というわけで、前回から間もなく最終話です!やっと終われる……
多分、アニメ2期もペース的に温泉旅行で終わりかな、と思ってます。
……だから何だ?って話。
それと、後書きで本音を語っていますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
温泉旅行3日目、それは即ち、五つ子、風太郎、そして総介にとって、旅行の最終日でもあった。
その朝……上杉一家の泊まる部屋
「あーあ、今日でここの飯が食えなくなるのか。最後に温泉入っときてーな」
「あれー、お兄ちゃんは?」
「ん?どこ行ったんだ?……それより、さっき仲居さんから不思議な話を聞いたんだが……」
………………………………
一方、中野家の泊まる部屋
「さあ、昼の船を取っている。帰り支度を済ませておくように」
「三玖、トイレから帰ってこない……最後に皆で温泉行きたいのに……」
「五月ちゃん、知らない?」
「………」
五月は、三玖がどこへ行ったかを知っていた。
昨晩、祖父に総介を紹介した三玖は、総介と別れた後、五月と会い、初日から起きたことを話した。
「……そういう事だったのですか……」
「フータローが私たちを見分けられるかもそうだけど、それ以上に気づいて欲しかったから……
私たちもそばにいることを」
目的や方法は違えど、三玖と五月は同じ結論に達していた。このまま風太郎と家庭教師と生徒の関係だけでは、終わらせることは出来ないことを。
「………三玖の気持ちはわかりました。その上でお願いです。もう一度、上杉君に会ってもらえませんか?」
「……わかった」
………………………………
そうして、今二人は大広間で対峙している。
「お前は初日の夜、俺と話した五月ってことでいいんだよな?」
「………はい」
これが、風太郎にとっての最後のチャンス。ここを逃せば、今後は姉妹を見分けることなど、遠い未来になるかもしれない。風太郎はこの対峙で、決着をつけることにした。
一方の三玖も、風太郎に大切なことに自分で気付いてもらうため、今だけは完璧に五月を演じようと、決意する。
かくして、風太郎の五月を見分ける最後の戦いが幕を開けた。
………………………………
いろいろとありまして〜……
………………………………
結論から言うと、風太郎は、偽五月が三玖だと気づくことが……
できた。
できた。
できたのだ!
何があったのかと言うと、正直風太郎は、五月全員を見分けることを諦めた。代わりに、初日に会った偽五月の正体を当てることに全力を注いだ。
まずは、変装できても、演技が下手な四葉は除外し、続いてペディキュアを塗っていた二乃の足を最初、五月の森で偶然見たときに思い付いたため、二乃でもないことも判明した。
というより、二乃の香水の匂いがついていなかったので、それを本人に聞いたところ「初日?ええ、つけてたけど?」という返答が返ってきたため、それで判別は出来たりした(二乃の凡ミス)
そして一応念のため……
「デミグラス」
「?で、デミ?……」
「……どうやら本物でも無いな」
本物の五月なら、反射で「ハンバーグ」と答える謎の合言葉により、本物の五月でも無い。こうなると、いよいよ二人に絞られた。
現役の女優で、演技派の一花。姉妹の中で変装が一番上手い三玖。どちらも強敵だ。
風太郎は悩むものの、偽五月に質問をすることで、ボロを出そうとする。
「徳川四天王、酒井、本多、榊原、もう一人は?」
「わかりません」
「内緒話があるから耳を貸してくれ」
「左耳ならどうぞ」
三玖の得意な戦国武将の話も、一花のピアス跡のことも、見透かされているのか、全く取り合ってもらえない。
こうなると風太郎は、完全に詰んでしまった。
潔く降参し、両手を上げて本物の五月を呼ぶように言うが、その際にあからさまに五月なら呼び名を忘れたフリをしたので、三玖は敢えて
「五月ちゃん」と呼んだ。その時だ。
「ハハハハハ!かかったな!五月をちゃん付けで呼ぶのは一花のみ!
