世界でたった一人の花嫁と銀ノ魂を持つ男   作:ハムハム様

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約三週間ぶりの更新です。皆様お待たせ致しました。
前回、R-18を一旦終えてから休暇をとっており、その間に他の漫画(『ONE PIECE』をメインに『NARUTO』とか『BLEACH』とか)を読み漁ったり、それらを考察する動画を見たりしてました。やっぱバトルものっていいな〜。
あの頃のワクワクが蘇るわ〜。





83.ハーレムはエ◯ゲーに限る

「シャッター音……ですか……」

 

「確かなのかい?」

 

「ああ。俺も三玖も、確かに聞いたし間違いねぇ………だが、殺気も何も感じなかったし、三玖をその場に1人残すわけにもいかなかったからな、結局正体は解らずじまいだ」

 

 

 

 

修学旅行初日。時間は経って、夜。

ホテルのレストランで夕食を食べている生徒達は、班ごとにテーブルを囲んでわいわいと雑談をしながら食事をとっていた。

勿論、総介、海斗、アイナの3人も例外ではなく、あまらは話を聞き取られないように、端の方のテーブルをとり、各々のメニューを口に運びながら、総介が昼の出来事を報告していた。

 

「………仮に『霞斑』だとしても、すでに彼女たちの顔は知られています。カメラで撮影する意味と、その先にある目的とは一体……」

 

「さぁな。偵察にしちゃあどうにもタイミングが不自然極まりねぇ。普通全員いるところをカメラに収めてぇところを、俺と三玖のツーショットのところを狙ってきやがった。三玖だけを撮るってことも、俺への当て付けかもしんねぇが、んなチープなことで動揺すると思ってんなら、ヤロー共の目も一年で相当腐っちまってるってこった………」

 

「…………」

 

いくら京都が『霞斑』の総本山が存在した場所と言えど、五つ子姉妹を護衛するのは『鬼童』『神童』『戦姫』の『懐刀』三人。軍事要塞を片手間で制圧可能という圧倒的な『個』の戦闘力を有する者が、直に護衛をしているのだ。スポーツ選手のキャリアで例えると、その辺の自称喧嘩が強いチンピラは最近スポーツを始めた小学生、『懐刀』は年俸50億稼ぐプロアスリートのスーパースター、それくらいの……いや、それ以上の差がある。

加えて、彼らに慢心など一切無い。少しでも動きを見せようものなら、念入りに徹底的に標的を叩き潰す。なんなら必要無いオーバーキルも平気で行う。トッププロが素人小学生相手に世界大会決勝戦の意気込みで、全力で潰しにかかるように………

 

そのような状況の中でも、『霞斑』は残党だけで姉妹の誘拐を企むのだろうか………

 

 

 

「…………総介」

 

と、ここで海斗が口を開く。彼は総介が話している最中、珍しくスマホをいじりながら聞いていた。どうやら何かを調べているようだ。

 

「……どうした?」

 

「……もしかしたら、これじゃないかな?」

 

そう言って!海斗は総介とアイナに画面を見せた。そこには、とあるニュース記事が掲載されていた。

 

 

その内容とは………

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

「みんな、聞いて………

 

 

 

 

盗撮犯に追われているわ」

 

一方、こちらは五つ子姉妹の班。二乃が食事中に口を開いた言葉に、向かいの席にいた四葉の箸が止まる。

 

「えっ」

 

「もぐもぐ………」

 

五月も二乃の方を向くが、箸を全く止める様子は無い。流石は食いしん坊娘。

 

「京都駅にいたころからずっと感じてたの。そしてお昼に山を登った時に確信した。間違いないわ。修学旅行生がターゲットにされるって、ニュースで前見たもの」

 

二乃は京都駅や、稲荷山の山頂に着いてからしばらくして、確かに同じシャッター音を耳にした。最初は空耳かと思ったが、同じ音を背後から何度も聞いたことで、二乃も疑念が湧き、少し前のニュースで

 

『修学旅行生をねらった痴漢被害、京都市が注意喚起』という記事を思い出して、確信へと変わったのだ。ちなみに、海斗が目にした記事も、同じものである。

 

 

「………だとしても、なぜ二乃なのですか?」

 

「ど、どういう意味よ!」

 

結構失礼なことを言う食いしん坊五月。

 

すると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カシャン

 

