世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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『かぐや様』3期キターーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
しゃぁぁあああこるるるぅああああ!!!!なんだコノヤロォォォォオオオオオ!!!(狂乱)



そして、今回、衝撃的の真実へ……


69.鬼が如く

総介と海斗、そして五つ子と風太郎を乗せた車がようやく、大門寺邸の正門をくぐり、敷地内の駐車場へと停車した。

今回は海斗を乗せた正規での入邸のため、中のセキュリティが自動的に起動し、巨大な正門が自動で開き、車は止まることなく通過した。

 

 

「さあ、到着したことだし、降りようか。そしてようこそ……ここが僕の家だよ」

 

車を走らせてから数十分、それまで車内の中で、会話は一切無かった。総介と海斗はいつも通りの態度のままだったが、五つ子姉妹と風太郎は、下を向いたり、緊張しているのか、カチコチに固まったりと、会話をする余裕すら無かった。

 

そんな彼女たちでも、降車した後の、目の前の光景には目を見開いて驚きを露わにした。

 

「こ、これが海斗君の家……?」

 

「……広い……」

 

「こ、こんなに大きいの……」

 

「……遊園地よりデカくないか、この家の敷地……」

 

降りると、車が軽く20台は停めれるであろう駐車場が敷地の端に、そこから敷地の中央を見れば、典型的な日本の『和』を強調した広大な邸宅が、奥行きが見えないほどに並んでいた。

高さこそそれほど無いものの、『東京ドーム4つ分』というその広さと、格式高い作りの建物から、典型的な『日本の超大金持ちの建物』であることを窺わせる。

 

「地上は2階までしか無いけど、地下の階層があるからね。詳しくは言えないけど、見た目の三倍はスペースがあるよ」

 

「ち、地下……」

 

「こ、これの3倍広いって……」

 

「石庭もありますし……とても豪華な造りですね」

 

唯一、ずっと怯えていた五月も、その壮大な景色を見て、多少は気を紛らわせることができたのか、周りをキョロキョロと見渡している。

自分たちも、マルオに引き取られてからは病院を経営する医者の娘とあって、それなりに金持ちの家にいると実感していたが、この邸宅を見ると、改めて海斗の家の次元が、自分たちととてつもなく違うことを思い知らされていた。

 

「………す、すげぇ………」

 

そして風太郎も、その圧巻な光景に顎が外れそうなほど口を開けて目の当たりにするしかなかった。

 

「行こうか。みんな僕らにちゃんと着いてきてね。客人が迷うと出て行くのに苦労するからね」

 

「は、はい!」

 

海斗と、その横に並ぶ総介を先頭に、一行は駐車場から、本邸へと向かって歩き出し始めた。

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

一行は、建物へと近づき、両側の広い石庭に挟まれた道を歩く。

 

 

「本当に広いな……地図とか無いのかこの家は?」

 

「残念だけど、セキュリティ上の観点から、公開することは出来ないんだ。来客の方々には、それぞれ道案内をする人がついていてね、その人達は皆この家の間取りを記憶しているから、その人に着いていく形式をとらせてもらっているんだよ」

 

「こ、こんな広いお家の間取りを、ちゃんと覚えてる人がいるんですか?」

 

五月が広い敷地を見渡しながら疑問を投げかけると、それに総介が答える。

 

「俺はずっとここに入り浸ってた時があったから、ある程度は把握してはいるが、完璧に覚えているのは海斗と、その両親と、あとは数人だな」

 

「へ、へぇ……大門寺、全部覚えてんだ……」

 

風太郎が何だか不服そうに反応する。が、総介の次の一言で、彼は言葉を失うこととなる。

 

「コイツ絶対記憶持ってっから。見たものは直ぐに覚えて、好きな時にいつでも思い出せるってチート能力者並に頭良いからな」

 

「ぜ、絶対記憶!?」

 

「すごい……」

 

「だから勉強もせずに、授業や教材を見ただけで覚えられるのですね……」

 

「……だから林間学校でも……」

 

「……私も欲しいな〜」

 

「………」

 

姉妹がそれぞれの感覚でリアクションする中、風太郎は更に顎を大きく開きながら絶句した。

 

 

 

