とあるギンガのPartiality Vivid   作:瑠和

27 / 38
あと3話くらいで終わらせたい。ギンガの戦闘スタイルの関係上中々活躍させられないのが悩み。次から活躍できるかな?あと、最近ヴィクターがお気になので登場回数増えます。ファンの人がいましたら刮目ください。


第二十六話 幻惑!アレスの襲撃!

ノーリが誘拐されたことから始まった一つの事件。アキラはその手がかりを探すために無限書庫の未探索区域へ向かった。しかし、不幸なことにそこでまた今回の事件の延長線上の事件が起きてしまった。ルーテシアはその最中で瀕死の重症を負った。

 

「……んぅ?」

 

アレスが放った毒霧を受けたルーテシアは死にかけ、意識を失っていたが、今意識を取り戻した。

 

「大丈夫か……」

 

目を覚まして最初に視界に入ったのはアキラの顔だった。ルーテシアはアキラにお姫様だっこで抱かれている。

 

「アキラさん…」

 

「良かった…」

 

まだ毒のダメージが残っているのにも関わらずルーテシアにっこりと笑う。

 

「えへへ……やったぁ…ギンガさんの定位置だぁ」

 

ルーテシアはそう言って抱かれたままアキラに抱きつく。アキラはルーテシアを撫でながら抱き返す。

 

「もうほとんど毒素は抜けてる。病院で目とか肺に以上がないか見てもらえ」

 

ルーテシアはこくりと頷き、少し目に涙を見せた。

 

「すいません…わたし、役立たずで…」

 

「いや。わざわざ協力してくれたんだ。それだけでもありがたいさ」

 

「……………現状はどうなってるんですか?」

 

「ああ……実はな」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

-数十分前 コロナ・ヴィクター組-

 

 

 

「ふぅ…数ばかりかと思いましたが中々これは…」

 

「厄介ですね」

 

二人の前に現れる大量のファビアの使い魔。それはなぎ倒してもなぎ倒しても沸き続けていた。挑発のつもりか人質にとったリオたちの瓶を持った悪魔までいる。

 

「いい加減にしてほしいですわね」

 

その時、一部の使い魔が一気に薙ぎ払われた。コロナたちも驚き、そちらの方向を見る。

 

「初めまして、ダールグリュンのお嬢様」

 

現れたのは一人の男。男は現れるなりヴィクターに対して挨拶をした。

 

「……あなた、あの時会場に現れた不届き者ですわね」

 

コロナは始め誰だかわからなかったが、ヴィクターはすぐに目の前に現れた男に気づいた。会場でノーリをさらった人物。

 

此処に現れたのもアキラと対峙している筈のアレスだった。

 

「不届き者とは手厳しい。私たちはただの宗教者だ。そして、世界の為に身を削っている」

 

「だったら今すぐノーリさんを返しなさい」

 

ヴィクターは強気に対応した。

 

「私たちは世界をリセットする。我らが神の力を以て。それが人類の救済となると信じている」

 

「…………どうやら話すのは無駄のようですわね」

 

あきれ顔になったヴィクターは髪を整えながらため息をついた。そして改めて自身の槍斧型デバイスのブロイエ・トロンベを持ち直す。すると辺りに小さな静電気が起き始めた。ヴィクターが魔力を上昇させたことで帯電が始まったのだ。

 

その迫力に、辺りの使い魔たちは怖気づくほどだった。

 

「居場所を吐く気は?」

 

「ないね」

 

ヴィクターは深呼吸を行ってからデバイスを構えた。

 

「であれば、力尽くで取り返しますわ」

 

「ヴィクターさん!」

 

加勢しようとコロナが近づくが、ヴィクターは手をコロナの前に出し、加勢を拒んだ。

 

「下がってなさい。此処ではあなたの魔法はうまく発動できないでしょう」

 

「…」

 

ごもっともだった。此処ではゴーレム召喚が出来ない。召喚できても満足に動かせない空間、且コロナ自身無重力空間での戦闘経験はない。ヴィクターの足手まといになってしまう可能性があった。

 

「あなたにはあの小悪魔共が邪魔してこないように援護をお願いしますわ」

 

「…はい!」

 

コロナのできる最大限の役割を伝えた。コロナは元気よく返事をする。

 

「やれやれ。そもそも私はこんな話をしに来たんじゃない」

 

「こっちはその話しかする気はありませんが、何か要件があるなら一応聞きましょう」

 