 

 

 

「!!やっぱり!」

 

と、後ろからしたシャッター音に、二乃は今度こそ盗撮犯だとタカを括って振り返ると……

 

 

 

 

 

「ご馳走だねー」

 

「インスタあげよー」

 

 

別のテーブルで夕食中の女子が、食事をスマホのカメラで撮っているだけだった。

 

 

「…………」

 

「それより三玖と一花は……」

 

「三玖は疲れちゃったみたいで、部屋で休んでるって。一花は先にご飯食べて、どこかいっちゃった」

 

二乃の話など聞いてないかのように会話をする二人。

ちなみに、三玖は体力か無い故に、山登りやその他の観光などで疲れ果ててしまい、今は自室でぐっすりと眠っているようだ。

 

「三玖にいくつか持っていきましょう」

 

「そうだね、起きたらお腹すいてそうだし」

 

と、五月が何故か持っていたタッパーに、四葉と一緒におかずをいくつか入れてゆく。

 

(……一花はどこ行ったのかしら?まぁ、どうせ上杉関連だと思うけど……)

 

一方の二乃は、一花が単独行動をとっている理由を大体察していた。

 

 

 

 

 

そしてその理由となっている張本人はというと………

 

 

 

「……………」

 

「何度もすまない、トマトも苦手なんだが、食べてくれるかい?」

 

武田に苦手な食べ物の処理をさわやかに押し付けられていた。とはいえ、貧乏性の風太郎は何も言わずに貰って食べているのだが……

 

 

「おや、上杉君。どうかしたかな?」

 

「あいつ……前田はどうした?」

 

「長いトイレだね」

 

多串君こと前田がいないことを疑問に思う風太郎だが……

 

「………じゃあ俺も」

 

「ということは僕もだね」

 

「付いてくんな」

 

 

修学旅行に来てまで風太郎にストーカー行為をはたらこうとする武田。

 

…………気持ち悪っ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

「………どうしよう………」

 

 

中野一花は迷っていた。

 

 

 

何に?

 

 

自身の恋路についてである。

 

 

というのも先日、修学旅行の少し前のこと。

全国模試を終え、押し入れを整理していると、謎のダンボール箱が出てきた。それが五月のものだということがわかり、持ち主が持って行こうとしたとき、あるものを落とした。

 

 

それは、とある写真だった。そこに写っていたのは、カメラにピースをする少女と、金髪のふて腐れたように目線を逸らす少年。

 

 

 

それを見て、一花は………

 

 

 

 

「………そっか」

 

 

 

写真を見て、全てを理解した。

 

 

 

 

 

 

やはりそうだ

 

 

 

 

 

 

 

林間学校で、金髪の彼

 

 

 

 

 

 

 

 

『この中で昔、俺に会ったことがあるよって人ー?』

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの写真。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間違いない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六年前、あの時に会った男の子は………

 

 

 

 

 

 

 

それから、一花はこの京都での修学旅行で、風太郎に告白することを決めた。

 

 

 

 

しかし、決めたとはいえ、段取りは一切考えてはいない。なんとな〜く告白しようと思っただけだ。自身の想いと、六年前の話のことを………

とはいえ、一花が今告白したところで、彼が振り向いてくれるだろうか………

 

 

『お前らみたいな馬鹿が、あの子のはずねーわ』

 

 

あんなことを言っていたので、正体を明かしたとしても、自身の想いに必ず応えてくれるとは限らない。

元より、『恋愛は学業から最もかけ離れた愚かな行為』だと本気で思っているような男だ。そもそも告白したとて、突っぱねられる可能性が高い。

 

 

 

しかし、それも出会った当初の話。

あの頃から少し経って、彼の周りの環境をガラリと変える人物が現れた。

 

 

 

 

 

『浅倉総介』

 

 

 

 

 

風太郎が家庭教師の助っ人として連れてきたこの男の登場が、自分達の全てを変えた。

 

 

 

姉妹の中で一番変わったのが、三玖だ。

一花が総介と初めて会うより前に、三玖は彼と面識があったようだった。

そして何があったかは知らないが、他人と一定の距離をとるのがデフォルトの三玖が、異常に総介に懐いていた。

それはもう、彼に恋していると言わんばかりに。いや、実際してたんだけど………

そして総介も、三玖に好意を持っていたようで、二人の距離はまるで磁石のN極とS極のように、あっという間にくっついていき、やがては恋人同士となった。今ではそれをも超えたとも言えるような、イチャイチャバカップルっぷりを周りに見せつけている。

