『キーンコーンカーンコーン』
午後からの模擬試召戦争に備えて、作戦や配置等を決定し終えたところで昼休みを告げるチャイムが鳴り響いた。
(この学校には屋上に鐘が釣ってあるというのになぜ使わないのだろう?)という素朴な疑問をよそに皆と一緒に詩乃が作ってくれた弁当をまったりと食べていたら──もちろん、詩乃は俺の隣だ──突然、Aクラスのドアが乱暴に開かれた。
?「吉井っ!なんでアンタなんかがAクラスにいるのよ!アンタはFクラスでしょ!さ!教室に行くわよ!」
?「そうですよ、吉井君。吉井君はおバカさんなんですからAクラスなんてあり得ません。」
背中からこれでもかと黒い負のオーラを撒き散らした黄色いリボンでポニーテールをつくっている赤い髪の女子とその女子よりも幾分か背が小さくピンクの髪の毛の女子が断りもなく入ってきた。両者とも手には血のついた釘バットが握られており控え目に言っても洒落にならない装いをしている。
「なあ、吉井。もしかしてあいつらが?」
「うん、桐ヶ谷君が思ってる通り。島田と姫路だよ」
やはり、思った通りだった。話には聞いていたが、あれ、殴る蹴るどころじゃないだろ。傷害沙汰になるくらいのものだ。
奴らが持っている獲物を見て分析していると吉井が呆れたように喋り始めた。
「島田さん、姫路さん。いい加減にしてよ、僕は姉さんや雄二に教わって勉強をして正真正銘"自分の"実力でこのクラスに来たんだ」
「うるさいっ!そんなこと聞いてないわよ!アンタはバカなんだからどれだけ勉強したってAクラスになれるわけないじゃない!」
「そうですよ、吉井君。吉井君がAクラスになんてなれるわけがありません。カンニングしたんですよね?」
「・・・・おい」「・・・・ねえ」
気がつけば、俺達は手と口が動いていた。
あの特殊ネクタイピンのダイヤルを秘かに3に合わせる。
「「それ以上喋るな(らないで)」」
静かに、低く。しかし、それ以上の大きな威圧を言葉に乗せる。
あの世界で培った物は伊達ではない。
「な、なによ!!事実を言ったまでじゃない!!アンタら何様のつもりよ!」
「そうです!あなた達に吉井君の何が分かるっていうんですか!」
「それは、こちらのセリフだ!吉井は努力してここまで来たんだ!授業だって真剣に受けてる。成績だって学年第4席だ!」
「それに、吉井君から聞いたけれど彼の試験に見回っていた先生は西村先生よ。あの人が不正を見逃すはずが無いじゃない」
「うるさいうるさいうるさい!!!!アンタ達には関係無いじゃない!!」
「関係あるわよ!私達はクラスメイトなんだから!こっちに来て少しだけれどあなた達なんかより彼のことは分かってるつもり!」
「~~~っ!そんなの知るもんですか!瑞希!!」
「はい、美波ちゃん!」
ダメだ。理屈が通じないどころか釘バッドを振り下ろして来やがった。
もう、いいよな?
「「起動開始!」」
青白い光に全身が包まれる。うん、一応防具つけとくか。横を見て詩乃にも伝える。
(了解!)
右手の指2本を素早く揃え下に下げる。メニューが出てきたのでアイテム欄を開き防具であるコート・オブ・ミッドナイトと書いてあるところをタップする。──ちなみにこのコートは第1層ボスのラストアタックで取得したものだ。現実で防具を装備すれば怪我はすることはないらしいので極端にいえば第1層の武器屋の防具でもいい──を万が一の為に身につける。詩乃はブラック・ウイングコートにしたようだ。ちなみにこれは俺が2個入手したので詩乃にあげたのである。
突然、俺達にコートが出現したので島田・姫路は立ち止まった。
が、すぐに復活し、殴りかかってきた。俺は詩乃の前に立ちフッと息を吐いて両手で2つのバッドを受け止め、力を入れてバッドをへし折る。周りはなにやら驚いているがそれどころではない。
「シノン!」
「分かってる・・・わ!」
詩乃が瞬時に島田達の背後に回り首に手刀を打ち込む。
ガクッと、倒れたところを見ると上手く気絶したようだ。
「「ふぅ・・・」」
「お疲れ様、詩乃」
「ええ、和人も」
コツン、と拳を合わせる。
当たり前だが、この二人は俺達の敵じゃない。それほどに弱い。
そういえば、他にもFFF団っていう奴らがいるって言ってたよな・・・次にSA:Oにログインしたら前にリーファが買った木刀でも入手しておくか・・・。
そう思いながら回りを見渡すと・・・、あんぐり、という言葉はこのためにあるのかというくらい口を大きくあけ目を点にしているクラスメイト達がいた。
いや、霧島さんだけパチパチと拍手をしてる。俺よくマイペースだって言われるけれど霧島さんも大概だな。
さて、この二人をどうしてくれようか・・・
そう悩んでいるとバタバタと廊下を走る音が聞こえた。
「すまん!ここに島田達が来なかったか!?って、こいつら!」
「ああ、なんか【吉井を連れ戻す】的なことを言ってこっちが反論したらうるさい!つって釘バッドを振り下ろして来たから気絶させたんだ」
後ろで皆が『うんうん』と首を振っている。少し前から思ってたけどAクラスの皆って結構ノリ良いよな・・・、おっと!そうじゃない
「はぁ、やっぱりか・・・。すまない、オレのクラスメイトが迷惑をかけてしまった」
「大丈夫・・・、ではないけれどあなたに非は無いのは分かってる。すべてこの人たちの独断行動でしょ?」
「そうだが、しかし・・・」
「大丈夫だよ、雄二」
「明久!ケガは!?」
「ケガする前に桐ヶ谷夫妻が島田さん達を戦闘不能にしたから問題無いよ」
「そうか、二人ともありがとう」
「気にするな、俺達はクラスメイトを護っただけだ」
「そうよ、仲間は護るのが普通よ」
「そうか、明久を頼む」
詩乃と目を合わせる。やはり、考えていることは同じなようだ。
「「任されました!」」
うんうん、これ一回言ってみたかったんだよな~!
~~~~都内・帰還者学校~~~~
「・・・」ピクッ
「どうしたのよ?明日菜」
「何かとてもしかめっ面になってますよ?」
「あ、リズ、シリカちゃん。いや、なんだろう?私の名ゼリフ的なのをとても良く知ってる人に真似された気がしちゃって」
「あんた・・・、ま、まあいいわ!にしても詩乃が羨ましいわね。アイツと一緒に学校行ってるなんて・・・・」
「そうですよね・・・、しかも一緒に住んでるらしいですよ?」
「「・・・」」
「これは・・・」
「忌々しき事態ね」
「よし、皆に召集をかけてキリト君の家に行っちゃおう!」
「「おーー!」」
という会話が起こったとさ
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「・・・・」ブルッ
「どうかした?桐ヶ谷君」
「ああ、吉井か。いや、なんか知らないうちに自分の首を締めた気がしてな。あ、言い忘れてたが俺のことは名前で呼んでくれ」
「( ≧∀≦)分かったよ!僕のことも明久って気軽に呼んでね!」
なんて会話が起こったちなみに坂本はあの二人を引きずって連行し、波乱の昼休みは終結したのである。
次回へ続く!
読んで下さりありがとうございます。
次もちゃんと出せたら良いなぁ~