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「逃がさへん!!」
ジークは使い魔相手に周りを気にせず全力で攻撃していた。しかし、対象が小さく攻撃は中々当たらなかった。使い魔はひらりひらりと攻撃を避け、ファビアとは逆の方向へ行く。
「はうぅぅぅ!!」
ジークはその後を追おうとして転んだ。
「あうぅぅ…なんでブーツが…」
ジークは起き上がって足元を確認する。するとブーツが脱げているだけじゃなく自身の身体に異常が起きていることに気づく。全身的に小さくなっていた。靴が脱げた理由もそれだった。
「なんやこれーーーーー!!!」
-アキラ・ヴィクター・コロナ-
ジークが暴れた振動を最初に感じ取ったのはアキラだった。そして、すぐにそちらに向かおうとした瞬間、目の前に悪魔の大群が現れた。小さなぬいぐるみのような悪魔だが、臨戦態勢を取っている。
「…どうやら邪魔してくるらしい」
「…やる気のようです」
「上等ですわ!」
(通信ができない…隔絶系の結界を張られたか。だが俺とギンガの通信機は隔絶結界内でも通信ができる。それで連絡が来てないってことはまだギンガにはなんもねぇんだろうが……)
アキラは懐から各グループに配ったスイッチと同じものを取り出し、押した。すると自動的にアキラの通信機に緊急連絡が入る。それだけでなく、同じ装置を持たされたノーヴェ、はやて、ギンガにも緊急通信が向かっただろう。
「な」
「何してるんですか!?」
「じゃあダーグリュンのお嬢様、コロナ。はやてかノーヴェが来るまでなんとか頑張れ」
そう言ってアキラはスイッチをヴィクターに渡し、背中から魔力翼を出現させてその翼で悪魔の大群の一部を薙ぎ払った。そして翼の加速力で包囲網を抜けた。
「ちょ」
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」」
(ギンガに何かがあってからじゃ遅い。許せ)
アキラは一気に未整理区域の中を抜けていった。
『アキラ君!?いま緊急信号が…』
アキラの通信機にギンガから連絡が来る。
「ああ。俺が鳴らした。ギンガよく聞け。近くにヴィヴィオとミウラも聞いとけ。なにかしら異変が起こってる。俺が行くまでそこを動くな」
『ヴィクターさんとコロナちゃんは?』
ギンガに聞かれるとは思ってなかったのかアキラは少し考えてから答える。
「コロナは強い娘だ。ダーグリュンのお嬢様も丈夫だしきっと大丈夫だ。うん」
『ええ………』
-ギンガ・ヴィヴィオ・ミウラ-
『ともかく動くな。お前ら先に保護して周りの連中を……』
ギンガが通信している最中、それを後ろから見ていたミウラとヴィヴィオだったが、背後に現れた気配に気づいた。
「………!」
「ミウラ・リナルディ、ギンガ・ナカジマ、ヴィヴィオ・タカマチ」
声がしたことと自身の名前を呼ばれたことにでギンガも振り向く。
「あの娘………」
「これを見て」
全員が「それ」を見てしまった。次の瞬間ファビアの持っていた悪魔が巨大化し、三人を丸のみにした。
と思われた。
「テメェ……」
完全に全員飲み込んだと思っていたファビアの上から声がした。その声を聴いたとき、ファビアの全身に重い圧力のようなものを感じ、足から力が抜けた。さらに全身から冷や汗がぶわっと溢れる。
「ギンガに何している…っ!」
「………っ!!」
ファビアが視線を上に移すと、そこにはミウラとギンガを抱えたアキラが浮いていた。
「アキラ君…」
「アキラさん…」
二人はアキラに助けられたことをようやく気付いた。だがそこにヴィヴィオはいない。とっさに助けられたのは二人だけだった。
(ヴィヴィオまでは助けられなかったが関係ねぇ。あのクソガキさっさと潰せば終わる話だ)
「…………っ!ア、アキラ・ナカジマ!これを見て!」
アキラにも同様の手段を使う。冷静にそれをみたアキラの前に巨大な悪魔が出現し、アキラを飲み込もうとした。
「そんなもんが通じるとでも思ってんのか」
アキラは翼を変形させ、竜巻のような形にして悪魔を吹っ飛ばした。
「お前……誰を敵に回したか分かってんのか?」
アキラは二人を離し、拳を鳴らす。完全にキレてそうなアキラを二人がなだめようとする。
「アキラさん…」
「相手は子供ですから…」
「知らねぇよ。誰であれギンガに敵対するなら誰であれぶっ潰す」
かなり強気なアキラに対し、
「…失せよ光明(ブラックカーテン)」
三人が敵意をむけてない間にファビアが先行をとる。三人の周りが一気に暗くなった。そして三人が視界を失っているうちに再度悪魔に飲み込ませようとした。
