今回は少し箸休めってことで。あと、海斗の父の大左衛門についてハチャメチャな設定が出てきますが、シリアスな笑い、もしくはギャグだと思ってお読みください。
てかもうギャグですギャグ!
この作品は頭空っぽにして読める作品を目指してます。
大門寺家本邸『
それは大門寺邸の最も奥に在る部屋であり、200畳というホテルの大宴会場に匹敵する広さを持つ。
ここで行われる行事は、『総帥への謁見』、『【刀】が全員集っての決起の集会』『大左衛門の筋トレ場所』である。
ん?最後おかしくね?
……まぁ、何はともあれ、この部屋を自由に行き来できるのは、総帥である『大左衛門』、妃の『天城』息子の『海斗』と、それらの許可を得た者のみ。
この場所は、例え何者かが攻めて来ようとも、何人たりとも絶対に侵入を許してはならない、大門寺にとって不可侵の聖域なのである。
まぁ例え誰が攻めて来ようとも、ほとんどはその前に『懐刀』のエサ、ストレス解消、生贄、練習相手としてコマ切れにされちゃうのがオチなんですけどね……
そんな聖域の入口の襖まで到着した、総介、海斗、アイナ、明人、刀次、五つ子姉妹と風太郎………
「………何やら嫌な予感がするのですが……」
ここまできて、アイナは襖の取っ手に手をかけるのを渋った。原因はもちろん………
「安心しな。流石に総帥への謁見間近だ。剛蔵さんも空気読んでるだろうよ」
「………だと良いのですが……」
刀次のフォローにも、不安を拭いきれないアイナ。恐る恐る襖を開けてみると………
「おっかえりィィ〜〜〜〜!!アイナちゅわぁぁあああああんんぬっ!!!」
「……せいっ」
ボカァっ!
「ガビエラぁぁあっっ!!?」
「………すまん、全然読んでなかったわ」
刀次が訂正した通り、一切空気を読んでない……というか読むつもりのなかった剛蔵が、アイナに向かっておもいっきしダイブしてきたので、これをカウンターで正拳突きを顔面にお見舞いしたアイナ。その一撃で、剛蔵は数メートル後ろに吹っ飛ぶ。
「イタタタ……酷いじゃないかアイナちゃん!お父さん、悪い男たちを相手にして大丈夫かとずぅ〜っと心配してたのに、帰ってきていきなり殴るのなんてあんまりだよ!!」
「帰宅してからの挨拶でいきなり娘に飛びつく人の方がよっぽど悪い男に見えますが、お父様?」
「そんな!……いや待て。近頃はちょいワル親父が流行ってるって聞くし……俺もワルに見られてるのも、これはこれでワイルドさが出てアイナちゃんを少し胸キュンさせられるかも……」
「それ10年以上前の流行りですし、あと胸キュンどころか胸焼けで寝込むことになるのでやめてください」
剛蔵の意味のわからん企みに、怒りマークを頭に浮かべて冷たい目で見下すアイナ。
すると、後ろにいた二乃が、口を開く。
「お、『お父様』って……アイナの、お父さん?」
「………はい。お恥ずかしながら、この方が私の実の父です」
「……ん?おお、連れてきてくれたか!いや〜こんなところまでご足労頂き申し訳ない!」
ひょこっと顔を出した二乃を見た剛蔵が、そのまま倒れていた身体を起こして立ち上がる。
(で、デカっ!!)
二乃を始め、剛蔵と初対面の姉妹と風太郎は、立ち上がった剛蔵に目を点にして驚く。
200cmの身長を持つ巨漢。刀次と明人と同じ、『刀』の隊服の上からでもわかる筋肉質の肉体。顎髭を生やしたゴリラ……じゃなくて、無骨な顔立ち。彼らとは違い、日本刀は腰には差してはいないが、そもそも彼の得物は『大太刀』なので、普段は携帯はしてはいない。
「おー中野先生!お久しぶりですな!ということは、この子たちが、例の……」
「お久しぶりです、渡辺さん……はい、こちらが私の娘達でございます」
「ほほう、本当に五つ子なんだな。誰が誰かが見分けがつかんが……いやはやして、皆別嬪さんじゃないですか!かぁ〜!中野先生、アンタもまた幸せ者だ!こんな可愛い娘たちに囲まれているとは!
