裏での陰謀を知らずに、主人公一行は平和ボケする作品より、主人公自身が裏で暗躍する作品の方が好き。
『五つ子ゲーム〜五月の森から本物の姉妹を探せ!の巻〜』
というわけで、前回のゴタゴタから仕切り直して五月に変装した五つ子たちを、風太郎は見分けることが出来るのか、一人一人面接形式で行うことにした。
・1人目
「自己紹介ですね。中野五月、5月5日生まれ、17歳のA型です」
・2人目
「好きなこと……ですか……やはり、おいしいものを食べている時は幸せですね」
・3人目
「なっ、そんなこと答えられません!上杉君!女の子にそのような質問をするのはいけませんよ!」
・そして4人目……
「…………」
「くそぉ!全然違いがわからねぇ!」
「ふぁあ……ねみ〜」
案の定、そっくりすぎるというか、完全に『影分身の術』を使用した五月たちに、風太郎は音を上げてしまったんだってばよ。
一方の総介は、この事情を知っており、三玖は既に判別しているからか、横になってあくびをしていたが、やがて立ち上がってその部屋を後にしようとする。
「んじゃ上杉、俺は部屋に帰らぁ。せいぜい頑張れよ〜」
「はぁ!?ちょ、おい、浅倉!……行っちまった……」
そのまま部屋を後にした総介。だが、その前方からやってくる老人の人影が一つ。
「………」
「……どうも〜」
間の抜けた挨拶を五つ子の祖父へとする総介。しかし、老人は黙ったまま、彼とすれ違う。
その直後だった。
「………何故、お主から孫の匂いがする」
「………」
2人は、1メートルほどの距離で背中を向け合いながら、立ち止まり、会話を始める。
「………孫に手を出したな」
「………そりゃ、どういう意味でだ?暴力的な事か?それとも……」
「………」
「……安心しなジーさん、前者はねぇよ。後者だとしても、俺ァちゃんと同意の上で……
!、おっと」
総介が話している最中、後ろからの気配を感じた彼は、そのまま身をヒラリと躱し、老人の自分に伸びた手首を掴む。
「あの
一応ねぇ………
と、手首を掴まれた祖父は、そのまま総介に話を始める。
「………これ以上、あの子たちを悲しませるな」
「………」
「………お主がこれ以上孫たちのそばにいれば、いずれは」
「もう遅ぇよ」
祖父の忠告を、総介は途中で口を挟んで切る。
「三玖はもう、俺が突然いなくなりゃあ何するかわからねぇし、俺もそうだ。あの子を失えば、もう何も残らねぇだろうし、何も残さねぇだろうよ。
それほどまでに、俺達は互いを想い合ってる
アンタがそれを、所詮はただのガキの恋愛事だと吐き捨てたきゃそうすりゃいい。
ガキの色恋沙汰だ淘汰すんのは何も難しいことじゃねぇ。
けどな、俺はあの子に………三玖に全てを賭けたんだ。
俺の
アンタが娘さん、あいつらの母親のことで、敏感になる気持ちはわかるさ。
俺を信じられない気持ちも分かるし、信じたくなきゃそうすりゃいい。
だがよ、あいつらを信じることだけはやめねぇでやってくれよ。
アンタがあいつらを信じれなくなっちまったら
どこのどいつがあいつらを信じるってんだ?」
「…………」
総介はそこでようやく、掴んでいた祖父の手首を離す。もう祖父はそのまま、総介に手を出すことは無かった。
「………それでも信じられねぇてんなら、今から三玖を連れてこようか?」
「………」
総介の言葉を聞いた祖父は、そのまま踵を返して、
「………夜」
そう言い残して、孫たちの部屋へと歩き出して行った。
「………承知」
それに総介も、同じく踵を返して、一言呟いてから、自室へと戻っていった。
………………………………
時と場所は変わり………姉妹はそれぞれで行動していた。
「痒いところはありませんか〜」
「もう、ここまでしてくれなくていいのに……」
一花は二乃と一緒に、『女湯』に入っていた。
え?総介の罰は?って?
