世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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サブタイトルは『DOES』さんの『バクチ・ダンサー』から頂きました。




これだよ!これがやりたかったんだよ!!


67.バクチ・ダンサー

昨日、マルオの元に何者かの脅迫の電話が鳴り、その対策として、中野家の五つ子姉妹を五つ子が暮らすマンション『PENTAGON』へ集うように誘導した総介。

あれから時間が経ち、翌日の夕刻彼は介は菫色の風呂敷に包まれた長い物を担ぎ、『PENTAGON』へと向かっていた。

 

 

その途中で、歩を踏み締めながら、彼は最愛の恋人との出会いから今までを振り返っていた。

 

 

 

 

 

『………ありがとう』

 

 

 

 

 

『………中野……三玖』

 

 

 

 

『………私……ソースケを信じる』

 

 

 

 

 

『責任とってよね』

 

 

 

 

 

『私は、ソースケが好き』

 

 

 

 

 

 

 

『私……私も、ソースケを護りたい』

 

 

 

 

 

 

『私も、ソースケに会えて良かった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ソースケ……大好き。愛してる』

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

普通の高校生として、三玖に惚れ、三玖と想い合い、三玖と愛を育んできた。それも、今日で終わる。

 

それがどのような形に転ぼうが、ただの高校生同士の恋愛は、今日で終わりを告げる。

しかし、総介はそれを微塵も後悔していなかった。

いずれは訪れる宿命。彼女に何も話さず、あのまま共に生きることは、不可能だと知っていた。

だからこそ、三玖と今まで歩んできた過去は、彼の全てを変えるきっかけとなった事実であり、

 

 

 

 

 

彼に……『鬼』に、護るということを、思い出させてくれるかけがえの無い時間となった。

 

 

 

「三玖………」

 

 

街中を歩く中、ふと彼女の名を言ってみる。が、当然近くにはいないので、その名前は夕焼けの空へと消えた。

 

ここに来るまで、総介は出来ることを全て行った。マルオに頼んで彼女たちをマンションに入れる許可を取り、剛蔵に自分と海斗で決着をつけると連絡し、その後のあれこれも、海斗と話し合い、段取りを立てた。

 

 

あとは、連中が餌に食いつくのを待つまでだった。

 

 

 

 

 

………同じ頃、五つ子のアパート周辺では………

 

 

 

 

 

「……おい、娘たちが家から出ていったぞ。5人全員だ。一体どこへ行くつもりだ?」

 

『こんな夕方にだと?……まさか、我々の存在に気付いたか?』

 

「いや……そのような気配は見られない。外食か?」

 

『しかし、昨日娘の1人が買い出しに行って………ガガっ……ぐわっ!プツン』

 

「!!おい、どうした?何があった!?おい!応答しろ!」

 

同じ監視役の仲間から突如通信が途切れた。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ありませんが、あちらの方は私の全く可愛くない後輩が始末させて頂きました」

 

背後から、女の声が聞こえ……

 

 

「!!?きさっ……」

 

 

 

バシュッ………

 

 

 

監視役の男の声は、静かな銃声と共に、二度と発することは無かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ここは五つ子が以前暮らしていたタワーマンション『PENTAGON』。総介は歩いてようやく到着し、そのままオートロックのあるエントランスへと向かう。そんな中でも……

 

 

 

(………1人いるな)

 

 

 

 

敷地のエントランスまでの道、その両脇に並んでいる石柱の陰に気配を感じた。ただかくれんぼをしている一般市民ではない。明らかに『その道の人間』……

 

(1人ってことは、中野センセーの監視か……姉妹を追って来た訳じゃなさそうだな……)

 

おそらくは、マルオが余計な動きをした時のための監視役だろう。が、何やら様子がおかしい。

 

(………あいつらが来た事に慌てているのか……なら、応援をよこすだろうなぁ)

 

現在18時前、リミットまではあと6時間ほどだ。出来ればそれまでに『全員(・・)』、でなくとも『可能な限りは多く』集めて欲しいものだ。

 

そう思惑を頭の中で巡らせながら、総介はオートロックの前で部屋番号を押して、そこから声で出た四葉にロックを開けてもらい、30階の五つ子の待つ部屋へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

が、そこで総介にとって一つ、全く予想外の出来事が起きていた。それは………

 

 

 

 

 

 

 

 

「………何でここにいんだよ

 

 

 

 

 

 

 

上杉」

 

 

 

 

本来ならここにいない筈の風太郎が、部屋のリビングの中にいたのだ。

 

「……俺も分からん。本を買って帰ろうとしてたらとこいつらに会って……」

 

「私が呼んだのです!」

 

と、風太郎も何故呼ばれたのか疑問に思っていると、四葉が腰に手を当ておの大きな胸を張りながら言う。

 

「どうせゲームをするなら、上杉さんもいた方が良いじゃないですか!仲間はずれはいけませんよ浅倉さん!

