世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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2021年1月8日公開予定の『銀魂 THE FINAL』の主題歌を歌うアーティストが『SPYAIR』さんに、そして劇中挿入歌に『DOES』さんが決定いたしました!もう最高です!言うことありません!!
作者も劇場に足を運び、銀さん達の最後のバカ騒ぎを見届けたいと思います!
皆様も是非お近くの映画館へ突撃だコノヤロー!!


さて、今回は総介達の真実、そして新オリキャラ3人も出てきます。全部濃いです。



68. 『懐刀(ふところがたな)

総介、海斗により、『PENTAGON』に五つ子姉妹を攫うために集結した悪いオッサン連中は、ものの見事に制圧された。

懐刀(ふところがたな)』としての2人の実力は伊達ではなく、50人以上の男達を相手にして、倒されることはおろか、両者は傷一つ負ってはいない。さらに、2人の護衛対象である五つ子や、偶然巻き込まれてしまった風太郎も無傷でこの場を切り抜けさせた。

 

 

「……うし、まぁこんなもんだろ」

 

2人は、先に残った者たちを、次に気を失った者たちを、事前に用意していた金属製のワイヤーで手足を縛り上げ、抵抗出来ないようにする。

が、もとより彼らが大門寺の特別防衛局『刀』であることを知ってからは、男達は完全に戦意を失っていた。

 

【大門寺家対外特別防衛局『(かたな)』】

 

大門寺が独自に有する自衛部隊であり、裏の世界では『世界最強の特殊部隊』とも呼ばれるほどの集団。(要は『真選組』とか『護廷十三隊』とか『鬼殺隊』とかみたいなの)

人数は100人あまりの規模であるが、雑兵の集団ではなく、一人ひとりの戦闘力は、個人で軍隊一個小隊(30〜60人)を無傷で殲滅出来るほどの超人的なものを誇っている。

更に、その中でも化物レベルの強さを持つ者達は、現局長の『渡辺剛蔵』から『異名』を与えられ、『刀』の中でも特別な存在『懐刀』へと昇格し、文字通り現総帥の『大門寺大左衛門陸號』の懐刀として扱われる。(『真選組や護廷十三隊の隊長』や、『鬼殺隊の柱』みたいなもの)

『懐刀』は、『鬼』やら『龍』やら『悪魔』やらと喩えられる程に、超人を超えたもはや異形と呼ばれるレベルの戦闘力を有し、たった一人で軍事要塞ひとつを壊滅へ追いやるほどの実力を持つ(あくまでもののたとえ)。

 

 

 

 

そして、そんな化物達を纏める大門寺の頂点の大左衛門は、もはや人智を超えたご都合主義(チート人間)なのだが………

 

 

 

 

 

そして、ほんの10代の齢でその『懐刀』へと昇り詰めた者たちが、今この場にいる『鬼童』浅倉総介、『神童』大門寺海斗、『戦姫』渡辺アイナ、『夜叉』御影明人の4人。

この4人は剛蔵から『新世代の刃たち』と呼ばれ、大いに期待されている。

 

そういった猛者達が集っているからこそ、『大門寺』は畏怖の対象として見られており、総帥や幹部の手腕も相まって、世界で有数の一族として、世界に君臨出来るのだろう。

 

現に、捕らえた男達からはもう、抵抗の意思は微塵も感じられなかった。ただただ、この状況に諦め、下を向くことしか出来なかった。彼らは裏の世界の人間として知っていた。

 

 

 

 

 

 

こんな化物揃いの『大門寺』に逆らえば、未来は無いことを………

 

 

 

 

 

と、

 

 

 

 

 

チャキっ

 

 

 

「?………おいおい、得物のマズい方が俺に向けられてんだが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………どういう事ですか、総介さん」

 

総介が目を横に写すと、銀色の『ベレッタ92(サイレンサー付)』の銃口が自身のこめかみに向けられていた。彼はそれに動じる事なく、銃を向ける本人……アイナの言葉を待つ。