容姿は二乃が一目惚れするほど抜群に良く、身長も自分と20センチ前後高くて、スタイルも良い。さらに、絶対記憶からくる学年でもトップクラスの成績と、先程の立ち回りから見た人間離れした身体能力。おまけに、家は超豪華な大金持ちの生まれ。それだけでなく……

 

「そんなこと無いよ。幸いにも物覚えが良いってだけさ。それに嫌なことも瞬間的に覚えてしまうから、デメリットも大きいんだよ」

 

「イヤミかテメェ、あ?殺すぞ?殺すぞ?」

 

それらを一切鼻にかけず、驕る事のない、とても人当たりの良い人格。

 

 

 

 

 

まさに男の頂点と言うべき存在である。それが大門寺海斗……

 

風太郎は改めて、目の前にいる男が、自分とは比べようの無い世界にいることに打ちひしがれる。そして、それに当たり前のように悪態をつく総介にも、はるか遠くにいる存在のように覚える。

 

あんな状況にいても、普段の口調を崩さずに、数十人の男達を無傷で薙ぎ倒していった。どう考えても普通じゃない………

 

 

と、一行が広大な庭を歩いていると、前で何やら話をしている3人の姿が見えた。その内の2人は、先程総介や海斗といた少年と少女。そしてもう1人、灰色の髪に背の高い褐色肌の男……

 

 

 

「あ、旦那達が来ましたぜ」

 

「ん?……おうテメェら、遅かったじゃねぇか」

 

男が振り向くと、総介と海斗に話しかけ、口に咥えていた煙草を指で挟んでふぅっと煙をはく。

 

「お待たせしました、刀次さん。皆を連れてきました」

 

「ん、ご苦労さん海斗」

 

男の名は『片桐刀次』。大門寺家対外特別防衛局『刀』の副長であり、剛蔵の右腕にあたる人物。ガンを飛ばしてるかのような鋭い目つきと、瞳孔が開きっぱなしの目は、どっかのマヨラー副長を彷彿とさせている。まぁ彼がモデルだし、無理無いね。そして左側の腰には、総介や海斗と同じく、日本刀が差してある。

 

さらに、めっちゃ喧嘩してそうな見た目なので……

 

(………ヤダ、カッコいい……)

 

ワイルドな風貌が好きな二乃のドストライクな見た目だったりする。日焼けしたような褐色の肌と、鋭い目つきに、グレーの髪。がっしりとしている体格に、身長も188cmと結構高い。ガテン系の仕事をしていてもおかしくないワルな見た目は、頬を赤くした二乃の目を釘付けにするには充分だった。

 

(い、いや、ダメよ。私には海斗君が……)

 

ブンブンと首を振り、刀次へと移ろいそうな心を慌てて沈める二乃。

ホント何なのコイツ?

 

「お前たちが例の五つ子の姉妹か。剣一から聞いてはいたが、マジで顔立ちはそっくりだな」

 

僅かに眉を上げながら、同じ顔の姉妹に少し驚く刀次。と、五つ子の顔を順番に見ていた彼の視線が、ある人物へと止まる。

 

「……ところで、お前さん誰だ?」

 

「え?あ……いや、その」

 

そう声をかけられた人物……風太郎は、突然刀次から話しかけられ、慌てる。

 

「彼は『上杉風太郎』。五つ子の家庭教師をしている人物です。訳あって、彼も巻き込まれてしまったので、彼女達と共に御同行してもらいました」

 

すかさず、海斗がフォローに入る。

 

「おいおい、俺達が聞いてるのはこの五つ子の警護だぞ?どこぞの知らねぇ民間人をここに連れて来んのは……」

 

「彼にはそうする程の『価値』があります。僕も総介も、その考えで一致していますので……」

 

「………まぁいいけどよ」

 

と、刀次はため息を吐いて頭をクシャッとかきながら、次は総介へと目を向ける。

 

「総介、テメェには色々言いてぇことがあるが……この後も色々つっかえてるんでな、今は見逃してやる。それと、お前が以前言ってた『例のモノ』が出来たそうだからな、今すぐ取りに行け」

 

「お、マジでか?『アレ』届いたのか……っし、丁度総帥への『謁見』だ。早速取って来ますわ。刀次さん、アンタも伝書鳩並みには役に立つんスね、感心しました。あざす」

 

