とあるギンガのPartiality Vivid   作:瑠和

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第三話。いいペースで書いてるつもりなのに話の進みが異様に遅い気がします。感想、評価、投票随時募集しています。


第三話 衝突!覇王と聖王

アインハルトはアキラたちと相談し、聖王のクローンどあるヴィヴィオと戦うことにした。その後、ティアナたちとともに署に出向き、その日は厳重注意で解放される。

 

「…」

 

帰り道、アインハルトは悩んでいた。これで本当によかったのか。確かにヴィヴィオと戦えることは喜びではある。だが、ヴィヴィオはアインハルトの拳を、覇王の悲願を受け止めてくれるのか、「受け止めるに値するのかどうか」。しかし、それ以上に引っ掛かっていることがあった。

 

(アキラさんに私の拳が敵わなかった…)

 

「私は…」

 

 

 

-翌日-

 

 

 

アインハルトとヴィヴィオの対戦を見るために、関係していたアキラ、ギンガ、ノーヴェ、ティアナ、スバル、そしてノーヴェに呼ばれたチンクらは待ち合わせ場所のカフェに来ていた。

 

「にしても、お前ら産休中とはいえ暇そうだなぁ」

 

頼んだアイスコーヒーを飲みながらノーヴェが言った。

 

「まぁね。子育てしてるとはいっても、夫婦で挑むと結構暇な時間があったりするし。特にアリスが大人しいし」

 

「そうだな……でも、アリスはずいぶん大人しいが、一回泣き出すと結構大変でな。なー、アリス」

 

ギンガに抱かれ、眠っているアリスを撫でながら言った。

 

「へぇーまぁそれはそれで二人が幸せならいいんだが、なんでお前らまでいるんだよ!」

 

ノーヴェが振り返りながら言った。今回の一件にほぼ関係のないウェンディ、ディエチ、オットー、ディード、ウーノ、セッテが来ていた。

 

「えー、別にいいじゃないっすか」

 

とウェンディ。

 

「時代を超えて聖王と覇王の出会いなんてロマンチックだよ」

 

とディエチ。

 

「私は単に非番で暇だったので」

 

とセッテ。

 

「私も…あなたたちが家にいないと暇なのよ。食事の準備もないし」

 

とウーノ。

 

「陛下の身に危険が及ぶことがあったら困りますし」

 

「護衛としては当然」

 

と、ヴィヴィオの護衛であるオットー、ディードが言った。

 

「すまないなノーヴェ、姉も止めたんだが」

 

「うう」

 

チンクに言われると、ノーヴェは強く出れず渋々了承する。とりあえずノーヴェは余計な茶々は入れないように言っておいた。

 

「ノーヴェ!みんなー!」

 

そこに元気な声が聞こえてくる。ヴィヴィオがやってきたのだ。さらにヴィヴィオの友人であるリオとコロナがやってきた。

 

「おお、騒がしくてわりぃ」

 

「ううん、全然」

 

ノーヴェとヴィヴィオの仲はとても良好に見えた。

 

「いつの間にか仲良くなってまぁ…」

 

「いいことじゃない。義妹が元気にやってるなら…」

 

「そうだな……ん?」

 

アキラが二人を見ていると、背後から視線を感じた。

 

振り返ってみると、そこにはコロナがいた。アキラと視線が合うと、コロナは顔を真っ赤にしてリオの後ろに隠れた。

 

「…どうした?」

 

「えっと…あの……私…」

 

「…?」

 

「失礼します」

 

「おっす」

 

コロナがリオの後ろにごにょごにょしているとき、学校が終わったノーリとアインハルトが到着した。

 

「アインハルト・ストラトス参りました」

 

「連れてきたぜ」

 

ノーリはアインハルトをつれてヴィヴィオの前にまで来る。

 

「ヴィヴィオ、こいつが…」

 

ノーリがアインハルトを紹介しようとするとそれより先にヴィヴィオが挨拶を始めた。

 

「えっと…あの、はじめまして!ミッド式のストライクアーツをやっている、高町ヴィヴィオです」

 

ヴィヴィオは元気に挨拶をし、手を差し出した。

 

(この子が…)

 

「ベルカ古流武術、アインハルト・ストラトスです」

 

アインハルトは自己紹介をしてヴィヴィオと握手をした。アインハルトは目の前の少女を見ながら考えていた。確かにオリヴィエに似ているが、オリヴィエ本人ではない。だが、その紅と翠の瞳は間違いなく聖王女の印だった。

 

ギンガとアキラは二人の様子をそっと見守っていた。

 