 

 

 

「何故二乃たちが、この場所にいるのか、答えていただけませんか?」

 

 

「そりゃお前、目に見えない場所にいられたら、あいつらの状況がわかる訳ねぇだろ。置いてくわけに…」

 

「そういうことではありません

 

 

 

 

 

何故、このマンションへと彼女たちを誘導したのかと聞いているのです」

 

「………」

 

アイナの顔が、より一層険しいものとなってくる。総介はその問いに、一切答えようとしなかった。

 

いや、答える必要もなかった。アイナ程の優秀な女なら……自分と10年来の付き合いのコイツなら、言わなくても分かる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………彼女たちを、『生き餌』にしましたね?」

 

「………だったら?」

 

「っっ!!!!」

 

総介へと向ける銃を持つ手に、より一層力が入る。

 

 

 

 

アイナは確信した。

 

 

 

 

 

 

 

総介は、五つ子姉妹を、敵をわざと誘い出し、その全容を掴むための『生き餌』にしたのだ。

 

姉妹を集めて『PENTAGON』へと集結させたのも、あえて監視役を見逃したのも、連中の大部分が集結するのを待ったのも、全ては敵の殲滅、そして『裏で糸を操る何者か』の情報を得るため……

 

 

そのために、総介は……いや、『鬼童』は、ここ半年間家庭教師の助っ人として付き合ってきた姉妹を

 

 

 

 

 

最も愛する大切な恋人を

 

 

 

 

 

顔色一つ変えず、そのまま敵に『餌』として放り出したのだと。

 

 

アイナは、今まで冷静に努めてきた表情を、一気に怒りの顔へと変え、そのまま引き金を引かんとばかりに手を震わせる。

 

 

 

が、そんな彼女を、もう一つの存在が動揺へと追い込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アイ、ナ?」

 

 

 

「!!………二乃……」

 

 

名を呼ばれた方を見ると、その声の主は、二乃だった。彼女は、何が起きたか分からないような状況に、ひとしきり混乱している。

 

 

 

「あ、アイナ、なんで、ここにいるの?………なんで、そいつと普通に話してるの?………なんで、そんなものもってるの?」

 

 

 

「!!……二乃……これは……」

 

二乃に指摘された銃を、総介から下ろすアイナ。友人の動揺が、彼女には手に取るように解っていたため、二乃に目を合わせられず、そのまま俯いてしまう。

 

 

「………僕から話すよ、二乃ちゃん」

 

 

「……海斗君……」

 

それを見かねた海斗が、2人の間に入る。そして、彼の口から、真実が語られ始めた。

 

 

 

 

「二乃ちゃん、君には内緒にしていたけど、僕と総介、そして彼女、渡辺アイナは、5才の頃から、ずっと一緒に過ごしてきた仲なんだ」

 

「………え……?」

 

「!!」

 

海斗のその一言に、二乃は驚きを超えて、理解すらできないような呆然とした表情になってしまう。そして、それを聞いていた三玖も、総介と海斗、そしてアイナの関係に驚きを露わにした。

 

 

「僕とアイナは元々産まれた時から同じ家で過ごして、家の関係上、そのまま主従関係になったけど、総介とは、通っていた道場で知り合ったんだ。それが5才の時……それから僕らは、今日まで、ずっと共に生きてきた。アイナは僕の付き人として、総介は僕の相棒として……」

 

 

 

「……産まれた時から?……つ、付き人?……な、何を言ってるの……?」

 

 

「そうだね、ちゃんと説明するよ………僕の家である『大門寺』と、アイナの家である『渡辺』、それは家ごと、『大門寺』に仕えることとなっているんだ。昔からね……そこで産まれたのが、僕『大門寺海斗』と、『渡辺アイナ』。誕生日が1日違いなのもあって、生まれて直ぐに、僕らは主従関係になることが決定したんだ」

 

