世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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昼休みギリギリ終わりで投稿!
さて、温泉旅行編です。どうやって総介をねじ込むかって?





強引に(きっぱり)


62.伝説作りすぎて雁字搦め

試験が終わり、五つ子全員が赤点を回避してからしばらく経った頃、総介はどうしているかというと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたい三玖に会いたいぃぃぃぃいいいいいい!!! !!!!!」

 

 

 

 

ただ今、猛烈に三玖中毒に陥っていた。

試験が終わってから、2人はそれぞれに予定が入っており、、見事に重ならずにここ数週間は電話やメッセージでのやりとりが続いていた。さらには、春休みに突入して間もないので、今後も2人の予定が埋まっていれば、会う機会が極端に減ってしまう。

そして本日、総介の予定は入っていないのだが、三玖の方は用事があるため、夜に少し電話かメッセージでの逢瀬となる。

 

 

 

「うおおおおおお三玖ぅぅぅぅう!!!なんで君は三玖なのだぁぁぁあああああ!!!」

 

総介は自宅のベッドで、意⭐︎味⭐︎不⭐︎明な言葉を叫びながらのたうち回っていた。完全にヤバいやつである。

 

 

 

そんな彼に……

 

 

 

 

〜〜〜♪

 

 

 

「!!?三玖!??」

 

 

連絡が来た。まだ見てもいないのに、三玖だと決めつけてしまう辺り、相当である。彼は急ぎスマホの画面を見て、メッセージ主を確認する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大門寺海斗……やあ総介。三玖ちゃんとはry』

 

 

「死に晒せクソヤロー!!」

 

海斗からのメッセージだと知るや、彼はベッドにスマホを叩きつける。

 

ちなみあの日から、二乃と海斗は『形式上(・・・)』恋人同士となった。

『形式上』……あくまで海斗は、二乃に対しての印象は変わっておらず、両想いではない。しかし、興味の対象であることに変わりは無いため、二乃の同意をもらい、形としては付き合うものとして落ち着いた。

その事は海斗本人と総介から他方に報告が行われたが、彼には一応『九条柚子』という両家公認の許嫁がいる。しかし、柚子本人は許嫁に乗り気では無く、彼女からすれば、それはそれで面白い事が起こっているので、このまま見守る立場をとった。

一方、海斗の両親はというと、それほど反対はしていない。というより、父の『大左衛門』は『自由』を好む上、息子の色恋沙汰などには基本興味すら持たない。彼の興味があるとすれば『海斗の子が強くなるかどうか』である。どんだけ戦闘狂なのこの人……

一方、母の『天城』も、基本は手を出さない方針だ。昔から、その時代の権力者は隣に『正室(本妻)』と数人の『側室(公認の愛人みたいなもの)』を置いており、二乃もその1人に過ぎないと思っている。天城は、彼女がどのように柚子を海斗をモノにするのか見てみたいという高みの見物を決め込んでいるようだ。自由過ぎだろこの家族……

ただし、海斗を本気で手に入れる以上は、こちらもしっかりとした『教育』を施さなければと彼女が息巻いていると聞いた総介は、

 

 

 

「あ〜、あの女死んだな……」

 

 

海斗からその様子を聞いて、総介は二乃に対して合掌した。世界を支配する一族の一つである『大門寺』の跡取りの妾となる以上、それはそれは厳しく、茨どころか横からマシンガンで蜂の巣にされる道を歩むと同義なので、それなりに『選別』はされる。多分、命が10あれど足りないだろう。ちなみに柚子は、元々名家の生まれで、あの性格ということもあり、それらはあっさりとクリアしている。

それが今の二乃に出来るとは思えないので、総介は彼女を哀れに思いながらも内心楽しみながら見てやろうと思っていた。さすが暴君外道丸。

 

なお、学校ではとんでもない騒ぎになりかねないため、誰にも話さないという約束のもと、関係は続くこととなった。二乃からすれば、アドバイスをくれたアイナにだけは報告したかったので、残念でならなかった。

 

 

 

 

まぁ、アイナは全部知っているんですけどね。

 

 

 

「そうですか、若様と二乃が……」

 

「……まぁ、今後色々と大変だろうからな、ほれ。胃薬と頭痛薬と安眠できる枕だ」

 

「………ありがとうございます」

 

「………ま、秘密なんざいつかバレるさ。タイミングが合えば、うまくまとまるかもしんねーしな。そう落ち込むことでもねぇさ」

 

「はい……」

 

総介とそんな話をしたアイナは、かなり複雑な表情をしていた。

これで、四者の関係はこうなった。

 

 

