とあるギンガのPartiality Vivid   作:瑠和

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ずっと書きたかったシーンです。勝手に色々設定追加してますがまぁ二次創作なんで多めに見てください。


第三十一話 激突!アインハルトの想い!

-4日後 聖王教会-

 

 

この日、DSAAの大会が再開される3日前。聖王教会の庭で試合は行われることになっていた。今回の試合を行うのはアインハルトだった。提案したのはヴィヴィオだったが、事件の中でヴィヴィオは足を負傷したため、アインハルトが出ることとなった。

 

この試合には多くの観覧者が来ている。この試合はヴィヴィオが提案した「本気の想いのぶつけ合い」がメインとなっている。

 

さらに先日、全員でエレミアの書記を呼んだ。ノーリだけが知っていた覇王イングヴァルトの過去。それが皆の知るところとなった。ノーリが今まで抱えてきた記憶。それと彼はこれまで、そしてこれからどうやって向き合っていくのかが皆の注目するべきところだった。

 

「すいませんアインハルトさん…なんだか背負わせるような形になってしまって……」

 

「いえ、気になさらないでください。私自身、彼に言いたいことはありましたから」

 

「え…?」

 

「それから、ノーヴェさん」

 

「なんだ?」

 

「試合中に、長い話になったり、ちょっとした無理をするかもしれませんが………その時は止めないでいただきますか?」

 

ノーヴェは少し考えてから頷いた。

 

「会話は大会では最悪反則行為にされるがまぁ、今回は試合を組んだ事情も事情だし、公式試合じゃない。許容範囲なら許可する」

 

2人が話していたとき、アキラに連れられてノーリがやってきた。

 

「……」

 

「ノーリさん…」

 

「おいノーリ!テメェ勝手にやめるとか言ってるらしいなぁ!」

 

来て早々ハリーがノーリに噛みついた。

 

「別に、俺の勝手だろ」

 

「ああ!?おいアインハルト!やっぱあたしと変われ!」

 

喧嘩腰のハリーに比べてノーリはずいぶん冷めている。その会話にヴィクターが割って入った。

 

「やめなさい。ノーリ、試合はしてくれるみたいだけど、やっぱりやめる意思に変わりはないの?」

 

ノーリは黙って頷いた。

 

「そう……」

 

「俺は別れを伝えるためにここに来たんだ。その前に試合がしたいって言うから、最後に一戦だけ付き合ってやる」

 

「そう……」

 

何とも言えない空気の中、審判役のノーヴェがやってきた。

 

「二人とも準備はいいか?」

 

「ああ」

 

「はい」

 

「なら二人ともバリアジャケット装備!!」

 

ノーヴェに言われ、二人ともそれぞれのデバイスを出し、バリアジャケットを展開した。

 

「武装形態」

 

「戦闘形体」

 

「二人とも開始位置に」

 

2人はある程度離れた位置に立ち、合図を待つ。アインハルトの気合いは充分だが、ノーリはどこかどうでも良さそうな、気合いのない顔だった。

 

「…」

 

「ラウンド1……開始!!」

 

ノーヴェの開始の合図と同時にアインハルトはノーリに一気に接近し、顔面に向けて蹴りを放った。鈍い音が教会の庭に響く。

 

「……」

 

アインハルトの蹴りはノーリに綺麗に決まった。しかしノーリは微動だにせず棒立ちのままだ。攻撃で仰け反るわけでもそれを防いだわけでもない。

 

「ふっ!」

 

アインハルトは追撃に右ストレートを鳩尾に撃ち込むがそれももろに食らった。だが姿勢は崩すことはない。

 

「………!」

 

「終わりか」

 

「っ!」

 

更に追撃に行こうとしたとき、ノーリは一気に姿勢を低くしてアインハルトの右手と首を巻き込む形で抱きしめ、そのまま押し倒した。

 

「肩固め!」

 

「ノーリさんが絞め技!?」

 

(想定外だ!ノーリさんがこんな技使うなんて……)

 

完全に絞め技を決めながらノーリは耳元でささやく。

 

「お前が何してぇのか知らねぇけどよ……もう…」

 

(くっ、固い……っ!抜け出すのは至難の技だ…でもそれは、格闘技ならの話!)