 

そして二乃も、三玖ほどではないが、総介との出会いで変わった姉妹の一人だ。

いや、正確には『総介と繋がりのある人物』との出会いが、だろう。

彼女は総介が来てからというものの、ますます家庭教師に反抗するようになった。風太郎は二乃を持て余していたが、総介の方はそんなのどこ吹く風。二乃のアニメでの中の人でイジり倒しながら、時に正論で黙らせる。それに二乃も、無意味な反論をする日々だったが、ある時に彼女は、総介の幼なじみである『大門寺海斗』と出逢い、ガラリと変わった。

海斗の隣に立つに恥じぬような女になるために、彼女は風太郎や総介に勉強を教えてもらうようになった。

調子のいい奴だと言ってしまえばそれまでだが、それほどに彼女は、恥も外聞もなく、海斗という人間の頂点のような存在に近づくための努力を惜しまなかった。恋は人を変えるというのは、どうやら本当らしい。

 

四葉は………元々風太郎に友好的だったので、総介を助っ人と受け入れるのも早かった。

 

五月も、最初は反抗していたものの、中間試験で彼に説教を受けてからは、真面目に勉強を教えてもらうようになった。途中家出のハプニングもあったが………

 

 

 

 

 

では、一花はどうだろうか?

勉強面では、色々と助けてもらい、三玖に続いて赤点回避することに成功はした。

しかし、それ以外で、何か変わっただろうか………

 

 

 

 

分からない。

彼と出会ってなかったら、自分はどうなっていたのだろうか、出会ったなくても、今のままでいたのだろうか、見当もつかない。

 

 

 

 

ただ、言えることが二つある。

 

 

 

一つは、総介との出会いが、姉妹だけでなく、風太郎も変わってきていること。

 

 

 

 

 

そしてもう一つが………

 

 

 

 

 

総介と出会ったようがいまいが、一花が風太郎を好きなのは変わらない、ということ。

 

 

どうなっていようが、彼が昔、京都で会っていた少年だということにはたどり着いていただろう。そして、自分はそのまま風太郎を好きになっていただろう。そこに他者の介入はありはしない。彼を好きになったのは、自分なのだから………

 

そして、その風太郎も、徐々に変わり始めてきている。

何者も寄せ付けない、独り善がりの塊のような人物だった彼が、五つ子や総介、海斗との交流を通して、だいぶ軟化したようにも見える。

 

 

もしかしたら、今告白してしまえば、OKを貰えずとも少なからず意識はしてもらえるかもしれない………

そんな早急に答えを出してほしいわけではないが、如何せん周りのカップルどもがイチャイチャイチャイチャしまくっている分、自分も風太郎とああやってイチャつきたいという欲望も出てくる。

さらには、その続きも……と思ってしまう自分は、浅ましく見えるだろうか……

 

 

そう考える中で一花は、前に姉妹達がかけてくれた言葉を思い出す。

 

 

一つは、林間学校の最終日に、三玖が言ってた言葉……

 

 

 

『私たちは、みんな違う……好きになるものも、人も……みんな違う

 

でも、それはバラバラじゃない

 

みんなが何を好きになるか、誰を好きになるか

  

それは、みんなの『自由』だから』

 

 

 

 

『バラバラになるのは、勝手にそうなるけど

 

『自由』は、みんな自分の考えで、自分の足で、歩けるの

 

それは、私たちは、どこにいても、バラバラじゃない

  

みんなそれぞれが、『自由』に生きているだけだから』

 

 

 

 

 

『だから、一花も『自由』にやったらいいよ

 

それで、みんながバラバラになるわけじゃない

 

みんなそれぞれが『自由』な生き方をするだけなんだから』

 

 

 

 

 

もう一つは、春休みの家族旅行で、おじいちゃんの旅館に行ったとき、四葉と屋根の上で昔の話をする機会があった。

 

四葉がやんちゃだったように見えて、一番お母さんに怒られていたのは一花だったり、一花よく姉妹のおやつやものを横取りしたり、母が死んだ後の五月を見て、姉らしくしないとと思ったり等………

 

色々と話をした後、四葉はこう言った。

 

 

 

 

『一花だけ我慢しないで、したいことしてほしい……かな!』

 

 

 

 

三玖と四葉の言葉があったからこそ、一花は風太郎が好きなことを、二乃や三玖に言うことができた。四葉と五月には、まだ言っていないが、いずれは打ち明けるつもりだ。

 

 

(………やっぱり………言おうかな)

 

 

自分がどう思っているのかを………昔、この地で出逢ったことを………

 

 

 

 

 

そしてその時から、私は…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャアアアアアアア!!!

