とあるギンガのPartiality Vivid   作:瑠和

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さぁ、二巻に入りました。なのはの重大発表はまさかのライブ。キャラソンまで入ったとしてもギンガの曲はない。悲しい。

今のタイトル二字熟語に「!」をつけて別の名前にしてるんですけど思ったより難しいので次回辺りから廃止にしようかななんて思います。


第六話 往訪!無人世界カルナージ

ー陸士108部隊ー

 

ここは陸士108部隊の部隊長室だ。そこにはゲンヤとセッテがいた。

 

「申し訳ありませんゲンヤさん。まだまだ新人の私が4日も休んでしまって…」

 

セッテはゲンヤに頭を下げた。

 

「いいってことよ。休みっていってもオフトレだろ?それに、お前さん結構頑張ってるからなぁ。たまの休みくらい満喫してこい。社会見学ってとこでも役に立つだろう」

 

セッテも今回のオフトレに参加するのだ。今はそのための休み申請だが、ゲンヤは不許可など出すわけがなかった。

 

「ありがとうございます。それではセッテ・ナカジマ。四日間の特訓休暇。いただきます」

 

セッテはもう一度頭を下げ、部隊長室を後にした。

 

(あのメンバーで戦うとのことことですが…どうなるんでしょう。それに、ルーテシアお嬢様のいる世界に行くのは初めてですね。楽しみにしておきましょう)

 

セッテはあまり表には出さないようにしているがとてもワクワクしていた。

 

「…共にいきましょう。スライサーエッジ」

 

『OK』

 

セッテは自身のデバイスに話しかけて笑っていた。

 

そして、ノーリも何とか試験を乗り切り、家ではアキラが車に荷物を詰め込んでいた。

 

「準備できた?」

 

「おう。荷物もこれで最後だ」

 

「じゃあ、空港に向けて出発しよう。アキラ君、運転よろしくね」

 

「ああ。途中でセッテを拾っていくか」

 

 

 

-カルナージ-

 

 

 

無人世界カルナージはクラナガンから臨時次元船で約4時間。標準時差は7時間。1年通して温暖な大自然が恵み、豊かな世界。大都会であるクラナガンと違い静かで小川のせせらぎ、野原を駆け抜ける風の吹き抜ける音がする世界で、大都会クラナガンの雑踏を忘れさせてくれる所だ。

 

アキラ達ははなのはたちと合流しルーテシア・アルピーノとその母、メガーヌ・アルピーノが住んでいるアルピーノ家に向かって歩いていた。

 

自然が豊かな道を歩いているとその先から紫色の髪を揺らしながらこちらに走って来るのが見えた。

 

「お」

 

「はっ、はっ、はっ、みんなー!」

 

ルーテシアだ。アキラそれに気づき、手を降ってやる。

 

「おーい!」

 

「アキラさん!」

 

ルーテシアは走ってきた勢いのままアキラに飛びついた。

 

「おっと」

 

「なっ」

 

「久しぶりです!アキラさん!」

 

「ああ」

 

「三か月前の事件の映像を見ていたんですが、アキラさんが無事で本当に良かったです…」

 

ルーテシアはアキラに媚びているような態度で話していた、周りの目など一切気にせず。

 

彼女、ルーテシア・アルピーノはJS事件の時、アキラに救われている。また、事件中たまたま会ったときにただの子供と勘違いされ、優しくされた経験から事件後になつかれたのだ。

 

「ルーちゃん。久しぶり。また少し大きくなった?」

 

ギンガはアキラに抱きついているルーテシアを力ずくで剥がしながら再開の挨拶をした。ちなみにギンガはルーテシアがアキラになついていることを当然快く思っていない。子供相手だろうと容赦などはない。

 

そういった部分ではアキラとギンガ、似ているところはある。

 

「あらら、ギンガさんも久しぶりです」

 

ルーテシアはギンガに微笑む。彼女はギンガの想いもなんとなくわかっている。ルーテシアも既婚のアキラを取ろうだなんて思ってはいない。そこに恋愛感情がないと言ったら嘘にはなるが叶わぬものだということは理解している。ただ、一番苦しかったとき助けてくれた、優しくしてくれたアキラに父親のような感覚でなついているのだ。

 

「あら、みなさん。ようこそ」

 

そこにルーテシアを追ってメガーヌがやってきた。

 

「メガーヌさん。こんにちは」

 

「お世話になります」

 

なのは達が挨拶をする。アキラとギンガも軽く会釈をした。

 

「みんな来てくれて嬉しいわ。食事もいっぱい用意したからゆっくりしていってね」

 

「ありがとうございます」

 