「誰が伝書鳩だコラ。お前殺すぞ?あ?マジで殺すぞ?」

 

「旦那、俺がそこまで案内しまさぁ。あ、『鳩切さん』、そこの女たちを親父さんのところに連れてってやってくだせぇ」

 

「誰が鳩切だ!完全に役割が伝書鳩になっちまってんじゃねぇか!」

 

「んじゃ海斗、後は頼むわ。すぐにそっち行くからよ」

 

「ああ」

 

「無視かよオイ!」

 

怒りマークを複数浮かべる『伝書鳩切』を尻目に、総介と明人は、先に屋敷内へと入って行った。

 

 

 

 

「………」

 

そんな彼を、三玖は声をかけることも出来ずに、ただただ見つめることしか出来なかった。

 

「チッ、ったく……おい海斗、アイナ。コイツらを父親の元に連れてけ。俺も後で行く」

 

「分かりました」

 

「承知しました」

 

2人が返事をした時、二乃が話に割って入ってきた。

 

「ち、父親って……パパもここに来てるんですか?」

 

「ああ、やけに娘を心配してたがな……とっとと会ってやりな。お前らも少しは安心すんだろ」

 

じゃあなと、それだけを言い残して、刀次は総介達とは別の方へと歩いて行った。

 

「……じゃあ、僕たちも行こう。中野先生が待ってる」

 

「……うん」

 

そして、その場に残った一行も、海斗とアイナの案内で、屋敷の中へと入って行った。

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

「お父さん!!」

 

海斗とアイナの案内により、屋敷の中の一つの部屋の襖を開いたその先に、五つ子の義父マルオは立っていた。相変わらずフォーマルな格好をしている。

 

「………五月君」

 

彼の姿を見るや、すぐさま抱きついてきた五月。そのままマルオが無事だったことと、先程のことがよっぽど怖かったのか、わんわんと泣き始めた。

 

 

 

 

「………皆、無事でよかった」

 

顔は無表情のままだが、自分に抱きついて泣く五月の頭を撫でる手は、若干震えている。

 

「中野先生、お久しぶりです」

 

「……大門寺君」

 

マルオは、自分に話しかけてきた海斗へと目を向ける。

 

「今回の件、我々の初動が遅れてしまい、このような事態になったこと、大変申し訳ありません」

 

マルオに向かって頭を下げる海斗。だが、マルオはその謝罪を受け取るよりも、海斗達への感謝を述べた。

 

「……いや、謝らないでくれ。君……貴方達『刀』は、あくまで防衛部隊。それ故に相手の動きが無ければ動きはしないと、事前に渡辺さんから話は伺っていた。それに約束通り、娘達を無傷でこの場に連れてきてくれた。それで充分だ。本当に感謝してもしきれないくらいだ……ありがとう」

 

「……恐悦至極に存じます」

 

マルオも、総介と海斗に娘を護ってもらった大恩がある。特に総介には二回も救われた。その一度目は、完全に自身の落ち度だ。それが無ければ、今頃娘達は………

 

 

「ね、ねぇ、大門寺君?」

 

すると、一花が、我慢できずに口を開いた。

 

「さっき言ってたことなんだけど……そろそろ教えてくれないかな?君たちって一体……何者なの?」

 

「………そうだね。説明するよ」

 

「………」

 

海斗は、アイナに目を向けると、彼女はそのままコクっと小さく頷く。するとそのタイミングで……

 

「ありゃ、皆さんここにいたんですかい?いったい何の話で?」

 

明人が戻ってきた。

 

「この子たちに色々と話すところだよ。ところで、総介は?」

 

「ああ、旦那なら頼んでた『モノ』を見て、すげ〜嬉しそうにしてましたよ。ま、その内来るでしょ」

 

「そうかい……まぁ、総介はいないけど、先に彼女たちに、僕らのことの話をしよう」

 

明人が入ってきたが、そのまま話を進めることにした海斗。

 

 

「僕たちが何者か、それを知りたいって言ったね、一花ちゃん?」

 

「………うん」

 

 

 

 

 

 

そして海斗の口から、全ての真実が語られ始めた。

 

 

 

 

 

「僕達はこの大門寺、そして中野先生を始めとした同盟相手の方々を、有事の際に護るための組織、大門寺家対外特別防衛部隊『(かたな)』の一員なんだ」

 