アイナと二乃……親友

二乃と総介……バチバチ犬猿の仲(二乃の一方的な嫌悪)

二乃と海斗……『形式上』恋人同士

総介、海斗、アイナ……幼なじみ

※海斗と総介がアイナと繋がっていることを、二乃は知らない

 

 

という、イヤホンのコードが別のコードと絡まった時並みに面倒くさい関係の完成である。なぁにこれぇ?(棒読み)

 

 

 

 

とまぁ、試験の後の話はさておき、海斗のメッセージに辟易していたその時だった。

 

 

〜〜〜♪

 

 

再びスマホが鳴る。また海斗か?と怪訝な表情でスマホを拾い、画面を見ると……

 

 

 

『三玖』

 

「三玖!!!」

 

正真正銘、今度こそ恋人のメッセージに歓喜し、慌ててメッセージ内容を確認する。

 

 

 

『ソースケ、ごめんね。スーパーの福引きでおじいちゃんの家の近くにある温泉旅行が当たっちゃって、せっかくだからみんなで行こうってことになって、その数日間は会えないことになっちゃった。本当にごめんね』

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

そのメッセージを見た総介の時が、数秒止まり、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぬぅわぁんだとぉぉぉぉおおおおお!!!!!」(何だとー)

 

 

 

 

 

 

盛大にシャウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れて、

 

 

「「ヤッホー!!!」」

 

 

(………まさか本当に当たるとは)

 

 

風太郎を始めとした妹のらいは、父の勇也含む上杉一家は、とある島の、向かいの山がよく見える展望台にいた。

 

実は、三玖と同じスーパーで福引きをした風太郎。彼は温泉旅行にもっぱら興味は無く、良くて商品券狙いでガラガラを回したのだが、まさか一番上の賞が当たるとは思わなかった。これも主人公補正の力か……

 

 

それはそうと、2人は楽しんでいるようなのでらいはと勇也を被写体に展望台にある鐘のところで写真を撮ろうとしたが、生憎充電を忘れていたらしく、彼の携帯はバッテリー切れとなった。

 

 

「しゃーねー、次行こうぜ」

 

「お兄ちゃんもついてきてよー」

 

「……まいっか。どうせ誰からも連絡来ないんだ」

 

先に行った二人の背中を見ながら、悲しい独り言を呟く風太郎。わかるよ、その気持ち。

 

(ま、いっか。こんな機会は滅多に無いんだ。

 

 

 

 

今は家族旅行を楽しもう!)

 

そう心に決めて、風太郎は、崖の柵に手を置いて、やまびこを叫んだ、

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ヤッホーー!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

………あれ、今声がハモッたような。

と、横を向いた先にいたのは……

 

 

 

「!?」

 

 

「!?」

 

 

ヤッホーーー…

 

 

ヤッホーー……

 

 

ヤッホー………

 

 

 

 

2人のやまびこが帰っては行き、行っては帰りを繰り返しながら、沈黙が流れる。

 

 

 

 

「う、上杉君!?なぜここに!」

 

「お前こそ……」

 

横で一緒に叫んだ五月に驚くあまり、声を失いかけてしまう風太郎。と、そこに……

 

 

「五月ー!早いよー!……って

 

 

 

 

あれぇ!?上杉さんじゃないですか!」

 

 

「あ、フータロー君!」

 

「こんなところにまでなんでいんのよ……」

 

「はぁ……はぁ……フータローも当たったんだ……」

 

 

 

案の定、中野家五姉妹が勢揃いしていた。あ、最後の三玖は登山に疲れて息切れしてます。

 

 

 

「……まさかのお前らも家族旅行かよ……

 

 

ありえねぇ……」

 

 

 

唖然とする風太郎。しかし、それだけではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさに家族旅行だ。だが気をつけなければいけないよ」

 

 

 

姉妹の後ろから、男性の声がした。風太郎はその姿を目視した瞬間、全身から冷や汗が吹き出し、ガタガタと震えだした。

 

 

 

 

 

 

「旅にトラブルはつきものだからね」

 

 

 

 

そこには、他でもない五つ子の義父『マルオ』が立っていた。ちなみに後ろにどでかいバッグを持った江端がいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、

 

 

 

 

 

 

 

「…………ぉぉぉぉ!」

 

 

 

「?何だ?」

 

『マルオ』の姿に驚くのも束の間、どこからか、叫び声なるものが聞こえてきた。風太郎は辺りを見回して、その声が崖下から聞こえてきている。

 

 

何事かと、風太郎は柵で守られた崖下を覗いてみると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三ぃぃぃいいい玖ぅぅぅううう!!!!!!」

 

 

 

 

 

「エピャャァァアアアアアアアアアアア!!!!????