「関係無いわよ!私まで付き合うハメになっちゃうんだし、それに女湯なら、いくらアイツでも入って来ないでしょ」
という二乃の後押しもあり、一花は「い、いいのかな……」と思いつつも、流れのままに女湯に突入していった。そして現在、2人は全裸で背中を流し合ってる最中である。二乃の大きな乳房が、一花の背中にムニュッと押し付けられる。
……やべ、ちょっとティッシュ取ってくるわ(下衆の極み)。
ふぅ………
「あら、足どうしたの?平気?」
「うん、痛くは無いかな」
二乃は一花の左足首を見ると、少し腫れ上がっていた。どうやら、初日の山登りで挫いてしまったらしいが、歩くには支障は無いようだ。
「この温泉も変わらないね。昔は五人で入ってたっけ」
……それで、何で今日は私なんだろう」
一花がそう聞くのも、先程二乃が彼女を誘ったからである。2人きりで、ということもあり、何か話があるのだろうと、一花も大体は察していた。
「一花の話が聞きたくなったのよ。ほら、あんたってたくさんされてるらしいじゃない
告白とか」
「!」
やはり何か話があったのかと、一花は合点がいったが、話の内容が少し予想外だった。彼女から出てくるのは、総介へのの愚痴か、海斗との惚気かと思っていたからだ。
「……一花、どうするの?」
「………どうするって?」
「上杉のこと、好きなんでしょ?」
………………………………
一方その頃、大広間では……
「みんな遅いな〜、一花と二乃どっか行っちゃったし、三玖は浅倉さんと話があるって行っちゃったし、五月はどこにいるんだろ?」
四葉は一人しかいない大広間でボーッとしながら座っていた。
「お腹すいた……うーん……
お腹がすきました!
ちょっと違うなぁ……
お腹ぎすきましたぁ〜!
うんうん、五月はこんな感じ!」
と、あまりにも暇なので、五月の真似の練習をして時間を潰していた。
………………………………
一方、
「そ、それで、カーテンを買いにいった時の話なのですが、何色にしようかと姉妹で話し合いまして、しかし好みは五人五色、全員が違うものを選び、一時は険悪な雰囲気に……」
「………」
五月は、『マルオ』への時間稼ぎの話を、未だ続けていた。『マルオ』は黙ったまま、五月の話を聞いているが、実は娘たちの話を聞くのは楽しみだったりする。
(上杉君……私はいつまでここにいればいいのでしょう……まだ朝ごはんも食べてないのに……
そろそろお腹がすきましたぁ〜!)
腹の限界を迎えようとしていた五月。偶然にも、四葉と同じ台詞を発してシンクロするのだった。
………………………………
またまた一方、
「え!おじいちゃんが?」
「うん、夜に三玖を連れて来いって」
「そう……」
「ごめんね、突然こんなことになってしまって」
「ううん……私も、おじいちゃんに、ソースケを紹介したいから、ちょうど良かった」
「ありがとう。じゃあ夜に連絡するね」
「うん……」
総介は三玖に、今朝の祖父との出来事を話し、夜に時間を空けるよう三玖に伝え、三玖もこれを了承するのだった。
………………………………
そして舞台は女湯へと戻る。
互いに背中を流し終えて、温泉に浸かる一花と二乃。
「……始まりは、花火大会だった思う」
一花は、二乃に風太郎を好きになった経緯を話していた。
「あの時から、試験や、林間学校や、日常でフータロー君と過ごす中で、いつも彼を見るようになってたんだ………それで、前の試験で一番になって告白しようと思ったんだけど、三玖に負けちゃって見事に玉砕しちゃってさ」
「ふーん、あんたも色々とあったのね」
二乃は腕を伸ばして伸びをしながら、一花の話を聞いていた。思えば、三玖以外の色恋沙汰を聞くのは初めてだった。
と、今度は一花の方から二乃に話しかけられる。
「そういう二乃はどうなの?大門寺君と一応付き合ってるんでしょ?デートとか、色々してたりするんじゃない?」
「……今のところ、全く無いわ」
「………ありゃ?」
意外にも、あっさりとした返答が返ってきた。そのまま、二乃は話を続ける。
「そういう関係になったのは春休み直前だったし、連絡はよく取り合ってはいるけど、海斗君の方も忙しいから、直接会ったのはみんなでケーキを食べた日が最後よ」
「い、意外とドライなんだね……」
「私だって海斗君ともっと会いたいわよ!」
突然、二乃は立ち上がって叫ぶ。
おお、全部見えてる。眼福眼福ぅ!
「そりゃ向こうが大金持ちのおぼっちゃまだってのは分かるけど、やっぱ一応恋人同士になったんだから、デートしたいし、手も繋ぎたいし、チューもしたいに決まってるじゃない!
しかもどっかの妹がその彼氏とそばでイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャするもんだから、こちとら溜まるモンも色々と溜まってきてんのよ!!
せっかく新学期までの我慢だと思ってんのに、アイツら目の前でハグとかキスとかしまくるせいで限界も近いのよ!
なんなら今すぐにでも海斗君のところに飛んでいきたいまであるわ!!