 

「と、特別防衛部隊……」

 

「『かたな』?……」

 

「つまり、大門寺が独自に創設した、特殊部隊という意味です」

 

海斗の言ったことにイマイチピンとこない一同だが、アイナが補足を入れる。

 

 

「……じゃあ、浅倉君も?」

 

「そうだよ。総介を始め、ここにいるアイナや、彼『御影明人』も、『刀』の一員だ。アイナは銃だけど、僕たちのように、ほとんどの局員は、日本刀を差している部隊だよ」

 

「まぁそのせいで、『時代遅れ』だの『現代を生きる侍』だの言われやすけどね。下手くそな軍隊の銃なんかよりこっちの方がよっぽどやりやすいんですけどね」

 

「……侍……」

 

明人の言った『侍』という言葉に、三玖が反応して呟く……

 

「局員は100人程と少ないですが、全員が個人で数十人規模の部隊を単独で制圧できる程の精鋭で構成されています」

 

「……えっと、それって……」

 

「すごく、強いってことだよね……」

 

「……簡潔に言えば、そうですね」

 

 

「そして、その中でも総介と僕、アイナと明人は、その『上』の段階にいるんだ」

 

「……上、ですか?」

 

「そう。『刀』の中でも抜きん出た戦闘力を持つ局員は、『異名』、つまりは二つ名を与えられて、『懐刀(ふところがたな)』と呼ばれる、ありふれた言葉で言えば『幹部』のような存在になれる」

 

「………ふところ、がたな……?」

 

「異名?………」

 

やはり、姉妹にとって難しい用語が一杯出てきてるせいで、イマイチ理解が出来ていない様子だ。しかし………

 

「………」

 

三玖だけ、明らかに表情が違っていた。戦国武将や、侍関連の用語に詳しい彼女は、海斗の言ってることが大体は理解できていた。

 

「総介さんは"鬼の子"を意味する鬼童(おにわらし)、若様は同じように"神の子"『神童(しんどう)と呼ばれています」

 

「そしてアイナには戦姫(いくさひめ)、明人には夜叉(やしゃ)の異名が与えられているよ」

 

 

「……おにわらし?」

 

「いくさひめ……やしゃ……う〜ん」

 

 

と、三玖以外のちんぷんかんぷんな姉妹達(特に頭の上にうずまきを浮かべる四葉)に、明人がめっちゃ簡単に説明する。

 

 

 

 

 

「まぁつまり、こういうことでさァ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この地球上に

 

 

 

 

 

一番強い奴が10人いれば

 

 

 

 

 

 

俺や若様、浅倉の旦那やそこのアイナがその10人のうちの4人ってことでさァ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!?」

 

「「「ええええ!!??」」」

 

「「はぁ!!??」」

 

明人がめちゃくちゃ簡単にした説明に、三玖が目を見開いて驚き、一花、四葉、いつの間にか泣き止んでた五月が同じ声を上げて、二乃と風太郎が似たようなリアクションをとった。

 

 

「……ソースケが……」

 

「海斗君とアイナが……そんな……」

 

「………」

 

特に三玖と二乃は、あまりの衝撃的な事実に驚きがマシマシになったことだろう。

しかし、先程の総介と海斗の大立ち回りをして尚、息切れひとつおこしていない2人を見て、一同は安易に否定することも出来ない。

そんな彼女たちに、明人は説明を続けた。

 

「その中でも、浅倉の旦那と、若様は、トップ5に入るぐれぇ強ェですよ。

 

 

 

若様はもちろん剣術は天才的ですけど

 

 

 

 

旦那の場合は、何というか、

 

 

 

 

アレは本物の鬼の子っていうか、本物の『鬼』ですね」

 

 

 

「………鬼?」

 

 

 

 

 

そして、明人から、総介の真実が、三玖へと告げられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1年前ちょっと前ですけど

 

 

 

 

 

 

大門寺にケンカ売ってきた奴らがいましてね

 

 

 

 

 

 

その大きな争いの中で、旦那は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たった一人で、200人以上いた敵を皆殺しにしたんでェ」

 

 

 

 

 

 

 

明人の言葉に、姉妹と風太郎から、一瞬言葉が、思考が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

「……な、何よ、それ……」

 

