恐怖、江藤颯の女装襲撃事件の翌日。ヤツを見た者は甚大なダメージを負っていた。
主に精神的に・・・・。
と、まぁそれは置いとくとして。
B vs.F戦はAクラス首脳陣の予想通り、Fクラスが勝利する、という結果に落ち着いた。
ヤツが女装でAクラスに襲撃したのは教室の交換とヤツの犠牲を天秤にかけた結果である。かくして、Fクラスは計画通りに事を進めていったのである。
本日の出来事もまたその一部───
コンコン
Aクラスの戸がノックされる。今は朝のHRがちょうど終了した時間。ここ最近、試召戦争により授業が依然として進んでおらず、今日ようやく始まると思っていた所に来訪者が。
Aクラスの代表、桐ヶ谷和人が静かに入室を促す。彼の傍らには彼をSAOで支えてきた少女が見守り、寄り添うようにいる。
「どうぞ」
「失礼する!」
Aグラス代表の許可を受け、赤髪長身のガタイの良い生徒が同クラスの見知った少年二人を引き連れAクラスに入室する。
「遂に来たか、坂本。」
「おう、分かってるようだがルールなんでな。FクラスはAクラスに試召戦争を申し込む!」
いつもの態度とは違い、代表という名に相応しい貫禄を持ち、戦争の引き金を引いた。
「だが、ただの試召戦争では、俺達は勝てない。そのため変則的な試合の提案をしたい。」
「具体的には?」
「5対5の代表者戦だ。勝ち抜きは無し。教科選択は1試合ずつ決める。選択権は・・・・・」
「そちらに全て譲ろう。」
「願ってもない条件だが良いのか?」
「ああ。負けるつもりは毛頭も無いからな」
「言ってくれるじゃねぇか・・・・!」
駆け引きも何も無い。絶対に負ける事は無いとでも言うように桐ヶ谷和人は科目選択権を手放した。
「・・・・・・条件に付け足しを要求する」
思わぬ声に代表達は発生源の方へ視線を寄越す。威圧感あるその視線に物怖じせず
「・・・・・・敗者は勝者の言うことを何でも1つ聞く権利を。これはクラスの勝ち負け関係なく個人の勝敗により得られる。その権利を」
リスクも高いがリターンも高い。そんな条件の追加要求を受け代表達はもう一度向かい合う。
「俺は構わない」
「俺もだ・・・・、ということは」
「成立、だな。開始の時刻と場所は?」
「5時限のチャイムから、先生・・・・」
「学園長が、学園の紹介としてホームページに載せる為Aクラスでやれ、だそうですよ」
「という訳だが、良いか?」
「ああ。異論は無いさ」
「そろそろ、授業が始まるな。ギリギリまで失礼した。」
「いや、大丈夫だ。」
代表達の雰囲気に呑まれていた教室だったが、坂本が退室したことにより空気が緩んだ。
キーンコーンカーンコーン
授業開始のチャイムが鳴る。
「起立、気をつけ、礼!」
妙な雰囲気のまま、日直の号令の下、今年度初の授業が開始したのであった。
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