まぁいくら別嬪だろうとも、うちのアイナちゃんには敵いませんがな!ガーッハッハッハッハァ!!!」
「……やめてください、お父様。割とマジで」
豪快に笑う剛蔵に、それに顔を赤くしながらキツい目で父を睨むアイナ。
二乃を始め、五つ子たちは『この2人本当に親子なのか?』と疑うほどに、似ても似つかない2人だが、しっかりと血の繋がった実の父娘である。
と、剛蔵が笑うのをやめて、五つ子達へと顔を向ける。
「おっと!挨拶がまだだったな!
初めまして、お嬢さん達!自分は『渡辺剛蔵』!
ここにいるキュートでラブリーな自慢の娘のアイナちゃんの父親にして、大門寺家対外特別防衛部隊『刀』の局長だ!以後お見知り置きを!」
「だからやめてくださいってその自己紹介!」
自己紹介に明らかな蛇足が入っていたことにツッコむアイナ。
「は、初めまして。中野二乃です……アイナとは、クラスが同じで、友達です」
「おお!君がアイナちゃんの友達の子か!本人から聞いてるよ!アイナちゃんが初めて総介達以外で気の許せる友人が出来たと、よく俺に嬉しそうな顔をして言ってたり、2人で遊びに行く日はいつもよりテンションが上がっているもんだ!くぅ〜、まったくもって羨ましい!!」
「そ、そうですか……」
「やめて!娘の前で、娘の友達に家での娘の様子を喋るのは、もうやめてぇ!」
豪快にアイナの家での言動を暴露する剛蔵に、少し引いてしまう二乃。それを見たアイナは耐えきれなくなってしまい、赤く染まった顔面を両手で覆い隠して首を横にふり続ける。かわいい。
「羨ましいことこの上無しだが、ようやく娘に出来た心の友だ。これからもアイナちゃんと仲良くしてやってくれ!父としての頼みだ」
「え、ええ……それは、まぁ……」
剛蔵の要望に、二乃は少し答えを濁してしまう。そりゃだって、その前の部屋で聞いたことがショックすぎたからね……
と、そんなことは露知らずと言いたげに、剛蔵は二乃の次に、目を向けたのは………
「ん?そこのお嬢さん。えっと、首にヘッドホンをかけてるお嬢さん」
「えっ……」
急に指名された三玖が、ビクッと肩を揺らして反応する。
「君は確か、総介と付き合ってる子か!名前は……え〜っと……」
「………中野三玖……です……」
「おお!やっぱりそうか!前にアイナちゃんを追いかけ……じゃなくて、たまたま総介と歩いているのを見かけたからもしやと思ったが……いやいや総介!お前も中々にこんな可愛い子を侍らせるようになったんだなぁ!!」
「やめてくんない?その『侍らせる』って言い方やめてくんない?」
やる気の無い口調でツッコミをする総介。
「総介も年相応に、恋をすると聞いた時は驚いたもんだよ俺も!
……三玖さんといったか!見ての通り総介は、こうしてやる気の無いグニャグニャした物臭な奴ではあるが、こいつの中の魂は刀のように一本筋の通っている、文字通りの『侍』だ!決して君を後悔させやしないだろう!何があろうとも、どんな事をしようとも君を護ると、コイツはそう言ってた。その言葉は紛れも無い本物だ。総介の成長を見てきた者として、これだけは保証する!これからも総介と仲睦まじくあってほしい!」
「…………」
剛蔵は小さい頃から見てきた総介に、恋人が出来たことに今更ながら感慨深げになり、三玖へそう伝えるが、先程の二乃と同じく、三玖は答えることが出来なかった。
「グニャグニャって……俺普段そんなにひん曲がってんのか?」
「なんと言うか……『斜に構えてる』というのが表現として正しいかな?」
と、何事も無く会話をする総介と海斗。すると剛蔵は、残った3人を見る。
「さて!こちらのお嬢さん達は……」
目を向けられた3人は、ビクッとしながらも、順番に自己紹介をしていく。
「な、中野一花です。この子たちの長女です……」
「わ、私!中野四葉です!四葉のクローバーの『四葉』です!」
「わ、私は、中野五月です。よろしくお願いします……」
上から順番に自己紹介していったが、剛蔵はそれを見て、腕を組んでこう言った。
「なるほど!うん!顔がそっくりでわからん!!!」
