三好昇は理解者でありたい   作:Feldelt

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第2話 依頼と仕事と家事と仕事

公安部への挨拶が終わった翌日、風先輩からの招集に応じて讃州第一高校勇者部部室に赴くことになった。

 

「土曜日だからって朝早くに招集しすぎでは?」

「昇の睡眠不足なんていつものことじゃない。ほっときなさい。」

「辛辣だな...慣れたものだが。」

「まぁまぁのぼるん、お仕事すっごい頑張ってるからね~、でものぶのぶのいたずらを見抜いたって話はさすがに驚いたんよ~」

「あの人あれ平常運転なの...?っていうかあだ名付ける仲なのか...」

「はいはい緋月、大赦の話は後回しよ。」

「なんなら後回しどころか家でやってほしいにゃ。」

「へいへい...で、本題は?」

 

重い身体はまぁなんとかなるとして内容である。朝7時に校舎の一角で会議をしているなんてな...大赦の中の会議より幾分かはましだが...

 

「ズバリ!勇者部の親睦をさらに深めようの会よ!」

「わー!」

「...それで、具体的内容はなんですか?」

「それはね...実はまだ何も決めてない!」

「おい!」

「...帰っていいですかね、眠いし頭痛いし生活リズム狂うし...なんなら洗濯干したり皿洗ったり掃除機かけたりがまだなんですけど。」

 

まさか依頼ではないとは。だったらもうここにいる理由はない。

 

「のぼるんは働き者だね~でも大丈夫だよ~」

「とはいえど、睡眠は代替できないから...帰る。」

「ちょ、緋月!待ちなさい!」

「待てと言われて待つほど、今の俺に余裕はないのです。諦めてください。」

 

そう言って部室のドアを開けるとそこには一人の少女。制服から見ても同じ学校の生徒か。

 

「あ、あの...」

「...どうぞ中へ。お話があるのでしょう?」

「は、はい...!」

 

少女は吸い込まれるように部室に入り、勇者部はもう既に依頼を聞く準備を整えていた。早いよ全く。しかし、帰れなくなったな...

 

 


 

 

「それで...匿名での依頼で、内容はこの写真の人を探して欲しい、と。」

「はい、私のお父さんです。ちょっと前に出かけるって言ってから、ずっと帰ってこなくて...」

「警察には聞いたの?」

「警察は...!大赦の警察は信用できません...お父さんがいっつも、大赦だけは信用するなって...」

「一理どころか百理あるな...」

「いやあんたがそれ言う?」

「わかったわ。東郷と雪花はインターネットとかから調べてみて。私たちは聞き込みに行くわよ。」

『了解!』

 

かくして、勇者部の人探しが始まったわけであった。しかしあの男...どこかで見たような...

 

 


 

 

「...どうにも引っかかる。」

「ん?どしたのひーくん。」

「また考え事?」

 

俺は現在先の生徒が住んでいるという丸亀城周辺を歩いている。だが...いくつもいくつも気になることがある。

 

「...匿名なのに父親探し、おかしいとは思わないか?探すためにしても情報が無さすぎる。インターネットの方向で探すのはどう考えても無謀だ。......考えすぎだと思うが、もしも、もしも俺の考えが最悪の方向で正しかった場合...友奈、東郷に電話だ、依頼主を勇者部部室から出すな!」

「え...?」

「早くしろ!」

「は、はいぃ!」

 

友奈に指示を出し、俺は仕事用携帯で忍さんに電話する。この一抹の不安が拭いきれない悪寒になる前に...!

 

「ちょ、緋月一体全体何をする気!?」

「それはあの依頼主に言ってください、もしもし忍さん?」

『おー、どうしたんだい昇くん。血相抱えて。』

「例の襲撃者の顔写真と名前のデータ、公安部にありますね?」

『あー、あるある。ふむ。おおかた行方不明扱いになってるから探して欲しいと言われちゃった?』

「ビンゴです。40代後半、銀髪、少なくとも一人讃州一高の娘がいる、絞れますか!」

『ジャスト一人だね、雨宮 亮太郎...娘の名前は雨宮 瑠菜だよー』

「ありがとうございます!」

 

電話を切り、即座に夏凜にかける。友奈からの報告も聞く。

 

「えっと、忘れ物したから家に帰るって...」

「嘘だな、俺はそう思う。もしもし夏凜?依頼主そこにいいるか?」

『昇...えぇ、いるわよ。なんでわかったの?』

「勘だ。変わってくれるか?」

『ちょっと待って...変わっててさ......もしもし変わりました』

 

最悪想定は無くなったか。

 

「雨宮瑠菜さん...ですね」

『...!?なんで、わかったんですか...』

 

声音が違う。動揺だ。

 

「見つかりました。お父さん。」

 




次回、第3話「終わらぬ戦い」

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