軽い挨拶の中、アキラがメガーヌの前に来た。

 

「俺たちまで来させてもらって、ありがとうございます。これ、つまらないものですが。俺たちが焼いたケーキです」

 

アキラが事前に作ってきたケーキを手渡す。

 

「あらありがとう。でもいいのよ?全然気にしないで?」

 

「いえ、そんな。以前来たときもなんだかんだ良いものが渡せずちょっと気にしてたんです」

 

「わぁ!アキラさんのケーキ!?」

 

アキラ達が作ってきたケーキにルーテシアが反応してきた。アキラは笑顔でルーテシアを撫でる。

 

「ああ。俺たちからの気持ちさ」

 

「ありがとうございます!」

 

その様子を後ろでみていたなのは、フェイト、スバル、ノーヴェの四人は唖然としていた。

 

「アキラさんが普通に敬語使って社交的挨拶してる…」

 

「なにか悪いものでも食べた?」

 

「頭でも打ったか?」

 

「風邪引いてるのかも…アキラ君大丈夫?」

 

フェイトが心配してアキラの額に手を当てる。

 

「言いたい放題だなあんたら」

 

アキラは軽くキレているがなのは達の意見ももっともだ。そもそもアキラはなのはたちに敬語を使ったことはほぼない。一応呼び方は「なのはさん」ではあるが六課時代に慣れ親しんだ名残で敬語は使ってなかった。

 

一方で子供達は。

 

ルーテシアは初対面のリオとアインハルトに挨拶し、髪の色が変わってしまっていたノーリに驚いていた。

 

「……こりゃまた派手にイメチェンしたわね」

 

「イメチェンじゃねぇよ」

 

「メールで聞いてはいたけど……すごいわねぇ…」

 

「まぁ困ることはねぇがな。この頭になったあと学校に行ったら染めたのかって勘違いされたこと以外は」

 

ノーリは頭を掻いて笑う。そこにアインハルトがやって来て申し訳なさそうに頭を下げる

 

「ノーリさん…その、すみません。私のせいで」

 

「ああ?なぁに気にするなって。お前が謝ることじゃねぇよ」

 

ノーリは変わらず笑顔だ。

 

その後、エリオとキャロが合流。初めまして同士が挨拶を終えたところで、大人組はトレーニング。子供組は川遊びにいくことになった。

 

「どっちにも属さないおしどり夫婦はどうする?」

 

メガーヌがアキラたちを見て言う。

 

「おしどりって…」

 

アキラがおしどり夫婦と言われたことに照れている間にギンガが答える。

 

「そうですね、最近してないトレーニングをするのも良いかもしれませんが、あくまで旅行がメインなので子供たちと川にでも行こうと思います。ね?アキラ君」

 

「…ん?あ、ああ。そうだな。アリスにも色々見せてやりたいからな」

 

「じゃ、子供達は着替えてロッジ裏に集合!」

 

「「「はーい!」」」

 

 

 

ー川ー

 

 

 

川に着いた子供達はアインハルトを除いて一気に川に入っていく。アキラとギンガはそんな子供たちを眺めている。

 

「…」

 

「アインハルトさんも来てくださーい!」

 

「ほれ、呼んでるぞ」

 

ノーヴェが肘で押す。しかし、アインハルトはあまり乗り気でないようだ。理由は簡単だ。アインハルトはノーヴェにトレーニングだからと言われ、来たのだ。水遊びのためではない。

 

その旨をノーヴェに小声で伝える。

 

「あの、ノーヴェさん、私はできればトレーニングを…」

 

「まぁ準備運動だと思って遊んでやれよ。それに、あのチビ達の水遊びは結構ハードだぜ」

 

アインハルトはノーヴェに言われ、確認も含めて川へ向かった。

 

そして、水着の上に来ていたパーカーを脱ぐ。そこに、水の中に潜ってウォーミングアップしていたノーリが顔を出した。

 

「ぷはっ…ふぅ………なっ……あ…」

 

ノーリがアインハルトの姿を視認した瞬間、彼の視線が、アインハルトに釘付けになる。

 

「………どうしました?」

 

ノーリの視線にアインハルトが気づく。ノーリは慌てた。

 

「えっ……あ、ああ。すまない。なんでも…ないんだ」

 

「……そうですか」

 

アインハルトはノーリの返事を聞いてそのまま行こうとする。だが、ノーリはアインハルトを引き留めるように声をかけた。

 

「あ!その………とても…似合っていると思う。その…水着」

 

「あ、ありがとうございます」

 

二人の間になんとも言えない空気が流れる。だが、ヴィヴィオ達の方からリオの元気な声が聞こえた。

 

