俺が悪タイプ使いなのは間違っていない筈だ   作:ゴーマ

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第3話

今俺がいるのは体育館の列の中。トーナメントのエントリーをしに来ている。エントリーだの列だの言っても六年生しかいないので大した人数ではない。それにエントリーでするここといってもポケモンの登録と本人確認だけだ。俺に限っては何の確認もいらない筈だ。こんな腐り目で悪タイプのポケモンを連れ歩くのは俺しかいないからだ。特徴的だろ?今も列の中で異様に間隔が俺のところだけ広く空いている。時折、これ見よがしにヒソヒソと陰口叩く声が聞こえるが、無視を決め込んでいる。群れても正面から罵倒出来ないグズなんて相手してられない。群れても弱くて意気地のないままでいるより強くて孤立している方がマシだ。おっと、時間のようだ。教師の点呼が聞こえた。

エントリー資格を持つのは俺を含めて16人。全員いることを確認して抽選が始まった。

 

 

 

数十分後、対戦相手が決定し、解散を命じられた。俺の一回戦の相手はユイガハマ ユイとかいう女子だった。お気の毒様、こんな腐り目と当たってしまって。対戦拒否とかされないよな?ハチマン心配。コマチも観戦に来るらしいし醜態は晒せないな。

それと、トーナメント出場者で予想外の人物を見つけた。俺とそこそこ仲いい奴だ。あれを除けばトレーナーとしての腕ももっと評価されると思うのだが。と、そんなことを思っているとどすどすと如何にも鈍重そうな足音が聞こえた。

「ハチマーン、探したぞ。我の手を煩わせるなど貴殿ぐらいなものだぞ。」

「ザイモクザ、お前も出場するんだろ。意外だな。」

俺の目の前にいる男こそザイモクザ ヨシテル。俺と好き好んで対戦したがる物好きなトレーナー、数少ない俺の友人だ。

ただ、こいつには途轍もなく残念な点がある。なにかと言えばだ。

「勿論であろう。この剣豪将軍にかかれば優勝など容易いことだ。」

こいつは某将軍と名が同じで剣豪将軍と事あるごとに自称する。つまり、重度の厨二病患者なのだ。

相当アクの強いやつだが、それは俺の手持ちで慣れている。

「そうか、。知っているだろうが、俺も出場者だ。」

「おう、知っているとも。しかし、ハチマンが出るとは予想だにしていなかったぞ。」

「ああ、ヒラツカ先生に単位を物質に取られて、仕方なしにだが。」

「そういうことなら得心がいった。なんとも貴殿らしい。」

「放っとけ。」

短くそう返せば、ふと気になることがあった。

「そういえば、最後に対戦したのは1カ月前だったな。新しく手持ちに加えたやつはいるのか?」

「おう、いるとも。さあ、出てくるのだ。」

そう言ってボールからポケモンを出す。

そこには歯車ようなポケモンと宙に浮かぶ腕のようなポケモンがいた。

「ギギアルにダンバル。我の新たな家臣である。」

「ギギアルはギアルが進化したのだろうから分かるとして、ダンバルはどう入手した?」

「我もまさか入手できるとは思わなんだ。ゲーム大会の優勝景品がこのダンバルだったのだ」

「それは幸運だったな。まあ、お前自身の実力も多分にあるだろうが。」

そう言うと、ザイモクザが口を開く。

「ハチマンよ、貴殿の手持ちを拝見したい。良いか?」

「勿論だ。後お前のも見せろよ。それで全てじゃないだろ。」

「うむ、とくと見るがいい。」

そして、俺達は手持ちを全て外に出す。

俺の手持ちはいつもと同じ。ブラッキー、ニューラ、ヤミカラス、ヘルガー。

ザイモクザはギギアル、ダンバル、レアコイル。

こいつはこういう機械のようなポケモンを好んで使う。

「一層鋭さが増したな、ハチマンよ。我を唸らせるとはなかなかのもの。」

「お前もますます実力をつけたな。ギギアルとレアコイルから受ける印象がまるで違う。」

手持ちの様子を見るとザイモクザの実力の向上が分かる。あのヘルガーが笑っている。闘うのが楽しみだという笑いだ。

「こりゃ、トーナメントが楽しみだ。」

「貴殿が勝ち上がるのが目に浮かぶ。だが、何処で当たっても我が勝つがな。」

お互いにそう言うとそこから立ち去っていく。

あいつには悪いが全員全力で叩く。

その気を察したのか手持ちの面構えがさっと変わる。

こういうときに感じる。

ライバルとか友人とかってこんなにも刺激になるんだな。

 

 

「お兄ちゃん、お帰り。」

帰宅すると妹のコマチが出迎える。

「ただいま、帰ってたのか。」

「うん、お兄ちゃん遅かったけど何かあったの?」

「ザイモクザと話し込んで遅くなった。あいつもトーナメント出場者でさ。」

「あれ、そうだったの?意外だなー。」

「けどな、あいつの腕は確かだ。お前じゃ一勝できるかどうかだ。」

「何その言い方。」

少しむすっとした顔をするコマチ。

コマチは今四年生。四月にポケモンを持ったばかりだ。

「ちゃんとフォッコもメェークルも成長してるからね。お兄ちゃんには全敗してるけど。」

「それでも学年だとかなり強いんだろ。」

「そうだけど、お兄ちゃんのトレーニングがハードでポケモンのスタミナが他の子のポケモンと比べて高くなりすぎて

ドーピング疑われたんだからね。お兄ちゃんの所為だよ。」

事実、俺のトレーニングはハードで最初はコマチが半泣きになった。フォッコもメェークルも俺の手持ちに揉まれて着実に成長してる。

それは喜ばしいことだ。

「ところでお兄ちゃん、明日がトーナメントだけど自信はあるの?公式戦は初めてでしょ。」

「自信ってなんだよ。」

「いや、優勝するとか、勝てるかなー、とか。」

「勝つさ、俺の目標はもっともっと上だ。それに決めた。相手が何処の誰でも全力で勝ちに行く。

それが相手に対する俺なりの礼儀だと思う。」

「ふーん、そうなの。けど、珍しくやる気あるじゃん。明日コマチも張り切って応援しちゃうね。」

「ほどほどにしてくれ。恥ずかしい。」

そういうと手持ちをボールから出して最終調整に入る。

明日が楽しみになってきた。




続きました。これまで感想を下さった方に感謝します。次回はトーナメントの一回戦です。投稿が長引いてしまったらごめんなさい。
それとこの作品のハチマンは普段はダウナーだけどやる気出すと最後までやり尽くすという性格です。
それとこの作品でのハチマンは偏見が特に嫌いなので敬遠されがちなザイモクザとも友人になれたという設定です。
また、ご感想頂ければ幸いです。ご精読ありがとうこざいました。
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