三好昇は理解者でありたい   作:Feldelt

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みのり第一部開始!
ここからはほぼオリジナルストーリーになってるので不定期更新になりますが悪しからず...

では、どうぞ!


第一部 緋月昇の戦いの続き
第1話 普通を謳歌して


神世紀が終わりを告げ、新たな暦として人暦を採用して1年、緋月昇は大赦書史部に復職していた。しかも記録課長に昇進もしていた。

 

「それで最初の仕事は調査隊の報告書整理ですかい...1年経って東北地方ってとこか...」

「緋月先輩、管理職なんですからどんと構えててください...」

「昇進したばっかだっての...っていうか口より手を動かせ楓花、腕二本あるなら俺より早く整理できるはずだろ...」

「先輩が左腕だけで早すぎるんです、私が一枚確認してる間に二、三枚さくっとできるのが...」

「手を動かしてるからだよ...といいつつ楓花、与えられた分は仕上げてるじゃないか。」

「先輩の配分が完璧なんですよ...毎回定時5分前に終わる配分なんてそうそうできないです...」

 

そうだろうかといわんばかりに首を傾げる。緋月昇にとって周りを見ること、それはあらゆることを判断するための材料となる。

 

後輩である陽本楓花の癖は昇にとってはわかりやすいものであった。ときたま話すことに意識が削がれて手元がおろそかになりがちなのが玉に瑕である。

 

「まぁ、そういう"見る"ということでどうにかなる判断は得意分野だからな...っと、電話が来た...もしもし緋月です。」

「ひぃづきぃぃぃ!数学教えてぇぇぇ!」

「仕事中なのですが...それで、数学のどこです?」

 

机の上の本棚にある高校の教科書から数学IIを選びパラパラとめくる。この時期は多分数学IIの最初の方だろうな...

 

「三角関数よ!なんなのあれ!」

「三角関数ですね...あれ、先輩三角比はできますよね。それの延長じゃないですか。」

「それができないのよ!」

「えぇ......まぁ、わかりました。てことはラジアンがわからないんですね?」

「さすが緋月、わかってるじゃない!」

「そこ、誇るとこじゃないです。...樹にプリント持たせますので家で解いて夏凜に明日渡してください。教科書レベル2問と緋月スペシャル1問おまけで。では。」

「ちょ、緋月!?」

 

 

通話を切り、ひとつ息を吐く。数学IIの教科書を本棚に戻し、仕事に戻る。

 

「...またですか。」

「あぁ、まただ。楓花、少し頼まれてくれるか?」

「三角関数ですね...わかりました。」

 

楓花に数学IIの教科書を手渡し、問題を制作させる。その分、楓花に回していた書類を受け取り、机に戻って整理し始める。

 

「にしても、私が勉強得意ってことまで先輩はお見通しなんですね。」

「俺が言えたことでもないが、その年で大赦書史部記録課に配属されるほどだ、俺より賢いはずに違いない。」

「うっ...先輩ほんとそういうとこですよ、ナチュラルに褒めたりしたり躊躇なくかわいいって言ったり...はい、問題できました。印刷しますね。」

「おうよー。まぁ、俺はそういうところがあるって何度も言われてるから今更感はある。あと20分だ、それぐらいの量ならいけるだろ。」

「いけますよ。」

「んじゃ、手を動かしてもらおう。」

 

 


 

 

「で、先輩。プリント刷ったはいいもののどう渡すんですか。」

「勇者部に行く。そのほうが確実だ。」

「へぇ...って、普通に中学校入っていいんですか!?というかあの勇者部ですよ!?」

「あー、楓花は讃州中学じゃなかったか。まぁいいや。勇者部はただの部活だよ。世のため人のためになることを勇んでする部活、だから勇者部。そこにたまたま、結城友奈はじめとする勇者様だった少女たちがいただけなのさ。さ、着いたぞ。樹ー、いるかー」

