野郎がいるなら、たとえ手足ぶった斬られようが、金玉抉り取られようが、首落とされようが、そのまま咬みついてやらぁ。
「うむ!よくぞ言ったぞ総介!」
「!!?お、お父様!?」
「いつの間にいたんですかい……」
総介の話をいつのまにかアイナの後ろで仁王立ちして聞いていた剛蔵。
「刀次、総介はもうガキじゃねぇ。大切な人のために何があろうと死力を尽くす『侍』だ。これでお前も分かっただろう?」
「……はぁ、わかったよ。テメーの好きにしな」
そう言うと、刀次は立ち上がり、その場から離れようとし、その際も一言だけ声をかけた。
「だがな、その荷は全部テメーが背負うもんだ。テメーでどうにかしろ」
「わあってますよ」
「やーい、片桐さん旦那に言い負かされてやんの〜、かっこわり〜、だっせ〜、ダサ桐〜」
「うっせぇ!テメー明人、待ちやがれぇ!!」
「イヤでぇ」
「このっ!」
最後に明人の挑発にキレたのか、部屋の中で逃げる明人を追いかけ始める刀次。その様子をいつものように笑いながら見る局員達。
「まったく……」
「ふふっ、いつも楽しそうだね、彼らは」
アイナは呆れ、海斗は微笑ましく思いながら見つめる。
「総介」
と、ここで剛蔵が総介の肩に手を置く。
「刀次の言うことも間違っちゃいねぇ。それは分かるな?」
「……はい。あの人は、俺の覚悟をやわなもんで終わらせたくないんでしょうね」
「……刀次も『あの日』のことを知る1人だ。お前に、二度も大切な人を失うことを味わって欲しくないんだろうな」
「……でしょうね」
「だが、アイツも俺も、ここにいる全員も、お前の強さは知っている。そう簡単にあの子たちに危害は及ばねぇだろう。
だがな、もしそうしようものなら、『刀』の全勢力を使ってでも止めてやる」
「!……剛蔵さん……」
「アイナの友人もいるんだ。そう易々と手出しはさせねぇさ。だから、1人で背負うな。俺らがついてる。大船に乗ったつもりでやれ」
「………はい」
大船にしては、巨大すぎるかもしれないがこの上なく頼もしいだろう。剛蔵の言葉を受けて、総介は改めて覚悟を決めた。
「三玖は……あの5人は、何があろうとも、俺達が護ります」
「………ああ」
やがて、明人は刀次に捕まるも、そのまま互いにプロレス技を掛け合ってじゃれ合う。2人のこう言ったやりとりは、『刀』の中でも日常なので、誰も止めはしなかった。
こうして、『刀』の新年の宴会は夜更けまで続いた。
………………………………
翌朝……大門寺家正門
「じゃ、帰るわ」
「すまないね、見送りが僕とアイナだけで」
「かまわねぇよ。夜遅くまでドンチャン騒ぎだったからな」
「総介さん、お気をつけて」
「お、んじゃな」
そう言って、総介はベスパのエンジンをかけ、そのまま走り出そうとした。
「総介!」
そんな彼の背中に、海斗が声を掛けた。
「今年もよろしく」
「………今年も、な。海斗」
彼はそのまま、振り向くことなく、ベスパを走らせて帰っていった。
「………総介さん、本当に変わられましたね」
「………そうだね」
「………しかし『あの男』のことは……」
「……口ではごまかしてはいたけど、まだ乗り越えられていない……でも見切りはつけたってところかな……」
「………そうですか……」
「それに……」
「?いかがなさいました?」
「………いや、何でもないよ……戻ろうか、アイナ。寒いからね」
「……かしこまりました」
その後、海斗とアイナは、邸宅内へと戻り、やがて門は閉じられた。
海斗が言おうとしたこと、それは彼自身、信じられないようなことだった。根拠はなかった。予知なのか、直感なのか、こう言おうとしてしまったのだ……しかし言わなかった。言えなかった。
言ってしまうと、現実となりそうだったから……
『あの男』が生きているかもしれないと
第五章の初っ端から言うのもなんですが、本当の意味でこの『嫁魂』は第六章から幕を開けることとなります。それまで私と共にどうかご辛抱を。
今回は、そんな第六章のちょびっと先取りだとでも思ってください。
今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!ご感想、お気に入り登録、お待ちしてます!