とあるギンガのPartiality Vivid   作:瑠和

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もう前回のをあげた時点で完成していたのでさっさと次回も上げようということで。次回辺りからはトレーニング編が入ります。
感想お待ちしてます。R-18はもう少々お待ちを…


第十三話 激闘!ノーリVSアインハルト

一番最初の記憶は、どこかわからない研究所の中。生体ポッドの中で揺らぐ視界。瞳を閉じると、どこかの景色が流れ込んできた。

 

それは、橘アキラの…アキラ・ナカジマのものだった。

 

俺とアキラは繋がっていた。アキラはまだ未完成で廃棄される予定だった俺に、目の前で大切な人を失った絶望と嘆きの感情だけ渡した。それがあいつの能力だった。

 

俺は恐らくその際にあいつの…DNAだの魔力だのを食らっちまったんだろう。それから俺は成長する度にあいつに似てきた。

 

そして俺にはある指名があった。アキラから渡された感情は怒りと悲しみだけ。その感情で考えられたのは、もう二度と大切なものを失わないためにどこまでも強くなるってことだった。まぁ、実際は大切なものが何かもわからずただただ力を求めていただけだった。

 

俺はある程度成長してからある男に利用され、アキラやギンガ、機動六課と戦った。

 

 

 

 

 

「結果は…まぁ、負けたようなもんかな。だが、色々あって、俺は今もあいつらと一緒に暮らしてる」

 

決闘中、ノーリは自身の出生について話していた。カルナージでも少し話したがそれは本当に一部にしか過ぎなかった。

 

「………俺がこんなこと話したのはな。今のお前が、昔の俺に重なって見えるからだ。そうやって死者の記憶に踊らされて亡霊みたいに戦いを求めて…お前の悲願とやらに終わりはあるのか?仮にそれに証明できたらお前に何が残る?」

 

「…」

 

今回の決闘は、単に覇王流の名をかけての戦いとか、記憶が欲しいとかそういう話ではなかった。ノーリがアインハルトを心配して決闘を申し込んだのだ。

 

「インターミドルの話を聞いていて、瞳を輝かせているお前が………………………………あんなに楽しそうにしていたお前が求める力は命のやり取りや削りあいをするための力じゃねぇ!アスリートとしての力だ…」

 

「アスリート………」

 

アインハルトは立ち上がりながら自身の心情を思い返していた。カルナージでの模擬戦が楽しかったこと、自分の、覇王の悲願とは全く関係ない戦いに興味を抱き、期待をしていたこと。

 

ノーリの言われた通りかもしれない。だが、認めたくないのが本心だった。

 

「だが、お前がその力を求めてもお前の中の記憶がそれを邪魔している…。お前の求める力とお前ら一族の悲願をかなえるための力はベクトルが違うからだ。だったらお前は悲願なんぞ重いものを背負う必要はない!お前は!ただの!現代に生きる普通の!12歳の女の子じゃねぇか」

 

(だからこそだ……か)

 

ノーリの話を聞いていたノーヴェは、先日ノーリが言っていた言葉の意味を理解していた。古代の記憶に縛られて戦うことを咎めたとき、ノーリは「だからこそ」と返してきた。ノーリとしてもそうしたかったのだ。アインハルトを、古代の記憶から解放してやりたかったのだ。

 

「ですが私は……」

 

「無理を言ってるのはわかってる。だから戦って白黒はっきりつける。お前が勝てば俺はもう何もいわねぇよ。だが俺は、お前はお前としてインターミドルに出て、試合に勝って欲しい。無駄なしがらみは捨てろ。そういう、重苦しいのは俺みたいなやつに全部任せてくれ……………お前には、笑顔が一番似合うと思う」

 

「……………ノーリさんが、どんな思いでこの戦いを挑んだかわかりました…。正直、今の私の思いは………私でもわかりません…。ですが、私を思っての決闘なら、私全力で答える義務があります………っ!」

 

アインハルトは構え直した。

 