数秒経ち、ようやく二乃が震えながら口を開く。

 

 

「明人」

 

「……へい、今のぁちと余計でしたね」

 

海斗に諌められ、そこで言葉を切る明人。彼の言ったことは事実であった。

 

 

 

 

あの日………

 

 

 

別行動をとっていた明人とアイナが合流すると……

 

 

 

 

そこには、血溜まりと肉塊で染められた死体の海……

 

 

 

 

 

 

100……200……いや、それ以上……

 

 

 

 

 

 

 

 

その赤い海の中央に、『鬼』は立っていた。

 

 

 

 

 

 

虚な目をしながら

 

 

 

 

 

 

たった一本の日本刀をその手に握りしめて

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ほ、本当なの?」

 

「………」

 

一花が、そう尋ねる。海斗は少し黙るが、腹を割って話すと決めたのだ。今更隠すことなど出来ないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「…………事実だよ」

 

海斗が目を閉じながら、小さく答えた。そして、こう続ける。

 

 

「……それに、総介だけじゃない。

 

 

 

 

 

僕も

 

 

 

 

アイナも

 

 

 

 

 

明人も

 

 

 

 

 

 

多かれ少なかれ、たくさんの人を殺している」

 

 

 

 

 

「!!!」

 

 

 

「……うそ……」

 

海斗は、真実を告げるとともに、総介へのフォローも兼ねて、そう打ち明けたつもりだった。しかし、それらを聞いた姉妹や風太郎のショックはあまりにも大きく、マルオですら、年端もいかない彼らがを既に人の道を逸脱していることに、目を見開いて驚きを隠さないでいた。

 

 

とはいえ、彼らも無差別に人を斬ってきた訳ではない。

 

そのまま海斗の説明は続く。1年前まで、大門寺と長きに渡って抗争状態にあった相手。その勢力は『過激派』そのものだった。

 

大門寺家本邸転覆計画、同盟相手を人質にとり、時には殺害、縄張り内でのテロ計画、そしてその中でも最も大きな被害を出したのが………

 

 

 

 

 

 

 

7年前の大型ショッピングセンターの事故に見せかけた爆破事件。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその中の一人の犠牲者が、総介の母親だった…………

 

 

 

 

 

「そんな………」

 

「………」

 

姉妹たちが、次々と明かされる真実に、驚き続ける中、三玖と風太郎だけは、総介から事前に聞いていたとはいえ、改めて伝えられた事実に、目を下に向けるしか出来なかった。

 

 

 

「俺らはあくまで、売られたケンカを買うだけ。大門寺にちょっかいを出す奴らを容赦なく叩き潰していくだけですけど、奴らは違う。

大門寺の首を落とすためなら、どんな事でもする。多数の市民が犠牲になろうが、奴らは自分達(テメェら)が上に立って甘い汁すすれさえすれば、そんなもん関係ないって思考の連中でさァ」

 

「そんな者達のくだらない理由のために……総介さんのお母様は、犠牲になったのです………」

 

 

「彼だけじゃない………僕達3人も、とてもお世話になった人だだった。あの時のことは、今でも昨日のように覚えているよ……僕たちでも、想像し難い悲しみや、怒りが湧いたものだ。総介がどんな思いで、これまで過ごしてきたか……」

 

「………」

 

3人の口から出た、壮絶な話に、全員が黙り込んでしまった。

今まで過ごしてきた彼が、そこまで悲しい出来事を背負って生きてきたことなど、微塵も感じさせなかった。

常にやる気の無い目をして、どこか達観したように、物事を見つめる総介。

 

 

風太郎を含め、三玖達姉妹が必ず一度は、彼を『大人みたいに落ち着いている』と感じていたが、少し納得がいった。自分達とは、経験してきたことが違いすぎる。目の前の3人もそうだが、とても同じ17歳のようには思えない。明人は1つ下だが……海斗はもちろん、アイナと明人にも、彼女たちは総介と同じものを感じていた。

 

 

 

 

「私たちは、その者達を止めるために、裏で戦い続けてきました……『大門寺のため』という大義を掲げてはいましたが、少なからず総介さんのお母様の仇をとりたいとも、心の内に存在したことは否定できません」

 