「………」

 

「そして、総介と出会ってからは、僕たち3人は遊んだり、道場で腕を磨きあったりして過ごした。学校も、全て同じ所に通い、クラスは中学まではずっと一緒だったよ」

 

 

「………なんで」

 

「………」

 

「なんで………今まで隠してたの?」

 

二乃からすれば、そこが一番衝撃的だった。アイナとは、一番最初に出会い、そこから友人、そして親友となった。それまでに、二乃は総介と会い、海斗に会った。

総介の愚痴を彼女に聞いてもらい、海斗のことで相談や、彼との惚気話しの相手もしてもらったこともある。

 

 

 

 

が、それら全部が結局、アイナにとっては10年以上の付き合いのある仲の人間だったのだ。

 

 

 

 

そのことに、二乃は降りかかるショックを抑えられなかった。未だ身体は震えて、目は右往左往している。

 

 

 

 

 

何故、自分に早く言ってくれなかったのか………

 

 

 

 

どうして、今まで隠していたのか………

 

 

 

 

 

「言えるわけねぇだろ」

 

「!」

 

別方向から声が聞こえた。総介だ。

 

 

「お前が俺に向けてた感情を考えろ。そんころに既にアイナに会ってたんなら、お前が俺の愚痴をアイナに言ってたんなら、それを『自分の幼なじみです』って簡単に言えんのか?え?」

 

「!!」

 

「海斗の事もそうだ。元々それはお前だけじゃなくて、学校の連中にも秘密にしている事だ。家柄のことや、海斗の学校での立場を考えずに、それをお前だけ特別にって軽い気持ちで全部を教えるわけにゃいかねぇんだよ」

 

「………」

 

「総介さん………」

 

アイナのフォローをする、とまではいかないが、まるで自分がアイナに騙され、裏切られたかのような表情をしている二乃を見て、総介は少し苛立った。

 

 

 

「どんな奴でも言えねぇことはある。そもそも今回の事も、アイナは参加する義務は無かった。コイツがこの作戦から降りたら、お前ともいつも通りで過ごせたにも関らず、ここに来たんだ。

 

 

 

 

 

 

お前を心の底から心配してな」

 

 

「!!!」

 

総介の言う通り、今回アイナは、作戦のメンバーには入っていなかった。彼女が参加を拒めば、総介と海斗、そして明人で実行に移す予定で、そしてその後に、ちゃんと場を整えてから、アイナの正体を二乃に明かす事もできた。しかし、彼女はそれをしなかった。一刻でも早く、二乃のいる場所へと駆けつけたかった。

大事な親友に迫る毒牙が、彼女に突き刺さる前に、へし折りたかった。

 

「………」

 

総介の言葉に、二乃は何も言えなくなってしまう。と、続いて海斗が、アイナに向けて話す。

 

「それにアイナも、彼女たちを『生き餌』と決めつけるのはいけない。

 

仮にマンションの上、即ち屋上から攻められでもすれば、玄関、ベランダの2カ所から侵入されてしまう。それにマンション内での狭さや、入り組んだ空間では、ただ戦うならまだしも、彼女たちを奪われないように戦うのも難しい。一人でも向こうの手に渡ってしまえば、僕たちもアウトだからね。それに、屋上から逃げる手段といえば、ヘリぐらいだろうから、離陸さえしてしまえば、向こうの勝ちだ。それに、他のマンションの住人の事もある。これだけの大人数を迎えて、建物内で闘いを持ち込むわけにはいかない。

広く視界が良好で、敵の進行方向が一方のみ、そして周りに他の大きな建物は無し、5人を護りつつ、敵の排除を行うには、このマンションの下に位置するこの場所が一番最適だった。

最も、敵の背後にいる存在は掴めなかったけどね……

 

でもそれ以外で、これは昨日、総介と2人で話し合って、予定通りに動いた結果さ。

 

