二人は学園に転入する
あの地獄のデスゲーム、ソード・アート・オンライン───通称SAOをクリアしてから4ヶ月が経った。
途中、レクトの重役であり、アルヴ・ヘイム・オンライン──通称ALOの運営責任者、須郷伸之のSAO
SAOでの仲間+直葉でオフ会兼ゲームクリアのパーティー+木綿季、藍子の回復祝いをしたときは思わず泣いてしまったのはいい思いでだろう。
無論、楽しいことばかりでは無かった。SAOで護れなかったサチ(サチはホームを買うために第一層に降りていたので生きている)を除いた月夜の黒猫団のお墓参り、定期的なSAOの事情聴取、その他 etc.
それらを乗り越え、今ここに立っていられるのはひとえに仲間と家族、恋人のお蔭だと断言できる。
SAOという非日常を過ごし
SAO事件前後の違いもできた、詩乃と木綿季と藍子が桐ヶ谷家に住むことになったことだ。
詩乃はあの事件の後に一人暮らしは心配という母親と祖父母の懸念から。
木綿季と藍子は後天性免疫不全症候群により早期に両親を無くしていたが、親族たちはこの病気への理解を持っておらず二人を気味悪がり、親権を手放したためSAO内において面識のあった(というかスゴくなつかれていた)キリトこと和人の家の桐ヶ谷家において養子縁組として迎え入れることにした、これには直葉も大喜びで『お姉ちゃんと妹ができた!』と家の中でジャンプしたり、それを窘める和人の口許もしっかり緩んでいた。
しかし、だ。その間に菊岡に借りた恩は数知れない。SAOの後に詩乃と仲間の病院巡りと黒猫団のお墓参り、対価としてSAOの事情聴取はあったがそれでは埋め合わせができないほどなのだ、そのため内心どんな依頼が来るかビクビクしている。
今日は、その依頼の話で銀座のいかにも高そうな喫茶店で詩乃と一緒にお呼びがかかってる。
「やあ、よく来たねキリト君、シノン君」
「菊岡さん、こっちでプレイヤーネームを呼ぶのは止めてくれ。それで、今日は何の用なんだ?」
「ああ、そうだね。では単刀直入に言おう、キリト君とシノン君にはSAO生還者支援学校には入らず、文月学園に編入および入学してもらう」
「・・・は?しかも、文月学園?」
「そうだよ」
「あの、時間内問題数無制限でテストの点数が試験召喚獣の力になるって言う?」
「そう、ちなみにこれは決定事項だ。」
「拒否権はないってことか」
「そういうことだね」
「一般生徒との違いは?」
「今のところ制服くらいだね、一般的には女子の冬服は男子と同じ黒に金のラインが入ったブレザーとワイシャツ、赤いスカートに赤いネクタイ、夏服は半袖のワイシャツに赤いネクタイと赤いスカート。男子の冬服は女子と同じブレザーとワイシャツ、青いスラックスと青いネクタイ、夏服は半袖のワイシャツ、青いスラックスと青いネクタイ。男女共に頭髪は基本自由。」
「・・・・続けてくれ」
「キリト君たちはまず冬服だが、男女揃って青みがかったワイシャツ、生還者支援学校と同じブレザー、深紅のネクタイ、黒のスカートに黒のスラックス。夏服は男女共に青みがかった半袖のワイシャツ、深紅のネクタイ、黒のスカート、黒のスラックス。ネクタイピンはそれぞれの好きなように特注したまえ、頭髪は基本自由。クラスは君たちの実力次第。でも、権限は君たちが高いよ。ちなみに教材、制服代は全額政府が負担することになってるよ」
「ネクタイピンが特注ってなんなのよ・・・」
「それは一旦置いとこう。んで、何をすればいいんだ?」
「何も、ただこの学校に通ってもらい定期的に
「狙いはシステムってか?」
「いいや、きちんとこのシステムで成績は上がるのか?というのを側で見てもらうだけだよ。」
「・・・・分かった。もう帰っていいか?」
「構わないよ。お疲れ様。あ、そうそう。転入は一ヶ月後その間にできるだけ勉強しときなよ、あの学園では成績が全てだからね。といっても中学生の頃隠れた天才と言われた君とシノン君が成績に困るとは思えないが」
「まあ、な。せいぜい努力するさ。な、詩乃」
「ええ」
この会談の後、学園の方針を詳細に調べ、詩乃に話をしたところ『それなら勉強するに越したことはない』と、すぐさま勉強会が行われた。
自分で言うのもなんだが俺達は基礎学力が高い、なのであまり心配はいらなかったが、一応勉強をすることにした。基本問題を解きまくるという形を半月行い、残りの半月は応用問題をこれまたひたすら解きまくる、という勉強生活を送り編入試験では見事Aクラスと同等かそれ以上の成果を挙げることができた。