戦闘態勢を解かずヴィクターは答えた。なにか交換条件などを話してくるかと思ったのだ。

 

「我々についてきてもらえないかな?君の力が必要なんだ」

 

「フフっ。なんというか…」

 

その話を聞いたとき、ヴィクターは急に笑い、そして小さく息を吐きだした。

 

「ここまで盗人猛々しい殿方は始めてみましたわ!!!」

 

ヴィクターはキレた。そして辺りに電撃を発生させながらアレスに飛び掛かった。

 

「四式「瞬光」!」

 

電撃を纏った槍でアレスに一突きしたがそれはアレスの身体を通り抜け、ヴィクター自身も通り抜ける。

 

「!?」

 

「やれやれ」

 

「また分身系ですの?まったく…」

 

振り返えりつつヴィクターは辺りを見回す。近くに術者がいないかどうか探したのだ。

 

(それらしい気配は感じませんわね)

 

「なら!」

 

ヴィクターはブロイエ・トロンベを頭の上で回転させながら電撃魔法を帯電させる。

 

「…?」

 

「コロナ!ガードを張りなさい!」

 

加減のできない攻撃のため、コロナにガードを張るように指示をした。

 

「は、はい!」

 

「七十八式!!雷襲波廻撃!!!」

 

叫び声と同時に回転させているブロイエ・トロンべから四方八方に電撃を散乱させた。

 

「きゃあ!」

 

無限書庫の本棚、壁、柱、そしてコロナの張ったシールドに電撃が命中するが肝心のアレスには命中しない。

 

(手ごたえもなし…………術者は近くにいない?)

 

「………ランサーブレイク」

 

「!」

 

アレスが反撃を行った。その攻撃はヴィクターにしっかり命中する。ダメージ自体ダールグリュンの鎧の前では大したことないが、あちらの攻撃は通じるというのは厄介だ。

 

「ぐっ!三十二式!黄雷撃!」

 

ヴィクターはさらに掌から電撃を放ったがそれもすり抜けた。

 

「………っ仕方ありませんわ!コロナ!撤退いたしますわよ!」

 

「ええ!?」

 

ヴィクターはコロナの方へ一気に飛んだ。

 

「不良娘どもはイレイザーで脱出できるでしょうが、こっちの攻撃が当たらないのでは勝負にもなりませんわ!」

 

「…わかりました!」

 

「はや……っく!?」

 

逃げようとしたときヴィクターが背後から攻撃を受けて止まった。

 

「ヴィクターさん!!」

 

「逃がしてくれるわけではない様ですわね……コロナ、あなたは行きなさい」

 

「え?」

 

「彼が用があるのはわたくしのようですし…あなたは行って………アキラさんを呼んできてください」

 

「でも…」

 

コロナは辺りを見回す。アレス以外にもファビアの使い魔たちがいる。これを一斉に相手するのではさすがに危険なのではと思ったのだ。

 

そのことを察してか、ヴィクターはブロイエ・トロンべを思いっきり振った。その衝撃波で使い魔たちが一部吹っ飛ぶ。

 

「私を誰だと思っているんですの?インターミドル都市本戦第三位、雷帝の血を(ほんの少しだけ)引くヴィクトーリア・ダールグリュンですわよ?これくらい、なんてことありませんわ……………信じなさい」

 

ヴィクターはコロナに向かって微笑んだ。

 

「……すぐに戻ります!!」

 

コロナはアキラが向かった方向に飛んだ。コロナを見届けたヴィクターはアレスに向き直る。

 

「良かったのかい?仲間を逃がして。まぁ私としては君にしか用がないから良いのだがね」

 

「あなた方の相手なんて私一人で十分ですわ」

 

ヴィクターは余裕の表情でブロイエ・トロンベの槍先をアレスに向けた。

 

 

 

ー数分後ー

 

 

 

アキラとギンガはアレス相手に手こずっていた。いや、仕留めるのは簡単だ。だがアレスは幻術を得意とし、逃げるのは得意だった。何より殺してしまっては手掛かりがなくなってしまう。

 

「糞が…」

 

「ははっ。殺せないっていうのは厄介だね。私は気にしないが」

 

アキラは歯噛みをする。どうにか捕らえる方法はないものかと模索するが中々いい手段が見つからない。そんなとき、そのフィールドにコロナが飛び込んできた。

 

「アキラさん!」

 

「コロナ!?」

 

「ヴィクターさんが………」

 