不満があるのなら、その銃を向ける対象は、彼の作戦に同意をした僕も含まれるんじゃないかな?」

 

「わ、若様……それは……」

 

海斗の言い分に、アイナは言葉に詰まってしまう。無論、主である海斗に銃を向けるのはご法度だが、何より頭に血が上ってしまい、総介の考えの根底を読めずに、ただただ二乃たちを危険に晒してしまったと思い込んでしまった。

 

「まぁ総介も総介で、アイナに後でそう言われるのは分かっていたみたいだけど……君も、真っ先に嫌われ役を買うのは相変わらずだね」

 

「……常日頃から『誰かさん』の横にいりゃ、自然と俺の役割はそうなるだろうさ」

 

「………申し訳、ございません」

 

アイナが頭を冷やし、2人へと謝罪すると……

 

 

 

 

「………ね、ねぇ、アイナ。その手に持ってるのは……?」

 

二乃が、アイナの手に持っている銃を指差す。それを感じたアイナは、バツが悪そうに慌てて銃をホルスターへと仕舞うが、正直色々ともう遅い。

 

「……そうだね。それもちゃんと説明しないと……」

 

続けて、海斗が説明へと入ろうとするが……

 

「あ〜、若様。大事な話をしているとこすいやせん、続きは本邸で行いませんか?」

 

明人が、話に入ってきた。

 

「明人……」

 

「ちょうど迎えも来たことですし、そこのお嬢さん達やヒョロい男1人と、コイツらも連行しなきゃいけねーですし……それに、そんな話、ここでするようなことじゃねぇでしょ?」

 

「!……あの人……」

 

そう言う明人の姿を見た三玖が、再び驚きの表情を浮かべた。三玖は以前、総介と初めてのデートに行った際に、少しだけだが、顔を合わせたことがあった。

確かあの時は、『中学時代の後輩』と言ってたが……そんな彼も、腰には日本刀を二本差しており、総介達の関係者であることは明白だ。

 

そう考えていると、『PENTAGON』の前の道に、黒い車が数台止まる。どうやら明人の言ってた迎えのようだ。

 

 

「……そうだね、それをこの場所でするのは……みんな、本当に済まない。色々と聞きたい事もあるだろうけど、話の続きは僕の家でということで、構わないだろうか?」

 

海斗は、明人からの進言を聞き入れ、この場での説明を、本邸に戻ってから改めることにした。その旨を、姉妹と風太郎にも尋ねる。

 

海斗の話に真っ先に口を開いたのは、一花だった。

 

「……全部、教えてくれるんだよね?」

 

「君たちが知りたいのは、何についてかな、一花ちゃん?」

 

「……浅倉君や、大門寺君。それにその隣にいる2人は何者なのか……何をしているのか……」

 

 

 

 

「……わかった。向こうに着いたら全部説明しよう。それはちゃんと約束するよ」

 

「……じゃあ、私は行くよ」

 

元より、総介が何者なのか、彼に違和感を覚えていた一花は、そのままついていくことに同意した。彼女は、妹たちに返事を聞く。

 

「それでいいよね、みんな?」

 

 

 

「………わかったわ……」

 

「………私は……」

 

「うん、私も行く……」

 

「………」

 

 

二乃、四葉の2人は力無く答えるも、海斗の家について行くことに同意した。

 

しかし、三玖はそのまま下を向いており、五月は震えながら彼女の腕にしがみついている。

 

 

「………」

 

「三玖、五月ちゃん……」

 

三玖は総介が、明らかにただの高校生では無いということに混乱しているため、未だ整理がつかず、そして五月は、武器を持った男たちに後一歩のところで襲われそうになったということに、大きなショックを受けていた。

 

と、

 

「一花ちゃん、一応君たちの同意は得ようと聞いたけど、2人をこの場に残す事も、僕はあまりおすすめできない。ここは君の返事が、姉妹の総意だということでいいだろうか?」

 

「………うん、それでいいよ」

 