そんなこんなで、一ヶ月後の今日の全校集会で学園長による説明および、俺たちの自己紹介が行われる。
「アンタたち、SAOは知っているだろう?この二人はその生還者さ。それと、勉強の加減を間違えて成績は化け物さね。クラスはAクラスに入ることになってる。
以上、アタシからの説明は終わり、次は二人の自己紹介さね。拍手は後回しにするように」
ステージに上がり、詩乃から自己紹介を始める
「朝田詩乃です。よろしくお願いします」
「桐ヶ谷和人だ、よろしく。詩乃は俺の彼女だ傷つけたらただじゃおかないからな」ニコ
パチパチという拍手に乗って「わ、イケメン!」「可愛い!」「笑ってるのに目が笑ってない!?」「美形は帰れ!」「異端者には死を!!」などの声が聞こえてくる。最後の方は二年Fクラスが言ったようだ。
・・・・・・物騒だな。
「これにて全校集会を終了する。各クラス速やかに退場するさね」
この後はAクラスに行かなきゃだよな。よし、それじゃあ
「行こうか、詩乃」
「全校生徒の前でよくも恥ずかしげもなく言ったわね。」
「事実だろう?」
「そうだけど・・・、そこまで堂々とされると照れてる私がなんだかバカらしくなるわね」
「俺はそんな詩乃も好きだけどな、それに詩乃はバカなんかじゃないさ」
「~~~っ!////。はぁ、もういいわ速く行きましょ」
そんなこんなで話をしているうちにAクラスに到着した。Aクラス担任で、第二学年主任の高橋教諭が皆に説明をしている。
「───です。それでは、桐ヶ谷君、朝田さん入ってください」
「「はい」」
「先ほど、自己紹介しましたが、改めまして。桐ヶ谷和人だ。これからよろしく頼む」
「朝田詩乃です。よろしくお願いします」
パチパチパチパチ
「よろしくー!」「やっぱり美男美女だわ」
「皆さん静かに、学年主席は桐ヶ谷君、学年次席は朝田さんです。つまり、Aクラス代表は桐ヶ谷君になります。それでは授業を『プルルル』はい、高橋です。・・・分かりました。Fクラスが試召戦争を始めたようなので一時間目は自習とします。終わった人は自由に過ごしてください。」
『はい』
「はぁ~!つっかれたーー!」
「そうね、にしてもまだ進級してすぐでしょう?何を考えてるのかしら?」
「・・・・・・Aクラスへの下克上。」
「へー、そうなのか。んで、君はだれだ?」
「・・・・・・霧島翔子。」
「ちょっと、翔子!突然現れたらビックリ・・・・してなかったわね。木下優子よ。よろしく、桐ヶ谷君、朝田さん」
「大抵の人はビックリするんだけどなー!ぼくの名前は工藤愛子だよ。よろしく、二人とも!良ければなんでビックリしなかったか教えてくれない?」
「ああ、よろしく」
「よろしくね」
「なんでビックリしなかったかというと気配かな?」
「まあ、普通の人よりは気配を殺せてたけど私達を欺くにはまだまだね」
「・・・・・・それも、SAOの成果?」
「翔子!」
「ああ、いいんだ。まあ、その通りだよ。霧島さん、あの世界ではスキルだけじゃ足りない時はごまんとあったそれを補うためにプレイヤー個人個人の技術は必須だったんだよ」
「例えば、隠れているモンスターがいないかどうか、とかね」
「・・・・・・そう。話を変える。桐ヶ谷は点数何点なの?」
「そうそう!それ僕も気になってたんだよね。あ、横からごめんね僕の名前は吉井明久。こんな感じだけど一応学年第四席なんだよ」
「総合点でいいか?詳しい点数は分からんが5000点はいってると思うぞ」
「主席だから、すごいとは思ってたけどまさかここまでとはなぁ。」
「ボク的には、召喚獣の装備が気になるなぁ~。」
「確かに、装備は大事だものね」
「・・・・でも、先生がいないとフィールドは展開できない」
「そうなんだよなぁ、残念」
「できるわよ」
「「「「「(・・・・・・)はい?」」」」」
「和人、なんでアンタまで不思議そうな顔してるのよ」
「いや、だって知らないし」
「菊岡さんがふざけたメール寄越して来たでしょ?あれの一番下に書いてあったのよ」
「マジか、あまりにふざけた内容だったから途中で読むのめんどくさくなってやめたんだよなぁ。で、どうすればいいんだ?」
「特注のネクタイピン」
「これか?」
「そう」