「うまくいきゃいいんだがな…」

 

「そうね…」

 

「ああ、そうだ。どうかしたのかコロナ」

 

アキラはさっきのことを思いだし、コロナの方を見た。コロナは依然リオの影に隠れたままだ。

 

「え、えと…な、なんでもないです!」

 

「そうか…」

 

アキラは特に気にする様子もなかったが、その状況をナンバーズが見ていた。そしてすぐに机の中央に顔を寄せてひそひそと話し出した。

 

「な、なんなんスかね?あれ…」

 

「うん…アキラさんは気にしてないけど、普通じゃなかった」

 

「まさかコロナお嬢様がアキラさんに気があるのでは…」

 

「でもコロナお嬢様とアキラさんは今回が初対面なのでは?」

 

「一目惚れ…?」

 

「いやでもアキラさんもなんやかんや有名人だし…」

 

「少し前、雑誌に載っていたしな」

 

「なに話してんだ?」

 

「「「わぁ!」」」

 

ナンバーズで内緒話をしてたところにアキラが来ていた。

 

「もういくぞ」

 

「う、うむ…」

 

アインハルトたちが合流したことで、全員スポーツコートに向かうことになっていた。

 

 

 

ースポーツコートー

 

 

 

ヴィヴィオとアインハルトは競技着に着替えてコートにたつ。アインハルトは相変わらずポーカーフェイスだが、ヴィヴィオはどこか楽しそうだった。

 

「じ、じゃあアインハルトさん!よろしくお願いします!」

 

「はい」

 

アインハルトは返事をしつつ、ヴィヴィオを見た。

 

(本当にこの子が覇王の拳を…覇王の悲願を受け止めてくれる?)

 

アインハルトが構えて、ベルカ式の魔法陣を展開する。その構えと魔力から感じる圧にヴィヴィオは一瞬背筋をゾクッとさせた。

 

「んじゃスパークリング4分1ラウンド。射砲撃と拘束はなしの格闘オンリーな」

 

ノーヴェがルール説明をしてラウンドが開始される。

 

「レディ、ゴー!」

 

開始してすぐに動いたのはヴィヴィオだった。数回跳ねてウォーミングアップすると、そのままアインハルトの懐に飛び込んでいった。

 

そして下から一撃。その一撃は防がれるも、ヴィヴィオはさらに二撃、三撃と追撃する。

 

「ヴィヴィオ……ガキにしちゃよくやるじゃねぇか」

 

アキラやヴィヴィオとあまり関りがない人間はヴィヴィオの動きの良さに感心する。

 

「練習頑張ってるらしいから」

 

「ああ。文系にしてはな」

 

アインハルトは反撃はせずヴィヴィオの技を受け続けていた。自身の拳を受けさせるべき相手かどうかを見極めているのだ。

 

(まっすぐな技……きっと、まっすぐな心…)

 

ヴィヴィオを見ながらアインハルトはヴィヴィオの拳を確認した。まっすぐで、きれいな心。暗い戦争の記憶なんて微塵も感じない

 

(だけどこの子は…だからこの子は)

 

アインハルトは決めた。そして申し訳なさそうな顔をして構えた。

 

その時、ノーリに電撃が走った。

 

「…っ!」

 

(私が戦うべき王ではないし)

 

そのままヴィヴィオの攻撃を避けたことで生まれた隙に、ヴィヴィオをふっとばした。

 

「!」

 

ヴィヴィオはそのまま壁に向かって吹っ飛ばされたが、オットー達より早くアキラが受け止めた。

 

「大丈夫か?」

 

「は…はい…」

 

ヴィヴィオは少しびっくりしている様子だったがすぐに表情を明るくした。アインハルトの実力にビビったのではなく、驚き、感心したのだ。

 

(す…すごい!)

 

(私とは違う)

 

アインハルトはそこでヴィヴィオに見切りをつけ、スパーを中断して振り向いた。自身の問題に巻き込むべきでないと判断したのだ。

 

「お手合わせ、ありがとうございました」

 

その反応を見て、ヴィヴィオはすぐに駆け出す。

 

「あ、あの!私!何か失礼を!?」

 

「いいえ」

 

「じゃ、じゃあ、あの、わたし弱すぎました…?」

 

「いえ。「趣味と遊びの範囲内」でしたら充分すぎるほどに」

 

アインハルトはヴィヴィオが不真面目だと言いたいわけではない。自身が相手にしたいのは格闘技ではなく戦争を、相手を殺す覚悟のある闘いができる相手だった。だからヴィヴィオは違うと言ったのだ。