………って何浅倉みたいなことを言ってんのよ私!?
あぁ〜もぉおお!!!」
「あ、あはは………」
頭を抱えて大きく前後上下左右に振る二乃。その動きにより、胸部の2つの塊がプルンプルン揺れて、『嫁魂』作者の『嫁魂』も中々に盛り上がって参りました。
そんな二乃を見て、一花は苦笑いをするしかなかった。と、疲れたのか、二乃はようやく頭を振るのをやめて、再び湯に浸かり直す。
ちくせう。
「はぁ……その点アンタや三玖が羨ましいわ。まぁ三玖の方はイチャイチャしすぎてイライラするばかりだけど……」
「まぁ、浅倉君も三玖には甘いからね〜」
「大体何で三玖なのよ!私たち全員同じ顔なのに、まるで他人のように扱ってくるし、四葉や五月はともかく、私なんてキャラの名前ですら呼んで貰えないのよ!一体どういうこと!?」
「キャラって……まぁ、私もずっと『長女さん』って呼ばれてるからなぁ」
「五月の『肉まん娘』よりはマシよ。四葉は……名前で呼ばれてるわね」
「たまにバカリボンって言われてるよ」
「アイツの呼び名でイラつくところは、妙に当たっているところよね」
「浅倉君も絶対面白がって呼んでるよね」
「まったくもってムカつくわ。そろそろ私の中の人のストック切れないかしら……」
話は転々とし、総介への愚痴大会へと移ってしまったが、暫くしてなんとか軌道を修正する。
「……で、どうするの?」
「え?」
「上杉よ上杉。一花はこのままでいいの?」
「………」
二乃の言葉に、一花は顔の半分を湯に浸からせる。
「まぁアイツを他に好きになる子なんていないはずだし、一花のペースで行けばいいと思うけど」
「……一応、そんなフータロー君が好きになった身としてはそれは複雑なんだけど……」
「事実じゃないの……まぁ、上杉も上杉でいいとこあるんだから……
………勉強ができるくらいだけど」
「い、いや、もっとあるよ」
「……まぁいいわ」
二乃はそのまま立ち上がり、風呂からあがろうとする。
「一花は一花、私は私よ。どうするかは、アンタ自身で『自由』に決めなさい……どっかの陰キャから影響を受けた三玖が言ってた言葉よ」
背中を向けて話す二乃に、一花は少し目を見開いた後、小さく笑う。
「………ふふっ」
「……何よ」
「それ、私も聞いた。『自由』にやっていいって。そっか、浅倉君だったんだね」
「………」
「ねぇ二乃」
一花は、露天風呂から出て行こうとする二乃の背中に声をかけた。
「私たちもさ、みんないずれはバラバラになるじゃん。
でも、それって本当に離れ離れになるんじゃなくて、
またみんなで集まって
笑ったり
泣いたり
怒ったり
そういうのがいつでもできるような姉妹なんだから
一緒にいることに縛られすぎずに
少しは『自由』にやってもいいんじゃないかな?
浅倉君は、私たちにそう伝えたかったんだと思うよ?」
「…………」
そう言った一花だが、二乃は黙り込んでしまう。
『自由』でいい。
たしかにそれは聞こえがいいかもしれないが、
それはつまり、母の言っていたことに反くことでもあった。
『大切なのは、五人で一緒にいること』
その教えを、姉妹は忠実に守ってきた。
しかし、風太郎が家庭教師として現れ、
三玖に総介という恋人ができ、
そして自分も、海斗という目標が出来た。
さらには一花も、風太郎に恋をしている。その是非はどうであれ、やがて来るかもしれないと、ぼんやり思っていた『その時』が、今まさしく来てしまっているのだ。
かくいう二乃も、自らその道を歩もうとしている……
「………そうねそうかもしれないわ」
「………」
「アイツや、海斗君や柚子さんに言われたことを考えれば、いつまでも甘えてられないのも事実なのよね……
海斗君に一歩でも近づくためには、やっぱりそんなことは言ってられない……
今が、変わらなくちゃいけない時なのかもね……」
「二乃……」
二乃も、覚悟を決めていた。海斗と一緒にいること。それはつまり、三玖と同じように、姉妹の檻から飛び立つということ。しかし、飛び立っても、また戻って来ればいい。
みんながいつものように『おかえり』と言って迎えてくれるだろうから……
「決めたわ!私も私で『自由』にやらせてもらう!私で色々見て、私で全部決めて、好き勝手させてもらうわ!」
「!二乃!!」
遂に二乃も、重い腰を上げることにした。姉妹のいる場所に執着にも似たような感情のあった彼女が、ようやくその翼を広げる時がきたのだ。それを聞いた一花は、喜びを露わにする。
が、
「海斗君とちゃんとちゃんとした恋人同士になれば、上杉とか浅倉なんかはもう私に好き勝手言えなくなるわ!そうなった時こそ、日頃の恨みを晴らすときよ!海斗君を盾にするのは少し卑怯かもしれないけど、アイツらが私にしてきたことを考えたら小さいもんよ。
見てなさいガリ勉陰キャコンビ!