つまりお前は一花ってことだ!!」
それに風太郎が意気揚々と正体は『一花』だと、見事に三玖のミスリードを誤認。彼は罠を仕掛けたつもりのようだが、姉妹で一番頭も良く、総介と一緒にいる三玖の罠に、まんまとかかってしまった。
高笑いをしながら一花だと答えた風太郎に、三玖は、やはりここまでが限界ということと、それでも二人までに絞っただけでも風太郎は上出来だと、彼を心の内で褒めつつ、五月の格好で一花のフリをするというややこしいことをしながら帰り支度をするために戻ろうとした……
そうして彼女が背を向けた直後、風太郎は、その後ろ姿を見た時、ほんの一瞬、そこにいるはずのない人物の後ろ姿が、彼女の隣に寄り添う『彼』がぼんやりとだが、確かに現れたのだ。
あれ?
………浅倉?
「三玖か?」
気がつけば風太郎は、そう呼んでいた。
「………何で?一花って言ったじゃん?」
「い、いや、何というか……
……お前の横に一瞬、浅倉がいたような気がしたんだ。
それで、三玖かなって思って……」
「!」
それを言われた三玖は、顔を赤くしながら、振り向き、ウィッグを外した。
「………合格」
「!」
それは、紛れもない三玖だった。2人が並んで歩く姿を、これまで見てきた風太郎は、その後ろ姿を見てまさかと思い、言ったのだが、当たった自分でも信じられないような表情をしていた。
「ちょっと違う気もするけど……
でも嬉しい……私の横に、ソースケがいるって言ってくれて」
「い、いや、何というか……三玖が歩いて、その横で浅倉が歩幅を合わせているのがぼんやり浮かんだんだ。そしたら、今のお前と一致した」
「………ふふっありがとう、フータロー」
三玖は顔を赤くしながら、風太郎に礼を言った。三玖の歩く隣に、総介の姿が見えた。彼女からすれば、自分の正体を見抜いたこと以上に、これほど嬉しいことは無かったのだ。
離れた場所にいても、常に愛する人が、自分の隣にいてくれるような感覚………
それを三玖は実感して、喜びの笑顔を溢した。
と、一段落したところで、
「………ところで、何で俺にあんなことを言ったんだ?」
「……まだわからない?」
「え……」
「私も五月と一緒。フータローとは教師と生徒だけじゃなくて、1人の友達としていたい。それは、他の子もそう」
「………」
風太郎は、露天風呂で五月が言ってたことを思い出す。
「………中には違う子もいるけど」
「は?どういうことだ?」
「………はぁ」
未だ三玖の言ってることがイマイチ理解できない風太郎。三玖は呆れながら、そのままスタスタと大広間を後にしようとする。
「え?ちょっ、待ってくれ三玖!最後の、もっと詳しく説明してくれ!」
「フータローの頭には未だ勉強しかない。それだけは分かったってこと」
「どういうことだよおい!?」
(……一花、フータローへの道のりはまだまだ険しいみたい……)
一花の想いが風太郎に届くのは、かなり先になりそうだと思いながら、三玖は姉妹の元へと戻るのだった。
………………………………
そしてその後、旅館を後にする前に、一行は最後の風呂に入っていた。
女湯は五つ子のおっぱいパラダイスなので、作者が書いてしまうと画面が鼻血で赤く染まい、執筆に支障をきたしてしまう。よって、読者の諸君の妄想で補完してほしい。
一方、男湯はというと………
「………」
風太郎は、熱い温泉に浸かりながらも、体は冷え固まったかのようにカチンコチンだった。というのも……
「カーッ!堪んねーな!お前も一杯どうだマルオ!」
「上杉、僕を名前で呼ぶな。それに酒は苦手だ。特別な日にだけと決めている」
「ったく、お前は昔から堅ぇーんだよ。長湯して少しはふやかしたらどーだ?」
父の勇也と、五つ子の義父のマルオが一緒に入っていたからだ。勇也はお猪口を持って、酒を煽っている。マルオは表情も体勢も一切変えずに、湯に浸かっている。風太郎がカチンコチンの原因は、彼のようだ。
さらに……