それに上杉さんがいたら、頭を使うゲームだとしても、助けてもらえるかな〜って、連れて来ちゃいました!」

 

「………」

 

 

風太郎の巻き込まれ体質と、四葉のバカさ加減を見誤っていた総介は、絶句してしまう。そして、視界に入ったエッヘン!っとドヤ顔をする四葉にジャーマンスープレックスをかましてやりたいと思うが、何も伝えなかった自身にも責があると言うことで、ぐっとこらえる。

 

 

(………『絶対に誰も連れてくるな』って言やよかった……)

 

たとえ今から風太郎を返しても、一度下の入り口を姉妹と一緒に通って入ってきた以上、先程の監視に目をつけられていれば、彼や、もしかしたら彼の家族にも危険が及ぶ可能性がある。このまま一人で帰らせるわけにもいかない……

 

(………まぁコイツにもいつか説明するって決めてたんだがよ……)

 

とはいえタイミングがタイミングだ。まさか姉妹と同じ時になるとは思わなかった……

 

総介は少し頭に手を置く。余計なことをしてくれたと四葉への怒りも一瞬湧いたが、事情を知らないことと、この女のバカさ加減を想定していなかった自分が悪いということで、この場は何も言わない事にした。それに……

 

(『見てくれ』だけでも戦力は多いに越したこたぁねぇしな……)

 

と、頭の中で考えていると……

 

「ソースケ!」

 

三玖が、総介に駆け寄ってきて胸元に『ポフッ』っとおさまって抱きつく。

 

「……三玖」

 

背中に手を回して、彼の胸に頬を擦りつける恋人の頭に、総介は手を乗せて優しく撫でる。

 

「いらっしゃい」

 

「………おじゃまします」

 

こうやって、普段のように挨拶できるのは、もうこれで最後だろう……そう思えば、ここに来るまでに捨ててきた後悔も、少しは戻ってきてしまいそうだ……と、

 

「………どうしたの?」

 

三玖が、総介を見上げながら、彼の少し違う雰囲気に疑問を持つ。

 

「いや、何でもないよ」

 

そう言ってなんとか繕うのが、今総介に出来る精一杯だった。

 

「ところで浅倉君、これは何なの?」

 

そうしていると、一花が総介が担いできた風呂敷を指差して尋ねる。

 

「……ああ、これはだな」

 

「ひょっとして、昨日言っていたゲームと何か関係あるのですか?」

 

「……まあ、そんな感じだな」

 

「何よ、歯切れ悪いわね」

 

「黙ってなバンビエッタ・バスターバイン。爆撃するぞ」

 

「どっちかっていうと私がする側なんだけどソレ!?」

 

風呂敷についても、適当に受け流し、それを近くの壁に立てて置くと、四葉が目をキラキラをさせながら総介に迫ってきた。

 

「浅倉さん!それでそれで、ゲームとは一体何をするんですか?」

 

何も知らないとはいえ、こうもグイグイと来られるとしつこく感じてしまうが、そんな四葉を片手で制止して、いつものような気怠い雰囲気のまま説明を始めた。

 

「ああ、それなんだがな……まだ役者が揃ってねぇから、今は言えねぇ」

 

「それって、海斗君のこと?」

 

二乃が聞いてくる。

 

「ま、海斗のやつもそうだが、もう1人連絡待ちでな」

 

「もう一人、ですか?」

 

「ああ………この部屋の『所有者』から、連絡が来る予定だ」

 

「!……それって……」

 

 

 

「そ、お前らの親父の『中野センセー』からな」

 

「パ、パパから!?」

 

「!」

 

マルオの名前が出た途端に、姉妹が驚きの表情を見せるが、風太郎だけは、顔面蒼白となり、背筋が凍るような感覚を覚えた。未だマルオのことは苦手なようである。

 

「そりゃそうだろ?そもそもこの部屋は中野センセーの家だ。

 

 

 

いつになるかわかんねーが、日が変わるまで、あと6時間もねぇ。

 

 

 

多分、9時か10時そこらぐらいに、お前ら姉妹の誰かの携帯に中野センセーから電話が来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時が、ゲーム開始の合図ってわけだ」

 

 

総介の簡単な説明を、黙りながら聞く一同。

 

「や、やけに本格的だね」

 

「お父さんまで参加しているなんて……ですが、より一層手が込んでそうで、興味が湧きます」

 

「面白そうです!それまで私たちはこの場で待機ってことですね?」

 

「ああ、部屋で好き勝手したり、この場で遊んだりしてくれて構わねぇよ。ただし、連絡があるまで家から出るのは無し、連絡が入り次第、全員集合すること。これが条件だ」

 

「はい!わかりました!」

 

「ちょっと、海斗君は、本当に来るんでしょうね?」

 

「お前はそればっかか……ああ、連絡が入った後に来る予定だ」

 

「ならいいわ」

 