「「「………えぇ〜〜……」」」
一纏めされた残りの3人であった。
「さてっと…………ん?」
五つ子たちとも面通しも済んだことで、本題に入ろうした剛蔵の目に、とある人物が目に留まった。それは………
「……ところで、誰だ君は?」
「え!?お、俺……?」
もちろん風太郎である。この場において、本来はいないはずであろう部外者である風太郎だったが、四葉のやらかしの所為と、自身が原作主人公故の
「え、えと、上杉、風太郎です……俺は、コイツら五つ子の……」
とにかく、剛蔵に聞かれたので答えようとした風太郎だったが……
「はっ!!さては貴様!!アイナちゃんを彼女にしようと企んで、ここに潜り込んだ者だな!!?」
「え……は、はぁ!?」
「おのれストーカーめ!!アイナちゃんは誰にもやらん!!お前に会わせる顔はない!!!即刻お帰り願おう!!!帰れ帰れ!!!」
「え!ええ!?俺が、ストーカー!?」
支離滅裂な言いがかりをつけ、やんややんやと騒ぎ出す剛蔵に、流石の風太郎も戸惑いを隠さないでいる。と、ここで刀次がすかさずフォローに入る。
「はぁ……落ち着け剛蔵さん。コイツは五つ子の家庭教師なんだとよ」
「何!?家庭教師!?………分かったぞ!アイナちゃんの家庭教師になって、そこからお近づきになる算段だな!?そうはいかんぞ!!アイナちゃんは貴様のようなのに頼らずとも学年でトップクラスの成績を残してるんだ!!
スゴいぞーカッコいいぞー!!
残念だったなぁ〜!そんな訳だから、アイナちゃんがお前に教わるものなんか何も無い!!分かったらこの場から即刻立ち去れ!!」
「……ダメだこの親バカゴリラ。話まったく聞いちゃいねぇ」
「仮に帰らせるとしても、理由が『娘に近づけさせない』ってのが剛蔵さんらしいですけどね〜」
「はぁもう…………お父様、落ち着いてください。この方は……」
見るに耐えられなくなったアイナが、風太郎のことの説明を始める。彼女は風太郎とは直接面識は無いのだが、海斗や総介からこれまで色々と聞いていたので、大雑把なことくらいの紹介は出来る。
というわけで、
「なるほどなるほど。ひょんな事から巻き込まれてしまった、この子達の家庭教師と………話は大体わかった。要するに、この少年はアイナちゃんとはなんの関係もないのだな。それならいい」
「よかねーだろ。そこの娘達以外で唯一部外者だぞ。このガキも色々と知っちまってんだ。どーすんだよ剛蔵さん?」
「まあまあ、そう急ぐな刀次。この少年に悪意があるわけでもないし、俺たちと敵対するような者でも無さそうだ。そこんところの話は『
「そりゃそうだが……」
刀次が風太郎の件で言葉に詰まっていたところ、突然とある人物が剛蔵の後ろに現れた。
「皆様、そろそろよろしいでしょうか?」
「「「!?」」」
「あ!この前の!」
それは、屋敷の雰囲気には似つかわしくない、執事服に身を包んだ男、刀次の兄であり、大左衛門の側近『片桐剣一』だった。
「お久しぶりでございます、皆様」
「え、あ、お久しぶりです」
いち早く反応した二乃を始めとした姉妹に、剣一が挨拶をする。
「おお、剣一か!『大左』はどうだ?」
「そろそろこちらに着く頃合いかと………」
「……そうか。刀次、とりあえずこの話はここまでにしよう」
「……しゃあねぇ。少し保留だな」
大左衛門がこちらに向かってると聞き、刀次もとりあえず今は引くことにした。
「お前達もだ。そろそろ大左が来る。並んで待機しとけ」
「はいよ〜」
「はい」
「承知しました」
「へ〜い」
海斗とアイナがそれぞれ普通に返事をするが、総介と明人の方は相変わらず間延びしたやる気の無さそうな様子だ。
と、剛蔵はマルオや姉妹にも目を向ける。
「おっと、中野先生、遅い時間となってしまってますが、あなたと娘さん達にも是非ここで、我々の『主』に会っていただきたい」
「我々も……ですか?」
「左様。この謁見にて、あなた方のことも話をしようと思います。それに、大門寺の現総帥との対面だ。中々レアですぞぉ〜」