必ずアンタらに受けた屈辱は……
『やられたらやり返す、1000倍返しだ!』よ!!
………フフフフフフ
アーハッハッハッハッハッハ!!!!」
「…………」
総介や風太郎への私怨は、きっちりと残っていた。右手の拳を握って高笑い全裸の二乃を見て
『いらんこと言うてもうた』
と、心の中で後悔する一花であった。
………………………………
その後、日中の残った時間で、姉妹+祖父+風太郎は島の海岸を訪れた。
風太郎は姉妹を見ただけで見分けられるのを見て、まさかの弟子入りを志願。祖父から姉妹を見分けるコツを教わろうと、防波堤での釣りに釣りに付き添っていた。
姉妹たちは、その近くの浜辺で遊んでいる。
祖父は、その遠くの視界に入っている姉妹たちを、難なく当てていく。
(全然分からん!)
神業のように当てていく祖父を見て、レベルの違いを見せられた風太郎。彼は最悪、昨日の偽五月とのゴタゴタで、彼女についた太ももの傷で判断するしかないかと、弱音を上げるのだった。
その途中、防波堤にやってきた姉妹の中で、足を痛めちゃったと言った五月(一花)に「お前は誰だ」と迫るも、突然のことで動揺した彼女に身体を押されて、そのまま海へと真っ逆さま。正体は分からず終いで、冷たい海にフライアウェイするハメとなってしまった。
一方その頃、総介は………
「『集いし星が一つになる時、新たな絆が未来を照らす!
光指す道となれ!』
リミットオーバーアクセルシンクロォォォォ!!!!
進化の光『シューティング・クェーサー・ドラゴン』!!
そのままダイレクトアタックだー!!」
「くっ、リバースカードオープン!『マジックシリry」
「甘い!『シューティング・クェーサー・ドラゴン』は、1ターンに一度、モンスター、魔法、罠の効果が発動したとき、その発動を無効にし、破壊することが出来る!」
「そ、そんな!?」
「さらに!『シューティング・クェーサー・ドラゴン』は、シンクロ素材としたチューナー以外のモンスターの数だけ、一回攻撃できる!俺は2対の非チューナーモンスターを素材としているため、2回目の攻撃が可能!1回目の攻撃が通り、そして2回目のダイレクトアタックで、トドメだぁ!」
「ぐぁあ!!」
「ガッチャ☆楽しいデュエルだったZE!」
というように、島の子供たちと遊戯王をして遊んでいた。
………………………………
そして時は流れて夜……
「爺さん、いい加減教えてくれ。あいつらを見分けるコツとかないんですか?」
風太郎は祖父の後ろを歩いて、姉妹を見分ける方法を直接聞いていた。
すると、祖父が小さな声でこう答えた。
「………愛」
「…………」
「愛があれば見分けられる」
(この人が発端か!)
以前、四葉は母が『愛さえあれば、自然とわかる』と。そして今朝、五月と話をした時も『愛さえあれば!』と言われた。
おそらくは祖父→母→子供の図式で伝わったのだろうと、風太郎は推測した。
「……長い月日を経て」
「!」
「相手の仕草、声、ふとした癖を知ること……」
「それはもはや『愛』と言える」
「………」
長い月日………わずか半年しか関わっていない自分では、到底分からない筈だ……
では、総介はどうなのだろうか?