 

 

 

 

 

スギタっ!!?」

 

 

風太郎が崖下を覗いた瞬間、なんと、愛車の『ベスパ』に乗りながら、恋人の名前を叫んで崖を猛スピードで登ってくる総介の姿があった。その様に、風太郎は生まれて初めて変な言葉で叫んでしまう。物理法則?なにそれ美味しいの?

 

さらに、総介の車線上にいた風太郎めがけて、そのまま『ベスパ』が突っ切ったことにより、風太郎は顔面の真ん中をタイヤに擦られ、彼は謎の断末魔をあげながら仰向けに倒れて一瞬気絶してしまった。

 

 

「う、上杉さぁぁあん!!!」

 

 

そんな風太郎に、四葉が駆け寄る。うん、健気な子だね。

一方、崖をベスパで垂直に登り切った総介は、空中で体勢を整えて見事に着地する。

 

 

「三玖!やっぱ来ちゃった!」

 

キリッ☆っと決め顔でそう言う総介。あの後、三玖に『じゃあ、俺も自腹でそこ行っていい?』と連絡し、三玖が快諾したため、当日は現地集合となる予定だったのだが、まさかこんな登場の仕方をするとは思ってなかったようで……

ちなみに、ベスパは船に乗せてもらいました。てか、どんだけの距離原チャで走ったんだよお前……

 

「そ、ソースケ!?」

 

「どんな登場の仕方なのよ!?」

 

「あ、あはは、もはや何でもアリだね……」

 

「この小説のことだから、仕方ないですけどね」

 

「浅倉さん!ひどいです!どうして……どうして上杉さんを殺したんですか!?」

 

 

 

「い、いや、俺、死んでないから……」

 

それぞれにリアクションを見せるが、勝手に風太郎を死んだことにした四葉が一番ひどいと思う。そのまま彼は顔面にタイヤ痕が残ったまま立ち上がる。

 

と、こんな状況なのにも関わらず、全く驚いてない表情が一人……

 

 

 

「……お、中野センセーじゃねぇか。久しぶりだな。アンタが引率か?」

 

 

「……何故君がここにいるんだい、浅倉君?」

 

「三玖いるところ浅倉総介アリってね。自腹だが、付いてきちまったまでよ。あ、本人に許可はとってっから」

 

総介の言ったことに、『マルオ』は少々不機嫌になりながら三玖を見遣る。

 

「……僕は一切聞いていないんだが、三玖君」

 

「お、お父さん、これは……」

 

彼の問いに、三玖はオドオドとしてしまうが、それも総介が答える。

 

「別に個人的な旅行で来てんだ。アンタにどうこう文句つけられる謂れはねぇだろうよ。それとも何か?親父心で娘と彼氏がイチャイチャするのを見たくねぇってか?かぁ〜っ、娘思いのいい親父だなぁコノヤロー」

 

「………」

 

総介の返しに、『マルオ』は、より一層不機嫌な表情をする。無表情だからわかりにくいが……

というのも、試験の後に総介は『マルオ』にも連絡を入れていた。

 

 

 

 

『オタクんとこの娘の次女と、海斗が付き合うことになったから。まぁ付き合うっつっても『形』だけだけどな』

 

『………何だって?』

 

 

 

その報告を聞いてから、『マルオ』は頭痛がしばらく続いたという。自分の娘と、『あの大門寺』の一人息子が恋人同士という報を聞いたんだもん。仕方ないよね。

『マルオ』は、まさか自分の病院で薬を貰うことになったことは、ここだけの秘密である。

というわけで、頭痛の原因となった総介には、若干恨みがあった。

 

 

え?海斗?……『マルオ』ごときが逆らえる存在だとでも?……

 

 

 

 

 

「……まぁいい。好きにしたまえ」

 

「英断だな、中野センセー」

 

そんなわけで、二人はバチバチに火花をぶつけ合いながらも、これ以上は不毛だと悟ったマルオの方が引くことにした。

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

「この島随一の観光スポット、『誓いの鐘』です。

 

 

 

この鐘を二人で鳴らすと、その男女は永遠に結ばれるという伝説が残されているのです」

 

「は、はは……どこかで聞いたことある伝説だ。そういうものどこにでもあるんだな。コンビニか!って……」

 

「てか、林間学校とまんまじゃねぇか。パクリか?どんだけ恋愛脳な奴が作ったんだよ。たかが鐘一つ程度で結ばれたら世話ねぇぜ、ったく……」

 

「うん、そうだね……」

 