「………分かりました。皆、それでいいね?」
「う、うん……」
「……いいわ。海斗君のお父さんだもの」
「………うん」
「わ、私も会ってみたい、かも……」
「………わかりました」
リアクションは違えど、五つ子全員が了承したため、風太郎もその流れのままに、この場所に残ることとなった。
すると、五月が広い部屋を見渡し、あることに気付く。
「あ、あの……ところで、『あちらの皆さん』は……」
五月の発した言葉に、姉妹、風太郎とマルオ、総介と明人が、彼女の指差した方に注目する。そこには……
「げっ……やっぱいたか……」
「今の今までよく大人しくしてたもんスね」
指の差された方を向くと、黒いボロボロの巨大な斧を背負った背中を壁にもたれさせながら目を瞑る大男、片膝をつき、片手で首下の十字架を触りながら祈りをするカソック姿の中性的な青年、そして、収めてある日本刀を目の前に置き、正座をしながら微動だにしない白い隊服を着た長い黒髪の女性。
「あ〜、女の方は知らねーが、他の2人と関わらねぇ方がいいぞ」
「は?どうしてよ?」
総介の忠告に、二乃が疑問を持つ。と、ちょうどその時、剛蔵が3人へと声をかけた。
「お前達もだ。そろそろ大左が来るぞ」
そう言うと、白い隊服の女性『今野綾女』は、何も口にせずに、そのまま目の前の刀を持って立ち上がる。
彼女ならまだ良い。問題は………
「嗚呼、神よ。力無き哀れなこの私が、この地に降臨なされる貴方様をとうとうお目にかかれるのですね……なんという幸せ。そしてなんという僥倖。此度はこの私に、いかなる言葉を授けていただけるのか、考えるだけでも恐れ多く、鼓動が止まらない……いかなる試練であろうとも、我が身は神の意志の実現の為に存在するのです。しからば、私の眼前にて、そのお言葉を……」
祈りを捧げていた男『アルフレッド・ショーン・ケラード』の言葉は続いた。
「………何なのアレ?」
「ただの『中二病』だ。お前らも見過ぎれば頭おかしくなっちまうぞぞ」
「ひ、酷い言われ様……」
「でもあの人、さっきから変なことばっかり言ってるよ」
大げさに手を広げて自分の世界に入って何か言い続けてるショーンに、若干引いてしまう姉妹達。
そして、もう1人。
「………ようやく来たか、大左衛門。待ってたぜぇ」
顔に傷の入った大男『長谷川厳二郎』が、目を開いて、不敵な笑みを浮かべながら立ち上がる。剛蔵と同じ程の体格を持つ彼は、その背に背負った巨大な片刃の斧、その白い布しか巻かれていない柄の部分へと手を伸ばすが……
「大左ならもうじき到着だ。まだそれは閉まっておけ、厳二郎」
「………チッ、こっちは早く
「まあまあ落ち着け。本当にもうすぐ入ってくるさ。その証拠に、『懐刀』全員が揃っている。ほら、総介達に会うのも久々だろう?」
「あ?」
厳二郎は剛蔵から総介達に目を移すと、総介、海斗、アイナ、明人の4人が……そして、いくつかの見慣れない人物達がいる。
「なんだお前ら、来てたのか………ところで、そこにいるガキどもは何だ?」
「ヒッ!………」
「な、何この人……」
「す、すごく怖いです……」
「………!」
厳二郎に睨まれた姉妹達の体が、硬直して震え出す。
「そう睨むな厳二郎。この子達は客人だ。これからの事を話す為にも、この場所にいてもらわなければならんからな」
「……なら、どうでもいいな。勝手にしろ」
そう剛蔵に言われ、速攻で五つ子に興味を無くした厳二郎。目を離して、そのまま歩き始めた。
と
「……ん、おい総介。テメェ
「お断りだコノヤロー。アンタの相手してる暇なんざねぇよ」
「………チッ、んだよ……まぁいい、大左衛門殺したら、次はテメェだ」
「あっそ。まぁどうせ無理だけどな」
目の合った総介と数回やり取りした後、厳二郎は再び歩みを進めて、よきところで胡座をかいて座った。
「……こ、怖かった……」
「何なのあの人……まだ震えが止まらないわ……」
厳二郎が目を離して、姉妹は緊張がほぐれたようで、
「ガッハッハッハ!いやぁすまんすまん!アイツは強いヤツにしか興味無くてな!基本他の連中にはああいう奴なんだ、俺に免じて許してくれ!」