そこまで言ったとき、コロナはさっきまで目の前にいた男をここでも目にして驚愕する。

 

「なんであなたがここに!?」

 

「…っ」

 

その言葉でアキラはすべてを察し、アレスから一旦距離を置く。

 

「氷点の花よ!盾尽く我らを護り、檻尽く脅威を封じよ!氷獄天華!!!」

 

アキラは手の前に魔力を集束し、それをアレスに向けて放った。アレスはその攻撃に対魔力マントで防ごうとしたが、命中する手前で爆散した。

 

「!?」

 

爆散した場所から氷の花が出現し、その花から五枚の花弁が伸び、アレスを包み込んだ。

 

「…これは」

 

「そいつは氷の監獄。残念ながら抜け出すことは出来ねぇ。その代わりこっちから手出しも出来ねぇが…ギンガ!」

 

「うん!」

 

ギンガはミウラを、アキラはコロナを抱えてヴィクターの元へ向かった。

 

「アキラ君さっきのは…」

 

「あれは氷の檻に閉じ込めて相手を凍死させる技だ。閉じ込めたやつが死なねぇと解除もされねぇ。できれば使いたくなかったが、ガキの安全には変えられねぇ」

 

「仕方ないね…」

 

その道中、向こう側から異常を通信機で知り、やってきたはやてが現れる。

 

「アキラ君!?」

 

「はやてさん!」

 

「ガキ共頼んだ!!」

 

そして現れたはやてにコロナを預け、アキラは先に行く。

 

「ええ!?ちょっ…」

 

「アークの構成員がここにきたファビア…DSAA参加選手を狙ってきました!すぐにこの区域に応援を呼んでください!」

 

ギンガもミウラを預け、アキラの後を追った。

 

「ええ!?」

 

その場に取り残されたはやては、子供を置いても行けずどうしていいかわからず唖然としているしかなかった。

 

そして二人は、ヴィクターが戦っていた現場に到着する。

 

「ヴィクトーリア!」

 

「おや、遅かったね」

 

そこには、分身体と思われるアレスに抱えられてぐったりしているヴィクターとがいた。

 

「ヴィ…」

 

「時雨露走」

 

ギンガがそれをみて叫ぶ前にアキラがアレスに攻撃を仕掛けていた。居合切りの要領で刀を抜きつつ突進し、アレスの首を掻っ切ったがそれは通り抜ける。

 

「くそっ、また本体じゃねぇ…」

 

「その子を放しなさい!」

 

ギンガが構える。しかし、追い詰められているのにしてはアレスは余裕の表情だ。

 

「残念ながらこの娘も我々の計画に必要になった。もらっていく」

 

「はいそうですかって渡すわけねぇだろクソったれ」

 

「攻撃も当てられないくせに何を………っ!?」

 

アレスの分身の身体が急に一部乱れた。

 

「これは…」

 

「アレス・マートン。お前の得意魔法は霧の魔法だろ?」

 

アキラは聞いてもいないアレスのフルネームとその得意魔法を言う。アレスはそのことにさすがに表情から余裕の色が消える。

 

「なぜ私のことを…」

 

アキラは刀を納刀しながら答えた。

 

「テメェが支援してた組織のトップはもうこっちの味方ってことだ」

 

「…クラウド君か……」

 

アレスは無念そうな顔をしながら消滅していく。

 

「相性が悪かったな。俺は氷の魔法が得意なんだよ。お前は霧っていうスクリーンに映された幻影だ。霧って言っても所詮は水。凍らせればお前も消えんだろ」

 

「さっきの一撃…氷結魔法が付与されていたわけか……だが、いい。この娘は返そう…一番の目的の物は、もう手に入る…もう私は君の檻から抜け出したよ」

 

「なんだと!?」

 

「クク…もう少し魔法の腕を磨き給え…」

 

その言葉を残してアレスの分身は消えた。それによって宙に放り出されたヴィクターをアキラはすぐに抱えた。

 

「おい!大丈夫か!」

 

「…………アキラさん?」

 

「良かった……大丈夫か?」

 

「怪我はない?」

 

二人の問いかけにヴィクターは頷く。まだ意識が朦朧としている感じではあるが、何が起きたかは理解はしているようだ。

 

「なにか、睡眠薬のようなものを浴びせられたようで、特に怪我とかは…」

 

「なら良かった。俺らは行くが…お前を一人にも出来ねぇな…」

 

