『同じ物を欲しがって
同じ時を過ごしたのが運の尽き』
こちらの曲は凄くカッコ良くて大好きなんですが、ここの部分だけとても気になりました。
おそらく違う意味で作詞されたのだと思いますが、私は真っ先に『主人公を取り合うヒロイン達の構図』が浮かんできました。……後書きに続く
前回のあらすじ……二人、三度出会う、以上!!
いや、まあそれは合っているんだが、問題はここからである。
偶然、必然、様々な要素が重なり合い三玖との再会を果たした総介。しかし彼は彼女を前に、再び硬直してしまっていた。
(…………やべぇ、どうしよう……)
三玖の可憐さにまたまた頭が真っ白になってしまう。何度会っても慣れない。もうこれホントどうにかならないだろうかと、は後で考えてしまうのは別の話。今の本人は心臓の鼓動もさっきより高くなり始めている。早くなんとかしなければ。
(……いかんいかん、落ち着け。金曜のことをまず謝らないと。エリザベスエリザベスエリザベス………)
頭の中でエリザベスを何匹も想像し、なんとか正気を取り戻す総介。そもそも頭の中でエリザベスが何匹もいること自体正気ではないのだが………
まぁそれはそれとして、総介は三玖に謝罪すべく行動を起こした。彼女の前まで歩いていき、
「………ゴメン!!」
顔の前で手を合わせ謝った。
その言葉で遠い世界に行ってた三玖も、総介の言葉で我に返った。
「………え?…え?」
三玖からすればずっと会いたかった人にいきなり目の前で謝られたので少し、いやいや大分びっくりしてしまった。
「いや、この前の金曜日『また明日』なんて言っちゃって……あの時すごいテンパってて、完全に週末なの忘れてしまってたし……名前も言わずに勝手にどっか行っちゃったから……だから、これだけはどうしても謝りたくて……本当にごめん!」
総介は再び手を合わせて顔を下げて謝る。三玖は彼はどうやら金曜日の件を気にしていたようだ、と、ほっとする。彼女からすれば別に謝られるほどのことでもないし、大して気にはしていなかった。それよりも、彼が自分に会いに来てくれた喜びに心を躍らせていた。
「………いいよ」
「え?」
総介の顔が上がる。
「私もあの時、金曜日だって気づくのあなたが行っちゃった後だったし、抹茶ソーダ、二本ももらってるし、一本目のお礼もまだできてなかったから…………これで、おあいこ……」
「………いいの?」
「うん、だから………」
三玖は総介に聞いた。
「………名前、教えて欲しい……」
ずっと彼に聞きたかったことを……彼女がずっと知りたかったことを……
「……………浅倉総介。君らの家庭教師の助っ人として、ここに来た」
「…………やっぱり、そうなんだ」
三玖は薄々気づいていた。さっき五月から風太郎が助っ人を連れてくるとのメール、そして風太郎と一緒にいる彼、この場所に彼しか知らない人がいないこと、赤点候補の自分でもわかることだ。すると
「………君の名前も、教えて欲しい。いいかな?」
総介も彼女の名前を聞いてきた。四葉が先ほど言ってたのを思い出したが、改めて彼女の口から聞きたかった。
「………中野……三玖」
ようやく互いの名前を知ることが出来た。
ここ数日、名前を知らないために『ヘッドホンさん』、『メガネのひと』としか呼ばなかった2人。
名前を知れたことで、2人はようやく出会えた気がした。2人の間にあった果てしない距離が、今まさに触れることのできる距離まで、縮まったような感覚。総介と三玖、その感覚が2人を包み込んでいた。
「ち、ちょっと待って待って!ストップ!ストーーーーーーップ!!!!」
高い声の叫び声が、そんな空気を一変させた。2人だけいた世界が一気に戻り、周りのものや人物も蘇った。
「何2人きりの世界に入ってるのよ!ってかあんたら2人知り合いだったの⁈」
「ええええ!浅倉さん、三玖のこと知ってたんですか〜〜!!?」
二乃が2人の関係に問い詰め、四葉もそれに続く。
「…………転校してきた時に、少し……」
それに三玖が答える。総介の方も頭をかきながら、うるさく聞いてくる二乃を睨み言う。
