とあるギンガのPartiality Vivid   作:瑠和

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どうも、さぁ、待望の第一話です。この時点でかなり本編とは話がかわるかもです。

感想、投票、評価、随時募集中です。


第一話 襲撃!覇王を名乗る少女

ーある日ー

 

 

 

この日はSt.ヒルデ魔法学院の進級日だった。いわゆる始業式である。

 

その日のナカジマ家(アキラ・ナカジマ家)

 

「アキラ君」

 

「ん?」

 

「これ見て。ヴィヴィオから」

 

絶賛子育て中のギンガの端末にヴィヴィオから写真が送られてきていた。写真に写っているのはヴィヴィオとその友人、リオ・ウェズリー、コロナ・ティミルの三人だった。

 

「おやおや。これはまた楽しそうな写真だな」

 

「うん♪4年生の進級記念にって」

 

「そうか…じゃあ俺らも送るか」

 

「そうだね」

 

ギンガとアキラは娘であるアリスとともに三人で写真を撮ってヴィヴィオに送り返した。そして送ってからすぐに返信が来た。

 

「ん?」

 

「早いな」

 

送信者を確認すると、それはヴィヴィオではなくゲンヤたちがいるほうのナカジマ家からのメッセージでウーノからだった。

 

ちなみにウーノは、スカリエッティとともにJS事件の協力者だったが、アキラに説得され、チンクらとともに今はナカジマ家に身を置いている。

 

「ウーノからだ」

 

「なんだって?」

 

「今日の夕飯をこっちでやらないかだって。お父さんが友達から旅行のお土産にいいお肉もらったからって」

 

「そうか。じゃあお言葉に甘えさせてもらおうか」

 

アキラは笑って答えた。

 

 

 

ーナカジマ家(ゲンヤ家)ー

 

 

時刻 21:00

 

ちょうど夕飯の時刻にアキラとギンガ、そして学校から帰ってきたノーリと仕事が終わったセッテとともにナカジマ家に来ていた。

 

「おいっス~アキラ!久しぶりっス!」

 

「おう」

 

「以前より男らしくなったんじゃないか?」

 

「そうかもな」

 

アキラは着くや否やナンバーズに囲まれた。アキラは3か月前起きた黙示録事件の後、とある人物に3か月間鍛えられていたため、ナンバーズに合うのは3ヶ月ぶりだった。

 

「お疲れ様です。上着預かります」

 

「ああ。ありがとなウーノ。さ、飯にしようぜ」

 

アキラは上着をウーノに預け、席に着く。すでに食卓には大鍋が四つほど置かれていた。

 

「おう、久しぶりだな。アキラ」

 

「……ああ」

 

「そうだ。皆さん今日、部隊の方で話した連続傷害事件……いやまだ事件ではないんですがそのことで皆さんに話したいことが」

 

セッテが全員席に着いた時点で彼女がこの日108部隊で少し話されたことを切り出した。

 

「事件じゃない?なんじゃそりゃ」

 

「これを」

 

セッテはデバイスから写真を表示した。そこには倒れたがたいのいい男と、それを倒したように見える女が映っていた。

 

「被害者は主に格闘系の実力者。そういう人に街頭試合を申し込んで…」

 

「フルボッコってか」

 

「あたし知ってるッス!ストリートファイターってやつっス」

 

「そうです。まだ被害届が出ているわけではないので事件として扱ってませんが、私たちも狙われる可能性がありますし。特に…」

 

セッテが心配そうな顔でアキラとギンガを見た。その顔が意図する思いをアキラは汲み取り、笑ってセッテを撫でる。

 

「心配すんな。俺が負けると思うか?それに、ギンガにはいつも俺がついてる」

 

「はい…お二人が負けるとは思ってません。ただ、お二人とも今は産休で街にいることが多いので、狙われやすいのではないかと」

 

「そうだな…ま、そんときゃ返り討ちにしてやるよ」

 

「アキラ君…」

 

「そんなことより飯だ飯。食おう……どうした?ノーリ」

 

ノーリはじっとセッテが表示した女性を見ていた。そのことにアキラは疑問を持った。

 