 

 

 

 

近くで妹たちの甲高い悲鳴が聞こえたのは、その直後のことだった。

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

その数分前………

 

 

「………しかし、盗撮犯ね〜。仮にそいつが昼のシャッター音の犯人だったとして、三玖と俺とのツーショットを撮るとか、とんだマニアックな趣味のヤローもいるもんだなオイ」

 

「何故君と三玖ちゃんの逢瀬のところを撮影したかはさておき、ニュースになった場所はここからそう遠くはないし、犯人もまだ見つかってはいない………『霞斑』以外で考えられるのは、それが妥当だと思うよ」

 

「盗撮ですか………まったく、このような事態の時に……」

 

総介、海斗、アイナの三人は食事を終えると、海斗のファンの女子共からダッシュで自室まで逃げ、アイナもその流れで、部屋に鍵を閉めて食堂での件について話し合っていた。

 

「一応、そちらにも警戒はしておくけど、あくまで僕たちの主な警戒対象は『霞斑』だ。二人とも、決して優先順位を履き違えないよう、肝に銘じておいてほしい」

 

「…………かしこまりました」

 

「うい〜」

 

総介はいつものようにやる気の無い返事をするが、アイナはどこか思うところはある様子。

もちろん、自身が女子だということもあるが、何より親友の二乃、そして三年生に進級してから、交流を深めていた他の姉妹達が盗撮犯という卑劣な輩にターゲットにされるなど、内心怒りが湧いていた。

 

 

「………まぁそいつも次現れたらとっ捕まえてリンチすっけどな」

 

「!………」

 

 

すると、総介がベッドで寝転がりながらボソッと呟く。

アイナがどう思っているかは知らないが、総介も、昼に三玖という恋人が被害にあってる以上、見過ごすつもりは微塵も無かった。

誰を敵に回したのかを、骨の髄まで思い知らせてやろうと、内心殺る気満々だった。もっとも、『霞斑』を血祭りにあげるのが先ではあるが………

 

 

「………さて、翌日からの予定を整理しよう。明日は市内の観光がメインのようだねあ。清水寺に行って、それから………」

 

 

海斗がしおりを開いて、明日以降の予定を確認しようとした、その時……

 

 

 

 

 

 

 

…………キャアアアアアアア!!!

 

 

 

 

 

「「「!!!」」」

 

 

遠くからではあるが、確かに聞こえたその悲鳴に、三人が一斉に反応する。総介も、一瞬で飛び起きる。

 

 

 

まさか………ホテル内にまで!?

 

 

「女子部屋の階です!」

 

「わあってらぁ!」

 

「急ごう!」

 

 

恐ろしいほどの速さで、三人は部屋から出て、悲鳴の聞こえた場所へと急行した。

 

 

 

 

 

「二乃ちゃん!」

 

「か、海斗君!アイナ!」

 

女子部屋のある階へと移動すると、向かい途中で二乃、四葉、五月の三人が、そこから逃げてきたのか、息を荒くして佇んでいた。どうやら、三人で部屋に戻る時に、何かあったようだ。

 

「ご無事ですか!?」

 

「え、ええ。でも……」

 

「あ、浅倉君。か、カメラが……こっちに向いて……カシャンと……」

 

「カメラ?」

 

「ということは……例の盗撮犯でしょうか?」

 

「………恐らく間違いないだろうね」

 

と、総介があることに気づく。

 

 

 

 

 

 

 

「………おい肉まん娘、三玖はどこだ?」

 

「え?み、三玖なら、部屋で休んでいるはずですけど……って、浅倉君!?」

 

全部聞き終える前に、総介はものすごいスピードで、三玖のいる部屋へと走り出した。

三人の聞こえた悲鳴の場所の方向から考えると、五つ子の部屋は限りなく近い場所だ。

 