剛蔵が笑いながら謝るが、ここにいる原作キャラ全員が戦慄する。総介達以外で、明らかに殺気を剥き出しにした人物に会ったことで、彼女達は改めて知った。
ここにいる人物は皆、百戦錬磨の人斬りであるという事を。
そして………
「中野先生、遅くなってしまってはいますが、あなた方はこちらでご覧になっていてください。我々の『王』が、ようやく到着したようです」
「………わかりました」
部屋の後ろに姉妹、風太郎、マルオを残して、剛蔵と刀次も部屋の中央へと歩いて行った。
「………何が、始まるの?」
「海斗君のお父さんが来るんでしょ……どんな人なのかしら?」
「……ソースケ……」
やがて、剛蔵以外の『懐刀』が、部屋の中央で横に並ぶ。
「そろそろ総帥のご到着だぞ、お前ら。久々の謁見だ、気ィ引き締めろ」
『刀』の副長にして、『懐刀』筆頭『銀狼』片桐刀次
「なんスか片桐さん、ビビってんですかィ?オムツは履いてきやしたか?」
「履いとらんわボケ」
マイペースな二刀流の天才剣士『夜叉』御影明人
「おい、何か臭うぞ。さては刀次さん、ビビり過ぎてウンコ漏らしたなコノヤロー?」
「マジですかィ?剣一さん、コイツのオムツ取り替えてくだせェ」
「お前ら後でしばくからなマジで。総介、ホントマジだからな」
「やってみろよ『銀マルチーズ』」
銀色の魂と鬼の如き力を宿せし侍『鬼童』浅倉総介
「私はお断りします。刀次は既に自分でオムツを取り替えできる年齢ですので」
「だから履いてねぇつってんだろ!!」
刀次の兄にして、総帥『大左衛門』の側近『朧隠』片桐剣一
「まったく……総帥への謁見だというのに、あの人達は……」
戦場を華麗に舞う二丁拳銃の美姫『戦姫』渡辺アイナ
「ははっ、賑やかで良いじゃないか。場が和むのも、肩の緊張がほぐれて助かるよ」
現総帥『大左衛門』の息子にして、完全無欠の男『神童』大門寺海斗
「…………」
寡黙な無表情の女性剣士『艶魔』今野綾女
「嗚呼、神よ。我が身の全ては貴方様の御為……」
大左衛門を『神』として異常なまでに崇拝する美青年『狂聖』アルフレッド・ショーン・ケラード
「早く来い……大左衛門」
主を殺す為に『刀』にいる異端の凶人『暴獣』長谷川厳二郎
「………よし、お前ら!大門寺が総帥のご到着だ!刮目せよ!!!」
彼らの前に立つは、現『刀』の局長にして、大左衛門の右腕『金剛』渡辺剛蔵
今ここに、世界最強とも謳われる『懐刀』が全員集結した!!!!!
そして、厳二郎を除いた全員が、その場に片膝をついて、
厳二郎は未だ、胡座をかいたままだが、剛蔵は気にしていない様子。
そして
部屋の前の襖が開き、2人の人物が入ってきた。
最初に入ってきた男……いや漢ッッ!!!
もはや人間か?と思うほどの筋骨隆々の肉体。場に似つかわしくない、上下黒のシャツとズボン。100人中100人、即ち全員が出会えば逃げ出すであろう悪鬼の如き強面に、唸るように逆立つ髪……
ぶっちゃけ範馬勇次ろ……ゲフンゲフン!
この漢こそ、大門寺海斗の父にして、大門寺家現総帥
今現在の地球上における『最強生物』
『
そしてその後ろを歩く、色鮮やかな十二単衣に身を包み、片手に上物の扇子、息子に引き継がれた美貌と、星のような輝きを放つ銀色の長髪をした妙齢の女性。しかし、その見た目は20代後半、下手したら前半と間違われてもおかしくない程若々しい。
彼女こそ、正真正銘海斗の実の母『大門寺天城』である。
2人が『皇の間』の上座へと到着し、それぞれに用意された高級な座布団へと腰を下ろす。そして………
「………まぁ、楽にしな」
有無を言わさない重厚感のある声を、目の前にいる『懐刀』全員へと声をかける。それは小さな呟きに過ぎなかったが、『懐刀』の面々、そしてその後ろにいる姉妹やマルオ、風太郎にもはっきりと聞こえた。その指示と同時に、彼に頭を垂れていた『懐刀』も、頭を上げてそれぞれに楽な姿勢をとる。
(……な、何なのあの人……あの人が、海斗君のお父さんなの?)