展望台にあった鐘にまつわる伝説を説明する四葉に、弱い口調で返す風太郎と、真っ向から愚痴る総介に、それに同意する三玖だが、二人はそのまま鐘の下へと歩き出して、ロープを掴んで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴーン、ゴーン………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………って何アンタらさりげなく鐘鳴らしてんのよ!!?」

 

「いや、そこに鐘があったから」

 

「『そこに山があったから』みたいな感じで言うな!」

 

「『動かざること山の如し』」

 

「動いてんじゃないの!」

 

 

あっさりと二人で鐘を鳴らした総介と三玖。テメェらさては鳴らしたくてウズウズしてただろ!おじさんわかってんだかんな!

 

 

と、

 

「さて、昼食にしようか。全員準備を始めてくれ。ただし足元には気を付けよう。この辺りは滑りやすい」

 

「オイ、何今俺がスベったみたいに言ってんだこのヤブ医者?」

 

そんな茶番劇(でもないが)を無視して『マルオ』がパンパンと手を叩きながら、昼食の準備を促す。総介はどうか知らないが、彼は風太郎の方向は一切向いていない。

 

 

「………」

 

風太郎は『マルオ』の対応に、そのまま頭の中で考えを巡らせる。

 

(くっ……休み明けに家庭教師を再開するまで、一旦距離を置けると思ったのに……何故こいつらが全員揃ってこの島にいるんだ……しかも浅倉まで来るなんて……つーかいつの間に父親と和解したんだ?進級を果たしたから受け入れたのか?いや、それならそれでいいんだが……てか、なんで浅倉はあの父親にあんな態度が出来るんだ?完全にタメ口使ってたよな……

 

 

いやそれよりも、その場合、俺の立場はどうなる?家庭教師は完全にクビになっちまうのか?)

 

不安が風太郎の脳内を支配する。と、その視界に一花が入ってきたので、彼は思わず助けを求めた。

 

「一花、説明して欲しいんだが……」

 

「!……あはは……ごめん、忙しいから後でね……」

 

「………」

 

断られてしまう。『マルオ』のことを警戒して、あえて風太郎と距離をとっているのだろうか…….

 

「……よつ……」

 

「う〜緊張してきた……うまくできるかな……」

 

と、次は四葉の方を見たが、こちらのことなんか蚊帳の外みたいだ。次は……

 

「……….何よ?」

 

「……やっぱいいや」

 

「おい!?」

 

二乃は無視っと……三玖は……浅倉の横が定位置なので、残ったのは……

 

ジーー……と、ちょうど目が合う。

 

「………いつ」

 

「五月君」

 

が、その前に『マルオ』が五月に声をかけた。

 

「何をしてるんだい?江端から弁当を受け取ってくれ」

 

「………あ、あの……先日は……」

 

「さあ準備を始めよう。久々に全員が揃ったからね。

 

 

 

 

 

家族水入らずの時間だ」

 

 

最後の方を『マルオ』は、風太郎の方に振り向きながら言った。つまりこう言いたいのだろう。

 

 

『娘に近づくな』と……

 

ちなみに、あの日に二乃をバイクで連れて行った誤解は解かれていません。

 

 

「…………」

 

「おーい!」

 

 

風太郎が再び冷や汗をかいていると、後ろから声がした。

 

「遅ぇーぞ風太郎。心配で戻って来ちまった」

 

「あれー?なんでみんないるのー?」

 

先を行ってたらいはと勇也が戻ってきた。

 

「らいはちゃん!」四

 

「やはり上杉君も家族でいらしてたのですね」五

 

「じゃあ、この人がお父さん?」一

 

「……ちょっと似てるかも」二

 

「そう?」三

 

と、五者五様のリアクションを見せる五つ子。と、上杉親子は五つ子の次に、総介を発見する。

 

「あ!お前は、いつかのバイク坊主じゃねぇか」

 

「あ!あさくらさんだ!久しぶり〜!」

 

 

「お〜、らいはちゃんにヤンキー親父、元気してたか〜?」

 

「はい!」

 

「どんな呼び名だオイ!」

 

と、勇也がツッコんだなも束の間、彼は『マルオ』の方を向き、視界に入れた。

 

「……ん、ありゃ、誰かと思ったら……」

 

「おや、雨が降ってきたね」

 

「え?」

 

『マルオ』は空に手をかざしながらそう言って続ける。てか、全然雨降ってないし。

 

「山の天気は変わりやすいね。下山して宿に向かおう。江端、片付けを頼んだよ」

 

そう言い残して、『マルオ』はそのまますたすたと歩いて行った。そんな彼の背中を見て……

 