形以外は極普通のネクタイピンだ。俺のはダークリパルサーとエリュシデータを交差させたようなの形、詩乃のは青い弓と狙撃銃をこれまた交差させたような形だ。
「このネクタイピンの裏を見てみなさい」
「・・・・。何、このダイヤル」
「着けるときに気づきなさいよ」
「寝ぼけてたからムリ」
「はあ・・・・、とりあえず。このダイヤルを2から0に合わせて」
「合わせて・・・・?」
「『展開』って言ってみなさい」
「分かった。『展開!!』」
その瞬間俺を中心として、5×5×5メートルの立方体が現れた。半透明の壁にはXやらYやらが映っている、どうやら教科は数学のようだ。
『おお~!』
「・・・・・・凄い」
「よ~し、召喚獣の召喚は僕達に一日の長がある。桐ヶ谷君、僕を真似してみて《サモン!》」
「おう、サモン!」
すると、幾何学的模様の魔方陣が足下に現れる。ぽむん!という可愛らしい音と共に現れたのは俺をちっちゃくデフォルメしたらこうなるだろうなという体に少し尖った耳、そして黒い犬のようなふさふさしたしっぽが生えていた。
「ほう。これが召喚獣か、どれどれ装備は・・・・」
SAOの装備そのものだった。
「和人、これって。」
「ああ、菊岡さんだな」
「桐ヶ谷君もしかして?」
「これは俺がSAOで装備していた物だ」
説明しながら背中から剣を抜く。
「右手に持っている黒い剣が《エリュシデータ》、左手に持っている透き通るような水色の剣が《ダークリパルサー》二本とも俺の愛剣だよ。この黒いコートの名前は《コート・オブ・ダークシェード》傍から見れば薄い防具だが、俺にとっては金属防具よりよほどいい。」
剣を鞘に納め、試しに右の人差し指と中指を揃え下ろしてみる。しゃりんという鈴の音のような音がしてメニューが現れる。
再現度高過ぎだろ。俺の方にも見えるし。変わった項目は無いかと見ているとフォームチェンジという欄があったので押してみるするとどうだろう。青白い光に包まれた召喚獣は黒い羽を生やしていた。
「和人、これALOの装備よね」
「ああ、フォームチェンジを押したらこうなった。詩乃も召喚してみたらどうだ?」
「そうね、サモン」
現れた詩乃の召喚獣は詩乃をデフォルメし、猫のようなしっぽをつけていた。(ホロウ・フラグメントの装備で考えてください)
「私のもそのまま、和人フォームチェンジの欄はどこにあったの?」
「ああ、それはだな────だよ」
「オーケー」
青白い光に包まれる。そこにいたのはALOシノンの装備に身を包んだ召喚獣だった。ご丁寧に猫妖精《ケットシー》の特徴であるネコミミもつけてある。髪の色は水色、しっぽも同色。
「おお!まんまシノンじゃないか!」
「それを言うなら和人もキリトじゃない!」
「わー!待った待った!」
「「なに?吉井(君)」」
「今、キリトとシノンっていった?」
「「言ったけど(が)、ってああ!」」
「君たちがあの瞬速の蒼黒?僕もゲームが好きでねALOしてるんだよ。」
「ど、どうする?詩乃」コソコソ
「吉井君確信してるから、隠しても無駄よ。にしても、こんなに恥ずかしい二つ名誰がつけたんだか」コソコソ
「・・・・・・待って、吉井。それ以上に黒の剣士と蒼弓の戦士の名前と同じ」
「「・・・っ!!」」ビクッ
((なぜその二つ名を!?))
「・・・・・・これを読んだ」
((SAO事件記録全集!?))
「・・・・・・曰く黒の剣士はこう言ったそうだ。《俺が生きているうちはパーティーメンバーは殺させやしない!》と」
「~~~~っ!////」
「そういえば言ってたわねそんなキザなセリフ」
「・・・・・・曰く蒼弓の戦士はこう言ったそうだ。《相手の手数が多いのなら、それを全て矢で弾き返せばいいのよ》と」
「~~~~~っ!////」
「あ~、あれは凄かった。まさに百発百中だったな」
「霧島さん、ナチュラルに心読まないで。ナチュラルすぎてなんの違和感もなく会話してたわ」
「・・・・・・二人とも認めた」
「「あっ!」」
ゆっくり後ろを振り返る、そこには・・・。
ものすごくいい笑顔をした吉井を筆頭とするクラスメイトがいた。
『『『さあ、お話(質問)を始めよう』』』
「うわぁぁぁあぁぁああ!!」
「いやぁぁぁあぁぁああ!!」
この後、衝撃的な放送が流れるまで問い詰められるのであった。
こんな調子で続けます。誤字、脱字の訂正はいつでもwelcomeです。よろしくお願いします。