「ここが、勇者部...」

「ようこそ勇者部へ...!って、ひーくん!?」

「...なんで高校生が紛れてるんですか友奈君...それに東郷...まぁいいや。樹にこれ渡しといて。風先輩の補習プリント。」

「おー...じゃあひーくん、今度私と東郷さんに英語を教えてくれないかな...」

「嫌よ!いくら友奈ちゃんの説得といえども敵性言語は話せないわ!」

「いつの時代の人間なんだよ...って、おーい、楓花ー、どこ行ったー?」

「楓花...?」

「書史部の後輩、というか部下というか。学問優秀で話し始めるとなかなか止まらないやつ。いずれは俺より出世するような器だよ。」

「すごいんだね、その、楓花ちゃんは!」

「そうだな。多分楓花は部室の外の壁にもたれてフリーズしてると思うよ。俺は慣れてるけど、向こうからみればここは世界を救った英雄だらけの部屋なんだからな。」

「いや、緋月君が褒めちぎっているのもあるんじゃ...」

「そうですよ先輩...」

 

そんなこと言ってもねぇ、なんて喉まで出かかったがやめた。夕日が写る楓花が可愛かったからである。やれやれ。

 

「...まぁいい。樹にこれを渡しといてくれ。先輩への宿題だ。なぜ園子じゃなくて俺に聞くんだ...」

「先輩!?今園子様を呼び捨てにしました!?」

「んあー、話せば長いがそうだな。だったら今から会いに行くこともできるぞ。」

「えぇぇぇ!?」

 

実は1年経っても間借りしたまんまなんだよなー...あの広い家に園子と使用人さん達だけじゃ持て余しそうだし...

 

「んじゃそういうことで。一応聞くけど友奈、夏凜はどうしてる?」

「夏凜ちゃんは今日は早く帰るーって言ってたよ、園ちゃんと色々お出かけするみたい。」

「なるほど仕事でよかった。んじゃなー。」

「ちょ、えー...えっと、失礼しました!」

 

おもむろに去る俺と挨拶をしてついてくる楓花。それを見守る友奈と東郷。

人歴2年の五月の半ば。

緋月昇の新しい話が始まる。

 

 


 

 

帰路について数分後、楓花が声を出す。

 

「先輩、その、園子様に会いに行くこともできるって言ってたじゃないですか。」

「そだな。」

「アポ取らなくていいんですか?」

「俺はいらないかな。楓花連れてくとは言ってないけど大丈夫でしょ。さ、乃木家に着いたぞ。」

「うわー、すごい豪邸...」

 

1年もいれば見慣れるんだよな、これ。

慣れとは怖いものだ。

 

「おかえり〜のぼるん〜」

「昇、帰ってたのね。」

 

突如として後ろからかけられた声。

楓花は驚いて声の方へ振り向いた俺の背に隠れた。驚きすぎか。

 

「昇...その女誰よ。」

「おお〜?のぼるんも隅に置けないね〜」

「二人してうちの後輩を脅さないでほしいなぁ...特に夏凜。覚えてろよ。」

「のぼるんの後輩か〜、あれ?てことは大赦の人だね〜」

「そうだよ...とりあえず中に入らね?」

「そうね...って、そういうのを園子が言うのよ。」

「えへへ~」

「とまぁそんな感じだが...楓花、これが乃木園子と三好夏凜だ。」

「先輩の肝が据わりすぎてます...」

「実は1年ここに住んでるからね。慣れてるのさ。楓花、確か寮だっけ。」

「はい、そうですが...」

「お〜、うちで面倒みるよ〜」

「えぇぇぇ!?いやいや滅相もないです!」

「え〜、女の子増えて楽しいんだけどな〜」

「ですが園子様、お言葉ですが....」

「ふーちゃん敬語禁止〜」

「えぇぇぇ!?」

「気に入られたわね....諦めなさい、園子はこうなると手がつけられないわ。」

「そだな。さ、日が沈むぞ。続きは中で。」

 

ちなみにその日の夕食はなんか量が増えた。

乃木家はまた1人増えることになったし、手伝いの量も増えた。まぁ、俺の独断だったしね。

夏凜や楓花はなんで片腕で両手相当の動きができるんだと言うが、それはまた別の話だ。

 

 




次回、第2話「左遷じゃないのかな」

感想、評価等、お待ちしてます。
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