「いや、どこかで見たことあるような……」

 

「そうなのか?」

 

「………気のせいだろう。食べよう」

 

その話題はそこで切れ、今度は高町家の一人娘であるヴィヴィオの話に変わった。今日ギンガが買い物しているときに、本日ヴィヴィオの進級祝いの料理の材料を買いに来ていたなのはに会ったのだ。

 

そこでヴィヴィオに新しいデバイスをプレゼントすることを聞いたのだ。

 

「そうかヴィヴィオがねぇ…」

 

「高町んとこの嬢ちゃんか今いくつだっけ?」

 

「10歳だな。初等科4年だから」

 

ゲンヤの疑問にノーリがいち早く答える。

 

「さすがいつも一緒なだけあるな」

 

「お前もだろノーヴェ。いや、ノーヴェ師匠?」

 

ノーヴェに言われ、ノーリが返す。ノーヴェはノーリに言われ、顔を真っ赤にする。

 

「そ、そんなんじゃねぇよ!ただ一緒に練習してるだけ…まだまだ修行中同士ペースがあうからさ…」

 

「そうか…俺としてはお前がそんな風に丸くなってガキどもに好かれてんなら何でもいいと思うがな」

 

アキラはアリスの頬をつつきながらいった。

 

「…どーも」

 

照れながらノーヴェは答える。

 

「ああそうだ。来週俺とギンガで聖王協会の方に行こうと思うんだが、お前ら来るか?」

 

「うん」

 

「では姉も久しぶりに行くとするかな」

 

「あんまり大勢で行くのは推奨できないが……まぁいいや」

 

 

 

その後も様々な話をして、その日の夕飯は大いに盛り上がった。

 

 

 

-翌週 聖王協会-

 

 

 

聖王協会本部のとある一室。ここでは一人の少女がここ一年ほど眠っている。そこにセインが入ってきて眠っている少女の顔色を見たあとカーテンを開けた。

 

「今日もいい天気だよ。そうそう、午後からアキラ達とが来るってさ。楽しみだね。イクス」

 

眠っている少女の名前はイクス。かつて冥府の炎王と呼ばれた古代ベルカの王の一人だ。

 

 

 

-13:45-

 

 

 

数時間後、イクスが眠る部屋にアキラとギンガ、そしてヴィヴィオが入ってきた。

 

「お邪魔しますっと…」

 

アキラが扉を開けて入るが、イクスは目覚めるわけではなくただ眠っている。

 

イクスは古代ベルカから何度か覚醒するも基本的には眠り続けていたが、最近起きた事件がきっかけで再び目を覚ました。しかし正しい覚醒の仕方をしなかったため、再び眠ってしまっていた。アキラやスバルと悲しい別れ方をして。

 

「ごきげんよう。イクス」

 

「よう。見舞いに来たぜ」

 

「久しぶり」

 

アキラ、ギンガ、ヴィヴィオの三人はイクスのベッドの隣に座る。

 

「顔色いいじゃねぇか」

 

「お加減、良さそうでよかった」

 

アキラはギンガからアリスを預かり、イクスの手をアリスの手と繋がせる。

 

「ほら、アリスがまた大きくなったんだ。手、前より大きくなったろ?」

 

「…アキラ君またたくさんの人を護ったの。それにまた強くなったんだよ。だからイクス。いつ起きてもいいからね、アキラ君が護ってくれるから」

 

「ああ」

 

 

 

-カリム・グラシア執務室-

 

 

カリムの執務室にはお見舞いを終えたアキラとギンガ、チンクの三人が集まっていた。

 

「ごきげんよう。アキラ二尉、ギンガ準尉」

 

「お久しぶりです。カリム」

 

「お久しぶりです」

 

「アリスちゃんも」

 

カリムがアリスに優しく微笑む。アリスも笑ったような気がした。

 

「どうも、わざわざ……」

 

「いいえ。それでお話しっていうのは、例の襲撃犯のことですね

?」

 

カリムがチンクに訪ねる。

 

「はい。我ながら要らぬ心配だとは思うのですが、格闘技の実力者を狙う襲撃犯。彼女が自称している『覇王』イングヴァルトといえば」 

 