 

アインハルトはノーリの脇腹に拳を当て、体を動かす。

 

「空破断!」

 

「!」

 

ノーリは空破断の威力に耐えきれずに吹っ飛ばされたが、すぐに体制を建て直して構える。

 

(空破断だと!?今のが!?今までと断然威力が違う…)

 

「げほっごほっ!」

 

アインハルト咳き込みながらもなんとか起き上がり、構えた。

 

「どうやら、ちったぁ鍛えてきたみたいだな…」

 

「はい……ノーリさんと私の戦績は3戦1敗1分、1回は無効試合です今のところ私の敗北です。実力は大体ですが今回だけは絶対に勝たせていただきます。この胸の思いを拳に乗せてあなたに届けるために」

 

「…………そこまでして俺に思いを届けたいならいいぜ。受けてやる」

 

ノーリは両手を広げて仁王立ちになる。それを見て、アインハルトは一旦構えを解いた。急に戦闘意思を見せなくなったアインハルトにノーリは疑問を抱く。

 

「…?」

 

「やっぱり………私達が望んでる通りに戦うんですね、あなたは」

 

「なんだと?」

 

「あなたのお話を、この四日間いろんな方に聞きました。アキラさんを始め、色々な方に。貴方の生まれ、これまでの事。そして、少し見えてきました。貴方という人間が」

 

「…」

 

「あなたは、これまで多くの人を助けてきました。これまでずっと、誰かのためにしか生きていないのではないんでしょうか」

 

「……っ!」

 

その言葉にノーリは驚き、ギャラリーはざわつき始めた。

 

「誰かのためにしか……」

 

「それって……どういうこと?」

 

ノーリはどこか心当たりがあるような様子だ。だが、それを否定する姿勢でアインハルトに対応する。

 

「……何を証拠にそんなこと…」

 

「証拠ならいくらでもあります。学校でのあなたの行動、数か月前の黙示録事件、私を救ってくれたこと、ヴィヴィオさんやリオさん、コロナさんへの励まし。さっきだってそうです。私があなたに想いを伝えたいと言った時もあなたはそれを全身全霊で受け止めようとしてくれました。不特定多数の大勢の人の望み、それを黙って全部引き受けているんです。あなたは」

 

「………」

 

「あなたの無償の優しさ。人助け。それには理由があるんじゃないんですか?」

 

「知らねぇな。そんなんテメェの勝手な思い込みだろうが!!」

 

ノーリにしては珍しい剣幕でアインハルトに叫んだ。そして試合に戻そうと構える。するとアインハルトは「仕方ない」という表情である名前を口にした。

 

「リンネ・ベルリネッタ」

 

「…っ!!!」

 

ノーリはハッとして止まった。

 

「それが、あなたをそんな風にした原因なんじゃないんですか」

 

「……………っ!………っ!しら…ねぇな」

 

ノーリは汗を流しながら葛藤した様子を見せつつも必死に否定した。苦しそうな様子のノーリを見てアインハルトは小さくため息をついてとりあえず終わりにすることにした。

 

「そうですか。まぁ今はそれならそれでいいです。貴方を倒したうえでお話させていただきます」

 

「………上等だ。やれるもんならやってみやがれ!!!」

 

ノーリは構えてアインハルトに突っ込んだ。アインハルトも構える。今度はさっきの棒立ちと違う。ノーリは攻めの構えだ。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

「くっ!」

 

ノーリはアインハルトに反撃の余裕を与えない連打を繰り出した。アインハルトはギリギリガードするが確実にダメージは蓄積される。

 

(速い!いや、それ以上に攻撃もガードも完全に動きを見切られている!)