「…一閃必斬、竜閃円陣舞!!!」
アキラは懐から出した脇差で辺り一帯を吹き飛ばす奥義を放った。その一撃で周りの本棚、そして迫っていた悪魔を吹っ飛ばした。
「!!」
魔法の効力が切れ、三人の視界が晴れる。
「そんな小細工で勝てると思うな……さて、懺悔の準備は…」
「アキラ君ストップ!」
明らかにやばそうな雰囲気を醸し出すアキラをギンガが止めた。
「…ギンガ」
「…私が話す。ファビア・クロゼルクちゃんよね?インターミドルで見たことあるわ。どうしてこんなこと……ヴィヴィオちゃんを返してくれない?」
なぜこんなことをするのかと聞かれたファビアは答える。
「私は魔女だから。ほしいものがあったら魔法を使って手に入れる」
そういって再び臨戦態勢に入る。戦う意思を確認したアキラは小さくため息をついて笑う。
「いい覚悟だ。それがお前の信条なら、なら俺はギンガに敵意をむけた人間を誰であろうと叩き潰すことを信条としよう」
次の瞬間、アキラはファビアに殺意と魔力圧をぶつけた。さっきアキラの声を聴いた時の数倍強い魔力圧だ。常人ならすぐ失神するだろうが、ファビアは生まれ持っての魔力耐性で何とか意識を保とうとする。しかしそう長く持たず、泡を吹いて気絶しかけた。
だが、二人の間に何者かが割り込んだことでアキラの魔力は遮られた。
「!?」
「やれやれ、小さな女の子をあまり怖がらせるものではないと思うよ」
現れたのは、アークの構成員の一人「アレス」だった。
「テメェ!」
「あなたは……」
「ちょっと用事があってn」
アレスが話し終える前にアキラは翼で先制攻撃を取った。しかしアキラの翼はアレスが盾代わりに出したマントに当たると消滅した。
「!?」
「対魔力マントだ。魔法は通じない」
余裕の笑みを浮かべるもつかの間、視覚からBJを纏ったギンガが殴り掛かった。アレスはその攻撃を躱し、マントを自在に伸縮させてギンガを縛ろうとする。それより早くアキラがギンガの手を掴んで助け出し、それとほぼ同時に脇差をアレスに投げた。
脇差はアレスの頬に掠っただけだったが、アキラの本命は脇差ではない。つま先に装備した氷の爪をアレスの心臓めがけて振った。
「っ!」
アレスはアキラの足を爪を避けて受け止め、一旦離れた。
「これほどとは……さすがは管理局の二尉と準陸尉。一筋縄ではいかないか」
「黙れ。いいからさっさとノーリ返せ」
「それは難しいね。彼はようやく見つけた器、依り代なんだ」
会話中にアレスは指を弾いた。するもう一人のアレスがファビアの前に現れる。
「!?」
「初めまして。クロゼルクのお嬢さん」
「…あなたは?」
ファビアは少し驚きながらも冷静に尋ねた。警戒されないためか、アレスはにっこりと笑って手を差し伸べながら自己紹介をする。
「私の名前はアレス。君に協力したい」
「協力?」
「ああ。君がなぜこんなことをしているのかは知らないが、君が邪魔されないように協力しよう」
「それをしてあなたになんの得があるの?」
「ああ、もちろんタダでは協力しない。まぁ、すべて終わってから話そう。なぁに大したものを求めるつもりはないよ」
敵意はない話し方だ。恐らくファビアの持つ何かを求めての行動なのだろう。そこにアレスから足止めを食らい続けているアキラがファビアに叫んだ。
「おいガキ!間違ってもそんな奴らに協力するなよ!」
だがそんなアキラの叫びに対しファビアは一瞬視線をアキラに向けただけで何も言わなかった。ファビアはアレスに向き直り、幼いながらも強気な目線をむけた。
「?」
「私は自分でほしいものは自分で手に入れる。誰の助けも借りない!これは私の復讐!!」
ファビアは高く飛び上がり構えた。交渉が決裂したことにアレスはやれやれという表情を浮かべて手に持っていた本を開いた。
「仕方ない。手荒な真似はしたくなかったがね」
「!」
刹那、アキラはギンガにアイコンタクトを送った。ギンガはそれに気づいて頷き、ファビアに向かってウィングロードを伸ばして走り出した。当然アレスがその後を追おうとするがアキラがそれを遮りつつギンガに何かを投げ渡した。
「ブラック…」
ファビアが攻撃を仕掛けるがアレスはそれより早く本にある一行をなぞった。
「ランサーブレイク」
アレスの周りに魔力槍が出現し、それがファビアに狙いを定めた。
「させない!!」
ギンガの拳がアレスの背中を捕らえる。しかしギンガの攻撃はアレスの身体をすり抜けた。
「!」
「残念」
(やっぱりこっちは幻影…なら!)
