清涼祭が五日後に迫ったその日、Aクラスは先日と比べ物々しい雰囲気に包まれていた。
原因は言うまでもない、普段この場にいることの出来ない者が突然Aクラスに突撃してきたからだ。ノックも名乗りも無く、それどころか大きな音を立て周りを威圧するように。
ここまで言えばお察しいただけるだろう。
何を隠そう島田美波だ。後ろには引き留めようとする新生FFF団と姫路瑞希がいた。
「・・・何の用だ島田美波」
フリーズした面々の中で最初に正気を取り戻したのは我らが代表桐ヶ谷和人。
「すまん、桐ヶ谷。止めようとしたが我等は男子。島田とは言え女子に不用意に触れる訳にもいかず!」
「すみません、私も止めようとしたのですが」
と、須川と姫路が言う。
「・・・いい。今のお前の言葉は信じよう」
「謝る必要ないわよ!二人とも!」
和人の声に被せ気味に響いた声は島田のモノだ。
「・・・・・・確かに、そこの二人が謝る必要は無いな。むしろ、二人に迷惑を掛けたお前が謝るべきだな。それと、人の言葉は遮らない方が良い。」
「知らないわ!そんなこと!それよりあんたたち協力しなさい!」
ふんっ、と偉そうに腕を組みそんなことを宣う。
「何故お前に協力しなければならない?
それに、その態度は人にモノを頼む態度ではないだろう。断ってくれと言っているようなものだ。」
「細かい事は良いのよ!!黙ってウチの指示に従ってればそれでっ!」
和人が静かに注意してもそれを無視して横暴な事を言い出した。これにはA,F両クラスとも呆れて物も言えない。唯一その中で詩乃が口を開いた。
「はぁ・・・。あなた本当に人の話を聞かないわね。というか、そもそもこの学校は学力至上主義よ。Fクラス・・・しかも素行不良な人間と成績優秀な品行方正な人間では、もちろん後者の方が発言力がある。あなたの要求が私達の承諾なしで通るわけ無いじゃない」
ひとつ間を置いて続ける。
「ま、でも。島田美波以外のFクラス生は歓迎するわ。ね?和人」
「ああ、彼らなら協力しても良い。」
「な、なんでよ!!」
案の定、ヤツが食いついた。
「それも分からないのか・・・」
「うっるさいわねっ!!驕って偉そうにしてるアンタ達の考えなんか分かりたくもない!」
その言葉に周りはピタッと静かになった。
そして、誰かがこう言った
「・・・出てけよ」
その言葉を皮切りに島田へとA,F両クラスから罵倒の嵐が押し寄せる。
「そうだ!」「出ていけ!!」「私達は努力してこのクラスに入ったのよ!」「偉そうになんてしてない!」「何も知らないクセに勝手なこと言うな!」「アンタに何が分かるの!?」「さすがに今のは無いだろう」「我々の立場は彼らを見下だせる程高い場所にはいないぞ」「むしろ、努力し続ける彼らを見習うべきだ」「ここまで理不尽だといっそ清々しいな」「ある意味スゲーわ」
当の本人は罵倒される意味が分からずただ俯いている。
「・・・・・・ょ。いいわ、出ていってやるわよ!・・・覚えておきなさい(ボソッ」
島田にしては珍しく大人しく下がった。そして、その時呟かれた言葉を聞いた者はいなかった。
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「すまない。Aクラスを巻き込みたくは無かったのだが」
「構わない、それにしても大人しく引き下がったな」
「なにかあると見るべきかしら?」
「多少は警戒しておくべきだろうな」
須川の謝罪を聞き入れた二人は相も変わらずクールだ。そんな二人が仲間内ではその鉄仮面を外し、コロコロと表情を変えることを彼らは知らない。
「それで、Fクラスは結局どうするんだ?
俺たちの協力は必要なのか?」
「正直有り難いが。俺たちはAクラスに甘えすぎてる。今回は俺達で乗りきってみせる。だから、協力は遠慮する。」
「そうか、頑張れよ」
「ああ、それでは失礼した」
そう言うと須川達は教室を出ていった。
「時間が思ったよりも長引いたな。これ以上は予定を組み直さなければならなくなる。巻いていくぞ」
「おうっ」
こうして文化祭準備は和人の主導で順調に過ぎていった。
文才がほしい。ブクマ、いいね、お気に入りありがとうございます!どうにか完走させるので生暖かい目で見守っててください!