もはや答える余力も無い五月の同意を得るのは困難、そして三玖も、頭の中が混乱しているので、長女の一花の返事を総意として、皆を護衛しながら、車で大門寺邸まで連れて行くことに決定した。

 

 

 

 

 

あと、

 

「ところで、ずっと気になってたんだけど、何故君がいるのかな、上杉君?」

 

「へっ?お、俺?」

 

「いや、これに関しては、俺が四葉の馬鹿さ加減を見誤っていたのと、俺が誰も連れてくるなって言わなかったのが原因だ。コイツは悪くねぇよ」

 

「す、すみません、上杉さん。こんなことになるなんて………」

 

本来、巻き込まれる筈の無かった風太郎。四葉が無理矢理連れてきたことによって、あらぬことに巻き込んでしまったことを、四葉は風太郎にら謝る。

 

「……いや、四葉は知らなかったんだろ?何もお前のせいじゃ無いだろ」

 

風太郎は、彼女の謝罪を受け止めるが、四葉はあくまで悪くはないとフォローをする風太郎。そんな彼も、目の前の展開についていくのに精一杯の様子だ。

そんな彼に、総介が話しかける。

 

 

「上杉、悪りいな。こうなることは完全に想定外だったが、いずれお前にも、全部を教えるつもりだった。この機会に、お前にも全部言いたい。着いてきてくれねぇか?」

 

「浅倉………わかった。とりあえず、家に電話させてくれ」

 

風太郎も、姉妹と一緒に着いてきてくれることに同意してくれた。

 

「ああ。それくらい構わねぇよ。あ、俺らのこと言うなよ」

 

「わ、わかった」

 

そのまま風太郎は、らいはに電話をして、『姉妹の家にそのまま泊まる』ということで話を進めた。

 

それを見た明人が、口を開く。

 

「じゃあ行きやしょうか……

 

 

 

 

あ、旦那に若様。

 

お二人にはまだ話してなかったんですが……」

 

 

「あ?なんだよ?」

 

「何だい?」

 

 

 

そして明人の口から、とんでもない言葉が発せられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総帥が、本邸にて『懐刀』の招集を決定されたようで」

 

 

 

 

 

「「!!!!」」

 

 

 

その一言に、総介と海斗の両者が、限界まで目を見開き、驚愕した。

 

 

 

総帥の大左衛門による『懐刀』の招集。

 

それは、本邸、又は現在大左衛門がいる場所へ、『刀』の幹部『懐刀』を強制的に集め、謁見させる号令。その号令は絶対であり、逆らった者は例外なく、この世から存在を消される(物理的に)。

 

 

 

 

 

 

「既に剣一さんや、残りの御三方も本邸に到着済みってことで。後は俺たちだけでさァ」

 

 

「………残りの御三方……」

 

「つまり……『あの連中』もいるってことだな?」

 

2人が驚いているのは、招集そのものではなく、それによって集まる『懐刀』のメンバーのこと。

 

「ええ。奥様もおられるようで……旦那、何ため息ついてんですかい?」

 

総介はそれを聞いた途端に、「はぁ〜」っと深くため息を吐いた。

 

「いや、『彼女』は別にいいんだけどよ……

 

 

 

 

『あの2人』もいるってなると……」

 

 

 

「あ〜、あの『イカれた2人』のことですかい?いいじゃね〜ですか、面白そうで」

 

「おもしれぇもん好きのお前はいいけどよぉ……こちとらあのキ○ガイ2人の相手なんざしたかねぇんだよ……それに、コイツらがあの2人見て身が持つのか?」

 

 

「さあ、発狂するんじゃないですかい?」

 

 

「………行きたくねぇ……」

 

「……総介、今回は君に全面的に同意したいけど、父さんの号令だ。仕方ないよ」

 

海斗も、総介と同じく招集に難色を示したが、父の招集は絶対なので、逆らうわけにもいかなかった。

 

 