「ベルカの戦乱期…諸王時代の王の名前ですね」

 

「ヴィヴィオの母体である「最後のゆりかごの聖王」オリヴィエ聖王女殿下や、ここのイクスヴェリア陛下とも無縁ではありません。まぁ一般の歴史には冥府の炎王は男性でアガリアレプトという名前なので、イクスヴェリア陛下が狙われるなんていうことも早々ないかと思うのですが…」

 

チンクの言う通り、この世界では冥府の炎王イクスヴェリアは一般的な名前ではない。女でもない。

 

アガリアレプトという男だというのが一般的な歴史として扱われている。アガリアレプトはイクスの代わりに冥王としてその役割を担っていた。

 

アキラはそんなアガリアレプトのDNAをベースに作られた人造魔導士だがそれはまた別のお話。

 

「ヴィヴィオやイクスに危険が及ぶ可能性が?」

 

「なくはないかと」

 

チンクが今回同行したのはイクスやヴィヴィオの身を案じてカリムにこの事を伝えるためだった。

 

「騎士カリム。これを渡しておきます」

 

アキラはカリムに通信機を渡した。

 

「これは?」

 

「ギンガと俺が持ってるのと同じものです。俺にとっちゃギンガが一番ですが、今はイクスも心配なので。側面に付いてる黄色いボタン押してもらえれば俺がすぐ駆けつけます。緊急時に使ってください」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

その後の談笑のあと、アキラたちは聖王協会に身を置いている他ナンバーズに挨拶をしてその日は帰ることにした。

 

 

 

-ナカジマ家-

 

 

アキラはセッテが帰ってくる前に夕飯の支度を済ませてしまおうとして早めに準備をしていた。ギンガも手伝おうとしたが、アリスがぐずってしまったので世話に手一杯になってしまった。

 

そして、調理を始めようとしたちょうどそのとき、アキラは材料と調味料が足りないことに気づいた。

 

「ん…あれ……ギンガー!醤油の変えもうなかったか?」

 

「あ、ごめんなさいアキラ君!ちょうど切らしてて…」

 

「ああ。いい、大丈夫だ。ちょうど材料も足りないからちょっと買ってくる。ノーリ!」

 

アキラは自室にいるノーリを呼んだ。

 

「どうかしたか?」

 

「ちょっと買い物に行ってくる。ギンガのこと頼む」

 

「わかった」

 

ギンガをノーリにまかせてアキラは買い出しに出掛ける。アキラはギンガ第一に生きているし、3ヶ月前の黙示録事件でギンガが拐われたこともあって基本的にギンガを一人にしないようにしてる。

 

どうしても一人にする場合は必ず誰かをつけさせるしギンガにも先程カリムが渡された通信機と同じものを持たせている。それほどアキラはギンガを愛してるし、護りたいと思っているのだ。

 

 

 

-ミッドチルダ街中-

 

 

 

同じ時間、ヴィヴィオたちとストライクアーツの練習をしたあと、救助隊の装備調整によばれたノーヴェが一人で夜道を歩いていた。

 

そのとき、ノーヴェの上空から声がした。

 

「ストライクアーツ有段者、ノーヴェ・ナカジマさんとお見受けします」

 

「!」

 

ノーヴェがすぐに上空を見ると、街灯の上に一人の少女が立っていた。セッテに見せてもらった画像に写っていた連続傷害事件の主犯だ。

 

「あなたにいくつか伺いたい事と、確かめさせていただきたい事が」

 

「質問すんならバイザー外して名を名乗れ」

 

ノーヴェは突然現れた相手に冷静に対応する。ナンバーズ時代に比べればさすがに少し大人になったようだ。

 

「失礼しました」

 

女性は素直にバイザーを外した。

 

「カイザーアーツ正統、ハンディ・E・S・イングヴァルト。『覇王』を名乗らせて頂いてます」

 

バイザーの先には整った顔と冷たい瞳、そしてその瞳は碧と紫のオッドアイだった。

 

「噂の通り魔か」

 

「否定はしません」

 

イングヴァルトを名乗る女性は街灯から降り立った。

 