と、二乃は海斗が来ることに安心したのか、一人キッチンへと向かっていった。おそらく料理でもするのだろう……

 

「でも、やっぱり久しぶりだね〜、この家」

 

「うん、4ヶ月ぶり」

 

「少し懐かしさも覚えますね」

 

「あー、私の部屋の植物たち、どうなってるだろう!見てこよっと」

 

と、それぞれが自室に行ったり、ソファに座って談笑したりと、思い思いに過ごす一同だったが、風太郎はというと……

 

「……本当に、この家に俺いてもいいのか?」

 

「………」

 

マルオの名前を聞いてから、ソワソワとし始めていた。五つ子に誘われたとはいえ、言ってしまえばマルオの許可無しに彼の家に入っていることとなる。以前にマルオからこの家に出入り禁止をくらったことを、五つ子たちは忘れているのだろうか?

 

 

総介は風太郎のつぶやきに、答えることができなかった。

 

 

 

いいわけあるか!!っと声を大にして言いたいところであったが、時間が来るまで何も話すつもりはないのと、こうなってしまった以上、彼にも真実を伝えなければならない。それに、今彼を帰すのも危険だ。

 

(悪りぃな、上杉……ま、これもお前の巻き込まれ体質(主人公補正)の持つ力なのかもな……)

 

と、無茶苦茶な理論で片付けて、彼に心の内で謝る総介だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は過ぎ、夜も22時を少し回った頃………

 

 

 

 

〜〜〜♪〜〜〜♪

 

 

 

「!!私の携帯!」

 

「「「!?」」」

 

「………」

 

リビングでくつろいでいた一花のスマホから、電話の着信を知らせるメロディーがなった。

 

それに反応した五月と三玖、そして風太郎。五月は慌てて、二乃と四葉を呼びに行く。その間に、一花は着信相手を確認すると……

 

「……お父さんだ」

 

「っ!………」

 

 

やはりマルオからだった。風太郎はそれを聞いて、肩がブルっと震える。

そして総介は、一花にこう言った。

 

「長女さん、全員に聞こえるようにスピーカーモードにして、テーブルに置いてくれ」

 

「う、うん。わかった」

 

そう頼んだ総介と同時に、五月と、彼女に呼ばれた二乃と四葉が階段から降りて来て、それを確認した一花が、テーブルに置かれたスマホの通話ボタンを押した。

 

 

「……お父さん、一花です」

 

『………一花君、か……皆は、そこにいるかい?』

 

「?……う、うん。みんな周りにいるよ」

 

 

『そうか………』

 

今までのように、抑揚の無い口調で話すマルオだが、姉妹は違和感を持っていた。どうも様子がおかしい。

 

「ねぇ、お父さんおかしくない?」

 

「ええ、少し慌ててる……のかしら?」

 

『……浅倉君は、そこにいるかい?』

 

「え?う、うん」

 

『変わってくれないか?』

 

「……わかった」

 

少し早口気味のマルオに、一花を疑問を持つが、彼女は総介に目を合わせて、少し頷く。それを見た総介は、そのままスマホに目を落とす……

 

 

 

 

 

 

 

 

「………変わったぜ。中野センセー」

 

総介が、電話の向こうのマルオに話しかけた。

 

『……君の睨んだ通りだった』

 

「やっぱりか……」

 

『先程、21時24分、僕に最後通告が届いた。『こちらの条件を呑めば、今までのことは見逃す』と……『ただし、断れば』」

 

「それ以上はよしな。娘たちも聞いてんだ。後で俺から説明する。

 

 

それで、アンタなら答えは?」

 

『………聞かなくても分かるだろう?』

 

「だな。アンタはそこまで腐っちゃいねぇはずだ」

 

『……悪いが断らせてもらったよ。向こうはその返事に『これより先は、我々の言うことを聞かなかった貴方の責任となります』とも言ってきた』

 

「お〜お〜、どの立場で言ってんのかねぇ……で、アンタの方は?」

 

『渡辺さんがこちらに片桐さんを派遣してくださった。今は、彼の護衛の元、大門寺の本邸へと向かっているところだ』

 

「上出来だ。タイミングもいい……」

 

 

 

 

 

 

「……ねぇ、何の話?」

 

「わかんないわよ……」

 

「………ソースケ?」

 

 

総介とマルオが話す内容を、全く理解できないまま話が進んでいく五つ子と風太郎。そして、総介を心配そうに見つめる三玖。と、その時……

 

prrrrr.prrrrr.