「まぁ旦那の場合、あの頃は100パー復讐のためだけに『刀』にいたようなモンですからね。連中を何の容赦もせずに斬り殺していく様は、さすがの俺でもブルッちまった程でィ…………

 

 

でも、そんくらい旦那にとってお袋さんの存在は、デカかったんだと思いますよ俺ァ」

 

「………」

 

復讐。そのためだけに、総介は、生きて、刀を振り続けたと明人は言った。

 

 

 

「……そ、そんなの、ダメです!」

 

と、その中で、四葉が明人に向かって強い声で言った。

 

 

「お母さんの仇をとるために人を殺すなんて……そんなこと、しちゃダメですよ!」

 

「……そ、そうです!四葉の言う通りです!敵であっても、たったひとつの命をそんな簡単に奪うことなんて、そんなことあってはいけません!」

 

四葉に続いて、五月も3人に物申した。2人としては、それなりに勇気を持って言ったことであったが、3人はそれに、眉ひとつ動かそうとはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なら泣き寝入りしろってのか?」

 

「………え?」

 

四葉と五月の言ったことを、明人は声を少し低くして返す。

 

「身内が殺された。相手は殺しを楽しんでやってるクズ野郎だ。だが人の命奪うのはいけねぇ、こっちはいい子ちゃんで何もせずにいよう………そう言いてぇのか?」

 

 

 

「そ、それは………」

 

「なら今度はこっちから聞くが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が今からテメェら5人の内の1人殺しても、お前は何もせずいい子ちゃんでいられんのか?」

 

 

「「「「「!!!!」」」」」

 

明人が、2本差している刀のうち一本を抜き、四葉に切っ先を突きつける。

 

 

「それでもテメェは、『復讐は良くない』『復讐からは何も生まれない』とかいうどっかのバトル漫画の空気読めねェ綺麗事ほざく優等生ぶった野郎と同じことほざけんのかって聞いてんだ?え?」

 

 

 

「そ、それは………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………日向(おもて)の事情しか見ちゃいねェテメェらにひとつご教授してやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

復讐を知らねェ奴が、復讐を語ってんじゃねェ

 

 

 

 

 

 

そんなクソの役にも立たねェ綺麗事を、俺らの前でほざくんじゃねェぞ

 

 

 

 

 

 

クソガキども」

 

明人は、普段のマイペースな表情を一変させ、2人を鋭い目つきで睨む。

彼にとっても、総介の母は世話になり、孤児の彼にとっては母のように慕っていた存在だった。それを殺されたのは、彼の中でも大変ショックであり、かつ明人にとって数少ない大きな怒りを、覚えさせることとなった。

だからこそ、何も知らないで言う四葉と五月に、若干イラついたのだ。

明人の目が、『夜叉』としての目を帯び、姉妹へと向けられたその時……

 

 

 

「明人、剣をしまうんだ」

 

海斗が彼を諌める。

 

 

「若様……ですが」

 

 

「しまうんだ、これは命令だ」

 

 

 

「………」

 

語気強めて命令する海斗に、明人は渋々刀を収める。

それを見てから、海斗は姉妹の方へと顔を向けて、話を始める。

 

 

 

 

「………四葉ちゃん、五月ちゃん、君たちの言うことも理解は出来る。けれど、僕も明人と同じ意見だ。

 

 

 

これは僕達の戦い、僕達の領域なんだ。

 

 

 

血は繋がっていなくとも、僕らは総介を『兄弟』だとも思っている

 

 

 

 

その彼の唯一の肉親が、ある日突然殺されたんだ

 

 

 

 

それも、人を殺すことが生き甲斐のような、救い様の無い者の手でね

 

 

 

 

それまで慎ましくも幸せに過ごしていた、唯一の存在を、目の前で奪われた

 

 

 

 

 

君たちに、総介の悲しみが、怒りが理解出来るのかい?」

 

 

 

 

「…………」

 

 

海斗のゆっくりと宥めるような口調に、四葉と五月が、視線を落としてしまう。

 

 

 

「君たちも母親を亡くしている身だということは、こちらも重々承知しているよ。

 

 

 

それでも、今の言葉は僕も聞き捨てならない

 

 

 

 

僕達3人にとっても、総介のお母さんは分け隔てなく良く接してくれた大切な人だった。

 