 

「申し訳ありません。私の身勝手です」

 

「あの、待ってくだs」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

俺がアインハルトストラトスと出会ったのは、数ヵ月前。

 

まだ初等科にいたときだった。5年生のとき初めてクラスが一緒になった。

 

その時の俺は友人関係はまぁまぁ、でも恋愛なんかに興味はなかったから、女子に対して特別な感情を抱くことはなかった。

 

だが、アインハルト・ストラトス。彼女だけは違った。碧銀の髪とオッドアイの瞳。一目で他の子供とは違うことがわかった。

 

だがそれでもこれといって気になるわけではなかった。自分が関わることでもないと思った。回りと少し壁を作っているような気がする以外に変わったところもなかった。

 

そして、学校行事でアインハルトとコミュニケーションをとることがあった。

 

そのとき初めて気づく。アインハルトと話していると心がざわつく。

 

脳裏に誰かの顔がちらつく。

 

俺が知っている人間ではない。俺じゃない誰かの記憶。

 

知りたい。俺はそう思った。いや、きっと本当は知る必要なんかない。だが、なぜだろう。俺の本能はその記憶の人物を知りたがっている。アインハルトの技を見た瞬間、その欲望が今までよりずっと大きくなっていくのが分かった。

 

知りたい!あれが誰なのか…。いや、知る必要がある!

 

そのためには…そのためには…!

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「待ってくれ!」

 

ノーリはいつのまにか駆け出し、アインハルトの手を取っていた。周りのメンツは驚いていたし、何よりノーリ自身も驚いていた。

 

「ノーリ!?」

 

「ノーリさん!?」

 

「あ…」

 

ほとんど考えもなしにアインハルトの手を掴んだノーリが一番焦っていた。

 

「えっと…」

 

「どうした?ノーリ」

 

ノーヴェが話しかけてきた。ノーリも色々特殊な人間だ。なにか理由があると思って助け船を出したのだ。

 

「…アインハルト……さん。俺と戦ってくれないか?」

 

「え?」

 

予想外の提案で、アインハルトも驚く。

 

「お前の「拳」、俺なら受けられる」

 

「あの…いったい何の話で…」

 

アインハルトは少し自身の気持ちに嘘をつきながら「なんの話か分からない」という表情をした。だがそれを見透かしているかのようなノーリの眼は本気だ。

 

「そんな気がするんだ………だから、ヴィヴィオ、ノーヴェ、悪ぃ。次は俺にやらせてくれないか?」

 

「え…あ…」

 

ヴィヴィオは戸惑っている様子だった。アインハルトもそうだ。二人は助けを求め、ノーヴェび視線を向ける。

 

「あーどうすっかな。じゃあまぁまた少ししたら試合組むよ。今度はスパーじゃなくて練習試合をさ」

 

ノーヴェは少し悩んだ後、三人に提案した。

 

「じゃあ……それで頼む…。その……急にすまなかったな。アインハルト」

 

「…いえ」

 

ノーリは少し落ち着いたのか、自身の行いを謝罪してアキラアたちの方へ戻っていった。戻っているとき、ヴィヴィオとすれ違う。

 

ヴィヴィオはすれ違いざまにノーリの表情を見た。ノーリの表情はどこか重そうだった。自身が知らないところで何かが起きている。それを理解したが、ヴィヴィオは口には出さずにノーリを見送った。

 

その日はとりあえずそこで解散となった。

 

 

 

-高町家-

 

 

 

ヴィヴィオはその日の夜自身の部屋で思い悩んでいた。

 

(私が弱すぎて、がっかりさせちゃったのかと思っていた…でも多分それ以上に理由があるのかもしれない……ノーリの言葉と、アインハルトさんの反応…きっと何かあるんだ…。だけど、伝えたい…)

 

ヴィヴィオは拳を天井に向けた。

 

(私の全力と……私の思い…)

 

 

 

-ナカジマ家(アキラ宅)-

 

 

 

ノーリは自身の部屋で鏡を見ながら立っていた。

 

「お前は…誰だ?」

 

自身にあんな行動をさせた誰か、それが誰なのかわからずノーリは悩んでいた。正直あんなことを言って公開をしていた。だがもう試合をすると約束してしまった以上、後には引き下がれない。

 

「だが、アイツをあのまま放置もできねぇ……。できることなら…救いてぇ」

 

ノーリは自身の掌を見て拳を握る。

 

「でなきゃ俺の罪は……」

 

 

 

続く

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