そして、大左衛門が入ってきた瞬間から、二乃を始め、その周りにいた姉妹達、風太郎、そしてマルオでさえも、指一つ動かせなくなってしまった………
動けば殺される………
先程の厳二郎の時とは比べ物にならない程の殺気……いや、闘気と呼ぶのだろうかか………
ただそこに存在するだけで、空間をも歪めんとするほどの圧倒的な威圧感に、元より闘いのイロハも知らない一般人である彼女たちが、大左衛門を見てすぐに感じた事……
それは、『死』。
圧倒的捕食者による、命乞いすら許さぬ、一方的な蹂躙。生物の頂点に立つ者の特権。それを7人は、自らに眠る骨の髄、脳の奥、血液の中………生物の根源である遺伝子レベルで、『本能』でそれを感じとった。
結果、全員がそのまま同じタイミングで正座をして、座り込むこととなった。
彼より頭を高くしてはならない……
体の細胞全てが、そこに現れた最強生物への服従を選び、気がつけば、全員人生で一番正しい姿勢で正座をしていた。
………その瞬間
「久しぶりじゃねぇかぁあ!!!大左衛門んんんん!!!!!」
胡座で座っていた厳二郎が、背中の巨大な斧を片手で抜いて、牙とも言うべき歯を剥き出しにして悪魔のような笑みを浮かべながら、大左衛門へと飛びかかって行った。
気がついた時には、2人の距離は既に1メートルも無く、厳二郎の斧が、彼の脳天を叩き割ろうと振り落とされた瞬間……
「………あ?」
その一文字とともに、大左衛門は座布団の左側に置いてあった肘置きから肘を浮かして……
軽く左手で払った。
まるで、目の前に現れた小蝿を、大人が鬱陶しがって払い除けるように………
その結果
バチィィィインンン!!!!!
「!!!!????」
凄まじい接触時の衝撃音と共に、厳二郎は何が起きたのか考える間もなく、そのまま吹き飛ばされ、襖を突き破って吹っ飛んで行った。
「キャアアアア!!」
その瞬間を見てしまった五月が、我慢できずに悲鳴をあげて、誰かと考える暇も無くマルオへと抱きつく。マルオも、娘を守らんと、自然と彼女の背中に腕を回していた。もはや恥も外聞も無く、今はただ、怯える娘をあやそうと、背中に回して隠した娘の頭をゆっくりと撫でて、宥める。
他の姉妹、そして風太郎は、その様子を見る余裕すらあらず、目の前で起こった出来事に、大量の冷や汗を流しながら黙り込む。
2メートルを越える大男が、ただ手を払っただけで、高速で吹き飛んでいった。
その事実を目の当たりにし、もはや出る言葉すら失ってしまった他の5人………
「………やっぱああなるよな〜」
「死にましたかね〜?」
「いやどうせ生きてんだろ?あの男は耐久力と総帥への執着だけは一級品だからな」
「ったく、厳二郎の奴め………」
「『神』に叛し愚か者が……土へと還り、神が降りしこの地の肥沃の一端となるがいい」
目の前にいる『懐刀』達は、特に驚いた様子もなく、さもバラエティ番組を見ているかのように、各々が好き勝手に物を言っている。
…………と、
「しゃらくせぇぇええええ!!!!」
吹き飛ばされた厳二郎が戻ってきて、再度大左衛門に斬りかかる。
「……な、生きてただろ?」
「ほんとだ。にしてもしつこいもんですね、あの人も」
戻ってきた厳二郎に、特に動揺もせずに総介は明人と会話する。
その間にも、厳二郎
はもう一度、大左衛門の脳天をカチ割ろうと斧を再度振り下ろした。
が
「!!!!??」
大左衛門はその振り下ろされる人間の体重程ある重さの斧を、人差し指と中指の2本で挟んで止めた。
「………おいおい、久しぶりに会ったと思えば、『飼い主』のことすら忘れちまったのか?」
「………あ゛?」
額に血管を浮かべながら、大左衛門を睨む厳二郎。しかし、その殺気を向けられている当の本人は、依然として涼しい顔をしている。
「その腰の
「!!!!テメェェエああああ!!!!」
大左衛門の言葉に、怒りの頂点に達した厳二郎が、激しく叫ぶが、指に挟まれた斧を、いくら抜こうとしても、抜けない。堪らず彼は、腰に差された太刀を抜いて、それで大左衛門へと斬りかかろうとするが……