 

 

 

 

でも、彼にとっては、唯一無二の肉親だったんだ。

 

 

 

 

君たちと同じように、父親のいない彼を、女手一つで育てて

 

 

 

 

これからという時に、欲に駆られた連中によって、無差別に殺された

 

 

 

 

君たちには、それぞれに4人の血を分けた存在がいる

 

 

 

 

けど総介には、もう何も無い

 

 

 

たった1人なんだ

 

 

 

 

たった一つの大切な存在を、人によって奪われたんだ

 

 

 

 

 

 

これが、どれだけの痛みかを理解出来ているのなら

 

 

 

 

 

復讐してはいけないと、総介の前で言うことができるかい?」

 

 

 

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

四葉も五月も、海斗の言ったことに、答えることが出来ないまま、そのまま下を向き続ける。

 

 

「……ね、ねぇ、大門寺君」

 

「……何かな、一花ちゃん?」

 

と、ここで一花が、話題を変える事と、自分が気になったことを海斗に聞いた。

 

 

「その浅倉君が復讐する相手って………どうなったの?」

 

 

「………」

 

 

一花の質問に、海斗は少し沈黙してから、再び口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

「………死んだ」

 

「!!!」

 

 

「正確には、消息不明かな。総介のお母さんを殺した『その男』は、状況としては死んでもおかしくは無いけど、遺体は見つかってはいない……

 

 

 

『その男』がいた組織も、一年前にようやく壊滅したよ」

 

 

 

「……じゃあ、浅倉君は、お母さんの仇を、とったの?」

 

 

 

 

 

 

「……いや、あの時は不本意な形での決着だった。

 

 

 

 

 

 

僕達4人でようやく追い込むこんだ後に……

 

 

 

 

 

 

 

その後、総介が出来たのは、『その男』の左腕を斬り落としたぐらいさ」

 

 

「………」

 

海斗の話を、戦慄しながら聞く一同。目の前の人間達の体験談は、恐怖を覚えるほどのものであり、現実に彼らが幾人もの殺しを行なってきた事を、正確に伝えられている事を改めて思い知らされる。

 

 

 

「……そこから先の話は、彼のためにも伏せておくことにするよ。もし聞きたかったら、本人に直接聞いてほしい……もっとも、総介が話そうとするかどうかは、僕にも分からないけどね……」

 

「………」

 

 

僕からの話は終わりだと言わんばかりに、海斗はフゥっと息を吐いた。

すると…….

 

 

 

 

 

「………ですが、今の総介さんは、変わられました」

 

「!………」

 

その直後にアイナの言ったことに、一同は下に向けていた少し顔を上げて、聞きいる。

 

 

 

 

 

「彼を変えたのは間違いなく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中野三玖さん、あなたです」

 

「!」

 

突然名前を呼ばれて、うちを開けて驚く三玖。姉妹も、一気に三玖へと注目する。

 

「いや、アイナの言うことも一理あるけど、正確には『昔に戻った』かな」

 

「昔に……ですか?」

 

「僕たちと出会ってからは、総介はずっと『大事な人を護れるように強くなりたい』と、前向きに道場で修行してたものだ。その時の表情と、今の総介が、どこか同じような気がするよ………」

 

「……誰かを、護る……」

 

「まぁその誰かさんってのは、昔だと旦那のお袋さん、今だとそこのヘッドホンのお嬢さんになるわけですかね?」

 

「……そうだね。三玖ちゃんの存在が、僕たちも見たことないくらいに、総介に影響を与えたのは間違い無いよ」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「話は終わったか?」

 

 

 

「「「「!!!?」」」」

 

「……浅倉……」

 

 

「ソー、スケ………」

 

 

姉妹と風太郎の後ろから、突然声がしたので、振り向いたら総介が襖にもたれながら立っていた。そしてその横に、刀次もいる。

 

良く見ると、服装が先程と違う。

 

 

日本刀を差しているのは変わらないが、上着は彼の代名詞と言える黒パーカーではなく、黒く丈の長い羽織を着ており、中には着流しの上から胴当て、両腕には籠手をつけている。今現在、海斗が着ている白の『刀』の隊服、それら反転させたような装束である。そしてその羽織の背中には、大門寺家の家紋があしらわれていた。

 

 