「伺いたいのはあなたの知己である『王』達についてです。聖王イクスヴェリアのクローンと、冥府の炎王アガリアレプト」

 

その事を聞いた瞬間、ノーヴェの表情が強ばる。

 

「あなたはその両方の所在を知っていると」

 

「知らねぇな」

 

ノーヴェは食いぎみに答えた。

 

「聖王のクローンだの冥王陛下だのなんて連中と知り合いになった覚えはねぇ。あたしが知ってんのは、一生懸命生きてるだけの普通の人間だ」

 

その言葉に、イングヴァルトは関心を示したがすぐに別の事を話す。

 

「理解できました。その事については他を当たるとします。ではもうひとつ確かめたいことは、あなたの拳と私の拳、どちらが強いのかです」

 

イングヴァルトが言った言葉の意味はつまりは決闘の申し込みだ。

 

ノーヴェはそれを受けた。自身が管理局側の人間である以上危険と思われる人物を放置しておけないこと、そしてヴィヴィオ達の身を案じての受諾だった。

 

二人は少し離れて戦闘準備をする。

 

「防護服と武装をお願いします」

 

「いらねぇよ」

 

ノーヴェは防護服も武装もなしに勝負を受けた。相手をなめているわけではない。そもそもまともに決闘をする気もない。

 

不意打ちとスタンショットでさっさと捕縛すれば済む話だと考えていた。

 

「そうですか」

 

「よく見りゃまだガキじゃねーか。なんでこんな事をしてる?」

 

「…………強さを知りたいんです」

 

ノーヴェの質問に若干の間を開けてイングヴァルトは答えた。ただのストリートファイターではなく、なにやら理由のあるように見えた。

 

「ハッ!馬鹿馬鹿しい」

 

ノーヴェはその答えに軽く笑いながら構える。

 

そして、わりとなしに離れた距離だと言うのに立っていた場所から一気に距離を積めるジャンプとともに膝蹴りを放った。

 

「ーっ!」

 

イングヴァルトはその膝蹴りをギリギリガードするが、さすがに驚いていた。その速度と威力と合図もなしに攻撃してくる卑怯さに。

 

ノーヴェはそのままスタンショットを放った。イングヴァルトはそれを受けきり、少し後方に下がらされたが耐えた。

 

(ガードの上からとはいえ、不意打ちとスタンショットを受けきりやがった…)

 

かなり威力で放ったつもりだがイングヴァルトは表情ひとつ変えていない。多少の加減はあったとはいえノーヴェも戦闘機人だ。その一撃を防ぎきる時点でかなりのやり手だと言うことは明白だった。

 

(チッ、言うだけのこたぁあるってことか)

 

不意打ちによる気絶、捕縛が失敗した以上、本気で叩き潰す以外の選択肢はなくなってしまった。ノーヴェは仕方なく自身のデバイスであるジェットエッジを取り出して構える。

 

「ジェットエッ…」

 

ジェットエッジを起動させて防護服とバリアジャケットを装備させようとした時、ノーヴェの腕を誰かが掴んだ。

 

「!」

 

「何やってんだお前」

 

ノーヴェの腕を掴んだ人物、それは買い物袋を持ったアキラだった。

 

「アキラ…!」

 

「まぁ察するに、件のストリートファイター殿がお前に喧嘩吹っ掛けてきて、お前が受けるも勝てるかわからなかったからデバイスを出したって感じか」

 

アキラが分析するとノーヴェは少し罰の悪そうな顔をする。

 

「まぁ……大体そんなところだよ」

 

「喧嘩するのは結構だがな。セッテと違って正式な局員でもねぇお前が街中で不用意にデバイス出してんじゃねぇ!」

 

「あたっ!」

 

アキラはノーヴェを小突く。

 

「あなたは……アキラ・ナカジマさんですね?」

 

二人の様子を見ていたイングヴァルトが訪ねた。

 

「おう。ご存知いただいており、光栄です。覇王様」

 

アキラは皮肉も込めて言った。

 

「彼女の保護者ですか?」

 

「んー、いや。半分当たりって感じかなぁ。俺ぁこいつの姉貴の旦那。まぁ義理の妹だな」

 