「ストップだ!もういいだろう、厳二郎」
それを見かねた剛蔵が、2人の間に入った。
「今の2回の攻撃で、大左に手傷すら負わせられなかった。その時点で既に勝敗は喫していたんだよ」
「…………」
「悔しいかもしれんが……厳二郎、今回もお前の負けだ。最初の約束通り、そのまま『懐刀』として任務に就いてもらうぞ」
「………くそっ!」
剛蔵に諭され、ようやく敗北を認めた厳二郎。それを見た大左衛門も、指の力を抜いて、斧が抜けるようにする。
そして、厳二郎は斧を抜いて大人しく背中にしまうのだった。
「あ〜あ、また負けちゃいやしたね、長谷川の旦那」
「そりゃそうだろ。総帥に楯突こうなんざ、ヤムチャの分際で『全王』殺そうとするのと同義だ」
それを見ていた総介と明人が、胡座をかきながら自宅でテレビを見ている感覚で話し合う。
一応厳二郎のフォローのため言ってはおくが、長谷川厳二郎は『懐刀』でも最強クラスの戦闘力を持つ男である。その厳二郎でさえ、大左衛門の前では子供どころか、ペットの子犬レベルでしかないのだ。
では、そんな『大門寺大左衛門陸號』の強さとは、どれくらいなのか……
大門寺大左衛門陸號伝説一覧
【確認済み】
・4メートル級のグリズリー数体を遊び感覚で屠る(56話)
・指の力だけで巨大な斧を挟んで止める(さっき)
・肉体が堅すぎて銃弾が効かない
・肉体が堅すぎて刃で斬れない貫けない
・ヘリコプターのプロペラの回転に腕を突っ込んで、プロペラの方がポッキーみたく折れる
・バズーカの砲弾を片手で掴んで無効化
・落雷を手刀で斬る
・戦車をアッパーカットの際に生じた風圧だけで真っ二つに両断
・目に見えない腕の振りの速さで敵の上半身や首を吹き飛ばす
・相手を睨んだだけで殺す(恐怖による過呼吸で心肺停止、そのまま死亡)
・富士山の登山道ではない急斜面をランニングで登り下り
・チタン合金の扉を障子の襖みたいに破る
・強さが全盛期に到達しておらず、未だ成長途中
【以下、真偽不明(あくまで不明)】
・デコピンで顔面粉砕
・ミサイルが着弾しても軽い火傷
・核ミサイルでようやく殺せる……はず
・軽いジャンプで東京スカイツリーの展望台まで飛べる
・超高層タワービルをパンチ一発で崩壊
・指一本が一つの国家の軍隊並みの強さ
・瞬間移動をマスターし、範囲は地球全域
・1000m級の山を切って持ち上げ、そのまま海に投げて島を作る
・舞空術を会得しており、空中浮遊が可能
・マグマの中に入っても熱湯風呂気分
・宇宙空間で24時間以上生存可能
・最低気温ー30°の極寒の地に1ヶ月いても体内で発生させる熱だけで余裕で生存
・本気を出せば地球壊せる
・多分かめはめ波打てるかも
・ギャリック砲も打てるかも
・魔貫光殺砲は……無理かな
・ナメック星に行ったことがあったりなかったり
・これでもクリリンより弱い
・一応ヤムチャよりは強い
・こんなんだけど、妻に頭が上がらない
※こんなんだけど、一応人間。サイヤ人ではない。
「って最後ほとんどドラゴンボールじゃねぇえかぁああああ!!!」
所々ネタは混じってはいたが、最後はモロである。
「ホントなんであの人、この小説に出てるんでしょうね〜?」
「まったくだ……この小説一応ラブコメだぞ?『五等分の花嫁』だぞ?何あの中学生の黒歴史ノートに載ってそうなチート設定?人間じゃねぇし、最後おもっくそドラゴンボールだし」
「父さんは多分、『SAO』や『FGO』の世界に行った方が有用なんじゃないかな?」
「それ言うならお前、『鬼滅の刃』の方がいいだろうよ。あんな総帥相手じゃ、無惨とか生きてられんのか?逆に心配になるわ」
「皆様、メタすぎますよ。少しは自重してください」
好き勝手話す『新世代の刃』だが、お前らも大概強いだろ。大左衛門がチートなだけで。
「愚物め……己の力の至らなさすら見分けられぬ盲目の獣が、『神』の前に平伏すことを幸福と知れ」
ショーンが、厳二郎をゴミを見るように睨みながらそう言い放つ。
「…………あの男には、『今は』誰も勝てない」