「じゃーみんな!あっち岸からこっちまで往復競争しよー!」

 

「おう!いいな!それ!アインハルト!行こう!」

 

「あ、はい」

 

みんなとは少し離れた位置の二人だけのちょっとした会話。誰に聞かれる筈もない。普通なら。だが、その二人の会話を聞き、様子をみていた人物が一人だけいた。

 

「……ほう?」

 

ルーテシアだ。ルーテシアはなにか悪巧みをするような顔で二人を見て、怪しく笑った。

 

「ルーちゃん!早く早く!」

 

「うん、今いくー」

 

一方でアキラとギンガは少し離れたところで散歩をしていた。

 

「ガキ共は元気だな」

 

「いいことだよ。ノーリも前に比べたら明るくなって…」

 

「…そうだな。以前に比べてずっと笑顔を見せる時が多くなった。元気になってくれてよかったよ」

 

「あう…」

 

二人が話していると、アリスが川の方に向かって手を伸ばしていることに二人が気づく。

 

「ん?どした?アリス」

 

「お水が気になる?」

 

ギンガは川の前にしゃがみ、アリスの腕をそっと川の流れに触れさせる。

 

「だう…」

 

「ふふっ、気持ち良さそう」

 

「そうだな…………っ!」

 

大きな音と共にギンガたちに向かって大きめの水しぶきが飛んできた。ギンガの右側にいたアキラが瞬時に左側に移動し、氷結魔法で水を凍らせて足から放った蹴圧で氷となった水飛沫をすべて吹っ飛ばした。

 

「アキラ!悪ぃ!」

 

水飛沫を飛ばした犯人はノーヴェだった。ノーヴェはアインハルトに水切りの手本を見せていたのだ。

 

「気ぃつけろ!ギンガに水がかかったらどぉするつもりだ!」

 

「悪かったって!」

 

「たくっ」

 

アキラはその場から飛び、川の中に入った。

 

「…おい…なにを…」

 

ノーヴェが不安そうな顔をする。

 

「水切りの手本だろ?俺がいいのを見せてやるよ」

 

アキラは怪しい笑みを浮かべた。

 

「ヤバッ…お前ら逃げ」

 

「フッ!」

 

アキラは綺麗な構えから鋭い拳を素早く前に出した。

 

刹那、アキラの前の川の水が吹っ飛び、川の底が見えるどころか底の地面は抉られ、ノーヴェが拳の衝撃をうけて吹っ飛んだ。

 

「ノーヴェ!」

 

「たくっ…」

 

水柱は高く上がり、川の水が吹っ飛んだ部分が戻ったことで大きな波が上がった。

 

「ぁぁぁぁぁぁあああああ!」

 

吹っ飛ばされたノーヴェは川の深いところに着水した。水面にぶつかったダメージは大きいが、深い位置に落ちたため、川底にぶつかることはなかった。

 

「ノーヴェさん!」

 

「ノーヴェ!大丈夫か」

 

ヴィヴィオ達が心配してノーヴェに駆け寄る。少ししてから水面からノーヴェが顔を出した。

 

「ぶはっ!はぁ、はぁ。アキラの野郎…」

 

「大丈夫ですか」

 

アインハルトもさすがに心配して来た。

 

「ああ。アインハルトも気をつけろよ。あれ怒らせたら見境ないからな」

 

「誰がガキ相手にキレるかよ」

 

「うお!」

 

いつの間にかアキラがノーヴェの横の岩の上にいた。アキラとノーヴェが言い合い、それをヴィヴィオ達がなだめてる中、アインハルトはアキラが放った水切りの場所をみていた。

 

(ノーヴェさんの水切りもすごかった……でも、それ以上…。飛距離も、威力も…段違い。私たちやノーヴェさんと違って服も着ているからその分水の抵抗もあるはずなのに…)

 

「もー、アキラ君ったらこんなにびしょびしょにしちゃって…」

 

「大丈夫だよ」

 

ギンガに服を濡らしたことを咎められると、アキラは指を弾いた。すると、アキラの服に染み込んでいた水分が浮き上がり、氷となって落ちた。

 

「ほい、乾いた」

 

「もう…………あ、アインハルト、みんな、驚かしてごめんね?」

 

「いえ、大丈夫です……ノーヴェさん、もう少し、水切りやってみても?」

 

「え?ああ。やってみろ」

 

アインハルトは再び構える。

 

(私も…あんな風に……!)