彼はほんのひと月ちょっとで三玖を一発で見抜くことができた。
それは彼の三玖への愛の大きさだから………
(……にしても異次元すぎるだろ浅倉……)
風太郎は改めて、祖父の話から、三玖をどれほど想っているかを思い知らされるのだった。
まぁ、そりゃ総介だもん。三玖がいなくて禁断症状出ちゃうくらいだもん。アレを手本にしちゃダメかも……
「……それは一朝一夕ではできん」
(すんません、できる奴知ってます……)
「お主は何のために孫を見分けたいんだ?」
「!」
「見分けられるようになってお主がしたいことはなんだ?」
「………」
「悪りぃなジーさん。まだ上杉は答えをしらねぇし、それはこいつが自分で見つけなきゃいけねぇもんだ」
祖父の言葉を聞いていると、彼の後ろから、聞き慣れた声がした。
「浅倉……それに……」
そこにいたのは総介と、偽五月のうちの1人。
「………三玖」
「あーっと!今言おうとしたのに!先に言われちまったぜ!今言おうとしたのに!」
「フータロー……」
「三玖、見ちゃダメだ。ああいう大人になれば、やがてはやってもいないのに『書類出来ました』とかいう嘘つき人間に……」
「俺をいじめて楽しいからお前ら?え?」
ジト目で見てくる三玖と、そんな彼女に風太郎にも聞こえるように耳打ちする総介。
と、茶番は置いといて。
「あんたの言った通り、連れてきたぜ」
総介は一歩下がって、三玖を祖父の前に出す。
「……おじいちゃん、聞いて」
「………」
「この人は、浅倉総介。
私の恋人で、
私の大好きな人。
おじいちゃんにも、紹介したかった」
「…………」
「ソースケは、私に、いろんなことを教えてくれた。
私と一緒に、いろんなところに行ってくれた。
私のそばに、困ったときや、嬉しいときや、辛いときや、面白いとき、いろんな時に、いてくれた。
この人なら、私は、ずっと一緒にいたいって思った。
ソースケは、優しくて、面白くて、厳しくて、強くて、ボーってしてて、ちょっとエッチで、時々よく分からなくて、
それでも、すごくかっこいい。
そんなソースケを、好きになったの」
「…………」
「それに、ソースケは、私をみんなの中から、見つけてくれたから」
「!………本当か?」
三玖のその一言に、今まで微動だにしなかった祖父がピクッと身体を動かす。
「そこのヒョロ助にでも聞いてみな」
祖父に聞かれた総介が、風太郎を指差して答える。祖父も、風太郎の方を振り向いて尋ねる。
「ひ、ヒョロ助?…………は、はい、本当です。それも2回も……」
「………」
「ソースケはどんなことがあっても、私を護るって言った。
でも、私も、ソースケを護りたい。
ずっと一緒にいて、そばにいて、 わかった。
ソースケの隣にいるためには、護られてばかりじゃダメ。
ソースケのことを、私も護らなくちゃって。
大好きな人を
愛する人を護って、一緒に歩いていきたい
それが、私がソースケと約束したことだから」
「…………」
しばらく祖父は、沈黙した後、そのまま三玖へと近づいていき、
「」
「!」
彼女の耳元で、何かを伝えた。三玖はそれを聞いて、顔を赤くする。そして祖父は、そのまま総介の方を向き
「………明日」
「………承知」
そう言葉を残した直後に、祖父はそのままその場をゆっくりと去って行った。
「…………」
「……な、何か言ったのか?」
その場にいた風太郎が、三玖へと聞く。すると、彼女は、下を向き、目から涙を溢し始めた。
「み、三玖!?どうしたんだ!?」
それに動揺する風太郎だったが、三玖が何かを呟く。
「………って」
「え?………」
三玖は、そのまま涙を溜めた顔をあげて、
「『幸せになってくれ』って」
笑顔を浮かべて、そう言った。それに、風太郎は呆然としてしまう。
「……お、おう」
「よかった……」
「………三玖」
「!!」
嬉しさのあまり涙を流す三玖に、総介はそっと寄り添い、ハンカチを出して、優しく彼女の瞼を拭う。
風太郎はその光景を、正面から見て………
(ああ………
これが『愛』なんだな)
素直に思った。普段、アホみたいにイチャイチャしている総介と三玖。言葉で『愛してる』と言い合う場面もよく見るが、2人の本質はこれにあるのだと、風太郎は実感した。
何も言わなくても、そばに寄り添える。
互いに手を取り合って、助け合い
時に優しく、時に厳しく
慕い、労り、
互いを尊重し合う
そこには理由なんて存在しない
ただ、お互いを想う気持ちだけが存在する
これが『愛』というものなんだと………
やっと、やっと見つけたのかもしれない
そしてこれが、姉妹を見分けることへの……
ありがとう、三玖、浅倉
お前たちのおかげで、俺は
風太郎は、ようやくその『何か』を見つける糸口を掴んだ。
そして、温泉旅行は最終日を迎える。
ちなみに裏話ですが、総介と三玖はこの話の後一緒に混浴に入りました。そこで『色々』とね………爆発しろ!
あと、遊戯王のところ、ルールちゃんと合ってますかね?
まぁ適当に書いたので、後で修正すればいっか!(投げやり)
やっと、やっと終われる……辛かった……
今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!
次回、第6章最終回です。