「…そうですか。できれば邪魔しないでいただけますか?私は今、ノーヴェ・ナカジマさんとどちらの拳が強いが確かめているので」

 

イングヴァルトは丁寧にアキラに退いてもらえるように頼んだ。

 

「産休中とはいえ俺も一応局の人間だしなぁ…同意の上とはいえ決闘をする身内と連続襲撃犯をわかりましたって見逃すわけにもいかねぇんだよなぁ………あ、そうだ」

 

アキラは最初から用意していた答えをわざと悩みながら導いた。

 

「俺と戦ってくれねぇか?」

 

「え?」

 

「俺はノーヴェより何倍も強いし、お前も雑魚をチマチマ潰してるだけじゃいつまでも強さなんかわからねぇだろ?ここは一つ、大物をぶっ潰した方がお前の言う強さってのも分かりやすくなるんじゃねぇか?」

 

「誰が雑魚だ!?」

 

「お前は黙ってろ」

 

アキラの言葉にカチンときたノーヴェが噛みつくが、アキラは気にしない。そんな中、イングヴァルトはアキラの提案に悩んでいた。はあまりよいものではないにせよ、このまま只で返してくれそうになかった。

 

「わかりました。どのみち、退かないのであれば力ずくでも退いてもらおうと思っていたので」

 

「そうか。んじゃ、やろうか」

 

アキラは手に持っていた買い物袋をノーヴェに押し付け、前に出る。

 

「では、参ります」

 

「おう。来い。…ああ、そうだ」

 

アキラはなにか思い出し、両手を広げてその場に立った。

 

「…?」

 

「お前、ノーヴェにすでに一発貰ってんだろ。ハンデだ。どこでも好きなとこに来いよ」

 

アキラは最初の攻撃をイングヴァルトに譲ると言うのだ。

 

「いえ…そういうわけには…」

 

「へぇ。案外真面目なんだな。でもこのままじゃ不公平だろ?いいから一発、打ってみな。本気でな」

 

「ですが…」

 

譲合いの勝負になってしまった。しばらく二人は話すがお互い譲る気はない。

 

「いいから来いよ。早くしないと……俺が先に」

 

 

 

「狩るぞ」

 

 

 

最後の三文字を言われた瞬間、イングヴァルトは自身が斬られ死ぬイメージを見た。全身から冷や汗を流し、膝をついた。

 

「あ……」

 

「…」

 

「はっ…はっ…はっ…」

 

顔から血の気が引く。呼吸が過呼吸になり、流れた汗が頬を伝う。脳にこびりついたイメージが消えない。

 

(やらなきゃ…やられる……)

 

イングヴァルトは全身に力を入れて立ち上がる。そして、アキラに突進した。

 

「あれ?耐えちった?」

 

アキラは殺気と魔力圧による気絶を狙ったがイングヴァルトは予想を上回ってそれを耐えきった。それどころか殺気に恐れ、殺されたくないという恐怖とともにアキラに反撃してきた。

 

イングヴァルトはアキラの目の前まで接近し、構えた。

 

「思ったより早いな」

 

「覇王!断!空!拳!!」

 

イングヴァルトは全力の断空拳をアキラに当てた。殺されないために、生きるために、アキラに全力全開を当てたのだ。

 

「……」

 

「…」

 

精神が乱れ、多少型にブレがあったとはいえ、イングヴァルトは全力の奥義を繰り出した。本来、イングヴァルトのイメージではアキラは断空拳を食らって吹っ飛ぶと思っていた。

 

だが、結果は思い通りにはならなかった。アキラはびくともせず、その場に立っていた。

 

状況が飲み込めないまま、イングヴァルトは後方に飛んだ。

 

(私は………全力の断空拳を……放った!)

 

アキラから距離を取り、構え直そうとする。

 

(型に多少のブレはあったかもしれない!それでも!こんな…!)

 

「ちょっと痛かったぜ」

 

アキラはいつの間にか真横にいた。恐怖のあまり、イングヴァルトの息が止まる。そして彼女は反撃するより先になにか大きな音とともに気絶した。

 

 

 

 

続く

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