「…」

 

「この決闘に、私をもすべてを掛けます」

 

「いくぞぉ!」

 

ノーリの身体に纏われている虹色の魔力がより一層大きくなり、ノーリはアインハルトに向かって走っていった。

 

「せぇい!!」

 

「ーーっ!!」

 

ノーリの拳がアインハルトのガードに突き刺さる。先ほどよりも明らかに威力が上がっていることをアインハルトは体感した。

 

「はぁ!」

 

アインハルトの反撃の蹴りはノーリに躱され、カウンターを食らわされた。

 

「今のカウンター……」

 

「ああ。ヴィヴィオの動きによく似てる…」

 

観戦していたヴィヴィオとノーヴェがノーリの動きに気づく。もちろん戦いながらアインハルトも気づいていた。

 

「空破…」

 

一旦距離をとったアインハルトが空破断の構えを取った。それに対し、ノーリは再び旋衝破の構えをとる。だがその瞬間アインハルトは空破断を中断し、その位置から飛び膝蹴りをノーリに向かって放った。

 

「甘い!」

 

顔面に向かってきたアインハルトの膝を、ノーリは首を曲げて避け、その足を掴んだ。

 

「!」

 

「どぉぉぉらぁ!!」

 

そのまま地面に向かってたたきつけた。

 

「がっ…」

 

さらにノーリが追撃を仕掛けたが、アインハルトは転がって避け、全身を使って飛び、体勢を立て直した。

 

「はぁ、はぁ」

 

「…」

 

(明らかにさっきより強くなっている……あの姿の状態で戦うのは初めて………でも、この強さ…)

 

「……そろそろ、幕引きと行こうじゃないか」

 

ノーリは追撃をせず、アインハルトに提案してある姿勢をとった。

 

「!」

 

(この構え………間違いない……ならば、私も!)

 

「…」

 

アインハルトも構えた。

 

「「覇王!!!断空拳!!!!!」」

 

二人の断空拳が衝突した。それによる衝撃波と魔力波が同時に辺りを襲った。ヴィヴィオ達は互いに支えあい、アキラはギンガをかばうように守る。それほどの衝撃だった。

 

二人の拳は衝撃を互いにもろに受け、鈍い音がする。

 

「ああああああ!!」

 

そして、断空拳の打ち合いに負けたのは、アインハルトだった。アインハルトは吹っ飛ばされ、地面を転がった。

 

「ぐぅぅ…」

 

アインハルトが手首の辺りを掴んで悶えていた。どうやらクラッシュエミュレートが発生し、断空拳を放った拳が砕けたようだ。

 

「アインハルト!」

 

「来ないでください!!」

 

駆け寄ろうとしたノーヴェを、アインハルトが静止させた。

 

「まだ…負けてませんから…………」

 

フラフラになりながらアインハルトが立ち上がる。

 

「これは、私の、私たちのこれからを決める大切な闘いなんです……………こんな簡単に諦めていい戦いじゃ…ないんです!」

 

「…お得意……いや、切り札であり誇りでもある断空拳で負けてもまだあきらめないか。なら、圧倒的な力の差ってやつを見せつけてやる」

 

ノーリはゆっくりと構え、拳を握った。そして、少しずつ全身に力を籠め、魔力を高める。

 

するとノーリが全身に纏っている魔力の色が、虹色から緑に変わった。アインハルトの魔力光と同じ色だ。

 

「…っ!」

 

「これは、お前は知らないし、この先どうやっても習得できない技だ」

 

「その技は…」

 

「破城槌!」

 

「!!」

 

低い姿勢の状態でノーリは右足を地面に叩きつける。それによって衝撃波を発生させ、アインハルトの動きを一瞬止める。そして断空拳を放つ要領で拳を一気に引く。技が放たれる瞬間、ノーリの拳の前になにか光が発生した。その輝きとともにノーリはアインハルトに向かって突っ込み、拳を前に出した。

 

「覇王!!流星拳!!!」

 