 

総介のスマホが鳴った。

 

「……悪い、中野センセー、電話だ。こっちに出るぜ」

 

『………ああ構わない』

 

そう言って、総介はベランダへと向かう総介。そして、それを見計らって、一花がマルオに話しかける。

 

「ね、ねぇ、お父さん、一つ聞いていい?」

 

『………何かな?』

 

 

 

 

 

 

 

「浅倉君が何者なのか、お父さんは知ってるの?」

 

「!?」

 

「……は?」

 

『…………』

 

一花の質問に、姉妹と風太郎は何を言ってるんだと言わんばかりの顔をする。

すると、マルオがその質問に……

 

『………ああ、知っている』

 

 

「「「「「!!?」」」」」

 

マルオがその質問に答えたことに、一同が驚いた。

 

「………やっぱり……」

 

が、一花だけは合点がいったような顔をしていた。彼女は唯一、総介の異質さに、ほんのわずかだが気づいていた。期末テスト前に殺気を少し浴びた時、その後に彼と一対一で話した時、そして今回のマルオとの会話……

 

 

彼は、私たちに何かを隠していると……

 

それがたった今、確信に変わった。が……

 

 

『……しかし、僕の口からはそれを言うことはない』

 

「え……」

 

『僕は彼の事に関しては、何も言わないようにと言われている。それを破るわけにはいかない』

 

「………そう」

 

初めて二人が邂逅した時にも言われたが、総介が『鬼童』であることは言わないようにと、本人から念を押されている。加えて、剛蔵と対面した際も、娘に『刀』のことと、総介の事は話さないようにと頼まれた。マルオはそれを遵守している。たとえ娘であっても、それは口にはしない。

 

と、その直後に、総介が戻って来た。電話はもう切ってあるようだ。

 

[推奨BGM銀魂OST4『かぶき町四天王のテーマ』]

 

「………アンタに悪いが、悲報だ、中野センセー」

 

彼が戻って、いきなりそんなことを言い出した総介。 彼はそのまま続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「このマンションに、娘たちの進級祝いをしたい連中が、わんさか集まり始めているみてぇだ。ったく、めでたいねぇ、この家の下の道に、ギッチリと花道作ってくれてるらしいぜオイ」

 

 

『!!!……そう、か……』

 

その話を聞いてから、マルオの声色がが急激に変わった。総介はそのまま、壁にもたらさせておいた風呂敷に手をかける。

 

 

「悪いが、こうなっちまうと後戻りは出来ねえ。

 

 

 

 

 

こっから先は、俺たちの仕事だ

 

 

 

 

アンタの娘たちは、俺達がちゃんとそっちに届けるからよ

 

 

 

アンタは自身の周りの心配だけしてな、中野センセー」

 

 

そう言うと、総介はゆっくりと風呂敷の紐を解き始めた。

 

 

 

 

そしてマルオが、総介へと………

 

 

 

 

 

『浅倉君

 

 

 

 

頼む………

 

 

 

 

娘を

 

 

 

 

あの子達を

 

 

 

 

護ってくれ』

 

 

 

 

震える声で、総介へと頼み込むマルオ。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………その依頼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大門寺家特別防衛部隊『刀』が一人『浅倉総介』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またの名を『鬼童(おにわらし)』がしかと聞き入れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

護ってみせるさ……必ずな」

 

 

 

その言葉と同時に、総介は風呂敷を取っ払い、中に包まれていたものを露わにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

木刀が三本と

 

 

 

 

 

 

 

赤い柄に、黒い鞘の日本刀が一本

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………頼む』

 

 

 

そう言い残して、マルオは全てを総介に託し、電話を切った。

 

総介はそのまま、日本刀を腰のベルトへと差す。

 

 

 

 

 

「上杉、持ってろ」

 

「え、お、俺!?」

 

総介はそのまま呆気に取られる風太郎を呼び、木刀を一本、彼に渡す。

 

 

「いいか……利き腕ははこうで……そうじゃない方はここを持って……そうだ、外に出たらその構えを絶対に崩すなよ」

 

「………」

 

風太郎の腕を持って、構えの姿勢を軽くレクチャーする総介。そして、彼は五つ子達へと目を向ける。

 

 

 

 

「ってわけだ。今から外出るぞ」

 

「はぁ!?」

 

総介のいきなりの一言に、二乃が一番に反応した。

 

「ち、ちょっと待ちなさいよ!どういうことよ!パパの言ってたことも、アンタのことも、いきなり過ぎて、訳わからないわよ!!」

 

「……も、もしかして、これがゲームの内容なのですか?」

 

と、五月が恐る恐る聞いて来た。聞き方を鑑みるに、どうやらこれが只事ではないと気づいているようだ。念のため、だろう。

 

 

 

 

 

「……悪いな、ゲームっつったのは嘘だ」

 

「はぁ!?」

 

「まぁ聞け……

 

 

中野センセーが、悪い連中から、脅しを受けててな、言うこと聞かねぇなら、娘を攫ってでも言う事聞かせるっつってきた。

 

 

で、中野センセーはその娘たち……つまり、お前らの護衛を俺に依頼した。そんだけだ

 

 

 

 

じゃ、いくぞ」

 

 

 

「いや説明不足!!!」

 

と、二乃がまたしても食い下がる。

 