「仕方ねぇ………うし、お前ら行くぞ。明人、アイナ。お前らは別の車に乗ってくれ。俺と海斗はコイツらと乗る」

 

「へーい」

 

「承知しました。では、本邸で」

 

先に、明人とアイナが、止まった車の黒いセダンに乗ろうとする。と……

 

 

 

「……アイナ……」

 

二乃が、アイナの様子を見ていた。

 

 

 

「二乃………」

 

2人に気まずい雰囲気が流れるが……

 

「お?キャットファイトですか?キャットファイトですかい?なんならもっとバチバチになってもry」

 

 

 

ジャキっ……

 

 

 

 

 

「明人、そのお喋りが過ぎる舌を撃ち抜いて穴を開けて差しあげましょうか?」

 

アイナが、明人の挑発にキレ、口元に向けて銃を抜く。

 

「お?やってみろやメスガキ?テメーの自慢の輪ゴム鉄砲なんざコマ切れにしてやんよ」

 

それに明人も、嬉々として刀を抜こうとするが……

 

「やめるんだ2人とも。ここまで来て、争いはよさないか」

 

海斗がその様子を見かねて制止する。

 

「……チッ……」

 

「………はい、申し訳ありません」

 

2人は海斗の言う事もあり、そのまま手に持った武器をしまう。そして明人が先に車に乗ったのを見て、アイナは二乃へと振り返った。

 

 

 

 

「二乃………全ては本邸に着いてから、ちゃんと話します」

 

「………」

 

二乃はそれに何も答えることはしなかった。アイナも、そう告げてから、それ以上彼女に言葉をかける事なく、車に乗り、運転手に頼んで、先に大門寺邸へと車を走らせるのだった。

 

 

「………」

 

「二乃ちゃん」

 

そんな彼女に、海斗が声をかける。

 

「僕達も行こう。そこで全てを話すよ」

 

 

「………ちゃんと、話して……海斗君のことも、アイナのことも……全部よ」

 

「保証する」

 

そう話し、姉妹と風太郎は総介と海斗に連れられて、10人乗りの黒いワゴン車へと乗り込んでいく。

 

 

「あの……あの人たちは……」

 

と、一花が捕らえられた男たちを指差して総介に聞いた。

 

「ああ、あいつらなら残った仲間に任せてるから、そいつらがトラックで連行するさ」

 

「今回の件の色々と聞かなきゃいかないからね。尋問が済み次第、警察に引き渡すつもりだよ」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 

 

 

そう話している中、三玖はチラッと総介を見るが、彼はそれに全く反応もしなかった。ただ、一花との話が終わった後、ずっと黙ったままだった。

 

 

 

(…………ソースケ)

 

 

夕方まで、2人の距離はほとんどゼロに近かった。

 

 

 

 

それなのに、今はとてつもなく遠くにいるように感じる。

 

 

 

 

 

いや……今目の前にいる人物が、まるで別の人のような感覚を、三玖は感じていた。

そのまま車は、全員が乗ったことを確認すると、大門寺邸へと向けてそのまま発進した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、『大門寺邸』では……

 

 

 

 

 

 

 

「嗚呼、我が『神』よ。この地に私を呼び出してくださったこと、何たる暁光……あの日、あなたの刃の一つとして、私が選ばれたのも、『神』である貴方の思し召し。どうか貴方様に逆らう愚かな無神論者どもに、我らが裁きの光を浴びせんとすることを、赦したまえ」

 

和の造りの大門寺邸とは到底合わない、黒いカソック姿、首元にぶら下がる十字架のネックレス、銀髪の長髪をした容姿端麗の洋風の美青年が、両手を広げて、月明かりで照らされた天を仰ぎながら何か言っていた。

 

 

 

 

狂聖(きょうせい)アルフレッド・ショーン・ケラード『Alfred Shaun Kellard』

 