さながら、幕末の志士のような格好である。

 

 

「ったく、人ことをペチャクチャしゃべってくれやがってコノヤロー」

 

「嘘は言っていないさ。それより、どうやら届いたようだね」

 

 

「ああ、やっぱこっちの方が動き易いわ。前のロングコート(真選組モデル)はどうも肩周りがキツかったからな。やっぱ羽織の方が動き易い」

 

「いやこの隊服お前が考案したんだろうが!何自分で動きづらいっつって新しい奴拵えてんだ!」

 

横にいたそのロングコート(真選組モデル)を着る刀次が突っ込むも、総介は全く意に介してはいない。

 

 

「俺ァ旦那の発案したこの隊服好きなんですけどね」

 

「俺も見た目は良いんだがな。機能性と、どっかのニコ中副長とのペアルックはゲロ吐くほどヤダなぁってなっちまって、羽織の方を発注してもらった」

 

「良いですねェ旦那。俺も片桐さんとのペアルックには嫌気が差してたんでさァ。こりゃちょうど衣替えの時期ですね。

 

 

 

 

 

 

 

つーわけで片桐さん、今度から『どじょうすくい』の格好で任にあたってくだせェ」

 

 

「お前が着替えんじゃねぇのかよ!しかも『どじょうすくい』ってなんだ?!ほっかむりにザル持ってどうやって戦えってんだ!?」

 

「盾にでもすりゃいいんじゃね?」

 

「そして弾貫通して死ぬんじゃね?」

 

 

 

「お前らが今ここで死ぬか?お?」

 

 

総介と明人のおもちゃにされる刀次。割といつもの光景である。

 

と、総介が新しい『刀』の隊服でここに来たということは………

 

 

 

「ったく……おいお前ら、揃ったんならとっとと行くぞ。他の連中もすでに揃ってる。後は『総帥』とお前らだけだ」

 

「そうですか……じゃあ、行こうか」

 

 

「かしこまりました」

 

「へーい」

 

「え!?」

 

と、刀次に言われた4人が、各々に服装を整え始める。その様子に、二乃が声をあげた。

 

 

「行くって……どこに?」

 

「大門寺家の総帥………つまり、僕の父さんが、『懐刀』全員を招集したんだ。今から『謁見』しないとね」

 

「海斗君の……お父さん?」

 

そう聞いて、二乃は海斗の父ということで、ナイスミドルでダンディな姿を想像する……

 

 

 

 

 

 

「……挨拶しなくっちゃ!」

 

「ねぇ、『えっけん』って何?」

 

「とっても偉い人に会うって意味です」

 

「無論、今回の件についても話すから、二乃ちゃんや、みんなも来てくれるかな?中野先生、貴方にも是非お目通り願いたく思います。いかがでしょう?」

 

「………わかった」

 

「わかりました………」

 

姉妹のほとんどが、その提案を承諾したが、三玖は未だに俯いたままだ。

 

「………僕如きが、『大門寺の総帥』に目をかけていただいて良いのだろうか?」

 

「ええ、父はあまり気にしない人です。一目会えばわかりますよ」

 

「……では、僕も行くとしよう」

 

海斗の提案に、マルオも了承した。そして総介は、風太郎へも声をかける。

 

「上杉、お前も来い」

 

「お、俺も?」

 

「一度でも見とくといいさ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『世界の頂』ってやつをな」

 

「……い、頂……」

 

総介の口ぶりからして、とんでもない人物だということは明らかだろう。海斗の父、そしてこの巨大な大門寺家の頂点に君臨する男…………それは一体どんな人物なのだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、ただの『THE・ご都合主義人間(チートキャラ)』なんですけどね。

 

 

 

 

 

 

こうして、総介の昔話も終わり、一同は大門寺家総帥『大門寺大左衛門』へと謁見すべく、残りの『懐刀』が集っている(すめらぎ)の間』へと向かって移動を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソースケ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は………

 

 

 

 

 

 




総介の着替えの終わった新しい『刀』の装束は、『白夜叉』時代の銀時の黒バージョンだと思ってください。
今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!
すんません、今回で『懐刀』集結しませんでした。
次回こそ、本当に『懐刀』集結です!!


そしてチートというかもはやバグキャラの海斗の父も再登場します。
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