「色々とおかしいわよ!!パパが!?悪い連中!?私達を攫う!?おまけにアンタが私たちを護衛!?意味が分かんないわよ!ちゃんと説明しなさいよ!」

 

 

「色々と落ち着いてからすっから。今はとりあえず外に行くぞ。お前らだけ置いて、上から来られたらメンドーだしな」

 

「う、上から?」

 

「ヘリで上から攻められたら終わりだってことだ。ここに置いて俺だけで行くより、近くにいてもらった方がやりやすい」

 

現在、一同がいるのはマンションの30階だ。地上よりも、屋上の方が断然近い。相手の規模は未だ知れないが、もしもヘリコプターを使って降りて来られたら、それこそ五つ子は一網打尽だ。それよりも、全員で地上に移動した方が安全だ。

 

「迎えが来るまで、それまで何とか保たすのが『俺達』の務めだ。それまでは視界に入ってもらわねぇと、安心できねぇからな」

 

「だからその迎えって………俺達?」

 

「行くぞ。こんなとこでチンタラしてられねぇ。全員、単独行動は禁止だ。必ず5人一緒にいるようにしろ」

 

 

「………」

 

「………わかった」

 

一花だけがそう返事し、それを聞いた総介は、出口に向かって歩き出すが……

 

 

「………ソースケ……」

 

「………」

 

三玖の方に目を遣る。彼女は、下を向き、少し震えていた。

 

 

 

 

 

「………三玖」

 

 

総介はそんな彼女の頭に手を乗せる。

 

 

 

 

 

 

「君は、必ず護る。何があってもだ」

 

「………」

 

その言葉に、三玖は何も答えることができず、総介も、彼女の答えを聞かないまま、木刀を肩にかけて歩き出した。

 

「上杉、お前は構えてるだけでいい。構えてるだけでも、相手は警戒するからな。こいつらの前に陣取ってれば、それだけで向こうも下手に手は出せないと警戒する。分かったな」

 

「お、おう……」

 

総介は風太郎に、先程の構えることの意味を教えた。得体が知れない敵で構える相手がいるだけでも、警戒はされる。相手の情報が無ければ、強敵か雑魚かは判別がつかない。たとえそこに居るだけでも、充分な戦力となる。本来なら、総介は木刀二本で闘うつもりだったが、風太郎がいることにより事情が変わった。彼でも、五つ子の前で構えの姿勢をとっていれば、だいぶ楽に闘えると踏んだ。

 

 

[推奨BGM、銀魂OST1『瞳孔が開いてんぞ』]

 

 

そうして、一同が部屋を後にし、エレベーターへと向かう。すると、エレベーターの前には、一つの人影がいた。

 

星のように輝く銀髪、すれ違えば、誰もが振り向くであろうその美貌、アスリート並みの高身長、そして、いつもとは違う服装。白い羽織、胴当て、籠手、そして腰に差さった日本刀……

 

 

「……向こうはこちらを警戒してか、かなりの人数を連れてきたようだ」

 

「……俺らの存在がバレたとでも?」

 

「いや、『僕ら』だと知っていれば、そもそもその子達に手を出したりはしないよ。おそらく、手練れが護りについている程度の認識だろうね」

 

 

 

 

「はっ!ならちょうどいいじゃねぇか」

 

総介は、そのまま持っていた2本のうちの一本の木刀を、海斗へと投げ渡す。海斗は、その木刀を見るまでもなく、柄の部分をドンピシャで掴む。

 

 

 

 

 

 

 

「ヤローどもに味合わせてやろうじゃねぇか

 

 

 

 

 

 

どこの誰に喧嘩売ってんのかってのを

 

 

 

 

 

テメェの小せえ脳ミソのど真ん中の汚ねぇ汁までよ」

 

 

 

 

 

そして彼は、普段からずっと掛けている黒縁眼鏡を外し、ポケットへとしまう。

 

 

そして、素顔が露わになり、ニヤリと笑う総介の顔が、一気に変わった。

 

 

 

 

 

 

 

普段の怠けた死んだ魚の目ではなく

 

 

 

 

 

 

 

獲物を蹂躙する、『鬼』の顔に………

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

外は、雲ひとつなく、月明かりで満ちて、明るいほどの夜だった。

 

 

「カシラ。全部隊、到着しました」

 

「おう……しかし、護衛数人に、こんなに連れてくる必要あるのか?」

 

「『上』の方達は『最大限に警戒せよ』と申されてました。恐らく、手練れの連中かと」

 

「まぁそう言うならそうするけどよ………出番は無いと思うが、もしもの時は『アンタ』も頼むぜ。期待してるからよ」

 

カシラと呼ばれる人物が言う先には、マントで身体を覆った細身の男がいた。そのマントの中には、無数のナイフが仕込まれている……

 

 

 

と、

 

 

 

「カシラ!娘たちが正面から!」

 

「何!?」

 

部下の声を耳に入れると同時に、全員がエントランスの方へ注目する。そこには、ターゲットの娘たち5人と、護衛の男が『3人』いた。

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

総介達がエントランスを出ると、その道の先には、怖い男たちがマンション前の道路に、敷地内の入り口を塞ぐように立ち塞がっていた。

 

 

 

 

 

 

50人……いや、60人……いや、もっと……かなりの数だ。

 

 

 

 

 

それに見渡すと、皆武器を持っている。木刀、ドス、鉄パイプ、金属バット……中には、捕獲用の刺又までもあった。

 

 

 

見たところ、銃器の類は見当たらない……大事にしたくないのだろうか?