「美味そうだなヤンキー親父。俺にも一杯くれ」
「テメー未成年だろうがバイク坊主!あと2年ちょい待ちやがれ」
「いいじゃねーか、無礼講だよ無礼講。それに俺ァ盃くれー飲んだことならあっから、酒なら大丈夫だ」
「何が大丈夫なんだ?お前が大丈夫か?てか敬語使え」
何故か勇也の横にいる総介。そして、勇也にも当たり前のようにタメ口で酒をよこせと言う。父といいマルオといい、この男は礼儀の『れ』の字も無いのだろうか……
「………じゃ、おれ先に出るから」
「おー」
こんなカオスな空間に滞在するのも毒だと思い、風太郎は先に上がることにした。
それを見送った勇也は、マルオにある話を始める。
「そういや、仲居さんから不思議な話を聞いたんだが」
「やめてくれ。世間話をする間柄でもないだろう」
「まぁ聞けって………
知っての通り、この旅行はうちの息子とお前んとこの嬢ちゃんが偶然当てたもんだ。
そんなことあると思うか?五組限定だぜ?」
「………」
勇也の話に、総介も横目でチラッとマルオの方を見る。
「そこで仲居さんに質問したんだ。
この旅行券が当たった客は何組来ましたかって
驚いたね、俺らより先に、既に四組来たたんだとさ」
「………へぇ〜」
「…………不思議な話もあったものだね」
「だろー!?」
マルオは一切表情を崩そうとはしないが、総介には大体察しはついていた。
つまり、この姉妹の旅行は…………
「どっかのお医者さんがこの上なく不器用じゃあ、治療してもらうのも心配になっちまうわなぁ〜、なぁ、中野センセー?」
「おっ、いい事言うじゃねぇかバイク坊主!そうだよなぁ〜、マルオ?」
「…………そうだな」
総介と勇也の2人は、ニヤニヤしながらマルオに視線を向ける。マルオもさすがに、2人の見透かした視線にはイラッとするのだった。
その光景を見た風太郎は、顔を青くしながら、早くここから立ち去ろうと、急いで着替えるのだった。
………………………………
「…………よぉ、ジーさん」
「………」
風呂から上がり、浴衣ではなく、元の黒パーカー姿へと戻った総介は、祖父の元へと1人でやって来た。
「わざわざ俺だけ呼んだんだ。一体何の用だ?」
昨日、祖父は総介を自分の所に来るよう呼んだ。そして今、彼は祖父の元いるフロントにやって来た。この時間帯なら、人の行き来もほとんど無い。誰もいないフロントで、カウンターを挟んで2人は向かい合う。
「………お主は、信用できん」
「三玖に『幸せになれ』っつったのにか?」
「……あの子に嘘をついているな?」
「………ほう、何の?」
「………お主の後ろに、恐ろしいモノが見える」
「霊能力でもあったのかよジーさん。そりゃすげーなおい」
「………違う」
祖父の言うことを、適当に流す総介。しかし……
「もっと禍々しいものだ………
それは、『業』」
「………」
「………その若さで、到底背負うようなモンではない」
祖父の言葉に、総介からヘラヘラとした表情が消えた。
「………お主、何者だ?」
しばらく2人の間に、沈黙が流れる。
どうやら、少し甘く見ていたか………
「………伊達に年は取ってねぇみてぇだな、ジーさん」
「………」
そして総介は、自身の黒縁眼鏡に手をかけて、それを外す。
「大門寺家対外特別防衛局『刀』が1人、『
これなは分かるか、ジーさん?」
「………大門寺………」
総介は祖父に、自らの正体を明かした。大門寺という言葉は、どうやら祖父でも聞き覚えがあるようだ。
「まぁ早い話が『人斬り』だよ、俺ァ」
人斬りと言う言葉を出した瞬間、祖父の総介を見る表情が、変わった。
「………何故、孫に近づいた」
「なに、それに関しちゃ、本当に偶然だ。裏で操っちゃいねぇよ。三玖と恋人なのも、俺が本気であの子に惚れて、俺が必死にアピールして、互いに惹かれ合ったからだ。そこには大門寺の指示なんざ、一つもねぇよ」
「………」
総介は祖父の雰囲気から、自身の警戒のレベルを大幅に上げたことを見抜いた。