輝きを放つ拳をアインハルトに向けて放った。直撃の刹那、アインハルトは身体を無理やり動かしてまだ動く左腕で断空拳を繰り出す。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

しかし、最後の断空拳は簡単に打ち破られ、ノーリの拳がアインハルトの胸部に命中した。アインハルトは直撃した直後に、背後にあったビルに突っ込んだ。

 

「アインハルト!」

 

「アインハルトさん!」

 

ギャラリーがアインハルトのもとへ駆けていく。アインハルトはこの一撃で意識を失っていた。少しすると武装形態も解除された。

 

「…アインハルトのバリアジャケットをが解除されて意識もない………ノーリの勝ちだ」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「う…」

 

アインハルトは目を覚ました。最初に目に入ったのはノーリの顔だった。周りにはアインハルトを心配した仲間たちがいる。ノーリに抱き抱えられ、眠っていたようだ

 

「みな……さん」

 

「アインハルト、大丈夫か?身体に不調はないか?」

 

ノーヴェが話しかける。

 

「はい……」

 

意識ははっきりしているようだ。

 

「私は、負けたようですね……」

 

「ああ。俺の勝ちだ」

 

「…」

 

(不思議と、悔しさを感じない……あんなに必死に戦ったのに…負けたのに)

 

アインハルトは、悔しいどころか少し清々しい気持ちでもあった。

 

「…約束です。どうぞ、私の記憶を持っていってください」

 

「……本当にいいんだな?」

 

「はい」

 

アキラが最後に確認をする。アインハルトは悩まず答えた。覚悟は出来ていたようだ。

 

「じゃあ…」

 

アキラがアインハルトの頭に左腕で触れ、記憶の閲覧および改竄を開始する。

 

「………?」

 

「どうしました?」

 

「お前……イングヴァルトのこと思い出せるか?」

 

「え…?」

 

アキラに言われ、アインハルトはイングヴァルトの記憶を思い出そうとした。しかし、思い出せなかった。正しくは部分的にしか思い出せない。

 

「……断片的にしか、思い出せません…」

 

「…どういうことだ?」

 

「いまの衝撃で記憶が飛んだ…とか?」

 

「いや、のわりにはアインハルト自信の記憶はしっかりしてる……」

 

「まぁ、断片的にでも記憶が残ってるならちゃんと全部封印してやってくれ…」

 

「…わかった」

 

アキラはアインハルトの断片的なイングヴァルトの記憶に封印をかけ、そのコピーをノーリの記憶に移植した。

 

「これでいいか?」

 

「…………ああ。アインハルト」

 

「はい…」

 

ノーリは座っているアインハルトの目線までしゃがんだ。

 

「これからは、笑って生きてくれ。きっと、お前の笑顔は…………素敵、だと、思うから」

 

照れ臭そうにノーリは言った。

 

「………私は」

 

(笑ってやれよ。いまだけでも)

 

念話でノーヴェが言う。

 

(こいつもこいつなりの信念でお前を助けたいと思ったんだ……)

 

「…こう、でしょうか」

 

アインハルトはぎこちないながらも笑顔を見せた。それをみたノーリは少し驚いた顔をしてから立ち上がった。

 

「……悪くないと思うぜ」

 

ノーリはそう伝え、その場を去る。その後ろ姿にはどこか、哀愁が漂っているように見えた。

 

「………さて、まぁ一件落着ってことでいいのか?」

 

「そうだな」

 

「ならアインハルト。お前にインターミドルに向けての特訓メニューを教える。記憶がなくてもお前は覇王流の使い手だ。そのことだけは忘れるな」

 

「……はい!」

 

ノーヴェが伝えるとアインハルトは力強く答えた。記憶は失ったが、やる気は失ってないようだ。

 

「お前らも、準備はいいか!?」

 

ヴィヴィオたちにも聞く。

 

「押忍!」

 

全員が気合い十分な返事をした。

 

 

 

つづく。

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