 

アインハルトの隙を見つけて腹部に思い一撃を入れる。そしてアインハルトの背中を掴み、膝撃りを連発。無理やり姿勢を起こさせて強力な頭突きを食らわせた。

 

「がっ…」

 

それでアインハルトはダウンさせられる。

 

「さすがにノーリさんは強いですね……」

 

「当たり前だ。あいつはお前らに比べて死戦を多く潜り抜けてきた。いうなれば命のやり取りをしてきた方が多い。その分「人の壊し方」は上手い」

 

ノーリの力を見て驚いているコロナたちにアキラが説明した。

 

「カウント!1!2!3!」

 

「…………まだやれます!」

 

アインハルトは何とか起き上がり、構えなおして試合が再開される。

 

「オラァ!」

 

「ぐぅぅぅ!」

 

再びノーリの猛攻が始まる。

 

「ああ、アインハルトさん防戦一方…」

 

「これじゃまた………」

 

「……っ!」

 

ノーリは強力なブローを決めると思わせた振りを見せた後、素早く右足をアインハルトの左足に当てた。その一撃はアインハルトの右足を壊すには十分だった。

 

「-----ッ!」

 

姿勢の崩れたアインハルトに対し、ノーリは大きく腕を振り上げた。

 

(覇王…)

 

「アインハルトさん!」

 

「ああ!」

 

(断空拳)

 

容赦なく振り下ろし式の断空拳をアインハルトに打った。完全に決まった。ギャラリーもノーリ自身もそう思った。

 

しかし、次の瞬間アインハルトのアッパーカットがノーリに決まる。

 

「!?」

 

「…っ!」

 

(舌を噛んで無理やり意識を保ったか…)

 

舌を噛んで気絶を免れ、断空拳を食らった瞬間大地に拳を突き立ててダウンを防いだ。さらに最後の力を振り絞って油断したノーリに一発入れたのだ。

 

「1ラウンド終了!インターバル60秒だ!」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、ごほっ!」

 

「アインハルト!」

 

アインハルトは血を吐いてその場に跪いた。舌を噛んだ代償だ。

 

「………」

 

ノーリはその様子を見ながらもタオルで汗をぬぐって背を向けた。

 

「大丈夫!?」

 

「はい。ティオ、頼めますか?」

 

「にゃあ!」

 

ティオの回復能力でアインハルトは身体と口の傷を癒す。

 

「………どうしてそこまでする。お前がそこまでして想いとやらを届けたい人間か?俺は」

 

アインハルトは口の周りに着いた血を拭ってノーリを見る。

 

「……ノーリさん自身の自己評価は知りません。ですが、私にはここまでして想いを届けたい相手です。そして、ヴィヴィオさんから教わったんです」

 

「?」

 

 

 

-4日前-

 

 

「本気の試合?」

 

会議でヴィヴィオが上げたアイデアは、本気の試合で想いを伝えることだった。

 

「はい。でも私は足怪我してますし、試合はアインハルトさんにやってもらいたいと思います!」

 

「わ、わたしですか?」

 

「はい!実力的にアインハルトさんがノーリさんに一番近いと思いますし、コロナは次の試合に響くといけないですし…」

 

アインハルトは少し困り顔だった。その様子を見てミカヤが少し口を挟む。

 

「確かに本気でぶつかり合うしかない時も必要なのかな」

 

「ミカヤさん…」

 

「みんなの意見はどうかな?」

 

「まぁとりあえずそれでいいんじゃね?あいつの事情なんて難しくてよく分かんねぇし、殴り合いの方がわかりやすいしな!」

 

「そうね。下手に励ましたりだとか、説得するよりもその方がいいかも」

 

他のみんなもおおむね賛成の様だった。試合選手が多いせいか脳筋な考えの者が多いようだ。

 

「本当にいいんでしょうか…」

 

アインハルトはまだ納得していない様だった。ヴィヴィオは試合を提案した理由をアインハルトに語りだした。

 