ギンガはそのままアキラから受け取ったボール状ものをファビアに向かって投げる。それはファビアの目の前で煙幕を大量に発生させた。
「逃げて!ファビアちゃん!」
「…!」
ギンガは叫んだ。いくら悪さをしているとはいえ一般人。テロリストの襲撃に巻き込むわけにもいかない。
「ファイア!」
だがアレスもギンガが叫んだのとほぼ同じタイミングで攻撃を放った。魔力槍は煙幕の中に突っ込んでいったが誰かに当たったような音はしなかった。
「…逃がしたか」
「テメェの思い通りにさせるわけねぇだろクソったれ」
アキラが言ったがアレスは笑みを見せた。
「本当にそうかな?」
-ファビアサイド-
「助けられた…あの人たちに…」
ファビアは箒で飛びながら色々考えていた。
「屈辱…だけど…」
あの二人はノーリの保護者ということは知っている。まさかあそこまでの実力者たちとは思ってなかったが、助けてくるとは思ってなかったのだ。
心がもやもやする。
そんなことを考えていると、目の前に少女が現れた。
「…あなたは」
「時空管理局嘱託魔導士ルーテシア・アルピーノ!盗聴・窃視及び不正アクセスの件でお話聞きにまいりました!」
「ならルーテシア・アルピーノ、これを見て」
ファビアはさっきと同じ手法でルーテシアを食らおうとした。だがルーテシアの表情は余裕だ。
「ソニック」
高速移動魔法でファビアの攻撃を回避する。
「名前を呼んで相手を飲み込む。古典的な技だねぇ。大人しく降参したほうがいいよ?でないとお姉さんがお仕置きしちゃうから」
確実な実力差を見せつけた上でルーテシアは怪しい笑みを見せた。
「魔女をあまり舐めないほうがいい」
「投降する気はなしっと…んーじゃあしょうがないねぇ」
ルーテシアがクスッと笑うとファビアの前方にルーテシアの召喚獣である画びょうのような虫が大量展開された。
「!」
それに驚いている間にルーテシアはファビアの背後に回り込んだ。直前に気づき、ファビアは振り返ったがそこには既にルーテシアの掌が目の前にあった。
「…っ!」
「遅い」
魔力砲をファビアの顔面目掛けて放とうとしたとき、その手に何者かの掌が割り込みルーテシアの攻撃を相殺させた。
「なっ…」
「やれやれ、彼女は我々にとって必要なのだよ」
アキラとギンガが相手をしている筈のアレスがファビアの前に現れた。
「!」
「君に用はない。サヨナラだ」
アレスが本に書いてある一行をなぞるとファビアがバインドで縛られ、本から紫色の霧が発生してルーテシアを包み込んだ。
「あっがぁ!!ぐっ!!」
霧に包まれた瞬間ルーテシアは苦しみ始め、吐血した。
「あがっ!ア…ぐぅ……ゲェ…」
吐血に収まらず、更に嘔吐し血涙を流し始めた。霧は毒であり命に係わるほどの毒性を持っていた。数秒いただけでこの症状。抵抗する暇もなくルーテシアの命は一気に削られていった。
(意識が…遠のいていく…死ぬ…このままじゃ………本当に…死…)
気絶するのか、死ぬのか、意識がなくなる寸前にルーテシアは大きな手で抱かれる感覚を感じた。
続く