 

 

まずい………

 

盗撮犯とはいえ、三玖は今一人、もしくは一花と休んでいる状態。もし鍵がかかっていなければ、侵入し放題だ。二人とはいえ、疲労困憊状態の三玖と一花じゃ、男を相手にするには分が悪すぎる。

 

 

 

「三玖!!」

 

そうこうしている間に、総介は三玖の部屋の前に到着し、部屋を開けた。どうやら鍵はかかっていないようだ。彼が部屋の扉を開けると、そこには………

 

「そ、ソースケ?」

 

ちょうど扉を開けたところに、三玖がいた。見たところ、悲鳴に驚いて外の様子を伺おうとした様子だ。部屋の奥に誰かの気配も感じないので、総介はひとまず安心する。

 

 

「ど、どうしたの?今、四葉達の声が………」

 

 

「アイツらなら海斗とアイナが側にいる………どうやらホテルの中で盗撮犯が出たみたいだね」

 

「と、盗撮犯!?」

 

驚く三玖に、総介は一通り事情を説明した。

 

「そ、そんな事が………じゃあ、お昼の時のも……」

 

「ほぼ間違いないだろうね………ったく、まさかホテルん中まで入ってくるとはな………」

 

 

街中で撮るならまだしも、まさか宿泊先までその手を伸ばしてくるほど本格的だとは想定していなかった。というより、つい先程海斗から聞いたばかりなので、そもそも実態すら分からなかったが………

 

 

しかし、海斗とアイナが三人のそばにまだいるとすれば、盗撮犯は既にホテルを後にしているだろう。

今の件で、遅くとも明日の朝までには他の生徒や教師達に話が伝わる事だろう。そうなれば、盗撮犯もこのホテルや、自分達の学校の生徒達を盗撮するのは、難しくなってくるはずだが………

 

 

と、総介が考えを巡らせる中、三玖は彼の懐に身体を預け、背中に手を回した。

 

「!………三玖?」

 

「………ふふっ、嬉しい」

 

「?」

 

 

 

 

 

「ソースケが『必ず護るから』って言ってくれて……

 

 

 

 

本当に、すぐに来てくれた………すごく、嬉しい

 

 

 

 

 

ありがとう、ソースケ」

 

 

「…………」

 

 

危機感が無いのか、それとも総介に全幅の信頼を置いているのか………どちらにせよ、三玖は総介が側に来てくれたことが、この上なく嬉しいようで、彼女は総介の胸に頬を擦り付ける。

 

 

「………無事で良かった」

 

そう息を吐いて、総介は三玖の頭を優しく撫でる。

何はともあれ、今この瞬間は、愛する人が無事なことに安堵する。

願わくば、明日以降も、何事も無く修学旅行を終えたい。しかし、こういうイベント事には、こういったトラブルが起こるのが創作モノのセオリー。

 

 

(そういうのはハーレムものの作品でやってくんねぇかな、ったく。こっちは恋人のいるリア充なんだからイチャイチャパートをもっと増やせってんだコノヤロー)

 

総介は作者に悪態を吐きながらも、抱きついてくる三玖の背中に、そのまま腕を回してしばらく抱きしめ合った。

 

 

 

 

 

 

総介爆発しろ!

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

そしてこちらは………

 

 

 

「キャアアアアアアア!!!」

 

悲鳴が聞こえた直後………

 

「なんだ、今の悲鳴!」

 

「何があったの!?」

 

 

 

「悲鳴の聞こえた場所に駆けつける途中に、バッタリと出会った風太郎と一花。

 

 

「………あ」

 

「一花………」

 

一花からすれば、タイムリーで考えていた人物との遭遇だ。急な出来事に思わず動揺してしまう。

 

「や、やあフータロー君。偶然だね〜」

 

「何がだ?それより今の悲鳴は一体……」

 

「………」

 

風太郎の方は、一花のことよりも悲鳴が気になる様子。そりゃあそうじゃ。

声の主からして、恐らく妹たちのものだろう。そちらも心配だが………

 

 

 

 

「あ、あのね!」

 

一花は風太郎を呼び止める。

 

 

「明日は時間ある?