(参ったね、こりゃ……)
祖父は、ここにやってきた総介を当初から、彼の持つ異様さに気づいていた。明らかに、風太郎以上に、自身への警戒心が高かった。その正体を知るために、彼をここに呼び出したのだろう。そして、彼の正体を知り、さらに警戒度を上げた。
「安心しなジーさん。俺ァアンタの孫、もっと言えば、三玖の味方だ」
「………信用できん」
「まぁ最後まで聞きな。俺を始め、大門寺の連中は、中野センセーと同盟を結んでいる。同盟相手の娘にゃ手は出さねぇし、何かあったらとしても、俺が出させねぇよ」
「………」
「一応、同盟って建前もあるが、俺ァそんなもんが無くても、三玖を……アイツらを護り通すつもりだ。
それがたとえ、国が相手だろうとな」
「………これ以上」
総介の話を、聞いていた祖父が、小さく震えながら、口を開く。
「………これ以上、身内を失うのはもう沢山だ」
「………」
「……あの子らにも、もうそれを味合わせたくない
頼む
あの子たちの元から消えてくれ
孫を、三玖を想うなら
あの子に血を見ない無い世界で
生きさせてやってくれ」
「…………」
祖父は、力を振り絞って言った言葉を、総介は………
「悪りぃな、ジーさん。それだけは、できねぇんだわ」
直ぐに断った。
「遅くても、1年以内に俺の正体は、あいつらに明かすつもりだ。その時に、怖がられるかもしれねぇ。拒絶されるかもしれねぇ。
でも俺ァ、三玖に理解されなくても構わねぇんだ。あの子が俺を拒絶しようと……それでも構わねぇんだ。
例えそうなったとしても、俺はあの子のそばで、あの子を護り続ける、そう決めたんだ。
もう母さんのように、目の前で何もかもを失いたくねぇ。
そのために、力を手に入れた。
もう二度と、失わないために、
斬った
斬った
斬った
斬り続けた。
ひたすらに、血に塗れてでも斬り続けた。
いつしか俺は、『鬼の子』と呼ばれるようになった。
だが、関係ねぇ
何処のどいつからどう呼ばれようが
たとえあいつらから化け物と言われようが
俺の剣は
三玖を護るためだけに使う
そう決めたんだ
あの子と約束した日から
何も変わっちゃいねぇ
変えちゃいけねぇんだ
これだけは、譲るわけにはいかねぇんだよ」
「…………」
「もしもなんて言うつもりはねぇ。
何があってもでも、三玖は護り通す
どんなことをしてでも
俺がどうなったとしてもな
相手が国だろうが、世界だろうが、関係ねぇ
そんなもん
あの子のためなら
あの子が生きてくれるなら、俺は
国だの世界だの、そんなもん喜んで滅ぼしてやらぁ」
祖父は、総介の目を見た。それは今までの、死んだ魚のような、遠くをぼーっと見つめる目では無かった。
危険に満ちて荒々しく、
それでも真っ直ぐに、力強く、自身を見るその目………
そして彼の目、瞳の奥に宿る……
刀のように鋭く、美しく煌めく『銀色の魂』
本気だ。
この男は、本気で孫のためなら、自身の全てを賭すつもりだ。
たとえ何が相手でも、臆せずに斬りかかるつもりだ
………それはまるで………
「………」
「………ひとつだけ」
長い沈黙が続き、祖父がようやく言葉を発する。
「ひとつだけ、約束してくれ」
「………何だ?」
「………もう二度と
あの子たちに『零奈』の時のような
絶望を与えないでやってくれ
降りかかる悲しみを
あの子たちの盾となって
斬り捨ててくれ」
「………ああ、約束するさ。必ず」
祖父とそう約束した総介は眼鏡をかけると、そのまま踵を返して、旅館を後にしようとする。
「………また来らぁ。そん時は美味ぇ酒でも持ってきてやっからよ
そん時まで、くたばんじゃねぇぞ
ジーさん」
祖父に背中を向けて総介は、彼に最後の言葉をかけた。
すると、
「………三玖を
孫を頼む」
その祖父の返答に、総介は一切振り返らなかった。代わりに、右手を祖父に向けて上げ、2、3回振ってから、旅館の出口へと歩いて行った。