「っせーな。やかましいぞ塔城小猫。いや、白音の方がいいか?」
「誰がグレモリー眷属の戦車よ!中野二乃よ!いい加減覚えなさいよ!!」
「ええ〜」
総介は渋い顔をする。
「ええ〜って言うな!アンタがええ〜って言っても全然可愛くないのよ!っていうか、アタシと三玖で扱い全然違うじゃないの!!」
二乃がギャーギャー騒いでいるが、総介はどこ吹く風。まだうるさくなんか言ってる彼女に気に留めずに、彼は視線を風太郎へと向ける。
「………上杉、すまんな」
「あ、浅倉?」
「実はお前から五つ子だということを聞いたときに、彼女、ええと、中野さんがいる事はほとんどわかってたんだ。彼女に会って謝る機会が欲しかった。それがお前の頼みを受けた理由だ。邪な理由になっちまって、悪いと思ってる」
風太郎にも頭を下げて謝る総介。どんな形であれ、彼を三玖と会うために利用してしまったのは事実なのだ。謝罪してしかるべきである。
「い、いや。三玖と知り合いだったのは驚いたが、その……助っ人の件は」
どうやら風太郎はそこが一番気がかりだったようだ。
「ああ。依頼を受けた以上断るわけにもいかねーからな。そこは心配いらねーよ。助っ人の役割はちゃんと果たすつもりだ」
「そ、そうか!それなら「だぁかぁらぁ!アタシはそんなの認めないって言ってんでしょうが!!」に、二乃……」
風太郎が総介の言葉を聞いて一安心と胸を撫で下ろそうとしたのも束の間、二乃が会話に割って入った。どうやらまだ文句があるらしい。その様子を見て総介は溜め息をついた。
「そもそもアンタが家庭教師をする事自体認めてないってのに他の知らない奴なんか家に入れろっていうの⁈冗談じゃないわ!!そんな訳わかんない理由でこれ以上ずけずけとアタシたちの家に入んないでよ変態!!陰キャ!!」
「うぅ………」
「…………」
二乃の怒涛の罵倒ラッシュが続く。風太郎は少しばかりうろたえたが、総介は意に返さず、訳わかんない理由って家庭教師っつってんだろ、と内心突っ込んだが、言葉にはしなかった。同時に二乃の言葉の一部に注目していた。
(……『アタシたち』ねぇ……)
この女、どうやらただの自分勝手でもないようだ。無意識だが、姉妹を知らない男から守ろうとしている。上杉はどうか知らんが、俺に対しては敵意むき出しで威圧してくる。言うなれば、番犬が牙をむいて『ガルルル』と威嚇しているアレだ。うん、分かりやすい。そして番犬には必ず『守る対象』がいる。この女は、何かを守ろうと必死に俺を威嚇している。そして俺が彼女と既に知り合いと知るや否や、露骨に敵意を向けてきた。つまりだ、こいつが守りたいものは……と、
「大体アンタ何なの⁈三玖とちょっと知り合いだからって何⁈どうせ仲良くなれるんじゃないかって考えで近づいて来たんじゃないの!?」
おっとバレてたようだ。野生の勘てのは怖い怖い(棒)。まぁお前に教えてやる義理はねーけどな。
「ふん!どうせ体目当てで近づいたんでしょ!?それとも女子の部屋にでも入ってみたいなんて考えてんでしょ!?そんな下心なんて丸わかりなのよこの陰キャ!!アンタなんか絶対このドアの向こうに通すもんか!!三玖が目当てなんかどうか知んないけど、とっとと帰れ!そして二度とアタシたち近づかないで!!この変態陰キャやろおおお!!」
悲鳴にも近い叫び声で二乃が総介に対して罵倒の限りを尽くす。途中、四葉と三玖が彼女を止めようとするも、総介が手をかざして静止した。その動作を見た風太郎も、総介の視線が自分に流れてきたことにより二乃を止めようとする動きを止めた。そして総介自身も、一歩も動かずに彼女の罵倒を聞いていた。
ハァハァと息を荒くする二乃。どうやら相当体力を使って叫んだようだ。実際結構甲高い声だった。しばらく二乃の荒い呼吸が続いた後、総介が口を開いた。
「…………気は済んだか?」
「ハァ……ハァ……は?」
「だから、気は済んだかっつってんだ。有る事無い事、いや、この場合は無い事ばっかりか。まぁいいや。汚ねぇ言葉ばっか並べやがって。スッキリしたかって聞いてんだよ?」
「何……ハァ…ですって……ハァ」