元はヨーロッパのとある国の聖職者だったが、彼自身、親から受け継いだだけであり、神の存在を心底では信じてはいなかった。しかし、数年前にとある事件をきっかけで、その場にいた大左衛門を『神』として崇めるようになった。それ以降、彼に着いて行き、『刀』へと所属。その実力と、行き過ぎた大左衛門への信仰心から、狂聖(きょうせい)の異名を与えられ、『懐刀』へと昇格したのだ。

 

 

そんな彼に……

 

 

 

「さっきからいちいちうっせえんだよテメー。こっちはやっと大左衛門を殺しに来れたんだ。ちっとは余韻に浸らせろや」

 

ショーンの横から、大男が通り過ぎて行く。その男は、剛蔵をも越える体格、ボロボロの黒い着物、そして腰には刀身の長い日本刀、背中には男自身の背丈に匹敵する巨大な片刃の斧を背負って現れた。

 

 

暴獣(ぼうじゅう)長谷川(はせがわ)厳二郎(げんじろう)

 

彼は『戦えればなんでもいい』という、バトル漫画によくいる戦闘狂枠の奴と同じで、絵に描いたような戦闘狂である。強者との闘いこそが、厳二郎の心を満たす唯一無二のもの……

そんな彼が『刀』に所属する理由はただ一つ。

 

 

『現地球上最強の生物である大左衛門を殺し、自分が最強だと認識すること』のみ

 

 

 

 

 

「………『神』に逆らう愚か者が。何故貴様のような畜生が、『神』のおそばに立つことが許されているのか、私には理解できん」

 

「テメーみてぇなクソの役にも立たねぇ宗教なんざどうでもいいんだよ、んなこたぁ。

俺が大左衛門を殺せば、そんなもん必要も無くなるだろうが」

 

 

 

 

「………何だと?」

 

その場で祈りを捧げていたショーンが、目の前に置いていた自身の十字架型の十字槍を手にして、厳二郎へと向ける。

 

「『神』に逆らうだけでは飽き足らず、幾度となく刃を向けるか、穢らわしい獣が……恥を知れ。そして光の裁きのもと、もがき苦しみ……

 

 

 

 

死ね」

 

 

それを見た厳二郎が、ショーンへと身体を向け、腰の刀を握り、抜く。

 

「面白ぇ。最近手応えのある奴に会ってなくてな。ちょうどテメーで準備運動させてくや」

 

「ほざけ、悪魔の使いが」

 

2人がそのまま、戦いを始めようとしたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どいて」

 

 

「!」

 

「………あぁ?」

 

 

2人の間を、悠然と通る一つの影。

 

その者は、黒い服装の2人とは違い、白い『刀』隊服に身を包み、左手にはそのまま鞘に収められた日本刀を握り、歩を進める。

 

 

『彼女』黒くストレートの長髪に、切り揃えられた姫カットの髪型。小柄な体格と、ハイライトが少なく、遠くを見つめているような目をした美人。

 

 

艶魔(えんま)今野綾女(こんのあやめ)

 

大左衛門の妻『天城』の側近であり、彼女は総介達と同じ、『柳流剣術武術道場』出身で、彼らの先輩にあたる人物である。普段は寡黙で口数が少なく、何を考えているのかが知れない雰囲気をもつ。

 

 

「……もうじき『彼ら』も到着するし、総帥や天城も待ってる。この場での不毛な戦いは、何の意味を持たない……」

 

綾女が、2人に背中を向けながら、そう話す。すると……

 

 

 

 

「……そうだな。こんな穢れた畜生の血で聖地を汚そうなどとは……失態を犯してしまうところだった」

 

「チッ……まぁいい。大左衛門がいるなら、先にさっさと奴を殺しに行くまでだ」

 

悪態をつき合いながら、ショーンと厳二郎は矛を収めた。

 

 

 

 

 

「おい青瓢箪。テメーは後で殺してやる。今のうちにその『神』とやらに祈っとくんだな」

 

