BFV DOLLS~名も無きドイツ兵の戦場~ 作:クリーム
ドイツ兵は足場が瓦礫で酷い有り様になっている地面をゆっくりと音を立てすぎない様に歩く。
武器はK98 銃剣一本と銃器の無い装備に不安がしょうじる中、ドイツ兵は歩き続けていると、向こうから三人の人影が見え、素早く伏せた。
「味方か・・・?」
ドイツ兵は双眼鏡を使って様子を伺うと、そこには三人とも同じ顔で妙に露出の高い服を着た短髪の少々が銃らしき物を手に徘徊していた。
「三つ子か何かなのか?戦場に出るにしてもあり得ない服装だな」
ドイツ兵はかつて出会った女の兵士達を思い出す。
女の兵士達はイギリスやドイツ関係なく髪を切り落として坊主にし、肌が泥だらけの傷だらけになろうが構わない軍服姿が特徴的だった。
色気なんて物は当然無く、顔が隠れていれば普通に男と間違える事はしばしばある。
ドイツ兵は自分の思い浮かべる女の兵士の格好を思い出した後、また様子を伺うと、また同じ顔の少女が二人現れて誰かを脇に抱えて連行していた。
連行されているのは短めの金髪で可愛らしい顔つきの少女だが、ドイツ兵は少女の服装に注目した。
「あれはドイツ軍の軍服・・・!」
ドイツ兵が見た物はデザインこそ見た事は無いが、黒が特徴的なナチスドイツの後方勤務の女性が着る様な軍服だった。
ドイツ軍では戦場に行くのは男女関係が無い様に後方でも関係なく女性が働いている。
デザインは違うがその女性が着る様な軍服を着ている少女は連合国所属の何処かの勢力に捕まってしまったとドイツ兵は解釈した。
「不味いな・・・どうにかしなければ・・・」
ドイツ兵は連行されている少女をどうにか助けなければと思考を凝らしていると、少女達は立ち止まり、その場に留まり始めた。
ドイツ兵は体を低くしてゆっくりと接近して行く。
少女達の巡回は厳しいが、数が少ない事が幸いし、何とか少女の近くまでやってこれた。
「さて、どうするか・・・」
ドイツ兵は銃器の無い事で助け様にも難しい事に少し苛立ちを覚えていると、瓦礫の中にある物を見つけた。
ドイツ兵は近づいて拾い上げると、それはドイツの兵士が使う短機関銃MP40だった。
「ついているな。誰の落とし物か分からんが使わせて貰おう」
ドイツ兵はMP40 の弾の弾数を確認した後、囚われている少女の真後ろ辺りまでやって来た。
囚われている少女の前には銃を手に徘徊する少女がおり、ドイツ兵はその少女を既に敵として認識し、ゆっくりと迫ると口元を素早く押さえて胸をK98銃剣で突き刺した。
「な、何!?何な」
囚われている少女は混乱したのか騒ぎ出そうとした所をドイツ兵が口元を押さえる。
「待て、俺は味方だ。俺はアーベル。アーベル=シュヴァルツだ」
「わ・・・私はMP40。グリフィン所属の戦術人形よ・・・」
「おいおい、お前の名前を聞いてるのに銃の名前を言ってどうする。それにドイツにグリフィン等と言う部隊も無いし、戦術人形なんぞ何の事かも分からんぞ」
アーベルはそうジト目で言うと、少女の方も困惑し始めた。
「え?ですから私はMP40です。それにグリフィンも戦術人形も知らないなんて何を言っているのですか」
「訳が分からん・・・兎に角、此処から離れるるぞ」
アーベルはそう言って少女の拘束を解こうとした時、足音がかすかに聞こえてアーベルは聞こえた方を見ると、そこには徘徊していた少女の一人がいた。
「貴様!何をしている!」
少女が銃を構えた瞬間、アーベルは素早くMP40 を構えて発砲すると、少女は倒れた。
「それ私の銃!何処で拾ったのですか!」
「お前のか?これは近くに捨ててあってな・・・この辺りで捕虜になったのか?」
アーベルがそう言った時、銃声を聞き付けた残りの少女達が銃を手に走って来ると、アーベルと少女に向けて発砲する。
アーベルは少女を遮蔽物に素早く引き釣り混むと、MP40 で手際よく少女を撃ち抜いていく。
少女達の全滅を確認したアーベルは改めて少女を拘束から解放すると、MP40 を少女に押し付ける様に手渡した。
「え、良いのですか?」
「お前のだろ?俺はこれを使えばいいさ」
アーベルはそう言って先程、交戦した少女の手から銃を取ると慣れない仕草を見せつつもすぐに使い方を知り、銃のチェックをした。
「見慣れない銃だ・・・イギリス、ではない。アメリカやソ連でも見慣れんぞ。こんな銃は」
「あの、本当に何なのですか?さっきから前時代の国の名前を言ったりして」
「前時代?・・・どう言う事だ。まだイギリスも降伏させてない。ましてや前時代などと・・・まるで戦争からだいぶ時が経ったみたいな事を言うとは」
アーベルの戸惑う姿に少女は少し考えた後、アーベルに問う。
「・・・アーベルさん。貴方は今、この世界は何年だか分かりますか?」
「1942年だ。それくらい分かる」
アーベルの迷いのない答えに少女は信じられないとばかりに目を見開いた後、深呼吸して落ち着きの得る。
「アーベルさん。今は2062年です。・・・頭とか、痛い所とかありませんよね?」
「2062年・・・だと?」
アーベルはそれを聞いて唖然とした。