総介には二乃の罵倒は一切聞いてなかった。言い返すどころが、二乃が悪口を言い切るのを待つ余裕まで見せた。
「おめーがそんなに俺を拒絶する理由なんざどうでもいいし、聞くつもりもねー。でもな、俺はこの土俵に乗るって決めてここに来たんだ。せめてその土俵で相撲ぐれーとらせてくれや。色々罵んのはその後でいいだろ?ええ?」
後ろで「ええ!浅倉さん相撲をしにきたんですか!?」という
「おめーらが勉強できないことも、勉強嫌いなことも、全部コイツから聞いた。中野さんの事を知ってなかったとしても、俺は上杉の依頼は受けてたと思うし、せめて検討はしていた(嘘です彼女の話が無けりゃ速攻で断る気満々でしたはい)。まぁ断ったとしても、どうせ上杉はまたここに来ただろ。」
「………アタシはそんな事話してんじゃ」
「そうだな。全くお前の考えてる事と違うもんな。……しゃーねー。じゃあ言ってやろう。お前は家庭教師をつけられんのが嫌なんかじゃねー。
「っっ!!!?」
「「!?」」
「……は?」
二乃が驚きと同時に顔を真っ赤にさせる。そして四葉と三玖は総介の言葉に驚き、風太郎はイマイチ理解できてない様子だ。
「………ちょ、ちょっと待ってくれ!浅倉、それってどういう事なんだ?」
たまらず風太郎が総介に質問してきた。
「つまりだな上杉、こいつは姉妹思いのとぉ〜〜ってもいい子な『番犬ちゃん』だったってわけだ。これで分かんだろ?」
総介がニヤニヤしながら風太郎の質問に答える。
「なっ!!?」
二乃の顔が更に真っ赤になり始める。風太郎もどうやら気付き始めたようだ。
「えっと……つまり、二乃は」
「ああ、勉強よりも、俺達がこのマンションや、他の姉妹に近づいて何かしたりするんじゃねーかって心配してんだ。あんなに汚ねぇ言葉並べて俺らにボロカス言ったのも、ヘイトを自分に向けさせて他の子の安全を確保するためだろーよ」
抑揚なく続く言葉を一旦そこで止めて、総介は後ろにいる三玖と四葉に目を向ける。
「………後ろの2人が驚いてる様子を見りゃ、姉妹はこのこと知らないみてーだな。多分、仲悪いのを演じて、姉妹と自分を分断させて、もし自分だけ手ぇ出されても、他の姉や妹だけは守ろうとした。その結果がさっきのあの悪口の嵐なんだろう。姉妹のことを大切に思ってると知られたら、その子らをダシに使われて、余計彼女たちに迷惑かけちまうからな。………違うか?」
二乃に聞いてみるが、答えは帰ってこない。口が動かない代わりに、体がプルプルと震え、顔がゆでダコの様に真っ赤っかになってしまっている。あ、顔下に向けた。もうこれは聞くまでもないだろう。
「………二乃……」
三玖が彼女の名前を呼び、近づいていく。
「………知らなかった……二乃がそんなこと思ってたなんて……」
「そ、それは!………!!」
二乃は否定しようとするが、顔が熱くなってしまい、どうにもうまく言葉に出来ない。すると三玖は言葉を続ける。
「………二乃が心配してくれるのは、嬉しい。でも……」
三玖は二乃の前に立ち、総介の方へと振り返る。そして……
「………ソースケは、悪い人じゃない」
「……え?」
「…………はい?」
二乃と同時に、総介が力の抜けた返事をしてしまう。まず、『いきなり名前で呼ばれた』事と、『会ってそんな経ってないのに悪い人ではない』と断定された事。いや、どっちもうれしい。特にいきなり名前で呼ばれるなんてすんごいうれしい。しかし、そんな早く悪い人ではないと結論を出されても、困る。実際あなた目当てで来てるんですが………今後仲良くなりたいのに逆に近づけなくなっちゃうんですが………
「…………何でそんなの分かるのよ?会ってそんなに経ってないんでしょうが?」
二乃が顔を上げて三玖に聞いてくる。
「うん。少し話をしただけ………でも、分かる。ソースケは、女の子を襲う様な、女の子目当てで来るような、悪い人じゃないよ」
(予防線張られたーー!!!!一番仲良くなりたい人にとんでもなく固ぇATフィールド展開されたァァア!!!シンジ君助けてェェェ!!てか俺の信頼度何でそんな高いの!!?逆に辛ぇよ!!今後どうすりゃいいか選択肢逆に狭くなっちまうじゃねーかぁぁあ!!)