 

アインハルトの放った拳圧が水面を貫き、高く水柱をあげた。

 

ヴィヴィオ達お子様組が川で遊んでいる中、大人達旧六課組(+セッテ)はアスレチックで障害物レースみたいなのを行っていた。

 

そしてその休憩の中、スバルとなのはは平然としていたが、最近現場ではなくデスクワークが多くなっていたフェイトとティアナはグロッキー状態となっていた。お昼となった時、一度アルピーノ家へと戻る。

 

「はーい!みんなー、お昼ですよー!集ー合ー♪」

 

『はーい!』

 

メガーヌの呼びかけで集まってくる子ども達。

 

大人組みは一足早く訓練を終えていたのか、調理の手伝いや配膳に参加している。

 

「ところで、ヴィヴィオとアインハルトちゃんはどうしたんでしょう?」

 

「あらあらまあまあ…二人ともまるで生まれたての小鹿みたい」

 

「水斬りの練習ずっとやっていましたからね」

 

ヴィヴィオとアインハルトの二人はあれからずっと水斬りをしていた為、足腰にガタが来ていた様だ。

 

そして食後。

 

食器を片付け、皿を洗うタイミングでルーテシアが切り出した。

 

「アインハルト、ノーリ。悪いんだけどお皿洗っといてくれない?」

 

「んー」

 

「あ、はい」

 

「あ、なら私も…」

 

自分も手伝おうとヴィヴィオが挙手したとき、ルーテシアがそれを止める。

 

「ううん、ヴィヴィオとコロナとリオにはちょっと手伝ってほしいことがあってね」

 

「え?」

 

「ごめんね。二人とも!あとでケーキでもご馳走するから。お願いね!じゃっ!!!」

 

ルーテシアはヴィヴィオたちを連れてその場を駆け足で去っていった。

 

「…なんだあいつ……」

 

「…とりあえずさっと済ませましょうか」

 

「…そうだな」

 

二人は洗い物を始める。そしてその様子を少し離れた茂みからルーテシア達がみていた。

 

「ルーちゃん…いったいなにを…」

 

ルーテシアは用があると言って洗い物をする場所を離れたが、そのまま裏道を通って二人が見える位置に来ていた。

 

目的を聞かれたルーテシアは双眼鏡で二人を見ながら怪しげに笑う。

 

「ふふふ…私の第六感が言っているのよ……あの二人は、くっつくってね!」

 

「…くっつく?」

 

 

 

ー水場ー

 

 

 

ノーリとアインハルトはルーテシアたちに見られていることなど知らずに洗い物をしながら話をしていた。なんてことはない、他愛のない話だ。

 

「ノーリさん達は、いつもノーヴェさんからあの様に指導を?」

 

アインハルトはいつもノ―ヴェに格闘技を教わっているのかを尋ねる。

 

「そうだなぁ。最初はヴィヴィオが教わってたらしいが…。そのあとコロナやリオ、俺が混ざってった感じかなぁ。まぁ、ノーヴェも救助隊の仕事とかあるから、いつもってわけじゃねぇしな。でも、なんだかんだ面倒見てくれてるんだよな。ノーヴェのやつ、口は悪いし目付きも悪いしケンカっぱやいがその実、優しいところもある」

 

「そう、ですね。私の時も、そうでした…他人の筈の私を気にかけてくれて、ずっと独学(ひとり)だった私を外へ引っ張ってくれました」

 

「そりゃ、良かったな。俺もそれが正解だったと思う…」

 

そんな話をしている最中に、同じ皿を取ろうとして二人の指が偶然触れあった。

 

「あっ」

 

「ん」

 

二人はすぐに腕を引いた。

 

「…」

 

「…」

 

少しの沈黙。その場には水道が水を流す音だけが響いていた。

 

「キタキタキタキター!いい感じの雰囲気!」

 

「ルーちゃんバレちゃうよ!」 

 

奥の茂みではルーテシアが興奮を押さえられずに、小声ではしゃぐ。だが運よく?ノーリたちには聞こえなかったようだ。

 

アインハルトは気まずい空気をどうにかしたくて、ひとつ話題を見つける。

 

「あの、ノーリさん」

 

「どうした?」

 

「ひとつだけ訪ねたいのですが…その、川遊びの時に見てしまったのですが身体に……傷が…」

 

ノーリはアキラのクローンとして生まれ、すぐに引き取られたわけではない。都合のいい兵器として利用されるだけされ、幾重の傷を負ってきた。そして三ヶ月前に起きた事件でも新たに傷を負った。

 

そんな彼の身体は年齢にそぐわない傷痕がいくつもあった。

 

「……まぁ、色々あったのさ。聞きたきゃ話すが。少し長いぞ?」

 

 

 

 

続く

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