 

 

 

 

話したいことがあるんだけど」

 

 

 

 

「?」

 

そう言ってくる一花に、風太郎は少し振り向こうとした、その時………

 

 

 

「一花!」

 

「よかった!上杉さんも来てくれたんですね!」

 

「うう、無事で良かったです」

 

二乃と四葉と五月が二人のもとに駆けつけてきた。そしてその後ろを、海斗とアイナが歩いてくる。

 

「お前ら……一体どうしたんだ?」

 

「聞いてください!盗撮犯が………盗撮犯が出たんです!」

 

「嘘じゃありません!私たち三人とも、この目で見たんです!」

 

「まさか宿泊先のホテルまで来るなんて思わなかったわ。これはプロの仕業ね………」

 

「………」

 

三人の話を聞き、風太郎は少し固まってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………まさか…………いや、そんな………いや、まさか………

 

 

 

 

少し心当たりがあるが、とりあえずはそのまま何も言わずに、風太郎は視線を海斗へと向ける。

 

「上杉君、ちょうど良かった。この辺りで、怪しい人物を目撃しなかったかい?」

 

「………いや、見ていないな。ちょうど一花と会ったばかりだ」

 

「そうか………」

 

動揺は見せない。実際海斗の言う怪しい人物には会っていないし、嘘をついた覚えもない。

 

「………しかし、ホテル内まで盗撮の手を伸ばしてくるとは………」

 

「僕は先生に事情を説明してくるよ。アイナ、この子達の護衛を頼めるかい?」

 

「承知しました、若様」

 

…………マズい。事態がどんどん大きくなりそうだ。

 

「みんな、とりあえず今は、部屋に戻って、鍵をかけておいてほしい。僕は先生に事情を説明してから、総介とアイナで辺りをくまなく捜索してみるよ。それから、明日の朝まで君達の部屋の前には、必ず3人の内の誰かがいるようにする」

 

「そ、そんな!悪いわよ、徹夜で見張りなんて!」

 

「そうもいかない。盗撮犯がホテルの中に侵入し、さっきの二乃ちゃんと食堂での総介の話を聞く限りは、犯人は君達五つ子に絞って標的にしている以上、こちらも何もせずにいることは出来ない。この前話した『霞斑』の件もそうだけど、それ以外で起こりうる事態での護衛も、僕達の仕事なんだ」

 

「海斗君………」

 

 

 

………ヤバい。すげぇヤバい。もう言い出せない領域まで来てしまってる………

 

 

 

 

「若様、総介さんは……」

 

「彼は三玖ちゃんの側にいるからね。ひとまずそっちは安心だろう。とりあえず、僕は先生に説明しに行く。アイナ、後は頼んだよ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

………ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。多分『アイツ』だろうが………何してくれてんだ。もう戻れないとこまで来ちまったじゃねぇか………

 

 

 

 

 

もういっそ打ち明けるか?いや、流石にコイツらの前じゃ……それに、もし本当に大門寺の言う『かすみまだら』って奴らだったら、止めるわけにもいかない………

 

 

 

 

 

詰んでる…………

 

 

 

 

 

 

 

 

盗撮犯とやらにめっちゃ心当たりのある風太郎は表情には出さないものの、大きくなっていく事態に心の中で汗をダラダラと流しまくるのだった。

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

その後、五つ子を部屋に戻したアイナは、その場で総介、その後に教師達に説明を終えた総介と合流し、その後は総介と海斗が一応ホテル内を隅々まで見て周り、フロントやスタッフに聞き込みを行うも、怪しい人物を見たと言う情報を得ることは出来なかった。

 

 

 

 

「誰にも目撃されず、一切の痕跡を残さずに、煙のように完全に消えるとはね。これは本当に、『その道の者』の仕業と考えても良いだろう」

 

「その道のプロか………『霞斑』の奴らが雇ってるってこたぁねぇのか?」

 

「それも考えられるかもしれませんね。高額の報酬で雇われた者が、姉妹の写真を撮影して持ち帰ったこともあり得るでしょう。恐らく、姉妹の話を聞いた『霞斑央冥』が、プロを雇って写真の撮影を依頼したという線もあります」

 

「………チッ、あのクソ豚が………」

 

「とにかく、『霞斑』にしろそうでないにしろ、これ以上好き勝手されるのは望ましく無い。先生達も巡回を徹底するとのことだけど、僕達も今夜は総出で警戒にあたろう。その際、必ず一人は部屋の前で待機すること。怪しい影を発見すれば、捕獲を優先してくれ。本来の任務とは違い、得物は持ち合わせていないが、君達なら素手でも事足りるだろう」