総介の脳内がorz←こんな風になってしまった状況で、二乃が少し笑う。
「……ハハッ何それ?女の勘て奴なの?」
「………そうかも、しれない」
「わ、私も、浅倉さんはいい人だと思います!!」
ここで四葉が手を上げながら参戦する。
「浅倉さん優しそうな人だし、えっと、背が高いし、何か周りの人のことよく見えてそうで、あと………優しそうだし!」
(おい待て突っ込みどころしかねーぞ!背ぇ高くて周りよく見えそうっていい人じゃねーだろ!!精々集合場所にされるぐらいのメリットしかねーし!しかも『優しそう』ってそれ誰かの良いところを言うやつで何もない時に出てくる常套文句じゃねーか!!つまり俺のいいとこって、背ぇ高いだけじゃん!!中身ゼロじゃん!!!)
総介の脳内が○__/__/チーンとなってしまった瞬間、エントランスの方から声がした。
「あ、あの、これってどう言う状況なのかなぁ……」
「い、一体何があったんですか?」
全員がそちらを向くと、2人の女の子が立っていた。
1人はアシンメトリーのピンクのショートヘアに、耳にはピアス、上はカッターシャツだけで、黄色い上着はお腹で袖を結んでおり、あと、胸元のボタンが無駄に開いている。もう少しで見えるのではなかろうかと言うぐらいに。いかにもイマドキの女子高生的な雰囲気をこれでもかと言うほど醸し出している。
もう1人は赤く癖のあるロングヘアーに、頭頂部にはアホ毛が立っている。そしてこめかみ辺りには星型の髪飾りが2つ付いており、服装はカッターシャツに赤いベスト。こちらはもう1人と違って、真面目そうな子である。そして何故かその子の手には食べかけの肉まんがあった。
そしてこの2人、顔立ちがそっくりだ。いや、この2人だけではない。この場にいる他の3人ともそっくりなのである。つまりは………
「一花!五月!」
「いつからそこに……」
四葉が2人の名前を呼び、三玖がジト目で問いかける。
「えっと………二乃がそこのメガネ君にボロクソ言ってたあたりから」
ショートヘアの子が答える。
「結構前からじゃないのよ!!?」
二乃の顔が再び赤くなる。どんだけ赤くなるんだよと総介は内心突っ込む。
「し、しょうがないでしょう!二乃がその人と何か言い争いをしてて、入るに入らなかったんですから!」
アホ毛の子が言い争いを言い訳にして入って来れなかったという弁明する。そもそも言い争いってか、総介が一方的にボロクソ言われてただけなんだが……と、ここでショートヘアの子が……
「それにしても〜二乃ったら〜、私たちのことそんなに大切に思っててくれたんだ〜」
ニヤニヤしながら二乃に近づいて行き、抱きつく。
「ちょ、ちょっと!何すんのよ!」
「いいじゃ〜ん!いつも私たちにも素っ気なかったのは私たちを守ってくれてたんだってね〜。お姉ちゃん嬉しいぞ〜♪」
「だ、だから!それは、こいつが!……ヒャッ!?どこ触ってんのよ一花!!」
「まあまあ、姉妹思いの妹にお姉ちゃんからのスキンシップを〜「いらんわ!いいからはーなーれーろー!」あちゃー、フラれちゃった。姉さんショック」
ベタベタ抱きついてくるショートヘア、もとい一花を引き剥がす二乃。
と、ここで、ようやく総介が口を開いた。
「………なあ上杉」
「………なんだ?」
「こいつらが………」
「ああ、ここにいる全員で五つ子だ………」
風太郎の久しぶりの台詞を聞き、改めて五つ子を見渡す。
やたらお姉ちゃん言いたがるイマドキ系女子高生『一花』
悪口毒舌吐きまくりでも姉妹思いの『二乃』
大人しそうな見た目も中身もとっても可愛い女の子(総介目線)『三玖』
明るいバカ『四葉』「ちょ、私だけ短くないですか!?」
生真面目そうだがさっきから肉まんばっか食ってる。あ、二個目取り出した『五月』「二個目とは失礼な!三個目です!」あ、はい、すんませんでした。
ともあれ、これで五つ子全員が揃ったわけだ。改めて見てみると壮観である。
(五つ子なんて本当にいたんだな……)
双子でもそうそう会えないのに、五人なんてこの子らの母ちゃんどんだけ頑張ったんだよ、と思ったが口には出さないことにした。
と、ここで一花が切り出した。
「おっと、私たちはメガネ君とは初対面だったね。この子たちのお姉さんで長女『中野一花』です。よろしくね、メガネ君♪」