「…………『侍』か」
誰もいなくなったフロントで、祖父はそう呟いた。
………………………………
こうして、五つ子、風太郎、総介の温泉旅行は終わりを迎えた。
最後は入り口の前まで見送りに来た祖父と、軽く言葉を交わす一同。
それを遠くから見る総介。彼は知っていた。
彼がもう長く無いことを………
数多の『死』を見てきた彼の直感に過ぎなかったが、それでも、あの老人が、生い先短いことは、なんとなく肌で伝わってきた。
「………くたばんじゃねぇぞ」
それでも、最後にそう呟いた総介は、少し先に旅館を離れた皆を後から追うため、ベスパを手で押して歩いて行った。
途中、『誓いの鐘』に寄って、江端をカメラマンに、鐘を背に記念写真を撮る一同。
「それでは撮りますよ
はい、チーズ」
カシャ
「よかったー、みんなで撮っておきたかったんだー」
「この姿で良かったのでしょうか?」
「これはこれで記念だね」
「いやぁ、じっくり見ても誰が誰かわかんねーな」
全員五月の姿をした五つ子に、潔く白旗を上げる勇也。
「お父様も見分けられますよ。愛さえあれば!
「愛で
「さあ、行こうか。この辺りは滑りやすく危険だ」
勇也の寒いギャグを見事にスルーしたマルオ。
「………俺が三玖だと分かったのは、あいつの隣にいつも浅倉がいたから……だとすれば、二乃は大門寺で……一花と四葉は……」
そんな事はお構い無しに、風太郎は総介と、その隣にいる三玖を見ながら、ブツブツと呟く。
「お兄ちゃーん、一人でブツブツ不気味に呟いてないで行くよー!」
「……おう」
らいはが地味にひどいことを言いながら、遠くにいる兄を呼ぶ。それに一応答えるも、風太郎は少しぼーっとしながら考えた。
「………『愛』か………」
祖父の言ったこと、それは間違いでは無かった。いや、証明されたと言うべきか……
総介の三玖への愛。それは、嘘偽りの一切無いもの。総介が2度も三玖を一瞬で見抜くことが出来たのも、三玖の隣に、総介の姿が薄く見えたのも……
2人の互いを想い合う『愛』が、それを可能にしている……
『長い月日を経て……相手の仕草、声、ふとした癖を知ること
それはもはや、愛といえる』
『愛さえあれば、自然とわかるって』
『それはもはや……
友達でしょう?』
「……俺にも、出来るのか……」
そう考えていると、一つの人影が、風太郎へと近づいていた。
………………………………
「……楽しかったね」
「うん」
三玖と総介は、一行の集団の少し後ろで、総介の『ベスパ』を押す速度に合わせて隣合って歩きながら話をしていた。
「……ねえ、ソースケ」
「ん?」
「おじいちゃんと何を話してたの?」
三玖はやはり、彼と祖父の会話が気になる様子だった。それに総介は……
「………そりゃもちろん、男と男の約束についてだよ」
「……ふふっ、何それ」
クスリと笑う三玖。五月の姿をしているが、かわいい。
「安心して。ちゃんと三玖のことは頼むって任されたから……
ついでに前を歩く量産型肉まん娘も」
「誰が量産型よ!せめてシャアザクくらいにしなさいよ!」
「私まで肉まん娘って呼ばれるのはちょっとね」
「何を言ってるんですか!肉まんは美味しいですよ!」
全員が一度に振り向いて喋ってきたことに、総介は辟易してしまう。
「あ〜もう、テメーら一斉に喋んな。ったく、三玖以外誰が誰だかなんざわかんねーっつーのによ………アレ?」
総介は前を向いて、あることに気づいた。
1人いない。正体は判らずとも、人数は分かった。
それに気づいた五月に変装したうちの1人が、元いた場所へと呼びに行った。
その直後
ゴーン……ゴーン………
誓いの鐘の音が、辺りに響き渡る。
「………」
総介は、鐘で何が起こったのかは知らないが、とりあえず、こう呟いた。
「………めでてぇこった」
彼は特に気にせずに、そのまま三玖と共に、ベスパを押しながら先に帰りの船着き場へと歩いて行くのだった。
ねぇ、ソースケ
ん?