 

 

既に大事なのにね。

 

 

総介と海斗を先頭に、風太郎と五つ子が出てきたが、その光景に全員戦慄する。五月に至っては、三玖の肩に縋り付いて、今でも泣きそうになっていた。

 

 

 

 

 

「おいおい、怖い連中が集まって何の用ですか?アレですか?親友のトオル君の誕生日パーチーでもやるんですか?だったらここじゃねーよ。他を当たれコノヤロー」

 

と、総介はそんな連中に臆するどころか、相変わらずの気怠げな口調で話しかける。

 

 

 

「テメェら、そこの娘達をこっちに渡しな。大人しく渡せば、この場は見逃してやる」

 

無論、それにカシラが取り合う筈もなく、対峙する総介に向かって、姉大人しく姉妹を渡すよう言い放つ。

 

 

 

「おいおい、こちとらこれから皆んなでこいつらの進級パーチーをしようってんだから、邪魔しねぇでもらえるか?なんならテメェらもくるか?まぁ来てもテメェらの分のメシはねぇけどな」

 

「あ、浅倉君、もうやめてください!これ以上刺激しては……」

 

五月が事態を重く見ていないような振る舞いをする総介を止めようとするが……

 

「ふざけてんじゃねぇぞてめぇ!!」

 

と、総介のふざけた言い分に、カシラは声を荒げながら恫喝する。総介の後ろで、五月が「ヒイッ!!」っと悲鳴をあげるが、そんなこと、彼は一切気にせず、また、その恫喝にも全く動じない。

 

 

「この人数の差が見えねーのか!?テメェら3人で、これをどうと出来るわけねーんだよ!さっさと娘をよこしやがれ!!これが最後の警告だ!!」

 

カシラ側の男たち全員が武器を構えて、臨戦態勢をとる。それに総介は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪りぃな、テメェら雑魚どもに構ってる暇なんざねぇんだ。そこ通してもらうぜ」

 

 

 

 

それを聞いた敵の一部の者が、先走って襲いかかって来る。

 

 

 

 

「させるかぁあ!!全員残らず狩りとれぇ!!」

 

 

 

 

 

[推奨BGM、DOES『バクチ・ダンサー』」

 

 

 

 

襲いかかってきた3人に、総介と海斗が動いた。持っていた木刀で、総介が1人を頭を殴打して、もう1人を顎目掛けて打ち上げる。そして残ったもう1人を海斗が相手の手首に木刀を打ち、そのまま後頭部に向かって下ろして、気絶させる。

 

 

「いつ以来だ、テメェと組むのは」

 

 

「随分と長かったからね、鈍っていないか心配だよ」

 

 

「テメェに限って、そりゃねぇだろ」

 

 

「………君もそうだろ」

 

 

2人は、笑いながら構えをとる。総介は力を抜いたような脱力の構え、海斗は木刀を両手で持った、剣道の基本的な姿勢。

 

 

「上杉ィ!」

 

「!!」

 

「ぜってぇ構えを崩すんじゃねぇぞ!」

 

 

「!……お、おう」

 

 

総介と海斗の後ろ、そして五つ子の前にいた風太郎が、総介の声を受けて、そのまま海斗と同じ構えの姿勢をとった。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆけぇぇぇ!!!娘どもを捕らえろぉお!!!!」

 

 

 

 

「「「「うおおおおおお!!!!」」」」

 

男達が、武器を構えて雄叫びを上げながら襲いかかってくる。それを総介と海斗は、一つも下がることなく、その集団へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

そして!

 

「ぐわぁっ!!」

 

「くそっ!、コイツら!?」

 

「何っ!?ぼはぁ!!」

 

 

 

 

月明かりの元での、『鬼童』と『神童』の蹂躙が始まった。

 

2人は、分かれてそれぞれ対処する。

 

海斗は、迫って来る敵を、人とは思えないほどの初動の速さで、瞬く間に木刀を使って、倒していく。それについていける者はおらず、不意打ちをかましても、彼が木刀で受け止め、そのまま反撃へと転じ、気絶させていく。

一太刀の間に海斗は、一気に2.3人を倒す。まさしく『神童』大門寺海斗という男は、その身で剣術の極地を体現していた。

 

 