総介の目の前まで来て、前屈みになって上目遣いというなんとも斬新な自己紹介をする一花。その際、ボタンが開いた胸部がやたらと強調される。
「……………」
総介は一点を見つめながら黙り込む。その視線は明らかに一花の胸部を捉えていた。彼の考えはこうである。
『見て欲しいなら、見続けてやろうではないか!』
「………えっと、どこ見てるのかな?」
少し顔を赤くした一花が尋ねる。
「肉まん(あんたの)」
「こ、これはあげませんよ!!!?」
総介の言葉に一花よりも速く五月が反応して、肉まんを隠す。一花はその隙に胸元を隠し、総介の前から離脱した。顔が真っ赤なのを見るあたり、攻められるのには弱い方のようだ。まぁ総介からすれば三玖以外はそんなに興味無いので、どうでもいいことなのだが。
「いや、いらないから。てか何故に肉まん?」
「お、美味しいじゃないですか⁈」
「まあ確かにそうだが……」
こんな状況でも肉まん食べ続けるのはどうかと思うが………
「ちょっと待ってください……もぐもぐ……ゴクン。私は『中野五月』です。あなたが上杉くんの言ってた助っ人の方ですか?」
肉まん全部を飲み込んでから、何事もなかったかのように五月は自己紹介を始めた。
もうめんどくさいので受け流すことにした総介。
「………はぁ、そうだ。浅倉総介。今回上杉からの依頼であんたらの家庭教師の助っ人をすることになった」
「フータロー君とは知り合いだったの?」と一花
「いや、今日初めて会った」
「へぇ〜、そ〜なんだ〜」
わざとらしい言い方をする一花。しかしまだ顔は赤い。
「………今日初対面の人の頼みを、よく受けましたね……」
五月が何か疑うような目で言ってきた。
「………悪いか?」
「………いえ」
「まあまあ、いいじゃん、面白そうだし!」
と、一花が先ほどのやりとりから復活したのか、元気よく話に入ってきた。
「こんなところで立ち話も何だからさ、もう部屋行こうよ!フータロー君や浅倉君からも話聞きたいし」
「ちょ、こいつら部屋に入れるの!?」
一花の提案に二乃が、再び拒絶反応を見せる。
「いいっていいって。彼も悪そうな人じゃなさそうって三玖も言ってたしさ。一旦話し合おうよ、今後のこととか」
「私も賛成〜〜!!」
「………異議なし」
一花に続いて、四葉と三玖も肯定する。
「………仕方ないですね」
五月も渋々了承する。
「ぐぬぬぬ……」
「………どうすんだ?」
諦めろ、と言わんばかりに総介が聞いてきた。もやは二乃に先ほどの叫び声を上げて追い返す力は残っていなかった。
「………わかったわよ!入れればいいんでしょ入れれば!でも、なんか変なことしたら、すぐに追い出すわよ!!いいわね!?」
「へいへい」
ようやく二乃が折れた。一花がカードキーを使ってオートロックが解除される。自動ドアが開き、五人が中へと入ってエレベーターへと向かう。
「おい、どうした上杉、とっとと行くぞ」
「……!あ、ああ……」
総介に呼ばれ、彼についていく風太郎。彼の背中を見ながら、考え事をしていた。
(あの二乃を黙らせたり、何考えてるか分からない三玖が味方したりするなんて……さっきも、二乃が考えてたこと全部言い当てるし、浅倉って何者なんだ一体……)
総介の彼女たちに言うことを聞かせたことへの頼もしさと、場の空気を制圧できる存在感に少しばかりの恐怖を覚えた風太郎であった。
かくして中野家の五つ子と上杉風太郎、そして浅倉総介はついに一つの場へと集まった!今後彼ら彼女ら7人はどういった道を辿るのか、果たして五つ子は無事赤点を回避して卒業できるのか、そして総介と三玖の恋路はどうなってしまうのか!そして地球の運命は………うん、どうでもいいや……
全ては、作者のみぞ知るところである………
ちなみに総介がオートロックが開いてから考えていたこと
(………頭使ったのと肉まんの匂いのせいで腹減った……)
前書きの続き……なのでみんな違う物を欲しがっちゃえばいいんじゃね?と思い書き始めたのが当作品となります。
今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。
昼休み潰して投稿しました!