そして綾女も、ボソッとそう呟いた。
一方、それを後ろで見ていた五つ子姉妹、義父のマルオ、そして風太郎は、今しがた起きた出来事に、絶句していた。
現れた瞬間に『主』に向かって本気で殺しにかかった大男。それを全く気にせずに、ただ手を払っただけで吹き飛ばした海斗の父。そして大男も、それに屈せずに再度斬りかかるしぶとさ。
そしてそれを、いつものように表情一つすら変えずに傍観し続ける総介達。
全てが異常、いや、異形だった。
違う
世界が違う
自分達とは、世界が違いすぎる………
特にマルオと風太郎は、その頭の良さや、医学の観点からして、超高速で吹き飛ばされた厳二郎が、軽い傷だけですぐさま戻ってきたことから、彼が大左衛門より弱いとは言え、人間の範疇を十分超えていることは、容易に想像できた。
マルオは、父として………
今すぐにでも、娘達を連れて逃げ出したい……
『あの人』の置いて逝ってしまった『宝』を何がなんでも守らねば……
そう思った。思ったのだが……
大左衛門の威圧感の端くれだけですら、一般人がその場を動くことすら許さないほどに辺りに充満していた。マルオはただ、そのオーラに当てられてしまい、自分の胸の中で泣きじゃくる五月を宥めることしか出来なかった。
風太郎もそうだ。変な奴だと思っていた総介が、ここまでの異常な環境で育ってきたことに、大きな衝撃を受けていた。今まで、総介に疑問を持ち続けていたが、ここにきてようやく答えが出た。
総介が普通に見えるほどに、周りの連中が異常過ぎるのだ。そして総介も、その異常の1人の中に………
そしてそれは、四葉と一花も同じだった。
とんでもない人たちと関わりを持ってしまったと。ほんの一瞬だけ、風太郎のことがありながらも、今の学校に転校してきたことを後悔してしまった。
そして、二乃と三玖………
彼女たちは………
「ああ、悪かったならお前ら。まあいつものことだ。大目に見てやってくれ!」
2人の心境を語る前に、剛蔵が皆にそう謝って、その場を取り仕切る。総帥との謁見の際は、いつも彼がその立場を担っている。
そして、剛蔵は戻った厳二郎含めた『懐刀』全員に向かって、話し始めた。
「さて、では始めようか!わざわざこれだけのためにお前達を集めたわけじゃない!
実は数刻前、同盟相手である医師、中野先生の親族が襲撃を受けた。後ろにいる方々がその人たちだ。
幸い、総介と海斗が網を張ってたおかげで、襲撃者は一網打尽。この件は一件落着……
と、言いたいところだが、まだ終わっちゃいねぇ」
その剛蔵の言葉に、総介と海斗がピクっと反応する。
「先程、情報班から連絡が入ってな
襲撃した者の背後が分かった!」
それを聞いた『懐刀』の全員が、剛蔵の話に注目する。
そして剛蔵が、大左衛門の側近である剣一へと目を向け………
「剣一、お前が手に入れてくれた情報通りだ。礼を言う
奴らの背後に、『
「!!!」
「!!?」
「……あ?」
「………」
その言葉に、反応の差異はあれど、綾女と剣一以外の『懐刀』全員の目が大きく見開かれた。そして大左衛門が、ニヤリと笑いながら、こう呟いた。
「まだ生きてたか…………あの蛇どもが」
次回、『大門寺と霞斑』
はい、大左衛門頭おかしい!
もうチートとかじゃないです。バグですよバグ。
大左衛門の外見のモデルは範馬勇次郎ですが、強さのイメージは『トリコ』で言う『八王』や『HUNTER×HUNTER』で言う『メルエム』です。要は人間どころか、生まれながらに生物の頂点に位置する存在。
チートとか通り越して、馬鹿馬鹿しいほどの強さを持つ存在で、八王やメルエム、範馬勇次郎や藍染惣右介、安心院さんや江田島平八や、それこそドラゴンボールの『全王』を脳内に浮かべながら書きました。
マジでコイツ1人で、作品が終わっちゃうレベルです。
今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!
次回は姉妹を襲った黒幕と大門寺、そして総介の因縁の話です。その後に、五つ子と風太郎の心境を書く予定です。