総介は、海斗の戦い方とは全く違っていた。片手で木刀を振り回し、縦横無尽に敵を薙ぎ倒す。木刀だけではない。拳による殴打、蹴り技などを駆使し、途中、敵の身体を盾にしたり、相手の武器を奪い、それを自身の得物として扱ったり、果てには敵を掴んでそのまま振り回したりと、おおよそ剣技とは言えないが、それでも、その細身から想像できない、人1人を片手で振り回す剛力と、異常なまでの俊敏さとトリッキーな戦法を持つ『鬼童』浅倉総介を止められる者はいなかった。

 

 

 

 

海斗が『最強の剣術』ならば、総介は『最強の喧嘩』である。

 

 

 

 

 

やがて、敵の内の3人が、2人を飛び越して、五つ子を捕らえようと動いたが……

 

 

 

「抜け駆け禁止だコノヤロー」

 

それを察知した総介が、3人の高さまで飛び、一人の顔面に踵で蹴りを入れた。

そのまま、身を翻して空中で残り2人も薙ぎ払い、着地する。

 

 

着地した正面にいた海斗と、すれ違いざまに、2人は剣を振って、敵を払う。

 

 

 

 

「ひ、怯むなぁ!!押せ!押せぇ!!!」

 

 

敵の1人が叫ぶが、総介たちが止まる気配は一向に無い。

 

 

 

 

「……なんだ……これは……」

 

数ではこちらが圧倒的に有利な筈なのに、こちらの戦力が、秒単位で削られてゆく。

 

 

「なんだ………なんなんだ………

 

 

 

 

 

一体なんなんだ!!コイツらはぁ!!!!」

 

 

カシラは、一歩退いた位置で、総介たちの戦いを見て、戦慄していた。

 

 

 

 

「………すげぇ」

 

一方、風太郎は、構えを継続させながら、2人の戦う様をその場で目の当たりにし、見惚れていた。それは、五つ子たちも同じだった。五月だけは、三玖の腕にしがみついて目を閉じているが……

 

 

総介と海斗は、あんな大人数相手に戦っているにもかかわらず、2人は倒されるどころか、未だかすり傷一つも負っていない。その様は、もはや仕組まれた演武を見ているようだった。

 

 

「………ソースケ……」

 

三玖も、それは同じだった。しかし、それでも彼女は、恋人が心配だった。いつもとは全く違う、総介の姿に、戸惑いを隠せなかった。

 

 

 

 

 

「クソ!!コイツらは後だ!!娘だ!娘どもを優先しろ!」

 

乱戦の中、カシラの大声を聞いた数人が、総介と海斗の網を抜けて、風太郎達へと迫ってきた。

 

 

 

「!!」

 

それに、構えていた風太郎が硬直してしまう。

 

 

 

 

「抜けたぞぉ!

 

 

 

 

 

 

終わりだぁあ!!」

 

 

「!!」

 

 

風太郎の直前まで迫ってきた男たち。一花は思わず、風太郎に抱きつき、四葉は二乃を抱きしめ、三玖は泣き喚く五月を胸に収めた。

 

 

 

 

 

 

 

もうダメか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もらったぁ!!!

 

 

 

 

 

 

 

がぁっ!!?」

 

 

「!?」

 

と、男の1人が、後ろに何かの衝撃を受ける。その後頭部には、総介が投げた木刀が、見事にクリーンヒットしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕たちの大切な人に」

 

 

 

 

 

 

「手ェ出してんじゃねぇコノヤロー」

 

 

 

 

「ぐわぁぁっ!!」

 

「ぐっ!!ごぉっ!!」

 

「ば、バカな……」

 

 

 

 

そして、一瞬で風太郎のもとへと追いついた2人は、残りの男たちもそのまま木刀を振って払い倒す。

 

 

 

 

 

 

「総介!」

 

 

「あぁ!?」

 

 

 

 

「世の中というのは中々思い通りには行かないものだな!友達の進級祝いも、満足にできないとは!」

 

 

 

 

 

「海斗ォ!お前に友達なんていたのか?そいつは勘違いだ!」

 

 

 

 

 

「斬り殺されたいのか君は!?」

 

 

途中、笑いながら軽口を叩く余裕まで見せる2人。

 

 

 

 

と、その時、カシラの横で動かなかったマントの男が動いた。彼はジャンプし、高さのある空中から、総介に向かってナイフを無数に投げる。

総介は、そのまま敵1人を盾にして、ナイフが敵に刺さるが、それでも男はナイフを投げ続け、総介を追う。やがて、着地した男と総介なら一騎討ちが始まった。

 

 

二刀流のナイフの猛攻を、総介は木刀一本でいなし続ける。ナイフを振り、突こうとして来る男を避け続け、やがて男は隙を見せ、総介はそれを見て大きく木刀を振り下ろそうとした。

 

 

 

が、それが罠。

 

 

引っかかった………

 

 

 

男は、あえて隙を見てたところで、総介が大振りに構えるのを誘った。それを見逃さなかった男が、総介の懐にナイフを2本とも刺そうとした

 