「……私、オリヴィエのクローンだって話は前にしましたよね。過去の記憶はないけど体質は受け継いでて、「鍵」としてゆりかごを甦らせるためだけに生み出されたのが私です。大好きだった優しい人まで私はこの手で殺しかけました。心も身体も自分の思うようにならなくてどうしていいかわからなくて、だけど助けてくれた人がいたんです。私の涙も痛みも運命も受け止めてくれた人が。私がその人から教わったのは、ぶつかり遭わなきゃ伝わらない思いがあるってこと。打ち抜く力は想いを届けるためにあるんだって事」

 

「……」

 

「アインハルトさんとノーリさんが初めて戦った時のことを覚えていますか?」

 

「あ、はい……」

 

「その時もノーリさんは私の想いをアインハルトさんに届けてくれるために拳をふるってくれました。でそれと一緒です」

 

「なるほど…」

 

 

 

-現在-

 

 

 

「私たちにとってノーリさんは頼れる方であると同時に大切な仲間でもあるんです!ノーリさんを倒せるくらい強いことを証明して、もっと私たちに頼ってもらいます!誰かの為の戦いだけをして負債を背負い続けたあなたの負債を私たちにも背負わせてもらいます!」

 

「………は、笑うこともできなかったような奴がずいぶん成長したじゃねぇか。でもよテメェ程度の実力で俺が倒せるといいな」

 

アキラの挑発の後、ラウンド2が開始される。開始と共に、アインハルトは胸を押さえた。

 

「ティオ!!」

 

「!?」

 

アインハルトの叫びと共にアインハルトの足元から魔力が放たれる。

 

「確かに今の私の実力じゃ難しいかもしれません。ですが私も無策で来たわけじゃありませんので!!」

 

「これは………」

 

「モードリリース!!!ライジング!!」

 

『にゃぁーー!』

 

アインハルトのバリアジャケットのデザインが変わっていく。全身に金のラインが入り、袖がなくなり、腰のリボンも細くなった。そして拳と足の脛に金色の鎧が装備された。

 

「………何だその姿は…」

 

「この日の為に、アキラさんとルーテシアさん、八神家の皆さんに協力してもらって開発したフォームです…………参ります!」

 

「!!」

 

刹那、アインハルトの姿がノーリの視界から消えた。

 

次の瞬間、アインハルトの上段蹴りがノーリに炸裂する。ノーリはそれをなんとか防御するも腕から鈍い音が聞こえる。

 

(く…っ!)

 

「はぁ!」

 

続いてアインハルトの右拳がノーリの腹部を狙う。それもなんとかガードしたが大きく後ろに下がらされた。

 

(重てぇ………!)

 

「ふっ!」

 

「やろぉ!」

 

さらにアインハルトは一瞬で間合いを詰める。ノーリはカウンターを狙ったがその一撃は空を切った。アインハルトは瞬時にノーリの前から死角に移動し、重たい一撃を脇腹に食らわせた。

 

「がはっ!」

 

(その上恐ろしく速い!)

 

ライジングモードでノーリを圧倒しながらアインハルトは一つの可能性を考えていた。

 

(イングヴァルトの記憶を引きついで、助けてもらったことは感謝しています。でも、そのせいであなたはふさぎ込んでしまった。もし……もしあなたが私の代わりになってなかったら、あなたと私の立場は逆だったかもしれません)

 

アインハルトはさらに加速し、ノーリの背後に回る。そして背後からノーリを蹴り上げ、地面に落ちる前に再度殴り飛ばし、さらに上へ上へと突き上げていく。

 

最後にアインハルトは一気に上空へ飛ぶ。その高度は殴り飛ばされたノーリよりも高かった。そして拳を構え、狙いをノーリに定めた。

 

(記憶を失っても私は貴方に言われた通り覇王流を捨てなかった。捨てずにいたから出会えた人たちが、心を許せる、共に笑える仲間たちが出来た。貴方もその一人だから!)

 

「絶対助けます!!!」

 

ノーリはアインハルトの拳をガードしたが簡単にそのガード抜かれ、凄まじい速さでノーリは地面の岩盤に叩きつけられた。

 

ノーリはすぐに起き上がって来ない。

 

「あれは決まったかしら」

 

「ちょっと無理かもしれませんね…」

 

 

 

続く

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