「それはこちらの台詞だ、畜生め。貴様など、神の裁きの前に平伏すがいい」

 

 

 

 

「………」

 

 

 

2人の口喧嘩の様子を無視し、無表情のまま大左衛門のいる場所へと歩いて行く綾女。その先に……

 

 

 

「お待ちしておりました、綾女様」

 

 

 

 

 

「………朧隠(おぼろがくれ)

 

彼女の前には、大左衛門の執事服を着たオールバックのインテリメガネイケメン『片桐剣一』がいた。

 

前にも述べたように、彼も『懐刀』の一員であり、朧隠(おぼろがくれ)の異名を与えられている。

 

 

「総帥、奥様は『皇の間』にてお待ちです」

 

「………そう」

 

剣一が現れたことにも一切表情を変えず、綾女はそのまま彼の横を素通りしていく。

 

 

「それと………

 

 

 

 

 

 

 

局長から、霞斑(かすみまだら)についても、話があるとのことです」

 

 

 

 

 

「………そう」

 

一瞬、綾女は足を止めたが、特に反応はそれだけで、彼女はそのまま再び歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これで局長の『渡辺剛蔵』、副長の『片桐刀次』を除いて、『懐刀』が4人、本邸へと集まった。

 

 

 

 

 

そして残りは『4人』。

 

 

 

 

 

 

 

『新世代の刃』と呼ばれる彼らが、本邸へと到着する時が、刻一刻と迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリキャラ紹介

今野綾女(こんのあやめ)
23歳
身長166cm
体重52kg
イメージCV.平○綾(涼宮ハルヒの中の人)
大門寺家対外特別防衛局『刀』の幹部『懐刀』の一人
異名は艶魔(えんま)
天城の側近で、姫カットの黒髪ロングの女性剣士。一般隊士とは違い、白い隊服を着用している。『柳宗尊』の道場出身で、総介や海斗達の先輩にあたる。寡黙な性格で、感情を殆ど表に出さない。武器は日本刀。
モデルは『銀魂』の『今井信女』。



アルフレッド・ショーン・ケラード『Alfred Shaun Kellard』
24歳
身長185cm
体重74kg
イメージCV.斎○みつき(『ゾイド』のレイブンの中の人)
大門寺家対外特別防衛局『刀』の幹部『懐刀』の一人
異名は狂聖(きょうせい)
銀髪の長髪をした、中性的な容姿の美青年。黒いカソック姿と、十字架のネックレスが特徴。元々は欧州のとある国の聖職者だったが、数年前のある出来事から大左衛門を『神』と呼んで崇拝しており、彼の全てを絶対視している。武器は十字架の形を模した槍。
モデルは『ぬらりひょんの孫』の『しょうけら』。



長谷川(はせがわ)厳二郎(げんじろう)
40歳
身長202cm
体重99kg
イメージCV.立○文彦(銀魂のマダオや、『BLEACH』の『更木剣八』の中の人)
大門寺家対外特別防衛局『刀』の幹部『懐刀』の一人。
異名は暴獣(ぼうじゅう)
長髪にボロボロの黒い着物を着用しており、顔の左側に縦傷がある。
バトル作品によくいる戦闘狂キャラであり、現地球上最強生物である大左衛門を殺すために『刀』に所属しているという異例の経歴の持ち主。
武器は腰に携えた太刀(手加減)と、背中に背負った巨大な片刃の斧(本気)。
モデルは外見は『BLEACH』の『更木剣八』(千年血戦篇時)で、名前は『銀魂』の元祖『マダオ』こと『長谷川泰三』。


・片桐剣一
大左衛門の側近である『懐刀』の一員。異名は朧隠(おぼろがくれ)

もはや五等分の花嫁の面影無し。これどうやって原作に戻すんだ?という方も多いのでは。大丈夫です。ちゃんと戻しますんで。

今回もこんな駄文を最後までご覧いただき、ありがとうございました!
次回、『懐刀』全員集結です。

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