 

 

 

その時、

 

 

男の手から、ナイフが高く上がっていった。

 

 

バカな……何故………

 

 

男が衝撃を受け、そのまま総介を見た。彼は、懐に迫って来る男の腕を足で蹴り上げ、ナイフを2本とも空中へと飛ばしたのだ。

 

 

 

 

 

誘われたのは、自分だった………

 

 

 

男がそう気づき、総介の顔を見る。

 

 

 

 

 

 

甘ェんだよ、出直してこい、三下が

 

 

 

 

 

そう言ってるような顔に、男は見覚えがあった。

 

 

 

 

 

 

 

思い出した

 

 

 

 

 

 

この男

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼わら………

 

 

 

 

そこで、総介の木刀が男に振り下ろされ、男は吹き飛ばされ、石柱に激突し、気を失った。

 

 

 

その様子を見た、生き残っている者たちが、戦々恐々となる。

 

 

一番腕が立つナイフ使いの男が、いとも簡単に倒された。その事実を見た男たちから、戦意が消えかかるが、なんとか保ち、残った十数人でもと、気合いを入れ直す。

 

 

 

 

「総介!」

 

 

「あぁ!?」

 

総介と海斗が、戦いの始まりの位置へと戻る。2人とカシラ、残った男たちの間には、倒された何十人もの男たちが、横たわっていた。木刀を構えて、それらと対峙する総介と海斗。

 

 

 

 

 

「君だけは……向こうに行ってくれるなよ

 

 

 

 

 

君を斬るのは、骨がいりそうだ

 

 

 

 

 

まっぴら御免被る」

 

 

 

 

 

「海斗、お前があっちに行った時は

 

 

 

 

 

 

俺が真っ先に叩っ斬ってやらぁ」

 

 

そう言い合うと、総介と海斗は木刀をその場に捨てる。そして2人は、自身の腰に収められている刀へと手を置いた。

 

 

 

2人同時に、ゆっくりとそれを抜いていく。

 

 

 

 

現れたのは、月明かりに照らされた、銀色に美しく輝く刃。

 

 

 

 

2人はそれを同時に、カシラへと切先を向けた。

 

 

 

 

 

 

「さぁ!どうすんだ?テメェの自慢のオモチャどもは、見ての通りほぼおねんねしちまったぜ?」

 

「ぐっ……」

 

「これ以上、続けると言うのなら……

 

 

 

 

 

 

この『大門寺海斗』の名のもとに、全員切り捨てさせてもらう!」

 

 

 

「!!!だ、大門寺だと!?」

 

 

海斗の名乗った名に、カシラをはじめとしたなかった男たちが、全員震え慄きだす。

 

 

「ま、まさか、コイツら……か『刀』……」

 

 

「う、嘘だろ……大門寺なんて、聞いてねぇぞ!」

 

「じ、冗談じゃねぇ!相手にしてられねぇ!!」

 

「に、逃げろ!殺される!皆殺しにされちまう!!」

 

総介達の正体を知った男たちは、倒れた仲間を置き去りにして、その場から背を向けて逃げ出した。無論、カシラも大門寺の名前にビビって、そのまま総介達に尻を向けて逃げ出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシュッ!

 

バシュッ!

 

バシュッ!

 

 

 

 

 

「!!?」

 

 

逃げ出そうとした先頭を走るはずの男の足元に、3発の弾丸が降り注いだ。

 

 

 

そして空から、『彼女』が現れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃しはしません」

 

 

 

 

 

 

 

 

戦地に舞い降りる『戦姫(いくさひめ)

 

 

 

 

 

 

 

彼女はそのまま、男たちに両手に一丁ずつ持った白銀色に輝く愛銃の『ベレッタ92』(サプレッサー付き)の銃口を向ける。

 

 

 

 

そしてその後ろに………

 

 

 

 

 

 

 

 

「観念しろィ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両手に二刀を手にした『夜叉(やしゃ)』が降り立つ。

 

 

 

 

「こ、コイツらも、『刀』……」

 

 

「これまで……か……」

 

 

「誘われたのは、俺たちだったのか……」

 

 

 

前後に挟まれた男たちは、自分たちが嵌められたと自覚した途端、膝から崩れ落ち、両手を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっけねぇな」

 

 

 

その総介の呟きをもって、この場での総介と海斗の大立ち回りは幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後の総介と海斗の無双シーンは『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』の銀時と桂の春雨相手の大立ち回りを参考にしました。劇中でそのシーンでも『バクチ・ダンサー』が流れ、くっそカッコ良かったのを覚えてます。皆様も是非この作品を見てください!本当に銀さんとヅラ、マジでかっけぇ!!
この作品を書き始めるにあたり、一番最初に思い浮かんだのが、日本刀を片手に三玖達を護りながら戦う総介の姿でした。それを実現できて、大変嬉しゅうございます。


今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!
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