「わたくしは大丈夫です…それより犯人を…」

 

「あたしらが付くから安心しな!」

 

奥から聞き覚えのある声がした。魔女に捕まったハリー達がイレイザーの魔法で脱出していたのだ。ハリーとその仲間たち、エルス、リオ、ミカヤの面子だ。これなら一人残していくよりも良いだろう。

 

「ここは私たちに任せて、アキラさんたちはあの男を!」

 

「すまねぇ頼んだ!」

 

「ごめんね!今ノーヴェが向かっているから!!」

 

二人はすぐに飛んだ。アレスの言動で既に彼の目的は分かっている。次の目的はファビアだ。アレスは、アークは古代ベルカの記憶を持った人物を集めている。

 

ファビアに協力すると言ったのはそれが理由だろう。そこに通信が入る。

 

『アキラさん!ギンガさん!』

 

「ルーちゃん!」

 

「どうしたこんな時に!」

 

『私今、あなた方と同じ場所にいます!ある少女を追っているんですが…』

 

ルーテシアが表示したのはファビアだ。

 

「その子ならさっき見かけて、今別の連中に追われてる可能性がある!その子の保護、頼めるか!?」

 

『了解!』

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

そしてルーテシアはファビアを追い詰めるも、氷の檻を抜け出したアレスに攻撃され、死にかけた。毒霧の中、ルーテシアは意識を失う。

 

「サヨナラだ」

 

「ルーテシア!!」

 

その毒霧を強力な吹雪が掻き消した。現場に駆け付けたアキラが放った吹雪だ。毒から解放されたルーテシアをギンガが支える。

 

「また君か…」

 

「こっちとしてはまたテメェかって言いてぇんだよ!ファビアを解放しろ!」

 

アキラは刀の切先をアレスに向けた。アレスの手の中には恐らく何らかの方法で意識を奪われたファビアが抱えられていた。

 

「残念ながらそうはいかない!クロゼルクの子孫、クラウスの子孫、オリヴィエのクローン、そして…」

 

アレスは手に持っている本を開いてアキラに見せる。その本のページにはジークが封印されていた。

 

「エレミアの子孫。本人は覚えてなくても深層心理に記憶は宿っている。それで十分…」

 

刹那、アレスの腕が切り落とされた。

 

「!!」

 

「死ね」

 

もうアキラは容赦しなかった。完全に殺しに行っていた。次の攻撃で首を落とすつもりだったがその攻撃を寸止めした。

 

「てめぇ…」

 

「何のための人質だと思ってる」

 

アレスはヴィヴィオとアインハルトが捕らえられている瓶を自身の首に当てアキラの刀が来る位置に置いていた。

 

「…?」

 

「…ランサーブレイク」

 

アキラは瓶を見ながら眉間にしわを寄せていた。その隙にアレスの攻撃を食らい、吹っ飛んだ。

 

「アキラ君!」

 

吹っ飛んだアキラをギンガがキャッチした。

 

「……」

 

「やってくれたね……まったく」

 

アレスは腕の止血を行いながら本を構えた。

 

「さぁ、もう油断はしない………人質の命がどうなってもいいなら、来るがいい…」

 

「………っ!」

 

ギンガはどうするのが正解か、アキラの顔を見る。だが、アキラは不思議と焦っている様子はなかった。

 

「行けよ」

 

「アキラ君!?」

 

冷静な態度で返した。ギンガが理由を尋ねようとしたがアキラは手で静止を促す。

 

「人質取られちゃどうにもならねぇ。悔しいが、見逃すしかなさそうだ」

 

「賢い選択だ」

 

アレスはにやりと笑うと転移魔法を行って消えた。すぐにギンガが掴みかかってきた。

 

「アキラ君どうして!」

 

「落ち着け。さっき、瓶の中のアインハルトが俺に伝えてくれた」

 

アキラがアレスの首を斬れず止めたとき、瓶の中からアインハルトがジェスチャーで伝えたのだ。

 

「アインハルトの野郎、服もデバイスも奪われてるくせして俺の渡したあのスイッチだけ持ってやがった。あれは持ってるやつの位置情報もわかる………つまり…」

 

そこまで言ってギンガがハッとする。

 

「アークのアジトが、ノーリの居場所がわかる!」

 

「その通りだ。アインハルト達もすぐ助けに行くぞ!」

 

「うん!今度こそ」

 

「ああ、取り返すぞ!」

 

 

 

続く

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。