 

「お任せください。下手人は必ず捕縛いたします」

 

 

「殺さなかったらいいんだろ?ならとりあえず手足の骨全部粉々になるまで折っちまうのは有りでいいんだな?」

 

「…………抵抗してきた場合は、やむおえないね、許可しよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後に3人にフラ〜っとついていった風太郎は、いよいよ取り返しのつかないところまで来てしまったことを実感してしまった。

 

 

「上杉君、心配をかけてすまなかったね。後は僕達に任せて、君も休んでいいよ」

 

「え!?あ、いや………」

 

「お前の気持ちも分かるが、ここから先は俺たち『刀』の領域だ。万が一『霞斑』なら、お前のようなでどうにか出来る相手じゃねえ。ここは下がりな」

 

「あ、浅倉………」

 

 

「ご安心ください。鼠一匹とて、彼女達には近づけさせません。この身を犠牲にしようとも、二乃達は我々がお護りいたします」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

完全にスイッチの入った三人を見て、風太郎はもう何も言い出せなくなってしまった。

 

 

もしここで真実を話したら………

 

 

いや、もし本当に総介達の考えるような事態だったら、より一層彼らを混乱させるだけだ。

 

今風太郎の理想としては、このまま誰にもバレることなく、修学旅行を無事に終えることだけだ。

 

(浅倉、大門寺、渡辺さん………本当にすいませんでした!)

 

 

 

 

 

心の中で三人に土下座をしながら、風太郎は自室へと戻るのだった。

 

 

 

 

この夜、総介、海斗、アイナの三人は夜通し交代で五つ子の部屋の見張りに当たることとなった。主にアイナが五つ子の部屋の前で見張り、総介、海斗が交代でホテル内を警戒する。その際、二人は教師達に見つかるわけにはいかないので、周りの気配を探りながら『懐刀』として気配を最大限に消して、誰にも見つからないように警備にあたるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先に結論を言うと………

 

 

 

 

 

 

 

 

コイツらめっっっっっちゃ勘違いしてます。

 

 

 

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

 

 

 

「うう……撮らないでください………」

 

 

一方、五つ子の泊まる部屋。既に消灯し、皆ベッドに入っているが、五月は早速夢の中でうなされているようだ。先程のことがよほど怖かったのだろう。

 

 

(………なんか大変なことになっちゃったな………

 

 

フータロー君、さっきの話、覚えててくれるかな……)

 

 

ベッドに潜りながら、一花は風太郎との話のことを思い出していた。

 

 

あの時、出会った勢いで言ってしまったが、果たして彼は覚えててくれるのだろうか………

 

 

 

そう考えても、明日になれば分かることだと一旦割り切って目を瞑り、やがて意識を落としていく………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、修学旅行一日目が終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして二日目、一体何が起こるのだろうか…………

 

 

 

 




総介達の盛大なる勘違いは続く………のか?

三玖には総介が、二乃には海斗がいるおかげで、一花が今は風太郎に対して自由に動ける立場となっています(一花目線)。
やっぱ純愛って良いですね。全員が傷つかないまではいきませんが、無駄にややこしい関係にはしたりせずに、ひたすら恋人同士でのイチャイチャや、一対一の片想い恋模様を見せまくる……こういうラブコメが見たいんです!


…………ずっと考えていたんですが、『五等分の花嫁』だけに限らず、殆どの少年誌のラブコメはどうしてハーレム主体なんでしょうかね?
こうしてそれぞれのヒロインに相手がいるのってそんなにつまらないですか?需要無いんですかね?
複数のヒロインで1人の男を奪い合うよりも、ヒロイン達の数に近い男達をカップリングさせて、それぞれの恋愛模様を書いていく方が青春してて現実の恋愛っぽくて断然良いと思うんですが……その相手(総介達)の置かれている環境の現実味がゼロとか言わないでね。
でもどうせハーレムにするなら、中途半端なものではなく『ToL◯VEる』みたいに思い切って少年誌の一線を越えるか、いっそエ○ゲーとかで出して欲しいというのが作者の見解です。その方が『発電作業』が捗りますので(ただのクソ野郎)


今回もこんな駄文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!
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