愛してる
俺もだよ、三玖。愛してる
………………………………
それから時は経ち、とある霊園にて
「……………くたばんなっつったろ、ったく……
娘さんとはどうだ。久々の再会だ、積もる話もあんだろ?
まぁいずれ、とんでもなく多い土産話引っ提げたアイツらが
皺くちゃになってそっちに行くからよ
それまで長ぇが、ゆっくり休んでてくれや
ジーさん」
そこには、腰に日本刀を差し、黒い長丈の陣羽織を羽織った成人男性が、とある墓石の前で盃に酒を注いで、花と共にそれを供えた。
男性はそのまま、墓石に背を向けて、その場を去って行った。
………………………………
そして、帰宅した五つ子と、風太郎。そして総介と三玖の春休みの終わりごろ………
その日常は、突如終わりを告げた
世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男
第五章『世はまさに大恋愛時代』
完
次章、第六章
『
鬼が、愛する人のために再び牙を剥いた
これにて、第五章は完結となりました!ここからは、嘘偽りない本音を話していきます。
正直、温泉旅行の章は総介だけ旅行に行かずに、完全オリジナルの回にするか悩みましたが、どうにか後々に向けて色々と繋ぎたいことがあったので、苦行ですが、こちらの道を選びました。
彼が無理矢理旅行に乱入したのも、その名残りです。初めから温泉回で行こうと決めていれば、もう少し自然な形で彼も一緒に旅行に行かせるつもりでした。
てかもうぶっちゃけます。正直、温泉回は書きたくなかったです。いや、正しくは『書かなくてよかったのかも』ですかね……
私は、原作の部分をなぞらないと、ということを優先してしまい、本当に好きな部分を書くのを我慢してしまいました。これには、今になって本当に後悔しています。
この第五章は、少し読者の方々を意識し過ぎて、置きに行ってしまった感が出てしまいました。どう捉えられるかは皆様次第ですけど、私としては満足いくものが出来ずに、悶々としてました。
そんな時に、ある言葉を耳にしたのです。
それは、私が尊敬するある人の言葉です。その一部を抜粋しました。
『作品と商品の定義は違って、[商品]は既にニーズのあるところに球を投げる、[作品]っていうのは、作者の思想、理念みたいなのを具現化したもの』
この言葉は、第五章を創っている途中で聞きました。
(そうか…私は『商品』を作ってしまってたのか……)
別にこの小説は売り物では無いですし、読者の皆様がどう捉えるかは実際分かりませんが、変な話、読者の目線を気にして作ってしまってたことを実感しました。まぁそれも一概に悪いことではないのかもしれませんが……
しかし、この小説のあらすじの説明文に『この小説は自己満足です』と書いていたのにも関わらず、この章ではあまり満足いくものが出来ませんでした。自分自身、早く終わらせたくて仕方ありませんでした。好きな小説書いているのに、少し嫌になってやってしまっていたのは、好きではないことを書いてしまってたんだなと、振り返ってみて思います。
しかし、苦しい道のりでしたが、ようやくこの章を終わらせることが出来ました!
どうせなら、自己満足極めてやろう!究極のオ○ニー作品書いてやろう!っと思い立って書き出した頃のように、私も一度初心に帰りたいと思います。
受けが悪くなるかもしれませんが、『自己満足』、そして私の『思想』『理念』を具現化させた作品を書いていきます!どうせ投稿するなら、それらを読んでもらってこそだと考えています!どうかここからは、作者のエゴがMAXに入った作品となりますので、お付き合いよろしくお願いします!
今回も、そしてここまでこの小説を、呼んでくださり、本当にありがとうございました!!!!!
今後とも『嫁魂』をよろしくお願い申し上げます!
そして次章、ついに………