文月学園での新たな生活   作:Argo(不定期更新)

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 どうも、Argoです!
 前回、ブクマや感想を下さった皆さん!ありがとうございます!私の励みになります!


打ち上げ

───side学園長

 

「──というのが、今回のあらましです。」

「へぇ・・・、赤い髪に黄色いリボンね。大方予想は付くがまさかここまで馬鹿とは思わなかったよ。」

「如何されるおつもりで?生半可な罰では俺は納得しませんよ?それに、教頭のこともある。」

「本当に面倒なことを起こしてくれた・・・。

罰は合宿の期間中、謹慎処分にしようかと思う。それと、合宿の間多少の融通は聞いてやろうじゃないか。・・・・教頭の事だが、アンタ証拠持ってんじゃないのかい?」

「ふむ・・・・。良いでしょう。今回はそれで手を打ちます。ま、アイツがこのまま反省しないのならば天罰は必ず落ちるでしょうがね。

・・・というか落とす(ボソッ)

 証拠についてはその通りですよ。正直、教育者としての彼の在り方には疑問だった。貴方に協力し、彼が居なくなるのなら協力するのも吝かではない。」

「なら、頼もうかね。・・・腕輪の件といい、今回の件といい。あんたには借りが出来る一方だ。」

「お気になさらず。それはこちらにも利があったからこそだ。では、そろそろ宜しいですか?クラス会があるので」

「ああ、ご苦労だったね。」

「それでは・・・・・・」

 

 バタンと重みのある木の扉を閉じて桐ヶ谷は退出する。それを見送り、漸く息を吐く。

 

「ったく、何を経験したらあんな眼をするようになるんだか・・・。恨むよ、茅場」

 

 生徒に対して乱暴な態度をする学園長だが、やはり教育者というべきか。生徒を大切に思っているのに代わりなどない。

 かつての研究仲間へ恨みを送っているとパソコンにピコン!と通知が届く。

 

「例の証拠か・・・。ふむ、これだけあれば事足りるさね。西村に協力してもらうとしよう」

 

 生徒達が花火を見ながらクラス会を楽しむ中でひっそりと動き出す。

 

「アレも合宿から始動だって言うのに・・・」

 

(面倒だ。)そう愚痴っている割には学園長の顔は楽しそうであった。

 

 

Side out・・・

 

────────────────────

 

 

 

 

「悪い、遅れた」

 

 すまん、と片手をあげて詩乃の隣に並ぶ。 

 

「というか、これはどういう状況なんだ?」

 

 クラスメイトが床に死屍累々と転がる様子を見て和人は訪ねる。

 

「あ、お兄ちゃん!」

 

 それに反応したのは隣の詩乃ではなく、近くにいた直葉だった。

 

「それなんだけどね、土屋って人が撮った

《江藤颯》の女装写真を見よう、ってことになってね・・・・」

「あまりの気持ち悪さに全員がダウンしたってことか?」

「その通り!あたしは丁度その場に居なかったから良かったけど、珪子ちゃん達はあの辺りで・・・・」

 

 スッと直葉が指し示す方向を見ると、ジェットコースターに連続で10回乗ったのかってくらいに顔を青くした皆がいた。

 

「うぷ、しぬ・・・・」「リトル・ネペントよりも醜悪なモノがこの世にあったなんて・・・」

「し、しっかり~!明日奈!」「・・・・・・」

 

「なるほど、地獄絵図だな」

「だね・・・・」

 

 兄妹二人して遠い目をしていた所で和人はさっきから気になっていたことを直葉に問いかける。

 

「で、何でアレを見ようってなったんだ?あと、詩乃が喋らないけど何かあったのか?」

「そ、それはだね・・・」

 

 言い淀む直葉を急かさずに待つ。

 

「買い出し班の人が間違ってアルコール入りのモノを買っちゃったらしくて、それに気付かないで飲んだ人たちが勢い付いて・・・・」

「はぁ、何してんだアイツら・・・。スグ達は大丈夫か?木綿季も藍子も飲んでないよな?」

「あたし達は大丈夫だったんだけどね?」

 

 含みのある言い方をするスグの視線の先には先程から一言も喋らない詩乃の姿が。

 

「おいおい、まさか・・・」

「そのまさかです。頑張ってね!」

 

 イイ笑顔でそれだけ言うとスグはサッと逃げる。追おうとしたところで右手の袖を捕まれて動きを制限される。

 

「し、詩乃・・・さん?」

「・・・・・・・」

 

 ギギギギと錆びた人形のように振り返り、ゆっくりと捕まれた手を辿ると、ユラァと謎のオーラを醸し出す詩乃の姿が・・・。

 ワタワタしているうちに詩乃は和人に抱き付く。

 

「ふふーん♪」

「ちょっ!?」

 

 やっと言葉を発したと思えばえらくご機嫌な鼻歌が少し下から聞こえる。

 身を引こうとすると逃がさないとばかりに詩乃の両手が和人の首の後ろで繋がる。背が高い和人は前のめりになるのだが、詩乃はお構い無しだ。

 スリスリと和人の首筋に頬擦りをして飽きる様子がない。

 

「・・・・・・まぁ、いっか」

「・・・・♪」

 

 愛しい彼女を引き剥がすなんて和人に出来るハズもない。ただ、立ったままなのも辛いので近くの1人掛のソファに座り、足の間に詩乃を座らせて後ろからぎゅっと抱き締める。

 子どもみたいに純粋に喜ぶ彼女を見て頬を緩ませながら頭を撫でる和人を見て、クラス内で正気を保っているメンバーはこう思ったという・・・・・・

 

『お爺ちゃんと孫みたい・・・・』

 

 どちらも普通は高校生のカップルに対して抱く感想では無いハズだが、二人のまったりとした雰囲気を感じれば、真っ当な評価だったのであった・・・・。

 

 

 その後、どうにか(二通りの)酔いが覚めた所で打ち上げは終了。正気に戻った詩乃は顔を真っ赤にしていた。

 設営の解体は業者がしてくれるらしく、その間生徒達には文化祭の振替日として三日間休暇が与えられた。

 

──清涼祭を終えた彼らを次に待つのは、高原の地域で行われる《夏の強化合宿》だ。

 

                

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、これを期に新クラスが導入される。




 ここまで読んでくださった皆さん!ありがとうございます!次回もよろしくお願いします!

 ばいちゃ!

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