 

 

 

「………チキ〜ン」

 

「………」

 

と、総介が一声かけるも、彼は一瞬立ち止まっただけで、そのまま再び歩き出して行った。

 

「えーっと……」

 

「あはは、仕方ありませんね……」

 

姉妹もやむなく、彼の後に続くことにした。

 

「んじゃ、俺らも行くかな」

 

「うん」

 

「ってアンタもついてくんの!?」

 

「だって同じ旅館だしな。てか、俺は三玖と一緒にいてぇから来た訳だし」

 

「そ、ソースケ……」

 

総介のさりげない一言に、三玖は顔を赤くしながらも嬉しさが表情に出てしまう。総介爆発しろ!

 

そんな感じで、総介も『ベスパ』を押しながら三玖と歩いて行った。

 

途中、彼は振り返ると、五月が風太郎に何か話しかけているのを見た。

 

 

「上杉君……後でお話しがあります」

 

「……おう」

 

 

そんな様子を総介は特に気にすることなくそのままはを進めて行った。

 

 

 

 

と、

 

 

 

 

「……ねぇ、ソースケ」

 

「ん?どうしたの?」

 

横にいた三玖が声をかけてくる。少し神妙な面持ちだ。

 

 

「ちょっと話があるの……」

 

「……歩きながらでいい?」

 

「うん……」

 

 

そう言って、三玖は話を始めた。

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

「………マジで?」

 

「うん……」

 

歩きながら三玖の話を聞いた総介は、少し考える。

 

 

「…………」

 

「……どう、かな……」

 

「いや、俺は構わないけど……上杉がどうなるかね〜」

 

「フータローも………どうにかなると思う」

 

「………ま、どうにかなったらなったで良し、ならなきゃならないでそれはそれ、だからね。面白いじゃん。気楽にやってみな」

 

「う、うん、ありがとう」

 

何やら相談をしていたようだが、それが何の相談なのかは、いずれ分かるだろう。

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

五つ子や風太郎、総介が泊まる旅館『虎岩温泉』へと到着した総介は、三玖と分かれて『ベスパ』を駐車場所に止めてから入り口へと向かった。入り口を潜ってフロントに入ると、後から続いた上杉家族が既に到着していた。カウンターには、全く動かない老人が1人。

 

 

「うっす」

 

「お、おう、浅倉………!」

 

と、風太郎はフロントを見渡して、ある一点で止まり、

 

「2人とも、先に行っててくれ」

 

「なんだ、便所か?」

 

「………」

 

 

 

と、走りだした。というのも、五月の姿を見たようだ。そのまま彼女の元へと駆け出していく風太郎。

 

 

(………さて、どうなることやら………)

 

 

 

総介はその背中を、いつもの死んだ魚の目で見ながら見送った。

 

と、

 

「おーい、バイク坊主。次お前だぞ」

 

「?あ、了解っス」

 

「またねー、あさくらさん!」

 

「うぃ〜、楽しめよ〜」

 

勇也が受付を終え、そのまま部屋へと向かって行った。らいはに手を振りながら見送ると、総介はカウンターの前に立つ。

 

「………ああ、予約してた浅倉ですけど………生きてんのか、コレ?」

 

「………」

 

カウンターの前では老人が1人、動かないままでいると、

 

「………」

 

「……どうやら生きてはいんのな」

 

そのまま部屋の鍵をカウンターに置いた。

 

 

「あざーっす」

 

それを受け取った総介は、そのまま部屋へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

その背中を、全く動かなかったはずの老人が髪で隠れた目で、見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なぜ、『あの子』の匂いがする?

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

その後、温泉に入り、浴衣に着替えて休んでいた総介。しかし、この旅行の目的は久々に三玖と一緒にいることだ。唐突に彼女に会いたくなったので、メッセージで会おうと打ち込んで送信するが、彼女からの返信は無い。温泉に入っているのかと思い、彼は部屋から出て、フロントへと向かった。そこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワシの孫に手を出すな

 

 

 

 

 

 

殺すぞ」

 

 

老人、もとい五つ子の祖父に床に叩きつけられ、脅迫させられている風太郎と、五月(?)がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………な〜るほ〜どねぇ〜」

 

 

 

その一部始終を見ていた総介が、口角を少し上げながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

旅行はまだ、始まったばかりである。

 




温泉旅行編では、ほとんど総介の視点からお送りします。この章は特に原作既読を推奨すると思いますので、原作第8巻をご覧いただけたらもっと楽しめると思います。
あと、思ったよりも話数が少なく終わるかもしれません。


今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!
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